リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は。
都黎と絆を結び、共に戦う仲間となった時雨。
そこにシュテンドウジ達が襲来し、時雨を庇った都黎が大怪我を負ってしまう。
そんな中、突如時雨の身体を先代妖魔・雨辺晴朗が乗っ取り、姿を消してしまう…」
⭐︎⭐︎⭐︎
シュテンドウジ「雨辺晴朗…!死に損ないの人間の分際で…この俺を…!絶対に許さんぞ…妖魔は…俺が消すっ!!」
イザナミ「…とはいえ、奴が付いているとなると一筋縄ではいかないじゃろう。どうするつもりじゃ?」
シュテンドウジ「フッ…ご心配なく、イザナミ様。ここまで来たならもはや出し惜しみなどはしません。
ヌラリヒョンの旦那が作り出した魂壊の術を使って…確実に連中を始末する…!」
拠点に戻ってきたシュテンドウジとイザナミ。
晴朗に追い詰められたことがどうしても悔しいシュテンドウジは荒れに荒れ、そしてなりふり構わず妖魔を倒す道を選ぶ。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「──という状況でして…」
夜御哉「成る程…雨辺晴朗が時雨君の身体を使って現れ、この中に…。まずは妖之書を調べてみよう」
聖「お願いします」
撤退の末に貴真賀中央大学までやってきていた聖達。
夜御哉に妖之書を渡しつつ、一体何が起きたのかを探ることに。
汰月「まさか雨辺晴朗が出て来るとは…」
賢昇「時雨はどうなってんだ?」
夜御哉「ふむ、恐らく無事だ。妖之書内部から繋がる妖力で作られた特殊領域に反応がある」
聖「じゃあやっぱり晴河君はこの中に…」
夜御哉「だが…現状では彼を妖之書の中から出す方法が分からない。恐らく雨辺晴朗が中から何かをすれば出て来ることも可能だとは思うのだが…」
聖「そうですか…」
リュウジン「晴朗には恐らく、何か考えがあるのだろう。時雨ならきっと晴朗にも認められるはずだ」
聖「…そう、ですね……」
妖之書を調べた結果、時雨はその中の特殊領域内にいるということが判明するものの、そこから出す方法については分からないままとなっている。
雪音「……まさかこんなことになっているとは…」
夢華「…都黎もボロボロだし…」
都黎「……」
合流して状況を知りつつ、都黎の手当てを行っていた雪音と夢華。
段々と空気が暗くなっていく中、声を上げたのは調だった。
調「…でも、時雨部長は、きっと戻ってきます。だって、時雨部長はいつだって、どんなに苦しい時だって立ち向かって乗り越えてきたんです!だから…今回だってきっと…!」
聖「!…霧宮君」
咲穂「…そうですね。時雨君は必ず戻ってきてくれます。そう信じましょう。今私達に出来ることは…それだけですから」
雪音「……ええ、お二人の言う通りですね。私達は私達に出来ることをしましょう。時雨君が…戻って来ると信じて」
調と咲穂の言葉に励まされ、雪音の言葉にその場の全員が頷く。
都黎「……そうだな。俺も、戦う」
夢華「ちょっ、都黎は無茶だよ!」
汰月「そうだ。お前まだボロボロだろ」
都黎「…問題ない。少し寝て回復した。……それに、俺の罪はこんなことでは消えない…少しでも…償わないと」
賢昇「根性は認めるけどよ…無理はすんなよ。都黎」
都黎「…ああ。…分かってるさ」
夢華「全く、しぶといなぁ。…ま、私達も頑張ろっか!」
汰月「だな。…時雨は戻って来る。だからそれまで…この街は俺達が守り抜こう」
決して軽くない傷を負いながらも起き上がる都黎。
そんな都黎を心配しつつも、本人の頼もしい言葉もあり、緊急事態に立ち向かうべく全員の心が一つになっていくのだった…。
聖「そうだ、昏時君」
都黎「?」
聖「君が罪の意識を抱えて、それを償おうと戦う気持ちは分かる。けれど、あまり自分を責めすぎてはいけないよ。…君達も被害者なんだ。責任を取るべきは、私達大人であるべきだったからね。…だから、すまない。私も戦えれば、君達の負担を楽に出来たんだが…」
都黎「…ありがとう、先生。でも、大丈夫。俺は俺が守りたいもののために…俺自身の意思で戦う。それだけだ」
聖「…そっか」
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仮面ライダー妖魔
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第参拾捌話「最強妖魔!最高の結末を目指して!」
時雨「……ここは…?この場所、前にどこかで…」
見知らぬ場所で目を覚ました時雨。そこは大きな屋敷のような場所だった。
初めて訪れるはずの場所にも関わらず言い知れぬ既視感を覚えていると、突然切羽詰まったような声が聞こえる。
『どうにか助けられないのか!?』
時雨「!?…あれは…リュウジンさんと…誰…?」
リュウジン『…残念だが…もう無理だ。奴は倒すしかない』
『そんな…』
時雨が声のした方を見ると、そこには陰陽師のような格好をした青年と、今よりも大きなリュウジンの姿が。
リュウジン『…お主の気持ちも分かるが…そうするほかないだろう。……すまない』
『…いや、リュウジンは悪くない。…俺も、覚悟を決めよう。……イザナミを倒す覚悟を』
時雨「!…イザナミ…?じゃあ、もしかしてこの人って…」
時雨が何かに気付いた瞬間、目の前の青年とリュウジンが幻影のように掻き消える。
「目が覚めたか」
時雨「あなたは……あなたが、雨辺晴朗さん、ですよね?」
晴朗「……いかにも。俺が雨辺晴朗、先代の妖魔だ」
時雨に声をかけながら現れたのは先ほどまで見えていた幻影と同じ青年。
その青年こそが雨辺晴朗であると気付いた時雨の問い掛けを、青年──晴朗は肯定する。
時雨「この場所って…」
