仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第参拾漆話「受け継がれる因縁、到来曇天」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

凪桜を形代としてこの世界に顕現したイザナミ!

その圧倒的な力で仮面ライダー達を追い詰めてしまう!

 

更にはイザナミはその力で命を落としたはずの白石真黒をモノノケとして復活させるのだった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

シュテンドウジ「……」

 

 一人佇むシュテンドウジ。その脳裏には1000年前の因縁の記憶が焼き付いていた。

 

妖魔『俺は妖魔。お前達のような人に仇なすモノノケ共を打ち倒す者だ』

 

シュテンドウジ『妖魔…俺にこんな屈辱を味合わせたお前だけは絶対に許さんぞ…!』

 

 白光りする刀を構えつつ、目の前に迫る妖魔 龍神ヨロイ。そして弱った様子でフラフラと地面にへたり込みつつも憎悪をその言葉に滾らせているシュテンドウジ。

 

シュテンドウジ「…妖魔…今度こそ、叩き潰してくれる…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第参拾漆話「受け継がれる因縁、到来曇天」

 

都黎「…腹減ったな」

 

時雨「そういえば都黎君、ご飯はどうしてるの?」

 

都黎「良いことを聞くな、時雨。実は藍羽先生や田貫夜御哉から食費を貰ったりしてたのだが…コンビニとやらの弁当はバリエーションも豊かで美味いんだ。最近はそればっかり食べている!」

 

時雨「ちゃんと色々食べないと栄養が偏っちゃうよ…?」

 

 ある休みの日。取り敢えず照羅巣高校の旧部室棟に住み着いている都黎は、最近コンビニ弁当ばかり食べていることを明かし、時雨に心配されてしまう。

 

都黎「そうなのか…?」

 

時雨「けど、懐かしいなぁ」

 

都黎「?」

 

時雨「…実は、一年前、凪桜ちゃんとも同じ話をしたことがあったんだ。やっぱりいとこだね」

 

都黎「凪桜と…」

 

時雨「当時の凪桜ちゃん、毎日コンビニ弁当食べててね。都黎君と同じように美味しい美味しいってそればっかり食べてたから、心配になってお弁当作ってきてあげたんだ」

 

都黎「時雨がか?」

 

時雨「うん。それ以来、妙にお弁当気に入られたみたいで。偶に作ってあげてたなって」

 

 都黎との会話の中で凪桜との記憶を思い出した時雨は、その時のことを懐かしそうに語る。

 

都黎「…きっと、嬉しかったんだろうな、凪桜は」

 

時雨「え?」

 

都黎「俺達の生きてきた環境は、自分達の食事は自分達で用意しなくちゃいけなかったし、食材も大したものは与えられなかった。食事なんて、命を繋ぐための栄養補給に過ぎなかった。…だから、誰かが自分のために心を込めて作ってくれた、美味しいご飯を食べれることが、嬉しかったんだろう」

 

時雨「…そっか。…なら、帰ってきたらまたお弁当作ってあげなきゃだね」

 

都黎「そうしてやってくれ」

 

 都黎は長年共に生きてきた“家族”故に凪桜がどういう心境であったかを推察し、時雨に教える。

 

時雨「…お腹空いてるんだっけ?何か食べる?」

 

都黎「食べたい物がある」

 

時雨「?」

 

都黎「ラーメン、というやつだ。美味いと聞いた」

 

時雨「…うーん、ラーメンかあ。…じゃあ商店街の方まで行ってみようか」

 

 ラーメンを食べたいという都黎の要望もあり、時雨は都黎を商店街に案内する。

 

時雨「…そういえば都黎君、いつの間にか着替えてるけど、その服どうしたの?」

 

都黎「ああ、この間夢華が来た時にこの格好じゃ夏は暑いだろうからと言われて買いに行った」

 

時雨「そっか、桃原さんが」

 

 いつの間にやら学ランから黒いゆったりめのシャツに灰色のジーンズに衣装替えしていた都黎に、時雨はいつの間に着替えたのかと問うが、その問いに夢華と共に買いに行ったのだと答える。

 

都黎「まあ…俺の服を選んでたのは最初だけで、途中から殆どあいつの服選びだったが…」

 

時雨「…桃原さんらしいね」

 

都黎「……」

 

 そんな話をしながら、時雨と都黎は共にラーメン屋へと向かう。

 

都黎「これがラーメン…」

 

時雨「いただきます」

 

都黎「いただきます。…!美味い。美味いぞこれ」

 

