リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!
初めての依頼に赴いた時雨達歴史研究部!照羅巣高校二年生の霞流咲穂の家の周囲で降り続く雨の原因であるアメフリコゾウと戦っていると、昏時都黎の変身する強力なライバル・暗夜丸が出現!
しかし、妖魔は顧問の藍羽聖の届けたバイク・ツクモブースターの力を駆使してアメフリコゾウを撃破!無事に依頼を解決。そして咲穂も歴史研究部に加わったのだった…」
⭐︎⭐︎⭐︎
「はぁっ!はぁっ!…行き止まり…!?」
少年は走って
???「我が素材となるがいい…」
「!?うわあああ!!!だ、誰か助け──」
少年のすぐ近くから声が響くと同時、少年の足元からは何本もの手が出現し、少年は地面の中へと引き摺り込まれるのだった…。──ただ一つ、その場に残された携帯電話を除いて。
???「…遅いなぁ……」
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時雨「…依頼も入部希望者も来ないね……」
咲穂「まあ、依頼が来ないのは平和な証拠ですし、入部希望者はこの時期だと中々…」
凪桜「このままだと何もしてないことになってしまう。時雨先輩、どうする?」
時雨「どうするって言われても…どうしよう」
ある日の放課後、旧部室棟に集まった時雨、凪桜、咲穂は何もない現状に暇を持て余していた。
雪音「随分と暇そうですね」
時雨「!雪音さん…」
雪音「あら、あなたが新しく入られた部員の霞流さんですね。楓山雪音です。宜しくお願いしますね?」
咲穂「はい。霞流咲穂です。こちらこそ宜しくお願いします」
凪桜「…今日はどんな用事で?」
暇な雰囲気漂う歴史研究部の元を訪れたのは雪音だった。
雪音「あなた方に依頼を持って来たのです」
時雨「!」
咲穂「依頼、来ましたね」
凪桜「生徒会からの依頼ってこと?」
雪音「そうなります。…実は、照羅巣地区の方で小学生から中学生が何人か行方不明になるという事件が発生しております」
雪音は凪桜からの質問に真剣な様子で答え、その内容から三人は気を引き締めて話を聞く。
時雨「確かに、そんなことがあったって聞きますね」
雪音「ええ。どうやら結構話題になってるようでして。警察も動いているようですが…今回の一件はこちらの調べでモノノケ絡みであろうということが分かっています」
咲穂「だから私達に事件の解決を依頼しに来た…ということでしょうか?」
雪音「その通りです。皆さんにはこの事件を解決していただきたく依頼しに来ました。この依頼、受けてくれますか?」
時雨「…勿論受けます。人が消えてるなんて…放っておけません」
雪音からの依頼を迷いなく受けた時雨に、雪音は微笑む。
雪音「時雨君ならそう言ってくれると思っていましたよ。…ただ、一つ気をつけてくださいね。今回の事件はこの照羅巣と津久代の地区の境目付近で起こっています。佐乃緒程仲が悪いわけではありませんが、他校生とのトラブルは避けるようにお願いします」
時雨「…分かりました」
かくして、時雨達歴史研究部は行方不明事件の調査に出掛けることにしたのだった。
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第参話「路地迷宮ともう一人の仮面ライダー」
時雨「ここだね」
凪桜「話ではこの辺りの路地裏で発生してるらしい。時間とかに指定はなく、朝方だろうが真昼間だろうが夜だろうがお構いなく起きているとのことだって」
咲穂「逆にそこまで時間等に指定がないということは路地裏、というのは単に人目に付かないだけでなく、何か別の目的があるのではないでしょうか?」
時雨「それはあり得るかもね。実際、この付近ではその路地裏は秘密結社の隠れ家で、目撃者を始末してるんじゃないか、なんて物騒な噂まで出てるみたいだし」
咲穂の推理に、時雨は頷きつつ自身の聞いた情報を開示する。すると、近くの路地裏から叫び声が聞こえて来る。
???「うわあああっ!!」
時雨「!…行こう!」
咲穂「やっぱり調べるべきは…」
凪桜「路地裏か!」
時雨達は急いで路地裏へと向かい、そこで驚愕の景色を目の当たりにする。
時雨「!これは…」
凪桜「壁から…手?」
《龍!》
《装填!》
時雨「変身!」
《憑依装着!変化!
