仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第参拾玖話「恋情行方と蠢く悪意」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

妖之書の中で晴朗と対話する時雨!

 

“仮面ライダー妖魔”として凪桜を救う覚悟を決めたことで、晴朗から受け継いだ力が仲間との絆と融合して最強の妖魔、無双ヨロイへと変身し、見事その力でシュテンドウジを撃破したのだった!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

イザナミ「…無双ヨロイ…雨辺晴朗の力を受け継ぎ、強化するとは…厄介なことになったものじゃのう」

 

雹介「…そうですね。魂壊の術を使って強化されていたあの時のシュテンドウジを歯牙にもかけず撃破出来るほどの力。いかにして攻略するのですか?」

 

イザナミ「…まあ良い、この小娘の記憶を覗いて分かったが…奴等は仲間を決して見捨てはしない。ならば…それを利用するまで」

 

雹介「…ほう」

 

 和邸にて、無双ヨロイの脅威について語り合うイザナミと雹介。

 その中で、対抗策があると言うイザナミ。

 邪悪な計画は動き出そうとしていた…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

咲穂「調く〜ん!」

 

調「!?咲穂先輩!なんでここに…!」

 

咲穂「会いたくなってしまいまして。…お昼、一緒に食べませんか?」

 

 ある日の昼休み。廊下を歩いていた調は咲穂に声をかけられ、昼ご飯に誘われる。

 

調「え!?いやその…ご、ごめんなさい!!」

 

咲穂「えっ、調君!?廊下は走ってはいけないですよ!?」

 

 あたふたしたかと思うと突然走り去っていく調。断られると思っていなかった咲穂も動揺した様子を見せてしまう。

 

咲穂「…調君、一体どうしたのでしょう……」

 

調「……はぁっ、はぁっ…なんで俺…逃げて…。なんか最近変だ。…咲穂先輩といると、よく分からない気持ちになる」

 

 逃げた先、校舎の端にてしゃがみ込んだ調。自分自身の胸に生まれた不思議な感覚に戸惑っていたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第参拾玖話「恋情行方と蠢く悪意」

 

咲穂「すみません…わざわざ藍羽先生からの話を断っていただいて…」

 

時雨「良いの良いの。あっちは雪音ちゃんと桃原さんが話を聞きに行ってくれるみたいだし。それより、最近調君の様子が変なんだっけ?」

 

咲穂「はい。最近調君に避けられているような感じがしまして…」

 

時雨「へえ…なんでだろ」(なんか、前にもこんなことあったような…)

 

 調に避けられているのではないか。そう考えた咲穂は時雨に相談を持ちかけていた。

 相談内容にどことなく既視感を覚えていた時雨だったが、ひとまず内容を詳しく聞くことに。

 

時雨「それで、調君はどんな感じなの?」

 

咲穂「先日お昼に誘った時も走り去ってしまいましたし…一緒に帰ろうと誘った際にも逃げられてしまいました。連日こういうことが続いてまして…」

 

時雨「成る程…なんだろう。思春期で話しかけられたら恥ずかしいとかそういうことなのかな」

 

咲穂「…まあ、その可能性も否定はしませんが…今更と言えば今更な気もしますけどね…」

 

時雨「だよねぇ…。なんだろ…」

 

 何故咲穂が調に避けられているのか。その理由について考える二人だったが、結局答えは分からない。

 

咲穂「そこでお願いなのですが…調君に聞いてみていただけませんか?」

 

時雨「調君に?」

 

咲穂「ええ。私が聞こうとすると逃げられてしまうかもしれないので…」

 

時雨「確かに…分かった!僕に任せてよ」

 

咲穂「ふふ、ありがとうございます」

 

 考えても分からないと判断した咲穂は調の本心を聞き出してくるように時雨に依頼し、時雨はそれを快諾する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

咲穂「…調君…。万が一にも無いとは思いますが…もし嫌われていたのだとしたらどうしましょう……」

 

 時雨と別れた後、一人校舎をぶらついていた咲穂。

 時雨や調には見せようとしなかったものの、内心ではもしも調が自身を嫌ってしまったとしたらどうしようと思い悩み、ネガティブな想像が脳裏に過っていた。

 

イザナミ「お悩みのようじゃのう、“咲穂先輩”」

 

咲穂「!凪桜ちゃん…いや、イザナミ…!」

 

イザナミ「妾を前にしてその態度を貫ける度胸は大したものだ。褒めてやろう。褒美に…お主に力を授けよう」

 