時雨「でしょ?ラーメンって美味しいよね。僕も好きなんだ」

 

都黎「やっぱり美味いものを食べると笑顔になるものなんだな」

 

時雨「え?」

 

都黎「…イザナミが現れたあの日から、お前が笑っているところを俺は見ていない。皆も心配していたぞ」

 

 出された醤油ラーメンを啜って、その美味しさに目を輝かせる都黎。自分も続いて麺を啜って、その味に笑みを浮かべる時雨を見て、都黎は最近笑っていなかった時雨が、漸く笑ったと指摘する。

 

時雨「……そっか、心配かけちゃってたんだね…」

 

都黎「…凪桜を取り戻したいのは俺達も同じこと。お前だけが背負う必要はない。それに…自分がいなくなったせいでお前から笑顔が消えたと知れば、凪桜は悲しむだろうしな」

 

時雨「…そうだよね。僕が凹んでても凪桜ちゃんが帰って来るわけじゃないし、こういう時こそ前を向かなきゃだよね。…ありがとう。都黎君」

 

都黎「…気にするな」

 

 周囲に心配をかけてしまっていたことを知り、更には都黎から励まされたことで気を持ち直した時雨は、少し明るさを取り戻し、都黎に礼を告げる。

 

時雨「さて、折角だし今日は布留杜市のあちこちを巡ってみようか」

 

都黎「そうするか」

 

 時雨と都黎は街を歩きながら和気藹々とした時間を過ごしつつ、布留杜市を見て回ることにする。

 

咲穂「おや?時雨君に昏時さん。奇遇ですね」

 

調「二人もお出かけですか?」

 

時雨「うん。都黎君とラーメンを食べて来たんだ」

 

都黎「美味かった」

 

時雨「二人は…デート?」

 

調「デッ…!?」

 

咲穂「そうです♡」

 

調「ちょっ、咲穂先輩、何言ってるんですか!」

 

咲穂「ええー、調君はデートと思ってくれてないのですか?」

 

調「いやだって、ちょっと一緒にお出かけしてただけじゃないですか…!」

 

時雨(それ、デートじゃない?)

 

 街でばったりと出会した咲穂と調はどうやらデート中とのこと。

 照れ隠しなのか否定する調に対し、心の中で冷静にツッコミを入れる時雨。

 

時雨「えっと、もしかして僕達お邪魔だったりする?」

 

咲穂「いえいえ、折角こうして会ったんですし、一緒に少し歩きませんか?」

 

調「うん。それが良い」

 

時雨「…じゃあ、そうしよっか。都黎君も良い?」

 

都黎「ああ。構わない」

 

時雨「そういえば僕達、布留杜市を色々見て回ろうと思ってるんだけど…二人も一緒に行く?」

 

咲穂「…それも良いですね。調君は?」

 

調「俺も良いと思います!」

 

時雨「じゃあ決まりだね」

 

 成り行きから共に行動することになった四人は、談笑に花を咲かせていた。

 

時雨「…そっか、調君にアタックしても中々関係が進展しないと…。僕も恋愛に関しては詳しくないしなぁ…」

 

咲穂「…そういえば、時雨君は好きな人とかいらっしゃらないんですか?」

 

時雨「僕?…うーん、どうなんだろう。恋愛小説も読んだりするけど、僕自身がどうかと言われると、何とも言えないなぁ」

 

咲穂「そうなんですね…」

 

時雨「まあ、一緒にいると安心出来るって子はいるけど…正直これが恋愛感情なのかは分からないなぁ」

 

咲穂「その相手が誰か、は敢えて聞かないでおきますね。いつの日か答え合わせが出来たら良いと思いますが」

 

時雨「それは…ありがとう?まあ別に教えても良いけど…咲穂さんがそう言うのなら」

 

 咲穂の調へのアタックの話の流れから恋バナを始める時雨と咲穂。

 時雨は自分には恋愛感情などはまだよく分からないと答えつつ、一緒にいると安心するという人物について、優しい瞳で語る。

 その様から何かを察した様子の咲穂は敢えてそこには触れないことを告げる。

 

時雨「そんな話をしていたらもう津久代の辺りだね」

 

咲穂「津久代が海沿いのエリア…ということはもうご存知でしょうけど、津久代海浜公園から見る海はとっても景観が良いことで有名なんです」

 

調「布留杜の観光名所の一つのはずですよ」

 

都黎「そうなのか。…行ってみても良いか?」

 

時雨「勿論」

 