登竜大成!龍ヨロイ!》
妖魔「はあああっ!!!」
時雨は照羅巣高校の男子生徒が地面から出て来た手に掴まれているという状況を把握した瞬間に駆け出して妖魔 龍ヨロイへと変身し、取り出した妖之弓剣で手を斬り裂き、男子生徒を助ける。
妖魔「大丈夫?」
???「だ、大丈夫です!」
妖魔「…もう手は出て来ない。…出方を伺ってるのかもしれないけど、一先ずここは退こうか。行くよ」
???「は、はい!」
妖魔は手が出現して来ないことを確認すると、敵の追撃が来る前に撤退を選択し、変身解除して男子生徒と共にその場を去る。
時雨「僕は晴河時雨。さっきのは多分…モノノケ」
???「も、モノノケ?」
時雨「そう。良かったら聞かせてくれないかな?君が、あそこで見たものを」
時雨の言葉に男子生徒が頷くと、凪桜と咲穂の二人と合流し、近くのカフェで話を聞くことに。
???「えっと…俺は
霧宮調と名乗ったのは長めでボサボサの黒髪で、目も少し隠れがち、その目も気弱そうに細められた小柄な男子生徒だった。
凪桜「私は暁凪桜、調と同じ一年生」
咲穂「私は霞流咲穂、学年は晴河君と同じ二年です。宜しくお願いしますね?」
調「え、ええ…」
時雨「さて、僕達歴史研究部はこの辺りで起きてる行方不明事件に怪物…モノノケが関わっているのではないかと考えて調査してるんだ。モノノケっていうのは、簡単に言えば妖怪のこと」
調「妖怪…」
時雨「……やっぱり、そんな簡単には信じられないよね…」
調「い、いえ!信じます!実際にあんなのを見た後だし…」
時雨達の自己紹介の後、時雨はモノノケについて軽く説明し、調はその存在を信じる。
時雨「それで、霧宮君はどうしてあの場所に…?」
調「じ、実は…弟が帰って来なくて…そ、それで…携帯のGPS情報を見たらあそこにいるって知って、もしかしたらと思って見に行ったら…」
咲穂「モノノケに襲われたというわけですね」
時雨「…成る程…ということは恐らく霧宮君の弟さんはあのモノノケに連れ去られたと考えるのが妥当かな」
調「そんな!」
時雨「……そうだ、霧宮君。襲われた時、何か気付いたことはある?」
調「えっと…“我が素材になるといい”とかそんなこと言ってたような…」
時雨「素材?人が?…ということは、攫われた人達は何らかの材料にされてる…?」
リュウジン「恐らくそいつはヌリカベだな」
調「ヒッ!トカゲが喋った…!?」
リュウジン「我はトカゲじゃ──」
時雨「そのくだりは今はいいです。それよりも、そのヌリカベってモノノケがこの事件を引き起こしてるってことですか?」
リュウジン「よくはないが…。まあ、そうだな。その可能性が極めて高いだろう」
調の情報から敵の正体はヌリカベというモノノケではないかと考えたリュウジンはその旨を時雨に伝える。すると、突如姿を現したリュウジンに調が怯え、リュウジンがそれに怒るが、それを宥めつつ時雨は情報を聞き、リュウジンはそれを首肯する。
リュウジン「ヌリカベは不可視の壁を作り出したり、壁の無い所に壁を作り出すことが出来るモノノケだ。そして、奴が作る空間がその形を保つためには、人の魂を楔にして繋ぎ止める必要がある」
時雨「魂…」
リュウジン「攫われた数を考えると相当デカいものを作ろうとしてるのかもしれないな」
調「あ、あの…攫われた人を助けることは…」
リュウジン「出来るぞ。素材にされた人間は楔として用いられる。当分は死なないから今のうちに助ければ何とかなるだろう。助けるためにはヌリカベを撃破し、奴の作り出した空間を破壊するしかないだろうな」