晴朗「…ここは俺の魂を反映して生み出された、妖之書より繋がる特殊な空間。お前の身体ごとここへと転移したのだ」
時雨「一体何が起こったんですか?あの時、僕は…」
晴朗「…結論から言えば、あの時シュテンドウジにやられそうだったお前の身体を借りて戦った。とはいえ…些か無茶をしすぎたようでな。この中でさえ、俺は自身の存在を保てなくなりつつある」
時雨「!そんな…それも、僕のせいで……」
何が起こったのかを簡潔に説明した晴朗だったが、その一方で自分の存在が消え掛かっているのだと時雨に伝え、証拠として自身の薄れゆく右腕を見せる。
晴朗「……そうだな。お前のせいだ。全てお前の甘さが招いた事態だ」
時雨「……」
晴朗「…イザナミは敵…世界を滅ぼす災厄そのものだ。故に…倒さねばならない。何があっても。妖魔とは、そのための存在なのだから」
時雨「…え?」
晴朗「…この機会だ。お前に教えてやろう。妖魔とは何か。何故生み出されたのかを」
イザナミを倒すことこそが妖魔の使命であると言う晴朗。
初耳の情報に困惑する時雨を見ると、晴朗は妖魔のルーツについて語り出す…。
⭐︎⭐︎⭐︎
晴朗「…時は1000年前。…当時はカンナギと呼ばれていたこの地では、人とモノノケとが共に暮らしていた」
時雨「人とモノノケが一緒に…」
晴朗「互いの違いを受け入れ、共に平穏に暮らしていたこの街の人とモノノケだったが、それを快く思わないある一族がいた。…それこそが彼岸一族。イザナミを信奉するその一族は、イザナミを現世に降臨させ、全てを死の世界に変えようと企んだのだ」
時雨「そんな…何のために」
晴朗「…人とモノノケが仲良く暮らしていたのが気に食わなかった。ただそれだけさ。連中は人々が幸せを求め、そうあろうとすることを許せない質だった」
時雨「……」
晴朗「…そんな彼岸一族に、一人の巫女がいた。彼女は誰よりも強い力を持ち…そして彼岸一族には似合わぬほど心優しき少女だった。
…人の幸せを尊び、人の笑顔を喜ぶ、そんな心清らかな少女だった」
時雨「……それって、まさか…」
晴朗「…一族の連中はそんな彼女を目障りに思う一方で、その力をよく知っていた。故に…彼女を形代としてイザナミを現世へと降臨させることを考えた。…そして、その力を用いることでこの世界に生けとし生きるもの全ての命を奪い…この世界を死の世界に変える計画と、それを成しえる術式を作り出した」
時雨「そんな…」
晴朗「それに気付いたリュウジンとエンマが対抗するためにイザナミの持つ力を模倣し、人間が扱えるようにした物こそ、妖之書。…元はモノノケが作ったもの故か、モノノケであれば誰でも使えてしまうが…そもそもは人間が使うための力だったのさ。そして…その使用者として選ばれたのがこの俺、雨辺晴朗だ」
時雨「それが…妖魔の始まり……だから妖魔はイザナミを倒すための存在ってことですか?」
晴朗「…そうだ。さあ、分かっただろう。もはや猶予はない。…覚悟を決めろ」
時雨「…っ」
妖魔がいかにして生まれたのか。そしてイザナミを倒すための存在とはどういう意味なのか。
1000年前の出来事について晴朗は語り終えると、その上で再度時雨に覚悟を決めるように迫る。
⭐︎⭐︎⭐︎
シュテンドウジ「出てこい!妖魔ァァ!!」
「きゃーっ!!」
「うわあああっ!」
晴朗の呼び寄せた雷雲による雨と雷鳴の中、貴真賀地区の遊園地前に現れたシュテンドウジ。
強い勢いの雨の中ですら全く威力の減衰しないほど強烈な炎の斬撃を所構わず放って街を破壊していき、大暴れする。
都黎「止めろ!…暴れたいなら、俺達が相手になってやる」
雪音「好きにはさせませんよ…!」
夢華「そういうこと!」
《ヤギョウ!》
《ユキオンナ!》
《キュウビ!》
《インストール!》
「「「変身!」」」
《ヤギョウヨロイ!》
《ユキオンナヨロイ!》
《キュウビヨロイ!》
シュテンドウジ「お前等に用はねえんだよ…妖魔を出せっ!!」
暗夜「知るか…相手になってもらおう!」
シュテンドウジの元に駆け付けた都黎、雪音、夢華の三人はその暴挙を止めるべく同時に暗夜 ヤギョウヨロイ、氷雪 ユキオンナヨロイ、夢幻 キュウビヨロイへと変身し、立ち向かっていく。
シュテンドウジ「ふんっ!!」
夢幻「うっ…何このパワー…!?」
暗夜「…さっきより強くなっている…!?」
シュテンドウジ「当然!俺は魂壊の術を使って己が力を極限まで引き出しているからな!この力でなら!俺は…妖魔にだって勝てる!」
氷雪「そういう…わけですか…!」
魂壊の術により凄まじい力を手にしたシュテンドウジに手を焼く三人。そんな三人を陰から狙う者達がいた。
イザナミ「やはり邪魔が入ったのう。さて…私達も加勢するかの」
真黒「…はっ」
汰月「…邪魔はお前だ、イザナミ」
賢昇「禍炎。あんたが本当に敵になっちまったってんなら…俺達も全力であんたを倒す!」
汰月「藍羽先生の読み通りだったな」
聖「…白石君…」
真黒「成る程、あなたの入れ知恵でしたか」
イザナミ「…ほう。霊魂に幽冥か。確かに姿を現してなかったのう。…遊び相手になってやる」
真黒「…好きにしたまえ。全力でかかってくると良い」
汰月「…お前を止める」
《激怒!》
賢昇「んじゃ、そうさせてもらうぜ」
《ギュウキ!》
「「変身!」」
《八岐大蛇ヨロイ!》
《ギュウキヨロイ!》
イザナミ「威勢が良いのう…」
《伊邪那美…!》
真黒「…それで良いんだよ」
《八咫烏…!》
《餓者髑髏…!》
「「変身」」
《伊邪那美ヨロイ…!》
《仮面ライダー禍炎…零!》
霊魂「はあああっ!!」
幽冥「だああっ!!」
イザナミと真黒はシュテンドウジに加勢しようとするが、聖がそうなることを読んでいたため、敢えて遅れて参戦した汰月と賢昇がその前に立ちはだかる。