 咲穂の前に現れたのはイザナミ。自身を前にしても毅然とした態度を貫く咲穂に感心した様子を見せ、妖しく笑うとその瞳を桜色に輝かせながらゆっくりと歩み寄る。

 

咲穂「動けな…っ!」

 

イザナミ「妖気耐性の低い人間は妾の気を少し浴びせるだけでもう身動きなど取れなくなる。逃げようとしても無駄ということじゃ」

 

咲穂「一体…何を…!」

 

イザナミ「お主には…面白い余興を見せてもらおうと思ってな」

 

《姑獲鳥!》

 

咲穂「っ…!?」

 

 濡羽色の姑獲鳥アヤダマを取り出したイザナミはそれを起動しながらゆっくりと咲穂へと近付く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

調「うーん…」

 

時雨「あ、やっぱりいた」

 

調「時雨部長…どうしたんですか?」

 

 歴史研究部の部室にて、うんうんと唸りながら机に突っ伏していた調の元に、時雨がやってくる。

 

時雨「ちょっとお話しない?」

 

調「…?」

 

 やって来た時雨は部室のベランダに出るよう調に促し、共にベランダまでやってくると揺れる木々を眺めながら話題を切り出す。

 

時雨「…最近、咲穂さんのことを避けてるんだって?」

 

調「!…聞きました?」

 

時雨「うん。…調君に避けられてるって、咲穂さんから」

 

調「…やっぱり不安にさせてましたよね……」

 

時雨「調君が咲穂さんのことを少なくとも大切に思ってることは知ってるつもりだから…嫌ったりして避けてるわけじゃないと思うけど……もし良かったら話聞かせてほしいなって。二人が気まずいっていうのは本意じゃないし」

 

 調に最近咲穂を避けている件について尋ねた時雨。

 そんな時雨の様子に、調は何故自身が咲穂を避けてしまっているのか、ゆっくりと語り出す。

 

調「その…最近俺、変なんです」

 

時雨「…変?」

 

調「はい。…咲穂先輩といると、なんか頭がいっぱいいっぱいになっちゃって、気付いたら逃げ出しちゃってて。…良くないって分かってるんですけど…それでも逃げ出してしまうんです」

 

時雨「……そっか。少なくとも、咲穂さんのことが嫌いで…とかではないんだね」

 

調「そんなことないです!咲穂先輩はいつも優しくて、賢い自慢の先輩で、友達で、仲間です。…どうしてこうなっちゃうんだろ。僕がダメダメなせいで咲穂先輩にも迷惑かけちゃってるし…。俺、昔からこうなんです。何をやっても上手くいかなくて…」

 

時雨「調君…」

 

 咲穂を避けてしまう理由は自分でもよく分からない。そんな自分自身に否定的な言葉を重ねる調は、自身の過去の話を時雨に教える。

 

調「俺…弟いるじゃないですか」

 

時雨「ああ、律君だっけ」

 

調「はい。…小さい頃から、律は俺のことをよく慕ってくれていて…それが嬉しかった俺はせめてアイツの前ではカッコいい兄貴でありたいって、そう思ってた。けど…ヌリカベの事件の時、俺は何も出来なくて、時雨部長と日島さんに律を助けてもらっただけだった。…そんな自分を変えたくて、強くなりたくて歴史研究部に入ったのに…。でも俺、何も変わってなくて…ダメダメで」

 

時雨「そんなことないと思うよ」

 

調「へ?」

 

 昔から自分を慕ってくれていたという調の弟、律。彼の前では頼れる兄であろうとしたものの、結局本当のピンチの時に律を助けてくれてのは時雨と汰月だった。自分は何も成長出来ていなくてダメダメなままだ。そう語り、自己否定を重ねる調。

 しかし、そんな自己否定を止めるように、時雨は優しく声をかける。

 

時雨「調君はダメダメなんかじゃない」

 

調「けど、俺…自分のことすらよく分かってないんです。そのせいで咲穂先輩を傷付けちゃったし…」

 

時雨「…んー、自分が分からない、なんて案外普通のことだと思うけど。自分で自分のことをなんでも理解出来てる人なんてそうそういないよ。そういうのを、物語的に言えば“青春”って呼ぶんだと思うし」

 

調「青春…」

 

 自己分析すら出来ていないと嘆く調に、自分のことが分からなくなってしまうなんてよくあることで、そんなに気に病む必要などないのだと時雨は諭す。

 