時雨「…なら、話は早いですね。一刻も早くヌリカベを見付け出して、止めましょう」
調「あの、俺は…」
凪桜「ここからは戦いが本格的に始まって危ない。だから、私達に任せて調は帰った方が良い」
咲穂「そうですね。ここからは私達の仕事ですから」
調が自分は何をすべきかと尋ねると、三人は彼に帰るように諭す。しかし、調はそこで終わらなかった。
調「そ、そういうわけにはいきません!」
時雨「!」
調「俺の弟…
時雨「…そっか。なら、力、貸してくれる?」
凪桜「良いの?」
時雨「うん。だって…霧宮君にとっても無関係なことじゃないし。何があっても、僕が皆を守ってみせる。それに、物語的にはこうやってやる気の子は連れていくのがセオリーだしね」
咲穂「そこまで言われてしまっては…反対なんて出来ませんね」
凪桜「そうだね。…宜しく、調」
調「はい!」
かくして、歴史研究部は調と共に再び路地裏へと向かう。
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時雨「今のところ何もないけど…」
調「ですね…」
咲穂「…?ここ、さっき通りませんでしたか?」
凪桜「言われてみれば…。そもそも路地裏はこんなに入り組んで複雑だったか?」
時雨「!…まさか…」
リュウジン「妙な妖気がこの壁から感じ取れるな…」
???「バレてしまったのなら仕方がない」
時雨「!」
リュウジン「無駄だ!」
路地裏の調査を始めて暫く、その入り組み具合や景色の違和感に時雨達が気付き始めると、どこからか声が響いて壁から手が出現する。しかし、リュウジンがその手を弾いて時雨を守る。
《龍!》
《装填!》
時雨「変身!」
《憑依装着!変化!
登竜大成!龍ヨロイ!》
妖魔「どこを攻撃すれば…」
???「その答えはそこだよ」
妖魔「え?ってうわあっ!?銃!!?」
凪桜「あれは…」
調「もう一人の仮面、ライダー…?」
妖魔は咄嗟に変身するが、どこを攻撃すれば良いのか分からずに悩む。しかし、その独り言に応える声と共に近くの壁を銃撃が襲う。
全員が銃撃の放たれた方を向くと、そこには青を基調とし、黒い素体の上から蛇を模した鎧を身に纏った、黄色の複眼を持つ戦士が。
妖魔「あ、あなたは…?」
???「俺は仮面ライダー
妖魔「え、僕のこと知ってるんですか?」
霊魂「勿論。情報収集は欠かしてない」
妖魔の前に現れたのは仮面ライダー霊魂。妖魔のことを把握している様子を見せると、その横に並び、手にした火縄銃と斧が複合した青い武器を構える。
《
霊魂「さて…俺は津久代の生徒だ。妖魔、君もこの事件を追ってるんだろう?実際ここは津久代と照羅巣の境だからね。…ここは一つ協力するのはどう?」
妖魔「…そうですね、分かりました!いきましょう!」
《弓之刻!》
霊魂「交渉成立、だね」
妖魔「はあっ!!」
霊魂「やるね。…なら、俺も」
霊魂は妖魔に対して共闘を持ちかけ、妖魔がそれに乗って弓状態に変えた妖之弓剣から黄色い矢を放ち、それに合わせて霊魂も銃状態の妖之斧火縄から銃撃を放つ。
すると、壁の奥から何者かが引き摺り出される。
ヌリカベ「貴様等ぁ…!」
霊魂「お出ましだね」
妖魔「みたいですね!」
現れたのは幾つもの壁が連なり合って人型に近い形を形成しているモノノケ、ヌリカベだった。その姿を見た二人は同時に武器を構え、二人がかりで射撃を浴びせまくる。
ヌリカベ「調子に乗るなよ!」
妖魔「なっ」
霊魂「成る程…ここは奴のテリトリーか」
妖魔「どうしましょう?」