咲穂「決まりですね」

 

 都黎の希望もあり、四人は津久代海浜公園へと向かう。

 

都黎「凄いな。…海なんて、こうして落ち着いて見つめたことなんてなかった。海とは、こんなにも広く美しいものなんだな」

 

時雨「海を見てるとなんだか心が癒されるよねー」

 

 津久代海浜公園にて海を眺める四人。特に都黎はこうして落ち着いて海を眺めるということは無かったとのことであり、その雄大さや美しさに感動する。

 

汰月「あれ?随分珍しいメンバーだね」

 

時雨「汰月君」

 

都黎「何故ここに?」

 

汰月「それはこっちの質問のような。…俺は日課のランニング中だよ。ここは良いランニングスポットでもあるからね」

 

咲穂「成る程…私達は海を見に来たんです」

 

調「今昏時さんと一緒に布留杜市を巡ってて」

 

汰月「へぇ。良いね。…そうだ。それ、俺も同行しても良い?」

 

時雨「別に良いけど…ランニング中だったんじゃ…良いの?」

 

汰月「まあ、布留杜市全体を歩き回るのも良い運動になりそうだしね。折角だから俺も一緒に色々見てみようかなって」

 

時雨「そういうことなら」

 

 ランニング中らしくジャージを着た汰月と遭遇した時雨達。

 事情を説明したところ汰月も興味を示したため、同行することに。

 

時雨「結構歩いたね…」

 

咲穂「そうですね…。そろそろ佐乃緒地区の辺りです」

 

調「確か佐乃緒には最近新しくカフェがオープンしたらしくて、そこのパフェが美味しいとか何とかって弟から聞いたっけ」

 

咲穂「へぇ、パフェ!良いですね。行ってみませんか?」

 

都黎「ぱふぇ…とはなんだ」

 

時雨「パフェっていうのはなんていうかこう…一つのグラスにアイスとかホイップクリームとか果物のソースとかを積み重ねていって、上の方にホイップクリームと果物を乗せる…みたいな食べ物のことかな」

 

都黎「ふむ。…美味そうだな。是非食べてみたい」

 

時雨「調君、そのお店ってどこにあるの?」

 

調「えっと、確か…あっ、あっちみたいです」

 

咲穂「では…行きましょうか」

 

汰月「…だな」

 

 パフェに興味を示した都黎のため、地図アプリで場所を調べた調の案内で、五人は件のカフェへ向かう。

 

時雨「ここかあ」

 

調「お洒落な雰囲気…」

 

咲穂「今度調君と二人で行くのもアリですかね…」

 

汰月「あそこが空いてそうだ」

 

時雨「けど、四人席だね。どうしよう…か…」

 

賢昇「美味っ!…ん?」

 

時雨「えっ?」

 

 カフェへとやって来た時雨達。四人席を探すも、一人分席が足りないためどうするかを時雨が考えつつ近くの席を見やると、そこにはパフェを美味しそうに頬張る賢昇の姿が。

 

時雨「賢昇君!?」

 

賢昇「時雨!?…それに、他の皆まで…」

 

汰月「賢昇も来ていたのか。丁度いい。相席するぞ」

 

賢昇「……おう」

 

 パフェを美味しそうに食べていたところを見られて若干気まずそうな賢昇だったが、取り敢えず相席し、無事に全員席に着く。

 

賢昇「…しかしなんでお前等が……」

 

時雨「実は都黎君とこの布留杜市を色々見て回ってるところだったんだ」

 

賢昇「成る程な…」

 

都黎「これがパフェ…美味いな。毎日食べたいくらいだ」

 

咲穂「毎日は流石に健康に悪いと思いますよ…?」

 

調「お財布にも大打撃になりそうですし…」

 

汰月「まさか賢昇も来てるなんてね」

 

賢昇「ん?…ま、こう見えても俺はグルメだからな。色んな店を巡ってんだ」

 

時雨「そうだったんだ。知らなかった」

 

 美味しそうに初めてのパフェを食べている都黎。一方で時雨は賢昇が案外グルメであることを知るのだった。

 

賢昇「お前等、次はどこ行くんだ?」

 

時雨「次は…貴真賀かなぁ」

 

賢昇「…俺も同行して良いか?」

 

時雨「えっ?」

 

賢昇「なんか面白そうだからな」

 

時雨「…じゃあ、一緒に行こうか」

 

汰月「それが良いな」

 

賢昇「決まりだな!」

 

 事情を知った賢昇も加わり、六人で貴真賀を目指す。

 