時雨「そう。…それにさ、調君と咲穂さんの二人の関係性はそんな簡単に壊れてしまうようなものじゃないでしょ?…分からないなら、ゆっくり答えを探していけばいいと思う」

 

調「時雨部長…」

 

時雨「まあ、咲穂さんは気にしてはいたから、後でちゃんと謝っておいた方が良いとは思うけど…ただそれだけのことだよ。難しい話じゃない。不安なら僕も一緒にいるし」

 

調「…ありがとうございます。俺、咲穂先輩にちゃんと謝ります!」

 

時雨「うん。それが良いよ」

 

調「咲穂先輩、まだいるかな」

 

時雨「さっきまでいたし…まだいるんじゃないかな」

 

調「じゃあ…その、探すの手伝ってください」

 

時雨「勿論」

 

 時雨の説得で咲穂に謝ることを調は決めると、時雨と共に咲穂を探しに向かう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

イザナミ「くくく…」

 

都黎「おい」

 

イザナミ「ん?…お主は…暗夜?だったかの」

 

都黎「こんな所でコソコソと…何をしている」

 

 校舎裏にて悪い笑みを浮かべていたイザナミ。そんなイザナミを発見した都黎は闇夜月を構えながら接触する。

 

イザナミ「フッ…ちょっとした余興じゃ。丁度良い、お前には贄となってもらおうかの。…此奴のな」

 

「うぅ…!」

 

都黎「鳥のモノノケ…?」

 

イザナミ「ウブメ、という。さあ、お主に此奴を倒せるかの?」

 

都黎「…舐めるな」

 

《ヤギョウ!》

 

 イザナミが手を挙げると、その背後から血濡れたまま赤子を抱いた女性の髪の先が鳥の翼に転じ、下半身は鳥と人が混じり合ったような姿のモノノケが現れ、イザナミはそのモノノケをウブメと呼ぶ。

 イザナミの挑発に表情を険しくした都黎はヤギョウ電子アヤダマを取り出し、起動する。

 

《インストール!》

 

都黎「変身!」

 

《常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

暗夜「はあああっ!!」

 

イザナミ「…ゆけ」

 

ウブメ「ううっ…ああああっ!!」

 

暗夜「フンっ!」

 

 暗夜が闇夜月を振り上げ斬りかかると、ウブメも硬質の羽毛の生えた翼を振るって応戦する。

 

暗夜「はっ!はあっ!」

 

ウブメ「ううっ!」

 

暗夜「っ…!コイツ…普通のモノノケより強い…!」

 

イザナミ「当然じゃ。妾の力をたっぷりと与えた特別なモノノケじゃからのう」

 

ウブメ「うぅ…うああああっ!!」

 

暗夜「くっ、う…っ!厄介な…!」

 

 暗夜の斬撃から逃れるように空へと舞い上がったウブメは上空から硬質の羽根を大量に飛ばして暗夜を一方的に攻撃する。

 暗夜もなんとか闇夜月を振るって羽根を弾き飛ばそうとするが、物量に押されていく。

 

暗夜「ならば…!ふんっ!!」

 

ウブメ「…ぅあ……」

 

暗夜「これで…!」

 

《唐傘御化!》

《アヤダマ!》

 

《アヤダマライズ!唐傘御化!》

 

《提灯御化!》

《アヤダマ!》

 

《アヤダマライズ!提灯御化!》

 

暗夜「ふん、はっ!はあああっ!!」

 

 ウブメの攻撃を掻い潜りつつ、暗夜は闇を通じて移動することでその攻撃の連鎖から一時的に逃れると、唐傘御化アヤダマと提灯御化アヤダマを連続で電書ドライバーで使用し、左腕に唐傘の防御フィールドを展開することで羽根攻撃を防ぎつつ、右腕に展開した提灯型の火炎エネルギーから火炎弾を発射し、応戦する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

ズドオオン!!

 

時雨「!…あっちで何か起きてるのかな…?」

 

調「と、取り敢えず行きましょうか。…咲穂先輩、変なことに巻き込まれてないと良いけど…」

 

時雨「…だね。見に行こう」

 

 騒ぎを聞きつけた時雨と調が駆け付けた先で目にした光景は暗夜とウブメが戦う姿だった。

 

暗夜「ふっ…!」

 

ウブメ「うぅっ!!」

 

時雨「都黎君!」

 

暗夜「時雨…来たか」

 

 ウブメの放つ羽根を転がって回避しつつ弾き返すことでウブメに着弾させる暗夜。

 そして時雨が声を掛けたことでその存在に気付く。

 

時雨「モノノケ…?」

 

イザナミ「くくっ、来たか。妖魔」

 

時雨「イザナミ…!」

 

調「あのモノノケは…」

 

時雨「なんだかよく分からないけど…取り敢えず止める!」

 

《無双!》

 

《装填!無双!》

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!超変化!