霊魂「予想は当たってたし…今は無理に突撃し続けるのは得策じゃなさそう。そんなわけだから…」
《装填!一・撃・必・殺!》
《蛇行銃撃!》
霊魂「はあっ!」
ヌリカベは壁を作り出して攻撃を防ぎ、それを見た霊魂は撤退の意を示すと青いアヤダマを妖之斧火縄に装填し、蛇行しながら進む青い光線を放ち、道を塞ぐ壁を破壊する。
霊魂「さ、ここは退くよ。行こう」
妖魔「うん!皆、行こう!」
凪桜「分かった」
咲穂「そうですね…それが良いですね」
調「わっ、分かりました!」
ヌリカベ「くっ!覚えてろよ貴様等!」
霊魂が切り拓いた道を急いで妖魔達が通過し、銃撃によって動きを止められていたヌリカベは恨み節をぶつける。
⭐︎⭐︎⭐︎
霊魂「さて…ここらで大丈夫かな」
路地裏を出て少しの所へ来ると、霊魂は変身を解き、それに合わせて妖魔も変身を解く。
汰月「さて…改めて、霊魂こと
時雨「僕は晴河時雨。照羅巣高校の二年で仮面ライダー妖魔、歴史研究部の部長です」
凪桜「私は暁凪桜。照羅巣高校一年。歴史研究部の副部長」
時雨「あ、そういう扱いだったんだ」
咲穂「私は霞流咲穂。晴河君と同じ二年で、歴史研究部の部員です」
汰月「ふむふむ。時雨に凪桜に咲穂。宜しく。…あれ?そっちの子は?」
調「え?お、俺は…」
時雨「あ、ああ、霧宮君は今回の事件の被害者の中に弟がいて、捜査協力してくれてるんです」
汰月「そうだったんだ。まあ、だとしたら少なくとも今回の事件が解決するまでは付き合いがあるかな、宜しく」
調「あっ、えっと…照羅巣高校一年生の霧宮調です!その…よ、宜しくお願いします」
それぞれが自己紹介を終えると、汰月はどこかに電話を掛け出す。
汰月「さて、今俺の仲間を呼んだ。この辺りで調査してくれてたんだけど必要無くなったから」
時雨「そういえば治安維持委員会って言ってましたね。風紀委員会みたいなものですか?」
汰月「似てるけど…厳密には違う。
汰月が自身の所属する治安維持委員会について説明していると、彼を呼ぶ声が。
克真「委員長!お待たせしました!」
由香里「そちらの方々が歴史研究部の皆様ですね」
愛菜「宜しくお願いします〜」
汰月「紹介するよ。左から順に
汰月の元に合流した克真、由香里、愛菜を汰月は軽く紹介する。
時雨「僕達は歴史研究部で、僕は部長の二年、晴河時雨です」
凪桜「副部長の暁凪桜。一年」
咲穂「霞流咲穂、二年です」
調「えっと、今回の協力者の霧宮調です…!」
合流してきた残るメンバーとの紹介を終え、近くのファミレスに入ると、時雨達は本格的にヌリカベ対策の話に移る。
汰月「さて、今回の一件、解決するためには二グループ間での連携を大事にしたいところ」
時雨「そうですね…あの壁を作り出して地形を変えてしまう能力は厄介ですし…」
汰月「あれもそんなに万能な力ではなさそうだけどね。恐らくあそこはあいつが作り上げたあいつのテリトリー」
凪桜「そういえば戦いの時にもそんなこと言ってた」
汰月「うん。あの路地裏という限定的な空間でのみあいつはその力を発揮出来るんだと思う」
克真「ってことはそのモノノケを路地裏から引き摺り出せば…!」
汰月「アドバンテージは無くなるはず」
時雨「そうと決まれば…」
汰月「早速行動に移そう。ただ、この作戦はその関係上俺達は路地裏から離れなきゃいけなくなる。だから皆には助け出した人達をお願いしたい」
作戦を決めると、一行は三度路地裏へ向かう。
到着するなり汰月は妖書ドライバーと青色のアヤダマ…“大蛇アヤダマ”を取り出す。
《大蛇!》
《装填!》
汰月「変身」
《憑依装着!変化!