時雨「貴真賀は布留杜市の中心にあって、一番発達してるエリアなんだ。遊園地なんかもあるよ」

 

汰月「懐かしいな遊園地。小学生に行ったきりだ」

 

賢昇「ガキの頃はよく来たもんだけどな。近場だし、親に頼んでよ」

 

都黎「…遊園地、とは何だ?」

 

時雨「えっと、遊園地っていうのは色んなアトラクション…乗り物とかがある皆が笑顔で遊べる素敵な場所!かな」

 

都黎「成る程…興味深いな」

 

時雨「…じゃあ、行ってみようか!」

 

都黎「ああ」

 

 貴真賀地区の方までやって来た六人。遊園地に興味を示した都黎のために、遊園地を目指すことに。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「もうそろそろだよ」

 

都黎「そうか…楽しみだ」

 

「やぁーっと見付けたぜ。…妖魔」

 

時雨「!…あなたは…」

 

リュウジン「シュテンドウジ…!」

 

シュテンドウジ「祭りの時は来た。…俺と戦おうぜ?」

 

賢昇「マジか…!」

 

汰月「厄介な奴だな!」

 

 遊園地へと向かう楽しい空気をぶち壊すように突然目の前に炎が燃え上がり、その中からシュテンドウジが現れる。

 大袈裟な動作で手に持つ赫い刀身の刀“外道丸(げどうまる)”を振るい、鋒を時雨に向けると、大胆不敵に宣戦布告する。

 

シュテンドウジ「ははは…!ふん!」

 

時雨「うわっ!……変身!」

 

《『龍神ヨロイ!真!』》

 

妖魔「はあっ!!」

 

 笑いながら刀を振り下ろすシュテンドウジに対し、時雨はその一太刀を何とか避けつつ、妖魔 龍神ヨロイ・真に変身して大剣状態の龍神之大砲剣を構えて応戦する。

 

都黎「俺も相手になってやる。変身!」

 

《ヤギョウヨロイ!》

 

暗夜「ふん!」

 

汰月「それを言うなら…」

 

《激怒!》

 

賢昇「俺“達”も、だろ!」

 

《ギュウキ!》

 

「「変身!」」

 

《八岐大蛇ヨロイ!》

 

《ギュウキヨロイ!》

 

霊魂「はっ!」

 

幽冥「オラッ!」

 

 激しく斬り結ぶ妖魔とシュテンドウジの間に都黎は暗夜 ヤギョウヨロイへと変身して参戦し、妖魔に加勢する。

 更に続けて汰月は霊魂 八岐大蛇ヨロイへ、賢昇は幽冥 ギュウキヨロイへと変身し、シュテンドウジに攻撃を仕掛ける。

 

シュテンドウジ「生憎、俺の目当ては妖魔でね。お前等に興味はないんだ。つーわけで頼んだぜ」

 

暗夜「?…くっ…!…お前は…白石真黒」

 

霊魂「白石さん…」

 

幽冥「またあんたかよ」

 

真黒「やあ。そういうわけだから…悪いんだけどさ、僕の相手をしてもらうよ」

 

《着火!》

 

《八咫烏…!》

《餓者髑髏…!》

 

《イグニッション!ゼロ!》

《イグニッション!ゼロ!》

 

真黒「変身」

 

《焼却装着…ヘンゲ

 

黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎…零!》

 

禍炎「さぁ…覚悟は良いかな!」

 

暗夜「くっ…!」

 

幽冥「うあっ!」

 

 シュテンドウジの合図と同時に暗夜を襲う銃撃。その攻撃の主は真黒だった。

 そして真黒は禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイへと変身すると暗夜と幽冥に向かって蹴りかかる。

 

咲穂「…逃げてください!」

 

調「こっちです!」

 

妖魔「はあっ!」

 

シュテンドウジ「ガンガンいくぞ!」

 

妖魔「…負けません…!」

 

霊魂「時雨!」

 

ヌラリヒョン「おっと…あなたは私がお相手しましょう」

 

霊魂「お前は…ヌラリヒョンか…!」

 

ヌラリヒョン「ご名答。さあ、いきますよ!」

 

 咲穂と調は周囲の人々の避難誘導を行い、一方妖魔は猛攻を仕掛けるシュテンドウジに苦戦を強いられる。

 そしてそんな妖魔に加勢しようとする霊魂だったが、現れたヌラリヒョンに邪魔をされる。

 

禍炎「はっ!」

 