そして汰月は霊魂 八岐大蛇ヨロイへ、賢昇は幽冥 ギュウキヨロイへと同時に変身し、イザナミの変身した黄泉 伊邪那美ヨロイと真黒の変身した禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイと激突し始める。
霊魂「はあっ!!」
幽冥「だあっ!」
黄泉「そんなものかえ?」
禍炎「全然!足りてないんだよねえ!!」
霊魂の銃撃を黄泉は桜の紋章が刻まれた陣で防ぎ、幽冥の猛烈な斬撃を禍炎は素手で巧みに捌いていく。
黄泉「つまらんのう、ふん!」
霊魂「くっ…!中々やるじゃないか…!」
禍炎「攻撃っていうのは…」
《鎌鼬!》
《イグニッション!武装!鎌鼬!》
禍炎「こうしないと!」
幽冥「ぐああっ!!」
黄泉は霊魂に対して終滅之薙刀から放った桜色の斬撃を浴びせて確実にダメージを与え、禍炎は辻風之鎌を召喚して連続斬撃を浴びせる。
氷雪「はっ!!」
シュテンドウジ「ふん!」
夢幻「させないよ…!」
シュテンドウジ「小賢しい!」
「「うわあああっ!!」」
暗夜「っ…大丈夫か?」
氷雪「昏時さん…助かりました」
夢幻「ありがと…都黎。けどやっぱり痛むんじゃん。…無理はしないでよね」
暗夜「フッ…言ったろう。この程度…少し寝て回復したと!」
夢幻「…全くもう…」
氷雪は冷気を帯びたレーザー弾を連射してシュテンドウジに攻撃を仕掛け、反撃を夢幻の幻影で回避しようとするが、シュテンドウジが広範囲を炎の斬撃で薙いできたことで攻撃を受けてしまう。
吹き飛ばされた二人を闇を通じて移動してきた暗夜が受け止め、痛みに呻き声を漏らしつつも、それを心配する夢幻には強がってみせる。
咲穂「……戦いが始まりましたね…」
調「時雨部長…戻ってきてください…!」
戦いが始まったことを少し離れた所から見守る咲穂と調。
強力な敵が三人も現れたことで流石に苦戦する仮面ライダー達の姿に、時雨の復帰を切に願う。
⭐︎⭐︎⭐︎
時雨「……覚悟を…決める…」
晴朗「そうだ。ん?…どうやら、お前の仲間達は再び暴れ出したシュテンドウジ達と戦っているようだぞ」
時雨「え…!?」
晴朗「余計に時間がなくなったな。生半可な覚悟で挑めば今の奴には勝てないぞ。さあ、もう迷う時間はない」
時雨「……覚悟を決める…。!」
晴朗『どうにか助けられないのか!?』
リュウジン『…残念だが…もう無理だ。奴は倒すしかない』
時雨(そうだ、僕のやるべきことなんて、分かり切ってる。迷う必要なんて、ないんだ)
晴朗からシュテンドウジが暴れており、覚悟を決めるしかないと迫られる時雨。
しかし、その中で先程見た光景を思い出し、何かを悟る。
時雨「その、雨辺さんの言う覚悟っていうのは…凪桜ちゃんを…イザナミを倒すっていうことですよね」
晴朗「そうだ」
時雨「だったら…やっぱり僕はそんな覚悟はしたくありません」
晴朗「…何?」
時雨「……僕が今まで戦ってこれたのは、凪桜ちゃんがいてくれたからです。どんな時にだって諦めなくて、どんな時にだって前向きで、でも世間知らずで意外と喧嘩っ早くて、可愛いものに目がなくて、行動力の塊で、そして人に寄り添える優しさを持っている。そんな凪桜ちゃんが僕を信じていてくれたから、僕がそんな凪桜ちゃんを信じてきたから、だから戦ってこれました。…凪桜ちゃんだけじゃありません。他の皆が僕を支えてくれました。誰一人欠けていても、今の僕はなかったって、そう断言出来るくらい。だから僕は…何一つだって諦めたくないんです。
僕には…夢があるんです。僕も皆も、人もモノノケも共に手を取り合って笑い合える世界をいつか実現してみせるって夢が。
そんな…平凡で普通な日常を送れるようなハッピーエンドを叶えてみせるって、そう決めたんです」
晴朗「ハッピーエンド…?」
晴朗の言葉に、時雨は己の信念を語り出す。
その姿には迷いを抱え、自責の念から落ち込んでいた時雨の面影はもう無かった。
そして、晴朗は自身の知らない「ハッピーエンド」という言葉に引っ掛かりを覚える。
時雨「…ハッピーエンドというのは皆が幸せに笑顔で過ごして、読んだ人…見た人の心が明るく満たされる、そんな…“最高の結末”のことです。
凪桜ちゃんが犠牲になって救われた世界なんて…少なくとも僕達にとっては全然ハッピーじゃありません。だから…僕は凪桜ちゃんだって諦めません。僕の夢の中の“皆”には、凪桜ちゃんだって含まれてるんです。
…それに、あなただって本当は同じ考えだったんじゃないんですか?」
晴朗「…何故そう思う?」
時雨「…実はさっき、見たんです。1000年前の雨辺さんがリュウジンさんにイザナミにされた人を助ける術はないのか聞いているところを。それに…雨辺さんにとって、形代とされた人は本当に大切な存在だったんじゃないんですか?だからこそ、雨辺さんだって、本当のところは形代とされた人を助けられることを強く、切に望んでいる…そうなんじゃないですか?」
晴朗「……俺のかつての記憶が勝手に投影されていたわけか。…いや、この空間にお前を呼んだが故に共鳴したのか…」
時雨は先程見た晴朗とリュウジンの会話から、晴朗も思いは同じであると考え、そのことを指摘する。
時雨「…僕は絶対に諦めません。僕も凪桜ちゃんも、皆も一緒に手を取り合って笑い合える。そんな世界を…必ず叶えるって、そう決めましたから。
さっき、雨辺さんは僕に言いました。“妖魔”とはイザナミを倒すための存在なのだと」
晴朗「…そうだな。それがどうした」
時雨「…確かに、そうなのかもしれません。雨辺さんの言う通り、“妖魔”はイザナミを倒すための存在なのかもしれません。ですが…僕はただの“妖魔”じゃありません」
晴朗「…何?」
時雨「僕は、“仮面ライダー妖魔”なんです。そして、“仮面ライダー妖魔”は皆一緒のハッピーエンドを叶えるために戦う存在です!僕が今そう決めました!