汰月が大蛇アヤダマを妖書ドライバーに装填し、解放栞を引き下げて表紙を開くと、青色の大蛇が出現する。
そして、汰月が表紙を閉じると黒い素体に巻き付くような形の装甲となった大蛇が装着されて仮面ライダー霊魂 大蛇ヨロイへと変身を果たす。
時雨「おお〜。じゃあ、僕も!」
《龍!》
《装填!》
時雨「変身!」
《憑依装着!変化!
登竜大成!龍ヨロイ!》
時雨は汰月が霊魂に変身した様子を見ると、自身も妖魔 龍ヨロイに変身して横に並ぶ。
ヌリカベ「来やがったな!こっちは助っ人を呼んでんだよ!」
妖魔「助っ人…?」
都黎「仮面ライダー二人か…妖魔、お前とは俺が遊んでやろう。…変幻」
『居合変化…!
暗夜丸!』
霊魂「!あれは…」
妖魔「暗夜丸…モノノケの味方をしてる強敵です……」
霊魂「成る程…ホントは二人で対処した方が早かったんだけど…時雨はアイツを頼める?俺はヌリカベを倒す」
妖魔「任せてください!」
待ち構えていたヌリカベとヌリカベが呼んだらしい暗夜丸の出現に、妖魔と霊魂は役割分担をして立ち向かう。
妖魔「あなたの相手は僕です!」
暗夜丸「良いだろう」
妖魔と暗夜丸は同時に向かっていくと、それぞれの得物で斬り結ぶ。
妖魔「はあっ!」
暗夜丸「ふん」
霊魂「お前の相手は俺だ」
ヌリカベ「フハハ!そんな豆鉄砲効かぬわぁ!」
霊魂「そっか。…なら、こうするまで」
《斧之刻!》
妖魔と暗夜丸が斬撃を繰り出し合っている間に霊魂はヌリカベを連続で撃つが、ヌリカベは腕に付いた壁を構えて防御する。その様を見た霊魂は妖之斧火縄の持ち手部分を180度回転させ、格納されていた刃を下から押し出させることで斧状態へ変える。
霊魂「はっ!」
ヌリカベ「なっ、痛え!よくも…!」
霊魂「くっ…。まだまだ。ふっ、はあ…はあっ!」
ヌリカベ「ぐうう…」
霊魂「えい」
ヌリカベ「ぐあっ!」
霊魂は妖之斧火縄で連続斬撃を繰り出すと、ヌリカベは負けじとコンクリートの破片を飛ばす。霊魂はそれを妖之斧火縄で防ぐと斬撃を繰り出し、ヌリカベが怯んだ隙を狙って横蹴りを叩き込み、路地裏から弾き出す。
ヌリカベ「し、しまった…」
霊魂「お前…何で沢山の人達を攫ってたんだ」
ヌリカベ「そんなの決まっている!強大な力を得て人間に宣戦布告するためだ!」
霊魂「…そっか。なんか深い事情とかあるのかもと思ったけど…聞くだけ無駄だったみたいだね。……終わりにしようか」
《一・撃・必・殺!》
ヌリカベ「ま、待て…!」
霊魂「待たない」
《蛇行剛撃!》
霊魂「逃がさない!はっ…!」
ヌリカベ「み、身動きが…!?」
霊魂「はあーっ!」
ヌリカベ「うぐああああっ!!!」
???「…遂に二人の仮面ライダーが接触したか……」
霊魂は妖書ドライバーを操作すると、蛇型のエネルギーでヌリカベを拘束し、続けて水流を纏わせた右脚で跳び蹴りを放ち、ヌリカベを撃破する。その様子を物陰から眺めていた黒いフードを被った男はヌリカベの残滓を回収して灰色のアヤダマにすると、人知れずその場を立ち去る。
妖魔「はああっ!!」
暗夜丸「今日は随分と威勢が良いな」
妖魔「あなた達の思い通りになんてさせません!」