暗夜「ふん…!」

 

幽冥「オラッ!」

 

禍炎「へえ、やるね。なら…こういうのはどうかな?」

 

《枕返!》

 

《狂骨!》

 

暗夜「…!」

 

《イグニッション!召喚!枕返!》

 

マクラガエシ「はぁ…!」

 

禍炎「もうひと押しいこうか!」

 

《イグニッション!召喚!狂骨!》

 

 オンミョウブラストチェンジャーによる銃撃を防がれた禍炎は枕返アヤダマを焚書ドライバーに装填し、蒼炎を集めてマクラガエシとキョウコツを召喚する。

 

暗夜「くっ…面倒な…」

 

幽冥「全くだ!」

 

禍炎「面倒で済ませられちゃうか。なら…こうしようか」

 

《蟹坊主!》

 

《イグニッション!武装!蟹坊主!》

 

禍炎「はっ!はあっ!」

 

暗夜「うあっ!」

 

幽冥「くっ!」

 

マクラガエシ「ふん!」

 

暗夜「くっ…ぐあっ!」

 

キョウコツ「はっ!」

 

幽冥「うっ…!」

 

 襲いかかってくるマクラガエシの拳を闇夜月を用いて受け流しつつ、返しの斬撃を入れつつ距離を取る暗夜と、キョウコツのゆらゆらと動く動きをその勢いで押していく幽冥。

 その様を見た禍炎は蟹坊主アヤダマを用いて右手に蟹の鋏を模した爪“甲殻之爪(こうかくのつめ)”を生成し、斬撃と銃撃を織り交ぜて攻撃を仕掛け、マクラガエシやキョウコツとの連携も込みで暗夜と幽冥を追い詰める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

シュテンドウジ「ふん…俺の奥義、みせてやるよ!… 酒池爆斬(しゅちばくざん)!」

 

妖魔「っ…うああ!?」

 

禍炎「さあ!これでも試してみようかな」

 

《アヤダマ!》

 

暗夜「マズい…!」

 

幽冥「ヤベェな…!」

 

《アヤダマバレット!》

 

マクラガエシ「はあっ!」

 

キョウコツ「ふん!」

 

暗夜「ぬああっ!!」

 

幽冥「ぐあっ!!」

 

 シュテンドウジは外道丸の刀身に溢れんばかりの爆炎を纏わせ、凄まじい勢いの炎の斬撃を放って妖魔を攻撃し、龍神之大砲剣を構えて氷の盾を展開した妖魔をも大きく吹き飛ばす。

 一方で禍炎は餓者髑髏零式アヤダマをオンミョウブラストチェンジャーの裏面に読み込ませると、マクラガエシの放つ枕型エネルギー弾と同時に蒼炎を纏った巨大な髑髏弾を放ち、何とか闇夜月で斬り払おうとした暗夜とアヤカシレーザーアタッカーで弾こうとした幽冥を纏めて地面に転がさせる。

 

シュテンドウジ「おいおい、こんなもんかよ。やっぱ雨辺晴朗よか弱えなぁ」

 

禍炎「もう終わりかい?」

 

暗夜「くっ…!」

 

幽冥「この…!」

 

妖魔「強い…!」

 

霊魂「皆!」

 

ヌラリヒョン「余所見してる場合かい?」

 

霊魂「ふっ、はああっ!」

 

ヌラリヒョン「ぐっ…」

 

霊魂「お前の相手をしてる暇はない」

 

ヌラリヒョン「そう言わないで、少し付き合ってほしいなぁ」

 

 追い詰められる妖魔、幽冥、暗夜の三人を気にした霊魂はヌラリヒョンに攻撃を仕掛けられるが、鋭い岩を地面から生やして攻撃する。

 

シュテンドウジ「お前じゃ、俺には勝てねえ!」

 

妖魔「っ…はあっ!」

 

シュテンドウジ「そんな攻撃、効かねえ効かねえ」

 

 シュテンドウジは妖魔を挑発し、放たれた妖魔の斬撃を軽くあしらってしまう。

 

妖魔「なら…!」

 

《龍神!》《真打!》

《読取装填!神域!一撃必殺!》

 

シュテンドウジ「お?」

 

《神域斬撃!》

 

妖魔「はああ…はあーっ!!」

 

シュテンドウジ「んな攻撃!…!?」

 

妖魔「はあっ!!」

 

シュテンドウジ「ぐあっ!…へぇ、やるじゃねえか」

 