 

超絶最強!無双ヨロイ!オォー!》

 

妖魔「いきますよ…!」

 

イザナミ「まあ待て。其奴を倒してしまって良いのかえ?」

 

妖魔「え…?」

 

暗夜「何…?」

 

リュウジン「ん?…時雨、あのモノノケ…何かおかしいぞ」

 

妖魔「おかしい…って?」

 

 妖魔 無双ヨロイへと変身して暗夜に加勢しようとする時雨をイザナミは制止し、それに対して妖魔と暗夜は怪訝そうに身構える。

 

イザナミ「そろそろ種明かしといくかの。…このモノノケは少し特殊でのう、妾の妖力を大量に吸収したアヤダマを用いてある人間が変身しておるのじゃよ」

 

暗夜「人間が…!?かつての夢華のような状態ということか…!」

 

イザナミ「くくっ…そして、其奴を倒せば宿主となる人間は死ぬ」

 

妖魔「えっ…!?」

 

調「そんな…」

 

リュウジン「…やはりか…いや待て…取り込まれている人間はまさか…」

 

 イザナミは悪い笑みを浮かべるとウブメに隠されていた秘密について明かし始める。

 

イザナミ「丁度良い。正体を明かしてやるのじゃ」

 

ウブメ「うう…」

 

調「──え?」

 

妖魔「なっ…」

 

暗夜「なんてことを…!」

 

リュウジン「…やはりか…っ!」

 

妖魔「咲穂さん…!?」

 

咲穂「み、んな…」

 

調「う、嘘だ…だって、そんな…咲穂先輩が…モノノケに…?倒したら死ぬ…?…嘘だ、嘘だよ…こんなの…!」

 

イザナミ「嘘だと思うならそこの二人に倒して貰えば良い。…尤も、出来るのなら、の話だがのう」

 

 ウブメとなっていたのは咲穂だった。羽が舞い散り人の姿に戻ったウブメの正体に愕然とする四人を前に、イザナミは愉快そうに煽る。

 

イザナミ「妾は黄泉比良坂を司りし冥府の神じゃぞ?その力をただの人間が取り込めば…死ぬに決まっておろう。…今はアヤダマの力で肉体が強化されているから耐えておるが…アヤダマを取り除けば負荷に耐え切れず消滅する。そういう定めにあるのじゃよ」

 

妖魔「よくも…!」

 

暗夜「貴様…許さんぞ!」

 

イザナミ「仕方ない。妾も遊んでやるとするかの」

 

《伊邪那美…!》

《装填…》

 

イザナミ「変身」

 

《支配装着…変化…!

 

冥界姫君…伊邪那美ヨロイ…!》

 

黄泉「ふふふ…さあ、お主等は…仲間の命が懸かっていても尚、戦うことが出来るかえ?」

 

咲穂「ううっ…!」

 

《ウブメ…》

 

ウブメ「ああああっ!!」

 

妖魔「はっ!」

 

黄泉「くくっ…」

 

暗夜「どうする…!」

 

ウブメ「あああっ!!」

 

 イザナミの所業に怒り心頭の妖魔と暗夜。そんな二人に面倒そうな反応を見せると、イザナミは黄泉 伊邪那美ヨロイへと変身し、自身も戦闘に参加する。

 黄泉は妖魔を相手取り、咲穂が再び変貌させられたウブメは暗夜に襲いかかる。

 

妖魔「はああっ!!」

 

黄泉「っ…流石の力じゃのう。しかし、どれだけ強かろうとも無意味。仲間を助けることは叶わぬ」

 

妖魔「…!」

 

 妖魔は龍神之大砲剣を構えて黄泉に重い斬撃を叩き込むも、黄泉はそれを終滅之薙刀で受け止めつつ、妖魔を煽る。

 

黄泉「ゆけ」

 

井守「ふん!」

 

井守「はっ!!」

 

妖魔「ふっ、はああっ!」

 

ウブメ「ああぁあっ!!」

 

暗夜「くっ…攻撃が出来ん…!」

 

 黄泉は井守を召喚して妖魔へと嗾け、一方の暗夜は下手に倒すこともできないが故にウブメに苦戦を強いられる。

 