暗夜丸「そうか…所詮はそれも無駄な足掻きに過ぎないがな」
妖魔「くっ…!」
路地裏から近くの路上へと戦いの場を移し、妖魔は暗夜丸と斬撃の応酬を続けるが、実力差から苦戦を強いられる。
尚も食らいつく妖魔に、暗夜丸は激しい斬撃を叩き込む。
リュウジン『仕方ない、ここは…ツクモブースター!』
暗夜丸「何!?この前のバイクか…!」
妖魔「ナイスアシストです!はああっ!!」
暗夜丸「くっ…」
炎の斬撃を受け切れず吹き飛ばされた妖魔に不利を悟ったリュウジンが呼び出したツクモブースターが暗夜丸に突撃して隙を作り、妖魔はそのままツクモブースターに搭乗して斬撃を放つ。
《弓之刻!》
妖魔「よーし…!」
《装填!一・撃・必・殺!》
妖魔「はあーっ!」
《登竜射撃!》
暗夜丸「小癪な真似を…」
《夜行流奥義!》
《魔剣・宵闇乱舞!》
暗夜丸「ふん!!」
妖魔はツクモブースターに自動運転させることで暗夜丸の周りを旋回しつつ雷の矢を放つが、暗夜丸は闇夜月の鍔を二回回転させ、逆手に持ったまま闇の回転斬撃を放つことで相殺する。
霊魂「さて…中々手強そうだけど。少なくとも二対一、まだ続ける?」
暗夜丸「…ふん」
妖魔「あっ!…助かりました」
霊魂「いや、寧ろ時雨があっちを引き受けてくれてたからこっちも無事にヌリカベを倒せた。ありがとう」
暗夜丸と睨み合う妖魔だったが、そこに霊魂が加勢に来ると暗夜丸は撤退する。そして、互いに礼を伝えると、二人は変身を解いて路地裏へ向かう。
時雨「皆!」
凪桜「時雨先輩。そっちは何とかなったみたいだね」
咲穂「無事に皆さん、解放されましたよ」
汰月「そっか、なら良かった。克真、解放された人達の容態は?」
克真「皆多少なりとも衰弱してる様子だったんで一応救急車を呼んだんですけど、意識とかはしっかりしてそうでしたよ」
愛菜「重傷を負った方もいらっしゃいませんでしたしね〜」
由香里「後は救急隊の方が聞き取りなどをして、適切な医療機関へと運んでくださるかと」
時雨と汰月は戻って来ると、囚われた人達が無事に解放されたことを仲間達から聞く。その中で、調の姿が無いことに気付いた時雨は凪桜と咲穂にその所在を尋ねる。
時雨「あれ、霧宮君は?」
凪桜「調ならあっち」
咲穂「弟君と再会してましたよ」
時雨「無事に再会出来たんだね…良かった」
そう言いながら、時雨は調の方へ向かう。
時雨「霧宮君」
調「!晴河先輩」
律「この人は…?」
調「俺の先輩。…律を助けてくれた、仮面ライダーなんだよ」
時雨「ううん。僕だけの力で助けられたわけじゃない。凪桜ちゃんや霞流さん、治安維持委員会の皆や…霧宮君の力があったから無事に解決出来たんだ」
調「!」
律「そうだったんですね…ありがとうございます」
時雨「何はともあれ、無事で良かったよ」
調「…俺も、あんな風に……」
律に対して安心させるように語り掛ける時雨の姿に、調は自分自身もあんな風になりたいと羨望を抱く。
⭐︎⭐︎⭐︎
事件から数日が経ち、ヌリカベに囚われた人達も無事に回復して退院した。
そんな報告を、時雨は凪桜、咲穂、聖と共に生徒会にしに行く。
時雨「…という具合で、今回の件は解決しました」