 劣勢に立たされていた妖魔だったが、逆転を狙って龍神之大砲剣に金色と銀色のオーラを纏わせてシュテンドウジに斬りかかる。

 向かってくる妖魔を刺突で迎え撃ったシュテンドウジだったが、妖魔は霞となって消えてしまう。

 そしてシュテンドウジが気を取られた隙に、本物の妖魔は空中から龍神之大砲剣を振りかぶって落下しつつ斬撃を叩き込む。

 

妖魔「はああ…!」

 

「彼岸桜」

 

妖魔「これは…うああっ!」

 

シュテンドウジ「…イザナミ様……」

 

黄泉「全く…油断しすぎるのがお主の悪い癖じゃのう…」

 

妖魔「…イザナミ…!」

 

 思わぬ反撃にシュテンドウジがダメージを負ったところに、更に追撃を喰らわせようとした妖魔。

 しかしその横手から放たれた赤みがかった桜色の紋章がその攻撃を阻み、妖魔を弾き返す。

 その攻撃の主は黄泉 伊邪那美ヨロイだった。

 

黄泉「さて…妾も混ぜてもらおうかの」

 

幽冥「イザナミまで…!」

 

キョウコツ「ふん!」

 

幽冥「こいつ…邪魔だな…!」

 

暗夜「以前の禍炎のものより能力が向上している。簡単にはいかないぞ…!」

 

マクラガエシ「はっ!」

 

 黄泉の参戦に焦る幽冥と暗夜は妖魔に加勢しようとするも、キョウコツとマクラガエシに妨害され苛立ちを見せる。

 

聖「霞流君、霧宮君、状況は?」

 

咲穂「藍羽先生!」

 

調「かなり大変そうで…」

 

聖「…私が変身さえ出来れば加勢出来るのに…!」

 

 駆け付けた聖は咲穂や調から状況を聞くと、加勢出来ない己の無力さを嘆く。

 

ヌラリヒョン「…哀哭波」

 

霊魂「ふん。…はああっ!!」

 

ヌラリヒョン「ぐあっ!…くく…私の術式を悉く潰して来るとは…面白い力だ。実に興味深い!」

 

 ヌラリヒョンの放った水流波を生成した壁で完全に防ぎ、妖之斧火縄で斬りかかる霊魂。

 その様にヌラリヒョンは興奮を強める。

 

黄泉「ふん!」

 

妖魔「…はあっ!」

 

黄泉「どうした?その程度か?」

 

妖魔「うわああっ!」

 

 黄泉の激しい斬撃に膝を突く妖魔。そんな妖魔を蔑みつつ、黄泉はその手を翳す。

 

黄泉「千本桜」

 

妖魔「…!」

 

黄泉「ふん…ん?」

 

《一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

《『画竜剛撃!』》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

黄泉「…ほう」

 

 殲滅術式・千本桜の桜吹雪が直撃したかと思われたその瞬間、雷撃を帯びた暴風を纏った妖魔が花弁を弾き返し、そのまま跳び蹴りを放つ。

 

黄泉「…『時雨先輩…!』」

 

妖魔「っ!?…うあああっ!!」

 

黄泉「くくっ、簡単に引っかかってくれたな」

 

妖魔「…っ…!」

 

 妖魔の一撃が黄泉に当たる直前、黄泉は()()()()()()時雨の名を呼ぶ。

 それに反応し、咄嗟に軌道を外してしまった妖魔はそのまま地面に突撃してしまい反動で動けなくなる。

 

シュテンドウジ「ほーんと、甘ちゃんだな。さあ!ここからがこの宴の最高潮だ!酒池爆斬!」

 

妖魔「っ…!!」

 

シュテンドウジ「ふんっ!!」

 

暗夜「くっ、どけ!」

 

幽冥「暗夜!」

 

 シュテンドウジは妖魔を嘲笑うと、業火を纏った外道丸を振り下ろして妖魔へ爆炎の斬撃を放つ。

 その一撃が妖魔に直撃する寸前、一瞬出来た隙に暗夜が闇を使って姿を消す。

 

暗夜「はあっ!!」

 

妖魔「!都黎君…!?」

 

暗夜「うぐああああっ!!!」

 

妖魔「うあああっ!!」

 

 攻撃の当たる刹那、妖魔の目の前に現れた暗夜は妖魔の盾となって攻撃を受け止め、大爆発が起こる。

 その威力のあまり庇われた妖魔までもが変身を解除され、直撃した暗夜は…。

 

都黎「ぐっ…う…」

 