なので…僕は凪桜ちゃんを助けます。それが、『皆一緒のハッピーエンド』で、そのために戦うのが、“仮面ライダー妖魔”ですから!」
晴朗「“妖魔”ではなく“仮面ライダー妖魔”、か。……ふっ、くくくっ、そう来たか。…流石はリュウジンの選んだ男だ」
時雨「えっ?わ、笑う要素ありました?」
晴朗「…お前は合格だ、時雨。…ナヨナヨとした男かと思ったが…想像以上に強い芯を持っていたな」
時雨「合格…?それって一体…」
時雨の決意を一通り聞いた晴朗は突然笑い出し、合格を言い渡す。
晴朗「…悪いな。お前を試して俺の力を託すに値するかを見極めていた」
時雨「え…?」
晴朗「…お前が全く覚悟も決まらずに迷い続けるようであれば俺の力を託すには相応しくないと考えていた。だから、早く覚悟を決めるように言ったんだ。それでも渋るようならお前を見切って別の者を妖魔にし、イザナミを倒す覚悟を決めたなら力を託す。だが…お前はそのどちらでもない答えを選んだ。
形代となった凪桜という少女を助け、飽くまでもそのために戦うと。そのために迷いを捨てた。…それが簡単なことでないくらい、お前にだって分かっている。そうだろう?」
時雨「…簡単だとは思ってません。雨辺さんが成し得なかったことを、やろうとしてるわけですから。でもそれは…僕が凪桜ちゃんのことを、完全無欠のハッピーエンドを諦める理由にはなり得ないだけです」
晴朗「そうだな。…俺にはそこまで出来なかった。だからこそ…その困難さを理解して尚、一切諦めることをしないお前に希望を見たんだ。時雨、お前ならもしかしたら…俺が成し得なかった奇跡を起こせるんじゃないかと、そう思ったのさ。……少し昔話をしようか。聞いてくれるか?」
時雨「…はい」
時雨の決めた覚悟に希望を見出したという晴朗。
そして晴朗は自分自身のかつての物語の記憶を語り出す…。
⭐︎⭐︎⭐︎
暗夜「奴は手強い…ここは連携でいくぞ」
氷雪「…ですね」
夢幻「ならまずは私が!」
《幻影スラッシュフィニッシュ!》
夢幻「はあああっ!!」
シュテンドウジ「あ?…ふん!」
飛び出た夢幻はレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーの実体を伴う幻影を飛ばしてシュテンドウジに攻撃を仕掛けるが、シュテンドウジには軽く外道丸で叩き落とされてしまう。
シュテンドウジ「そんなお遊びが俺に通じるとでも思ったか?」
氷雪「お遊びかどうか…試してみますか?」
《凍結シュートフィニッシュ!》
氷雪「はあっ!!」
シュテンドウジ「ほう…?」
暗夜「ここで散れっ…!」
《常闇ストライクフィニッシュ!》
暗夜「はあーっ!!」
シュテンドウジ「成る程成る程…ふんっ!!」
暗夜「何っ…!?うぐああっ!!」
夢幻の放ったアヤカシレーザーアタッカーの幻影が弾かれると同時に桃色の炎となって燃え広がり、シュテンドウジの目を眩ませる。
そして、次の瞬間に飛び出てきた氷雪が強烈な吹雪を放ち、シュテンドウジの動きを止め、その隙に暗夜が闇のエネルギーを右脚に纏わせて跳び蹴りを繰り出すが、シュテンドウジには真っ向から弾き返されてしまう。
黄泉「さあ、ゆけ」
井守「ふっ!」
井守「はあっ!」
霊魂「はっ!はあっ!…鬱陶しい…!」
霊魂は黄泉の召喚した井守達をクサナギガトリンガーと斧状態の妖之斧火縄を駆使して倒していくも、そのしつこさに辟易とする。
霊魂「けどまあ…そんなので俺を止められると思うならそれは…大間違いかな!」
《一撃!必殺!》
霊魂「はっ!」
《装填!一・撃・必・殺!》
《八重爆撃!》
《熱狂断撃!》
霊魂「ふっ!はあああっ!!」
「「「「「うぐああああっ!!」」」」」
霊魂はペンタブルバレルを引くと右手で持ったクサナギガトリンガーを宙へと放り投げ、回し蹴りで近寄ってくる井守達を牽制しつつ火車アヤダマを左手で持った妖之斧火縄に装填し、クサナギガトリンガーをキャッチすると水流弾と岩石弾の入り混じった連射と炎の轍を残す横薙ぎの斬撃を同時に発動して井守達を一掃する。
黄泉「ふむ…ならば。こういうのはどうじゃ?千本桜」
霊魂「生憎、俺には通用しない!ふん!」
《最大装填!》
《激昂八百連弾!》
黄泉「…ほう、流石に八岐大蛇の力を持つだけある。一筋縄では行かないようじゃのう…!」
霊魂「…時雨が帰ってくるまで…この街を守り抜く!はああっ!!」
黄泉の放った大量の桜の花弁に対し、霊魂は大量のエネルギー弾で迎え撃ち、両者の攻撃は拮抗して爆発が起こる。
そして黄泉は霊魂の実力を見直すと、終滅之薙刀を構えて斬りかかり、そんな黄泉へと霊魂はクサナギガトリンガーと妖之斧火縄を両手に携え立ち向かう。
幽冥「オラッ!フンッ!」
禍炎「おっと、やるようになったね。けど…まだ足りないね」
《水虎!》
《イグニッション!召喚!水虎!》
禍炎「さあ!張り切っていこうか!」
幽冥「あ?マジかよ…ぐあっ!!」
禍炎「どうしたの?もう終わりかい?」
幽冥「くっ…諦めるわけには…いかねえんだ!じゃねえとアイツに…顔向けできねえからなァ!!だああっ!!」
幽冥の斬撃と打撃を織り交ぜた連続攻撃を受けその成長を感じ取りつつも、禍炎は容赦なく水虎アヤダマの力を使って水虎を憑依させると、液状化しつつ辻風之鎌の力で風を纏って高速飛行しながら連続で斬りつけ、幽冥を追い詰める。
聖「…皆、頑張ってくれ……!」
調「…時雨部長…!」
咲穂「時雨君…」
段々と追い詰められている仮面ライダー達の様子に、聖は苦悶の表情を浮かべ、咲穂と調は時雨に思いを馳せる。
⭐︎⭐︎⭐︎