聖「いやぁ、私がいない間に事件を解決するなんて、流石だね」
雪音「そうですね。津久代の生徒ともトラブルを起こさずに協力して対処したとのことですし、時雨君に頼んで正解でした」
夢華「そーそー!さっすが晴っち!」
時雨「相変わらずですね、桃原さん」
夢華「そりゃあ私はこの明るさがアイデンティティだからね!晴っちも変わらず優しい感じだねぇ、めんどくさい雪ちに付き合ってあげてるし」
雪音「夢華さん?」
時雨「い、いやいや…別に面倒臭くなんてないですよ、雪音さんは」
そんな調子で会話をし、一同が部室へと戻ると、その前でウロウロしている不審人物が。
調「う〜ん……」
凪桜「あれ?調だね」
咲穂「あら、もしかして…」
時雨「ど、どうしたの?霧宮君」
調「わひゃあっ!?あ、あっ!皆さん!?何でここに!?」
時雨「そりゃあ、ここ僕達の部室だし…。霧宮君はどうしてここに?」
不審人物…もとい調は時雨に話し掛けられてテンパった様子を見せる。
調「じっ、実は…俺……」
時雨「?」
調「にゅっ、入部したいんです!!歴史研究部に!」
時雨「えっ!?」
調「あ、やっぱり駄目ですかね…?」
時雨「全然!むしろ大歓迎だよ!ね?皆」
咲穂「そうですね、霧宮君なら信頼出来ますし」
凪桜「知らない仲じゃないからね」
聖「私は君達の判断に任せるよ。君達が認めるなら、反対する理由はない」
調「あっ、その…頑張ります!」
時雨「うん。…宜しくね」
調「はっ、はいっ!」
こうして…調が加入し、歴史研究部は部員定数たる四人を揃えることに成功する。
時雨「これで部員も揃ったし、良かったぁ…」
聖「だね。そうしたら楓山生徒会長には私の方から報告しておこうかな」
咲穂「とすると…これからは本腰を入れて活動していくことになるわけですね…」
調の加入によって部員探しに注力する必要が無くなり、時雨達は歴史研究部としての本懐を再確認する。
時雨「…そうだね。この歴史研究部は照羅巣で起きるモノノケによる事件の調査や、その根本的な原因の調査…つまりこの街の歴史を調べていくことも必要になるみたい。そのためにはこの街のモノノケにまつわる遺跡を調べたりする必要はありそう」
凪桜「元々この辺りの地域は伝承や、それに関連した遺跡が多く見つかっているから、それらを探れということだろう」
咲穂「ふふっ、ここから忙しくなりそうですね」
調「…俺も精一杯頑張ります!」
聖「良いね、青春って感じがするよ。さて、事件調査は今まで通りやっていくにしても遺跡調査は大学の許可が必要になる。その辺は私が調整して、順次向かうとしようか」
「「「「はい!」」」」
⭐︎⭐︎⭐︎
歴史研究部の本格始動、その裏でとある組織が、布留杜市の地区の一つ、「佐乃緒地区」で動こうとしていた。
賢昇「へぇ…これは珍しいお客さんだな。……我らが佐乃緒高校の生徒会長…
賢昇は自らの創り上げたグループ“バスターズ”のアジトにしている閉鎖されたゲームセンターにて、佐乃緒高校現生徒会長・梨林拓矢と相対する。そして、拓矢は口を開く。
拓矢「愚問だな。お前のことだ、その用件くらいもう分かっているだろう?」
賢昇「…まあ、分からないことはないが…察しろと言うのもムカつくな。自分の口を開いて言葉にしろ」