時雨「…都黎君!都黎君!」

 

都黎「うぅ…」

 

聖「昏時君!!」

 

シュテンドウジ「はっ、こいつは滑稽だな。見たか妖魔。お前の甘さのせいで、仲間がやられたんだ」

 

 火傷を始めとして明らかに重傷を負って倒れる都黎に、時雨は顔面蒼白となり、聖が慌てて駆け寄る。

 

時雨「僕の…せい…」

 

シュテンドウジ「そうさ!…今、楽にしてやるよ」

 

時雨「僕のせいで…都黎君が……ハァ…ハァ…うあああああっ!!!」

 

 自分のせいで仲間を傷付けさせてしまったことに酷くショックを受けた様子の時雨は、周りも見えなくなるほど憔悴する。

 

霊魂「!時雨!逃げろっ!!」

 

シュテンドウジ「終わりだッ!!」

 

霊魂「させるか──!?」

 

シュテンドウジ「何っ!?」

 

時雨「……」

 

 憔悴のあまり地面に膝と手を突いて慟哭し、シュテンドウジの攻撃に対応出来なくなっていた時雨。

 霊魂はクサナギガトリンガーでシュテンドウジを狙おうとするも、目の前の光景に言葉を失う。

 …時雨の身体から黄金のオーラが発せられ、近付いていたシュテンドウジが吹き飛ばされたのだ。

 

黄泉「あの力…まさか…!?」

 

「……はぁ、全く、情けないな」

 

霊魂「…時雨…?」

 

「後継者が不甲斐ないものだから…この俺自ら出張ることになったじゃないか」

 

幽冥「俺…?」

 

咲穂「…あなた、誰ですか?」

 

「俺?俺は妖魔さ。但し先代の、だけどな」

 

調「先代って…まさか!?」

 

晴朗「そうさ。俺は雨辺晴朗。この身体の持ち主、晴河時雨の…先代だ」

 

シュテンドウジ「雨辺…晴朗だと…!?」

 

 糸が切れたかのように動かなくなった時雨、次の瞬間立ち上がるかと思うと、突然雰囲気が変わる。

 そして、時雨の姿をした何者かはこう名乗る。自分こそが先代妖魔、雨辺晴朗だ、と。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

シュテンドウジ「あり得ねえ…お前は人間だろ…どうやって人間が1000年の時を超えた…!?」

 

晴朗「久々に見る顔だな、シュテンドウジ。…簡単さ、俺の魂はずっとこの妖之書に宿っていた。そうして1000年間ずっと、この世界を見守っていたのさ」

 

黄泉「まさかお前…死ぬ前に自身の魂を妖之書に移していたのか…!?」

 

晴朗「そういうことだ」

 

 自身の魂はずっと妖之書の中にあったと語る晴朗。

 不意に目付きを鋭くすると、黄泉とシュテンドウジを見据える。

 

晴朗「さて。お前達は…俺が倒す」

 

《龍神!》

 

リュウジン「晴朗…」

 

晴朗「久しいな、リュウジン。また、力を貸してもらうぞ」

 

《装填!》

 

晴朗「…変身」

 

《憑依装着!変化!

 

逆鱗解放!龍神ヨロイ!》

 

妖魔「さて…覚悟してもらおうか」

 

黄泉「…!」

 

シュテンドウジ「っ…」

 

 晴朗は手慣れた様子で龍神アヤダマを取り出して起動すると、そのまま妖書ドライバーへと装填し、妖魔 龍神ヨロイへと変身する。

 そして妖魔が空に手を翳すと暗雲が立ち込め、じきに雨が降り出す。

 雷鳴が響く中、古の戦士はゆっくりと敵の元へと躙り寄っていく。

 

シュテンドウジ「…ハッ!丁度いい。1000年前の借りを…直接返してやる!はああっ!」

 

妖魔「ふん」

 

シュテンドウジ「!?」

 

妖魔「はっ!はあっ!!」

 

シュテンドウジ「くっ…!」

 

霊魂「強い…!」

 

 振り下ろされた外道丸の一撃を最低限の動きで回避しつつ、妖魔は鋭い拳をシュテンドウジの腹に二発打ち込む。

 

黄泉「過去の亡霊め…消え去れ」

 

妖魔「お前に言われたくは…ないな!」

 

黄泉「っ…その強さ、やはり雨辺晴朗で間違いないな…!」

 