調「…っ、二人とも、苦戦してる。…まただ。また僕は何も出来ない。目の前で大切な人が苦しんでいるのに…何も出来やしない…!」

 

 その戦いの様子を見ていた調は自身の無力感に打ちひしがれていたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「…交換留学?」

 

聖「ああ。布留杜の姉妹都市に当たる弥城(やしろ)市の磐砥(いわと)高校の生徒数名と、照羅巣、津久代、佐乃緒の三校から数名ずつでね」

 

賢昇「磐砥高校……」

 

雪音「どうかされましたか?」

 

賢昇「…いや、何でもない」

 

 貴真賀中央大学にて、聖によって集合していたのは汰月と賢昇、雪音、夢華の四人。

 どうやら交換留学の話が持ち上がっていたらしい。

 

聖「先方からは是非とも仮面ライダーの子達を連れて来てほしいと言われていてね。やはり学校の代表とするには丁度良いのだろう」

 

汰月「それで俺達に…なら時雨達は?」

 

聖「ああ、晴河君達には後で伝えておくよ。どうやら忙しいみたいだったからね」

 

夢華「私達としては構いませんけど…いつなんですか?」

 

聖「それが少々特殊でね。貴真賀中央大の付属校的な側面のあるウチと違い、あちらは普通に受験シーズンだ。というわけで夏休み前にあちらから生徒が来て、こちらからは秋に行くという時差式を採用することになっていてね」

 

賢昇「成る程…」

 

汰月「夏休み前…夏休みまで後一ヶ月ちょっとですけど」

 

聖「ああ。それなんだけど…再来週にはもう来るんだ」

 

雪音「また随分と急ですね」

 

聖「すまないね。諸々のスケジュール調整の結果、こうなってしまって。…そこで君達にお願いしたいのは、交換留学でそれぞれの学校にやって来た生徒達と率先して交流、案内してあげてほしいんだ」

 

賢昇「交流ねぇ…そもそもウチ(佐乃緒)に来たい物好きとかいんのか?」

 

聖「それがどうやら一人真っ先に佐乃緒に行きたいと言った生徒がいたようでね」

 

賢昇「…はあ。…まさかな。…ま、何でもいいや。じゃあ来た奴等にこの街のこととか学校のことを案内すりゃあ良いわけか」

 

聖「そういうことだね」

 

 磐砥高校からの交換留学生は再来週には来るという話に驚く四人だったが、既に決まったことならと受け入れる。

 

聖「じゃあ、申し訳ないけどそういうわけだから、よろしくね」

 

汰月「はい。任せてください」

 

雪音「私達の方も問題ありません」

 

夢華「盛大に歓迎してあげないとだねー」

 

賢昇「…俺も別に問題ない」

 

汰月「……」

 

 交換留学についての話を終え、貴真賀中央大学を出て解散した後、賢昇は何やら考え込みながら帰路に着いていた。

 

賢昇「…弥城市…いや、まさかな。そんな偶然あるわけねえ」

 

真黒「やあ、随分とお悩みのようだね」

 

賢昇「!禍炎…何の用だ…!」

 

真黒「冷たいなぁ。…今の君の力を計りに来たのさ。晴河君も日島君も随分と強くなったし、君も少しは強くなったかと思ってね」

 

賢昇「…上等だ。あんたをぶっ飛ばして、その目を覚まさせてやる」

 

《ギュウキ!》

 

真黒「…目を覚まさせる、ね。まあ良いや。じゃ、やろっか」

 

《着火!》

 

《八咫烏…!》

《餓者髑髏…!》

 

《インストール!》

 

《イグニッション!ゼロ!》

《イグニッション!ゼロ!》

 

賢昇「変身!」

 

真黒「変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎…零!》

 

 賢昇の前に現れた真黒は賢昇の成長を測る目的で戦闘を仕掛け、賢昇もそれに乗ると、それぞれ幽冥 ギュウキヨロイと禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイに変身し、激突する。

 

幽冥「オラアアッ!!」

 

禍炎「ふっ…はっ!」

 

幽冥「ぐっ…ならっ!」

 

禍炎「おっと…ふっ!」

 

幽冥「うあっ!!」

 

 幽冥はレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーで斬りかかるも、禍炎はそれを軽く身体を捻るだけで避け、返しのボディーブローを浴びせて幽冥を怯ませると、なんとか放たれた幽冥の反撃をオンミョウブラストチェンジャーを取り出して受け止めつつ、至近距離から銃撃する。