拓矢「フッ、相変わらず面白い男だ!良いだろう!…お前達バスターズには一つ依頼をしたい。それは…照羅巣と津久代の仮面ライダーが持つアヤダマの奪取だ」
賢昇「…報酬は?正直なところ、ウチとしては恨みも何も無い仮面ライダー達に喧嘩売りに行くのは相応のメリットがねえとなぁ」
拓矢「そうだな…流石に生徒会から金を出すわけにもいかない。となれば…お前達の活動の公認化。これでどうだ?」
賢昇「成る程…?」
拓矢「お前達とて、学校の認可を受けずに勝手に仮面ライダーの力を使って営利活動を行なっている不良グループの問題児。何かと学校に邪魔されるのも鬱陶しかろう?それに…」
賢昇「まだ何かあんのか?」
拓矢「お前本当は戦いたいんだろう?他の仮面ライダーと」
賢昇「…!」
拓矢「試してみてえだろ?自分の力がどれだけ他の連中に通用するのか」
賢昇「スリル…か。良いねぇ!乗った!その依頼、受けてやるよ!」
拓矢「そう来なくてはな!では、長居も出来ぬし、俺はそろそろ帰る。良い報告を待っているぞ」
拓矢はそう言い残し、アジトを去る。
すると、アジトの奥から三人の生徒が出て来る。
???「リーダー、良いの?あんな依頼受けて」
賢昇「問題ねえ。中々に波瀾万丈な感じで、楽しそうじゃねえか!」
???「そーんなこと言っちゃってー。賢ちゃん先輩、さっき生徒会長から依頼の用件言われた時、何も分かんなかったくせに、全部理解してる感じの強者ムーブかましてたじゃん!」
賢昇「ブフッ!…バ、バカお前…それは…そんなことはねえ!てかリーダーって呼べ!」
???「あ、でも…僕はアリだと思うっすよ!賢昇君の決めたことでしたら、何でも」
賢昇「リーダーな」
???「アタシも面白そーだしさーんせい!」
???「…リスクは高いけど、本当にやるの?」
賢昇「当たり前だろ!断崖絶壁の如き危険こそ、俺達悪党の生きる道だろうが。こっからは依頼の時間だ。気ィ引き締めてくぞ、千瀬、八雲、結佳」
「「「了解」」」
何もかもを理解してそうな感じで、その実あんまり何も理解出来ていない残念な子の賢昇を弄るは一年生で、亜麻色の髪をミディアムショートに切り揃えたあざと可愛い後輩系女子の
⭐︎⭐︎⭐︎
次回!仮面ライダー妖魔!
調「今回は山登りですか…?」
凪桜「さあ!早速行こう!」
調査のために山登り!
「俺様の力、存分に振るっちゃうにゃー!」
時雨「このスピードなら…いけますね!」
高速の新たな力で立ち向かえ!
第肆話「神社調査と新たな風」
「楽しそうな遊びしてんな!」
日曜午後9時!
第三話をご覧いただきありがとうございます!
今回は本作の2号ライダーとなる霊魂の初登場回となりました。
霊魂は妖怪としての大蛇(オロチ、もしくはウワバミ)モチーフとなっております。
そして、霊魂/汰月の所属する、照羅巣高校の姉妹校の津久代高校も登場しました!今後どのように物語に絡んでくるのかもご注目いただけると幸いです。
さて、更には歴史研究部に調が加わり歴史研究部も本格稼働開始、という物語の最初の転換点ともなっております。
ここから加速していく妖魔の物語を、是非とも宜しくお願いします!