晴朗「……先程話した通り、彼岸一族の形代となった娘は心優しき少女であり…俺は元々彼女と知り合いだった。かたや巫女、かたや陰陽師、同じ地に暮らしていたこともあり、関わる機会もあったさ。……迂遠な言い方は止めようか。…俺にとって彼女は大切な存在だった。俺にとって生涯で唯一愛した人だった。…だからこそ、彼女がイザナミの形代とされてしまうことを防げなかったことが悔しかった」
時雨「それで…リュウジンさんの誘いに乗ったのですか?」
晴朗が語り出すと同時、その心の内に合わせて目の前の景色が変わり、晴朗と仲睦まじげに過ごす少女の様や、打ちひしがれる晴朗にリュウジンが手を差し伸べ、妖之書を託す様が映っていく。
晴朗「ああ。最初は、藁にもすがる思いだったんだ。…助けられるならとあらゆる方法を探した。その中で聖獣達の力を借りたりもしたが…それでもイザナミから彼女を助けることは出来なかった」
晴朗『ありがとうございます。ホウオウ様』
ホウオウ『我が力が泰平な世の礎となるなら、安い御用だ』
リュウジン『良かったな晴朗』
晴朗『この力でなら…救えるかもしれない…!』
時雨「!」(ホウオウさんから聖獣之書装を受け取ったあの時垣間見た光景は…その時のだったんだ)
晴朗が語る中で以前時雨が垣間見たホウオウから晴朗が聖獣之書装を受け取る光景が映る。
晴朗「……イザナミと攻防を続けながら方法を探し続けていたものの、結局俺は見付けることが出来なかった…」
晴朗『どうにか助けられないのか!?』
リュウジン『…残念だが…もう無理だ。奴は倒すしかない』
晴朗『そんな…』
リュウジン『…お主の気持ちも分かるが…そうするほかないだろう。……すまない』
晴朗『…いや、リュウジンは悪くない。…俺も、覚悟を決めよう。……イザナミを倒す覚悟を』
時雨「……」
自身の挫折の記憶を語る晴朗。同時に映し出されるのは先程時雨が見た晴朗とリュウジンとの会話。
その会話の中にどれだけの覚悟と葛藤があったかを、時雨も感じ取る。
晴朗「…結局のところ、俺は諦めた。そうするしかないのだと自分に言い聞かせ、イザナミを、彼女を倒す覚悟を決めた。………今でも覚えている。イザナミを倒したその瞬間に、一瞬だけ彼女の意識が戻って…」
『…ありがとうございます。晴朗様』
晴朗『──っ…うああああっ!!!』
晴朗「…今でも、俺の選択が間違っていたとは思っていないさ。あのまま放っておけばこの世界は確実に滅ぼされていた。…だが…それでも後悔が、未練が残ってしまう。どうしても、あの時彼女を犠牲にしなくてはならなかったのか。何度そう自問自答したかはもう覚えていない」
時雨「雨辺さん…」
晴朗「だが、そんな後悔も未練も残さないように、何も諦めない。そんな未来こそが、お前の言う“ハッピーエンド”というやつなんだろう?」
時雨「…はい!」
晴朗「なら、見せてくれ。俺に…俺の叶えられなかった可能性を」
時雨「……雨辺さん…」
晴朗「…お前ならきっと出来る。俺はそう信じている」
時雨「どうしてそんなに、僕を信じてくれるんですか?」
晴朗「…お前はリュウジンの持つ新たな力を引き出しただろう?」
時雨「…これのことですか?」
晴朗の言葉に、時雨は真打アヤダマを取り出して見せ、晴朗は首肯する。
晴朗「そうだ。お前にとってはそう感じていないのかもしれないが、それは俺にも成し得なかったことだ。確かに、俺はお前より強力にリュウジンが持っている力を引き出すことは出来るだろう。だが、俺にはリュウジンの可能性を引き出し、新たな力を発現させてやることは出来なかった。
それに、阿修羅の力を仲間達との絆の力で覚醒させただろう?
時雨、お前には他者と寄り添い、共に歩く力がある。そしてその力こそが…新しい未来を切り拓く鍵になる…俺はそう確信している」
時雨「僕の…力」
晴朗「…だから、俺はお前を信じる。お前なら…“仮面ライダー妖魔”なら、きっと…
時雨「雨辺さん…ありがとうございます」
晴朗「…さあ行け、お前の仲間達が待っているようだ」
時雨「…はい!」
晴朗は自分にはない“時雨の力”を認めると、時雨を信じ、己の力を託すことを決める。
夜御哉「ん?うおっ!?一体何が…いや、きっと…時雨君がやったんだな」
時雨が仲間の元へ向かうことを決意した途端、妖之書が金色の光を纏い、そのまま開いていた窓から空へと飛び出していく。
その様を見た夜御哉は時雨が何かを成し遂げたのだろうことを感じ取る。
⭐︎⭐︎⭐︎
暗夜「はあっ!」
氷雪「ふっ!」
夢幻「やあっ!」
シュテンドウジ「…そんな攻撃じゃ…宴は全然盛り上がんねえなぁ…」
暗夜「しぶとい奴め…!」
シュテンドウジ「宴の肴にしてくれる…!酒池爆斬!!」
暗夜「マズい…!」
《唐傘御化!アヤダマバースト!》
暗夜「くっ…うぐああああっ!!」
氷雪「きゃああああっ!!」
夢幻「うあああああっ!」
暗夜は紫色の斬撃を、氷雪は水色のレーザービームを、夢幻は桃色の斬撃をそれぞれ同時に放ってシュテンドウジを攻撃するも、大して効いた様子も見せずに攻撃によって生じた煙の中から歩み出る。
そして外道丸に激しい火炎を纏わせると、思い切り振り下ろして凄まじい火炎の斬撃を放ち、唐傘状のバリアを展開して身を守った三人をそれでも尚、大きく吹き飛ばして変身解除にまで追い込む。
都黎「くっ…なんて強さだ…!」
雪音「まるで歯が立ちません…」
夢華「あんなの…反則でしょ!」
霊魂「皆!マズいな…!」
幽冥「マジかよ…!」
豪雨の降り注ぐ中、コンクリートの地面へと吹き飛ばされた三人を見て、霊魂と幽冥も焦りを覚える。
シュテンドウジ「ふん。…妖魔の前に…ここで散れっ!!」
雪音「っ…」
夢華「うう…!」
都黎「せめて…二人は…!」
霊魂「させるか!!」
幽冥「間に合え…!」
禍炎「…!」
黄泉「フッ」
聖「逃げるんだ!!」
咲穂「お願い…時雨君…!」
調「っ皆…!」
チュドオオオオン!!!!