 

禍炎「あれ?この程度?…なーんかさ、拍子抜けだね、降谷君。他の二人はあんなに強くなったのに」

 

幽冥「んだと…!」

 

禍炎「そんなんじゃあさ!僕には勝てないってこと!!」

 

幽冥「くっ…このっ!」

 

《ガン!レーザータイム!》

 

禍炎「おっと…これでいこうか」

 

《ブースト!》

 

幽冥「!」

 

《禍炎エクスプロード!》

 

禍炎「ふっ…はあっ!!」

 

幽冥「ぐっ…ぬあああっ!!」

 

 禍炎は翼を広げて空へと舞い、幽冥の銃撃を軽やかに避けつつ急降下すると、蒼炎を全身に纏ったまま突撃し、幽冥を吹き飛ばして変身解除にまで追いやる。

 

賢昇「強い…!」

 

禍炎「ほっ、と。やっぱり弱いよ。今のままじゃ、君は何も守れやしない。もっと強くなんなきゃ、力ある悪意に全てを奪われるだけだよ」

 

賢昇「くっ…!」

 

汰月「賢昇から離れろ!」

 

禍炎「おっと…日島君」

 

賢昇「汰月…!」

 

 変身解除され地面に這いつくばる賢昇に厳しい言葉を投げかける禍炎。そこへ駆け付けたのはクサナギガトリンガーを構えた汰月だった。

 

汰月「賢昇の様子が変だったから来てみれば…。一体何をしてるんですか、白石さん」

 

禍炎「別に?彼に己の弱さを身を以て教えてあげていただけさ。ささやかな善意だよ」

 

汰月「…あんたを止める」

 

《編纂之刻!》

 

《激怒!》

《大蛇装填!》

 

禍炎「やれやれ、君もか」

 

汰月「変身!」

 

《編纂装着!変化!

 

八重展開!八岐大蛇ヨロイ!》

 

霊魂「はああ…!」

 

禍炎「っ…やっぱ強いね〜」

 

霊魂「はあっ!」

 

禍炎「ふっ!…しょうがない、相手になってあげる…よ!」

 

霊魂「効かない!」

 

禍炎「!へえ…そういうので来るのかぁ」

 

 汰月は霊魂 八岐大蛇ヨロイになると、禍炎目掛けて地面から鋭い岩を伸ばして攻撃を仕掛け、その連撃をひらりひらりと身を翻して回避した禍炎は青い炎を帯びた弾丸をオンミョウブラストチェンジャーから発射する。

 しかし、その銃撃をも地面から壁を発生させた霊魂に防がれ、禍炎はその力の強力さを改めて思い知る。

 

禍炎「じゃ、こういうので行ってみようか!」

 

《塗壁!》

 

《イグニッション!武装!塗壁!》

 

禍炎「ふん!」

 

霊魂「地形操作…!」

 

禍炎「君のには劣るけど、上手く使えば対抗も出来るってことさ」

 

 禍炎は塗壁アヤダマを用いて鉄壁之盾を召喚すると霊魂の地形操作による攻撃に対して壁を生成することで防ぐ。

 

霊魂「はあっ!!」

 

禍炎「ふっ!」

 

賢昇「…強え」

 

 互いの力を駆使し、攻撃を防ぎながら銃撃戦を繰り広げる霊魂と禍炎。

 そんな二人の姿に、賢昇はどこか置いていかれるような感覚を覚える。

 

禍炎「やっぱ強くなったねえ…それじゃあ、こういうのはどうかな」

 

《アヤダマ!》

 

霊魂「なら…!」

 

《一撃!必殺!》

 

禍炎「ふんっ!」

 

《アヤダマバレット!》

 

霊魂「はあっ!!」

 

《八重爆撃!》

 

賢昇「うっ…!」

 

 禍炎はオンミョウブラストチェンジャーから黒い羽根型エネルギー弾を連射し、霊魂がそれを八つの大蛇のオーラ弾を放つことで迎撃すると、両者の攻撃がぶつかり合い、その場に土煙が立つ。

 

霊魂「!いない…」

 

賢昇「…禍炎を…退けた…。っ…」

 

 土煙が晴れた後、そこには禍炎の姿はなかったのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「はっ!!」

 

井守「ぐあっ!!」

 

井守「くっ…」

 

 妖魔は龍神之大砲剣を振るって井守達を退ける。

 