 シュテンドウジと入れ替わりで終滅之薙刀を用いて攻撃を仕掛けた黄泉だったが、妖之流星刀を取り出した妖魔に受け切られ、返しの斬撃をなんとか回避し、その中身が晴朗であることを確信する。

 

シュテンドウジ「このっ!」

 

妖魔「ふっ…はあああっ!!」

 

シュテンドウジ「ぐっ…やるじゃねえか…!」

 

妖魔「…やはりこいつの体では押し切れないか…!」

 

 シュテンドウジと激しく斬り結ぶ妖魔。若干押し気味ではあるものの元々自分のものではない時雨の身体を使っていることもあり、力をフルに発揮出来ていないと感じる。

 

シュテンドウジ「ふん、そうだな!1000年前のお前はこんなものじゃなかった!消えろォォ!!」

 

黄泉「目障りじゃ…滅びよ。千本桜」

 

妖魔「なら…こうだ!」

 

シュテンドウジ「ぐっ!!」

 

黄泉「…そんな技もあったのう…!」

 

 シュテンドウジは斬りかかり、黄泉は大量の花弁を飛ばす中、妖魔は空へと手を翳し、大量の雷を降らせることでシュテンドウジを弾き返し、花弁を焼き焦がす。

 

《一・撃・必・殺!》

 

《逆鱗剛撃!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

黄泉「彼岸桜!」

 

シュテンドウジ「くっ!」

 

黄泉「む…!」

 

 妖魔は妖之流星刀に雷を集め、稲妻の斬撃を放つことで黄泉とシュテンドウジを狙う。

 黄泉は桜の描かれた紋章を展開して攻撃を防ぐも、攻撃の勢いからシュテンドウジ共々若干押されてしまう。

 

妖魔「ふん…!身体が…」

 

霊魂「止まった…?」

 

幽冥「なんだ…?」

 

妖魔「…やはり他人の身体で戦うのは無理があるか。仕方ない、ここは退くとしよう」

 

 追撃を仕掛けようとした妖魔だったが、突如その身に青白い稲妻が迸る。

 そして身動きが自由に取れなくなったことで、時雨の身体を使っていることによる反動だと判断すると、撤退の意思を見せる。

 妖魔の身体は黄色の光に包まれ、次の瞬間にはその場には妖之書だけが残る。

 

黄泉「何…!?」

 

シュテンドウジ「どういうことなんだ…?」

 

ヌラリヒョン「……あれは…そういうことか」

 

霊魂「なんだかよく分からないけど…今だ!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《八重憤撃!》

 

霊魂「はあーっ!!」

 

ヌラリヒョン「む…!ぐああっ!!」

 

シュテンドウジ「何っ!?」

 

黄泉「…ふん」

 

禍炎「そういうことか…」

 

マクラガエシ「ぐわあああ!!」

 

キョウコツ「うぐあああっ!」

 

聖「…今のうちに退こう!」

 

 突然の妖魔の消失にその場の全員が気を取られる。そして、その隙を突いた霊魂はヌラリヒョン目掛けて右脚に水と土の属性の力を纏わせた跳び蹴りを放って人間態に戻させ、同時に大蛇のオーラを8体展開して他の敵達を纏めて攻撃することでマクラガエシとキョウコツを撃破しつつ、大蛇のオーラによって黄泉達の視界を塞ぐ。

 その状況に好機を見た聖は仲間に指示を出し、妖之書を回収しつつ都黎を連れて退散するのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「……ここは…?この場所、前にどこかで…」

 

 その頃、時雨は大きな屋敷のような場所で目を覚ましたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

シュテンドウジ「出てこい!妖魔ァァ!!」

 

雪音「時雨君が…戻って来ると信じて」

 

汰月「時雨が帰ってくるまで…この街を守り抜く!」

 

賢昇「諦めるわけには…いかねえんだ!じゃねえとアイツに…顔向けできねえからなァ!!」

 

晴朗「覚悟を決めろ」

 

時雨「絶対に叶えてみせます…僕の夢を!!」

 

第参拾捌話「最強妖魔!最高の結末を目指して!」

 

日曜午後9時!




第三十七話をご覧いただきありがとうございます。

イザナミの復活により本格的に動き出したシュテンドウジが大暴れの回となりました。

凪桜の身体を形代として現れたイザナミを相手に、戦うべきか迷ってしまう時雨がどんな答えを出し、どう立ち向かうか、是非ともご注目いただけましたら幸いです。

さて、次回はいよいよ妖魔の最強の力が登場です!妖魔最強の姿の最初の活躍、是非ともお見逃しなく!
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