シュテンドウジの飛ばした炎の斬撃は雨粒を気化させながら三人に迫る中、霊魂と幽冥はなんとか三人を守ろうと駆け出し、都黎はなんとか二人だけでも庇おうとする。
しかし、無情にも炎の斬撃が三人に直撃するその刹那、雨雲を突き破って空から金色の光が飛び込み、間に割って入る。
シュテンドウジ「フフフ…ん?」
都黎「助かっただと…!?」
雪音「一体何が…」
夢華「えっ…?」
黄泉「…あれは…?」
霊魂「なんだ…?」
幽冥「ん?おい…アレって…」
聖「あそこにあるのは…まさか」
咲穂「あれは、時雨君の…」
調「妖之書…!?」
金色の光を纏った妖之書が三人を守り、突き破って来た雲の隙間から晴れ間が覗く。そんな目の前の光景に敵味方全員が唖然とする。
そして次の瞬間、妖之書が開き、金色の文字の羅列が飛び出してくる。
やがて金色の文字の羅列が光の塊を織り成し、その中から時雨が現れる。
都黎「時雨…!」
時雨「…皆、待たせちゃってごめん」
咲穂「時雨君…!」
調「時雨部長!」
霊魂「全くだ」
幽冥「ヒヤヒヤさせやがって!」
雪音「けど、吹っ切れたみたいですね」
夢華「良い顔してるじゃん」
聖「……晴河君…」
黄泉「妖魔め…遂に現れたか」
禍炎「へぇ…」
シュテンドウジ「お前…雨辺晴朗じゃねえのか…?つまんねえなぁ…あいつじゃなきゃ張り合いがないぜ?ナヨナヨして迷いっぱなしのお前じゃあ…俺には勝てない」
現れた時雨に表情を明るくする仲間達。一方のシュテンドウジは晴朗でないことに気付き、落胆する様子を見せる。
時雨「…ご期待に添えなくて申し訳ないですが…僕はもう負けません」
シュテンドウジ「…あ?」
時雨「僕は…もう迷いません。僕の夢を何一つだって諦めはしません!絶対に…凪桜ちゃんだって助けてみせると、そう覚悟を決めましたから!…それが、“仮面ライダー妖魔”ですから!」
咲穂「時雨君…流石ですね。…え?」
調「これでこそ時雨部長!…ん?」
黄泉「ふっ、この小娘を救うだと?笑わせ…何じゃ?」
シュテンドウジを前に一切怯むことなく己の強い意志を見せる時雨に感嘆の意思を見せる咲穂と調。そしてそんな時雨を鼻で笑おうとした黄泉。三人の胸から暖かい黄色の光球が発生し、時雨の元へと集まっていくと、時雨の胸からも同じ黄色の光球が生まれる。
時雨「!これは…」
晴朗『それこそがお前の人に寄り添う力の証…お前達が互いを信じ合う力そのものだ。さあ、俺の力を受け取れ、時雨!』
時雨「信じ合う力…つまり、絆の力!」
咲穂『時雨君!』
調『時雨部長!』
凪桜『……時雨先輩!』
シュテンドウジ「なんだ…!?何が起きている…!」
黄泉「まさか…この小娘…!」
時雨、咲穂、調、そして凪桜。歴史研究部の四人が互いを信じ合う力、即ち絆の力そのものだという四つの黄色の光球は次々に妖之書へと吸い込まれていく。
その時、時雨の脳裏には咲穂と調、そして凪桜の自身を呼ぶ声が響き、次の瞬間、妖之書から新たなアヤダマが飛び出る。
シュテンドウジ「アヤダマだと…!?なんなんだ…それは…!」
時雨「これは…無双アヤダマ!雨辺さんから託された力であり、僕達の絆の力そのものであり…僕が、仮面ライダー妖魔が最高のハッピーエンドを創り上げるための力です!!」
晴朗から託された力に歴史研究部四人の絆の力が結び付き、生み出された金色のアヤダマを時雨は“無双アヤダマ”と名付ける。
その見た目は金色の龍の頭部がアヤダマの上に付いたようなものでありながら、同時にどこかペンのようなシルエットとなっている。
無双アヤダマを手に取った時雨は妖書ドライバーを装着しつつ、シュテンドウジを見据える。
時雨「まずは…シュテンドウジ。あなたを止めます!」
シュテンドウジ「はっ!やれるもんならやってみろ!」
時雨「いきますよ…!」
《無双!》
時雨「絶対に叶えてみせます…僕の夢を!!」
《装填!無双!》
時雨「変身!」
《憑依装着!超変化!