黄泉「…無駄な足掻きを…お前がどんなに頑張ったって無駄じゃ。あの小娘は助けられぬよ。…彼岸桜」

 

妖魔「っ…!」

 

 黄泉の放った桜の紋様の刻まれた円陣に動きを封じられつつも、妖魔はその闘志を燃やす。

 

妖魔「それでも…諦めません!僕は絶対に、大切なものを何一つだって諦めないって、そう決めたんです!だから…咲穂さんも、凪桜ちゃんも、絶対に助けて見せます!はあっ!!」

 

黄泉「何…!」

 

《読取装填!神業!一撃必殺!》

 

妖魔「都黎君!」

 

暗夜「ああ!」

 

ウブメ「ううっ…!」

 

妖魔「はあああっ!!」

 

《神業斬撃!》

 

「「「「うぐああああっ!!」」」」

 

黄泉「くっ…!」

 

ウブメ「うああっ…」

 

 妖魔は黄金のオーラを全身から放って円陣を弾き飛ばすと、龍神之大砲剣に無双アヤダマを読み込ませ、黄金のオーラをその刀身に纏わせて横薙ぎに振るうことで井守達を斬り捨て爆散させる。

 更にはその余波で黄泉までも後退させ、ウブメも光を浴びたことでうめき声を上げる。

 

調「咲穂先輩!!」

 

ウブメ「うっ…しら…べ、くん…」

 

調「!」

 

黄泉「…仕方ない、一度仕切り直すとするかの」

 

妖魔「!…いない…」

 

暗夜「逃げたか…」

 

調「咲穂先輩…」

 

 黄泉はウブメと自身を桜吹雪で包み込むとその姿を消してしまう。

 

時雨「……咲穂さんを救う方法を考えなきゃ…」

 

都黎「…これは」

 

 神妙な面持ちで咲穂を救う手立てを考える時雨。一方都黎は地面に落ちた桜の花弁を拾い上げる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

聖「成る程…霞流君が…」

 

雪音「まさか私達がいない間にそんなことになっていたなんて…」

 

夢華「それで、助ける策はあるの?」

 

時雨「それが…まだ無くて。どうやれば助けられるのかが分からないんだよね…」

 

都黎「イザナミめ…厄介なことばかりしてくれる」

 

 時雨達は戻ってきた聖、雪音、夢華も交えて咲穂を助ける策について話し合うが、解決策は見出せずにいた。

 

調「それなんですけど…もしかするとあるかもしれないです。咲穂先輩を助ける方法」

 

時雨「えっ、本当!?」

 

調「…はい。さっき…時雨先輩の攻撃の余波を受けた時、一瞬だけ咲穂先輩の意識が戻ったんです。だから…もしかしたら」

 

時雨「…無双の力があれば…咲穂さんを助けられる…?」

 

調「かも、しれないです」

 

聖「無双ヨロイの力はイザナミの力を抑制する可能性があるということか…」

 

リュウジン「元はイザナミを倒すために生み出された妖魔の力の集大成とも言えるものだからな…あり得なくはない話だ」

 

 調が先程見たという咲穂の様子から無双の力でならイザナミの力を打ち消し、咲穂を助けられる可能性があるのではないかと一同は考える。

 

雪音「それが本当なら助ける手立てはあることになりますが…」

 

夢華「流石に確証がないと倒せないよね…」

 

都黎「…それなら、コイツが役立つかもしれない」

 

聖「これは…イザナミの術で生じた桜かい?」

 

都黎「ああ。さっきの戦闘の時に回収した。…これはイザナミの力の結晶のようなもの。これを分析し、そしてその力を無双の力で抑制出来たなら…」

 

時雨「確証を得られる!」

 

聖「そうと決まれば急いで夜御哉さんの元へ向かおう!」

 

時雨「はい!」

 

調「あ、俺も行きます!」

 

 咲穂を救う手掛かりを得た時雨達は急いで夜御哉のいる貴真賀中央大学へ向かうのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夜御哉「ふむ…これがイザナミの…すぐに解析しよう」

 

調「お願いしますっ!」

 

時雨「僕も手伝います」

 

夜御哉「ああ。それなら無双に変身してくれ」

 

時雨「はい!」

 

《無双!》

 

時雨「変身!」

 

《無双ヨロイ!オォー!》

 

妖魔「よし…!」

 

 理工学部特別研究室へやって来た時雨達から事情を聞いた夜御哉は早速イザナミの桜の花弁を解析し始める。

 そして、無双の力がイザナミの力に与える影響を調べるべく、時雨は妖魔 無双ヨロイへと変身する。

 

調(俺に何か出来ること…いや、そんなのないか…。俺、ダメダメだ。咲穂先輩を傷付けて、助けることすら出来ないなんて…。でも、なんだろう、このまま何も出来ずにいるのは…凄く嫌だ。なんでかは分からないけど…咲穂先輩を助けるのだけは…譲れないってそう思える。…例え何も出来ないのだとしても…まずは踏み出さないと意味がないんだ。…やれるかじゃない、やらないと!)