霊魂「黄金の…妖魔!」
幽冥「すげー!!」
雪音「時雨君…」
夢華「なんだかいけそうな感じ!」
都黎「…流石だな」
聖「雨が…止んだ…?」
黄泉「…ふん、つまらんのう」
禍炎「成る程成る程…」
リュウジン「時雨…流石我の見込んだ男だ」
無双アヤダマを起動した時雨は妖書ドライバーに装填し、解放栞を引き下げて表紙を展開させる。
すると、中から黄金の龍と金色の光が出現し、龍は時雨の周りを飛び回る。
そして時雨は自身の目の前にある金色の光を右手で掴み取ると、その手を天に向かって突き上げその拳を開き、金色の光を空へと放り投げる。続けて勢いよく天へと突き上げた右手を振り下ろしながら同時に左手で妖書ドライバーの表紙を閉じる。
それに伴い黄金の龍は豪勢な鎧へと形状を変え、金色の陣が出現して時雨の身を通ることでこれまでにない白色と金色を基調とした素体を作り出す。
最後に鎧が素体の上から被さった後に金色の光が妖魔の背中から入ることでマントが出現し、同時に複眼や各所に色を与える。
そうして新たな戦士がその姿を表し、それと同時に雨雲が完全に吹き飛び空が晴れ渡る。
全身に金色に輝く鎧を纏い、背中には金色のマントがたなびく最強の仮面ライダー妖魔 無双ヨロイは誕生すると、その複眼を赤色に煌めかせる。
…それと同時に、黄泉は何やら不服そうな様子のまま桜吹雪に身を包んでその場を離れる。
⭐︎⭐︎⭐︎
妖魔「仮面ライダー妖魔…無双ヨロイ!結末はハッピーエンドで決まりです!!」
シュテンドウジ「新しい力か…どれほどのものか試してやるよ!はあっ!!」
妖魔「ふっ!」
シュテンドウジ「!?」
妖魔「はっ!はあっ!ふっ、はあーっ!!」
シュテンドウジ「くっ…うぐああっ!!」
外道丸で斬りかかるシュテンドウジに対し、妖魔は無駄のない動きでその斬撃を左腕で受け止め弾き返し、そのまま正拳突きと蹴りでシュテンドウジを軽く地面に転がす。
シュテンドウジ「あの動き…まるで雨辺晴朗だ…!」
妖魔「身体がスイスイ動く!…これが雨辺さんから継承した力…!」
シュテンドウジ「だったら…このッ!!」
妖魔「!ふっ…はあっ!!」
シュテンドウジ「何っ!?ぐあっ!」
シュテンドウジは外道丸を振り回して火炎弾を飛ばすことで妖魔を攻撃するが、妖魔は背中にたなびく“無双ゴールドマント”を右手で掴み、自身の身を隠すように広げて火炎弾を受け止めると、更に撃ち返してシュテンドウジにお返しする。
シュテンドウジ「ハッ!だったらそんな小技が通用しねえほど浴びせるだけだ!!燃え尽きろッ!!」
妖魔「!だったら…!はっ!ふっ!…はあああっ!!!」
シュテンドウジ「なっ…」
妖魔「はああっ!!」
シュテンドウジ「ぐううっ…!」
リュウジン「あのシュテンドウジを一方的に…強くなったな、時雨」
妖魔に反撃されて怒りに燃えるシュテンドウジは今度は連続で火炎弾を放つが、最初の3発は軽く片手で叩き落とされ、残りも無双ゴールドマントの力で浮き上がりながら回転して黄金の旋風を巻き起こした妖魔に掻き消される。
そして逆に妖魔から落下する勢いを付けての手刀を叩き込まれ、シュテンドウジは悶絶する。
妖魔「これが…無双の力…!」
咲穂「凄い力ですね…」
調「時雨部長、めっちゃ強い…!」
シュテンドウジ「クソッ…なんで勝てねえんだよ…!」
妖魔「畳みかけます…!」
《猛攻之刻!》
《一・撃・必・殺!》
シュテンドウジ「うああっ!!」
妖魔「はっ!」
《無双猛攻剛撃!》
妖魔「はあっ!ふっ!はああああっ!!」
シュテンドウジ「ガッ!っ…うぐっ…」
妖魔「はあーっ!!」
シュテンドウジ「うがああああっ!!」
妖魔は無双アヤダマ上部にあるスイッチを一度押すと、そのまま妖書ドライバーを操作する。
そして両腕にある陣が刻まれた赤色の結晶体を輝かせ全身に赤色のオーラを纏うと、連続で拳を叩き込みシュテンドウジを叩きのめし、高威力の横蹴りで吹っ飛ばす。
シュテンドウジ「この…!ああああっ!!」
妖魔「おっと…!じゃあ次はこれで!」
《加速之刻!》
《一・撃・必・殺!》
《無双加速剛撃!》
シュテンドウジ「ふん!はっ!オラアッ!!」
妖魔「ふっ…はあっ!!」
シュテンドウジ「ぅああっ!!」
妖魔「はっ!はあっ!はーっ!!」
シュテンドウジ「うっ…うがっ!ぬあああっ!!」
妖魔に吹き飛ばされ怒り心頭のまま襲いかかるシュテンドウジは連続で外道丸を振り回すが、対する妖魔は冷静に無双アヤダマ上部のスイッチを二度押し、妖書ドライバーを操作する。
そして両脚の陣が刻まれた青色の結晶体を輝かせて全身に青色のオーラを纏うと、残像しか残さないがためにその場から移動すらしてないようにさえ見えるほどの高速移動でその斬撃を全て回避し、隙を見てシュテンドウジを殴り飛ばし、吹き飛ばされた先に先回りして連撃を叩き込むコンボを3連続でお見舞いし、シュテンドウジを地面に叩き付ける。
シュテンドウジ「こんな…こんなはずじゃ…!絶対に許さないぞ…!妖魔ァ…!燃え尽きろォォ!!酒池!爆斬ッ!!」
妖魔「!だったら…」
《守護之刻!》
《一・撃・必・殺!》
《無双守護剛撃!》
シュテンドウジ「フンヌアアアアッ!!」
ドゴオオーンッ!!
聖「!」
シュテンドウジ「ふん…。!?折れただと…!」
妖魔「お返し…しますね!はあっ!!」
シュテンドウジ「なっ…ぐあああっ!!ううっ…俺の、刀が…!!」
凄まじい爆炎を外道丸に纏わせて妖魔目掛けて振り下ろすシュテンドウジだったものの、妖魔は無双アヤダマ上部のスイッチを三度押し、妖書ドライバーを操作すると、両肩の陣が刻まれた紫色の結晶体を輝かせ、全身に紫色のオーラを纏ってその攻撃を受け止める。
妖魔にダメージを与えるどころか寧ろ攻撃に用いた外道丸がへし折られてしまう程の防御力を発揮した妖魔にシュテンドウジは愕然とし、そこに妖魔は自身が受け止めた攻撃のエネルギーを紫色のオーラ球に纏め、サッカーボールのようにシュテンドウジ目掛けて蹴り込む。
咄嗟に折れた後の外道丸を構えて攻撃を受け止めようとしたシュテンドウジだったが、外道丸の残った部分も消し炭となり、シュテンドウジ自身も吹き飛ばされて地面を転がされる。
シュテンドウジ「なんでだ…なんで勝てないんだ…!この野郎…!!」
妖魔「エピローグと…いきましょうか!」
《究極之刻!》
《一・撃・必・殺!》
シュテンドウジ「…!」
妖魔「はああ…!」
《無双究極剛撃!》
妖魔「はあーっ!!!」
シュテンドウジ「くっ…うぐああああああっ!!!!」
何故妖魔に勝てないのかを嘆きながらも挑み掛かるシュテンドウジを前に、妖魔は勝負を決めにかかる。
無双アヤダマ上部のスイッチを四度押して解放栞を引き下げると、右脚に金色のオーラが集まり、白い稲妻が迸る。
そして妖魔は表紙を閉じ、同時に高く跳躍すると、マントをたなびかせながら雷光の如き勢いでシュテンドウジに跳び蹴りを叩き込み、その身を貫く。
咲穂「時雨君が…勝ちました!」
調「やったああ!!」
霊魂「…流石だな、時雨」
幽冥「……やっぱすげえな…アイツ」
都黎「まさかシュテンドウジを倒すとは…」
雪音「あれでこそ時雨君です!」
夢華「晴っちには敵わないなぁ…」
聖「……生徒がこんなにも頑張ってるんだ。私も出来ることをしないと…」
リュウジン「時雨…やっぱりお前は…ヒーローだ。間違いなくな」
禍炎「妖魔の新しい力…か。やるじゃないか。晴河君」
雹介「…お疲れ、シュテンドウジ。それにしても…中々厄介なことになりましたね」
イザナミ「…そうじゃな」
妖魔の勝利に湧き立つ仲間達。そしてそんな様子を少し離れた所から見つつ、姿を消す禍炎。入れ替わりに現れた雹介はシュテンドウジの妖気の残滓を回収して暗い赤色の酒呑童子アヤダマを生成しつつ隣にいたイザナミに話を振るが、イザナミは苦々しげな表情で胸を抑えていたのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
ヌエ「五行も二人目が落ちたか…。これだけの脅威となりゃ、俺が呼び戻されんのも納得だな」
ツチグモ「オオガマに引き続いてシュテンドウジもやられましたから…。そろそろ、私の出番のようです」
真黒「何か策でも?」
ツチグモ「ええ。…あの二人は事を急きすぎました。馬鹿正直に強い相手に挑むから負けるのです。…戦いとは…賢くするものなのですよ」
真黒「へえ…」
ツチグモ「…あなたもヌエへの下剋上を狙うのなら頭に入れておくと良いでしょう」
真黒「随分と親切ですね」
ヌエ「そんな小細工が俺に通用すれば良いけどな」
真黒「…そう余裕ぶっていられるのも今だけです」
ヌエ「はっ、ほざいてろ」
ツチグモ「ふふっ…あなたのような身を削る危うい子は好きですから」
ヌエ「こんな奴を気に入るとは…お前も大概変わってるな…ツチグモ」
ツチグモ「そうですか?…さて、仮面ライダー達よ…母なる大地を司る私の力で包み込み…喰らい尽くして差し上げましょう…!」
真黒「……成る程」
シュテンドウジの敗北の報を受けたヌエとツチグモ。ツチグモは先にやられていったオオガマとシュテンドウジの失敗を指摘し、動き出す事を決めるのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
次回!仮面ライダー妖魔!
調「なんか最近変だ。…咲穂先輩といると、よく分からない気持ちになる」
時雨「最近調君の様子が変なんだっけ?」
咲穂「最近調君に避けられているような感じがしまして…」
調と咲穂の仲に異変発生…
イザナミ「奴等は仲間を決して見捨てはしない。ならば…それを利用するまで」
リュウジン「時雨、あのモノノケ…何かおかしいぞ」
調「嘘だ、嘘だよ…こんなの…!」
イザナミの卑劣な罠が時雨達を襲う!?
第参拾玖話「恋情行方と蠢く悪意」
日曜午後9時!
第三十八話をご覧いただきありがとうございます!
さて、今回はいよいよ主人公たる妖魔の最強フォーム、無双ヨロイの登場となりました!
物語の大きな山場を迎えたということで、ここまで来れて良かったというのがまず一つ。ここまで応援してくださった皆様には感謝しかありません。
残り3ヶ月、最後まで妖魔を見届けていただけましたら幸いです。
さて、今回は何といっても無双ヨロイについての話ですかね。
まずはその容姿から軽く説明しておきます(普段は本編と設定で補完しているのですが…今回はこの後の話題に関わってくるのと、単により多くの人にその姿をイメージしてもらいたいので説明します)
頭部装甲…金色を基調とした仮面になっていて、龍ヨロイにも少し似た雰囲気。頭には白い宝石のような龍の角が生えていて、白い結晶体があしらわれた冠も付いている。複眼は龍ヨロイと同じく赤。
胸部装甲…金色を基調とした豪華な見た目で、所々に白色が入っている。中央には虹色に輝く結晶体がはめ込まれている。
肩部装甲…金色+白色を基調とした豪華な装甲になっていて、装甲の中央には紫色の結晶体がはめ込まれている。
腕部装甲…こちらも金色+白色を基調とした豪華な装甲になっていて、装甲中央に赤色の結晶体がはめ込まれている。
脚部装甲…例によって金色+白色を基調とした豪華な装甲になっていて、装甲中央に青色の結晶体がはめ込まれている。
背中…金色の布地に白色の刺繍が刻まれたマントを身に付けている。
…というものとなっております。
さて、ここからの話題については、デザインの意味についてです。
妖魔無双ヨロイがどうしてこういうデザインとなったのか、その辺を解説していこうかなと。
元々、妖魔無双ヨロイは本編をご覧いただければ分かる通り、時雨自身が仲間との絆と晴朗から託された力を元にして生み出した力です。
なので、この姿には時雨自身の思いや理想が反映されているべきだろうということでこういったデザインになっています。
例えば龍ヨロイに似た頭部デザインは時雨にとって仮面ライダー妖魔を象徴する姿はやっぱり龍ヨロイだから、であったり、金色なのは黄色から強くなったことが分かりやすいから、であったり、マントが付いているのは時雨が思う「ヒーロー」としての仮面ライダー妖魔の最強の力ということで、ヒーロー意識のものになっていたり…といった感じです。
時雨自身の最高到達点と言えるこの妖魔 無双ヨロイ、その活躍に是非ともご注目いただけましたら幸いです!
因みにですが、無双ヨロイイメージソングの歌詞も(懲りずに)投稿いたしました!シリーズの一番最後に投稿されているかと思いますので、気が向いたらそちらも読んでいただけると幸いです!
さて、今回はこの勢いのままに妖魔 無双ヨロイの変身ポーズ講座をやりたい…ところですが、若干長くなってしまったので今回はこの辺で。
変身ポーズ講座は次回に回したいと思います!