 

 慌ただしく動き回る夜御哉達を見て、自身に出来ることなどないのかと内心嘆いていた調だったが、咲穂を助けるために自ら動こうと決意し、声を上げる。

 

調「あ、あの!」

 

夜御哉「?」

 

妖魔「調君?」

 

調「俺に何か…出来ることありませんか…?」

 

夜御哉「ふむ…なら俺の手伝いを頼む。手が足りてないからな」

 

調「はいっ!」

 

妖魔「…調君…。よし、僕も頑張らないと!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「あなたの頼み通り降谷君と戦ってきましたが…あれで良かったんですか?」

 

ツチグモ「上出来です。やはり標的とするべきは…幽冥。彼から先に潰すとしましょう…!」

 

真黒「……」

 

「何やら楽しそうな話をしているね」

 

真黒「あなたは…」

 

 真黒とツチグモが話し合う中、現れたのは一茶だった。

 

一茶「初めまして白石真黒君。俺は淀川一茶。君の後任で暫く禍炎をやらせてもらっていたよ」

 

真黒「一応、話は聞いていますよ。それで、何の用です?」

 

一茶「俺は更なる力を得るためにヌラリヒョンの元で肉体改造中でね。その成果を試すために…君と一緒に出撃してこいとのことだ。丁度、イザナミ様が作戦を実行していますから、妖魔以外のライダー達を抑えるためにもね」

 

真黒「…へえ。良いですよ」

 

一茶「それにしても…イザナミ様も面白いことを考える。愉快なことになってきたな」

 

真黒「……そうですね」

 

 現れた一茶は力試しとイザナミのサポートのために真黒と共に妖魔以外のライダー達と戦うようにという雹介からの命令を伝えると、真黒と共に出撃準備に入るのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

夜御哉「咲穂君自身の意思の力を取り戻してあげることが出来れば」

 

時雨「咲穂さんの心を取り戻す役目、調君に頼んでも良いかな」

 

咲穂を救うべく、調が奮闘する!

 

時雨「絶対に止めます!」

 

汰月「こんな悪趣味な茶番はここまでだ」

 

妖魔(時雨)&霊魂(汰月)のコンビがイザナミに挑む!

 

調「俺…咲穂先輩に沢山伝えたいことがあるんです」

 

第肆拾話「我武者羅にでも取り戻したい想い」

 

日曜午後9時!




第三十九話をご覧いただきましてありがとうございます。

さて、今回は無双ヨロイ登場もあって敵もどう立ち回るか考え直していたところとなり、イザナミが思いついた策によって咲穂がモノノケへと変えられてしまうという展開になりました。

今回は調の掘り下げ回でもありましたが、次回は咲穂と調、二人の回となります!
二十九話の一件から続いていた二人の恋模様に一つの決着がつくこととなりますので、是非ともお見逃しなく!

因みに活動報告の方で妖魔の劇場版枠の限定ライダーの情報を解禁いたしますので、そちらも是非ともお見逃しなく!

今回は前回予告した通り妖魔 無双ヨロイの変身ポーズ講座をやっていきます!

最初の方(アヤダマを構えて起動→妖書ドライバーへ装填→解放栞を押し下げて表紙を展開、まで)の手順は通常の妖魔と共通しているので割愛とします。

①〜④通常と共通
⑤目の前に出現した金色の光を右手で掴み取ります。
⑥その手を天に向かって突き上げてその拳を開き、金色の光を空へと放り投げます。
⑦「変身!」の掛け声をあげます。
⑧左手で妖書ドライバーの表紙を閉じます。
⑨右手を下ろしつつ、左手を表紙を閉じた動きの勢いで上まで持っていき、額の前辺りで両腕を一瞬クロスさせ、そのまま両手を振り下ろします。

…という手順となってます!最強フォームだけあってちょっと豪華な変身ポーズとしてみました!
妖魔のパワーアップがポーズとかでも伝わってると幸いです。
お付き合いいただきありがとうございます!
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