第肆拾肆話「因縁収束を誓う彼等の想い」
リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!
イザナミ対策として伊邪那岐アヤダマを手に入れた時雨達!
裏切ったフリをしていた真黒の協力もあり、妖魔、霊魂、幽冥、暗夜の4大ライダーの共闘によって遂にイザナミを撃破!凪桜を助け出すことに成功する。
しかし…その裏で戦っていた雪音と夢華がヌエの毒牙にかかってしまい…」
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「っああ!!」
時雨「藍羽先生があんなに荒れてるの…初めて見たな…」
真黒「……無理もないさ。藍羽先生にとって、ヌエは絶対に許せない怨敵だ。勿論僕にとってもそうだけど…特に今回はまた藍羽先生の生徒がヌエのせいで苦しんでるわけだからね…」
荒々しく壁を殴り付ける聖。そんな聖の姿に時雨は心配を覚え、真黒はそうなるのも無理はないと擁護する。
凪桜「…ひとまず先輩達は病院に入院させたけど、原因がモノノケの力である以上普通の医学でどうこう出来る相手ではない…か」
咲穂「折角凪桜ちゃんも戻って来たことですし、お祝いしたいところでしたが…それどころじゃなくなっちゃいましたね…」
調「だね。…まあ、この件も解決したら今度こそ皆でお祝いしよう!」
咲穂「…そうですね」
凪桜「…?…なんか二人、前より距離近くない?」
時雨「あー…」
調「えっ!?…あ、実はその…」
咲穂「こんな時に言うことではないのですが…私達、少し前からお付き合いを始めておりまして…」
凪桜「えっ!?いつの間に…あ、もしかしてこの間咲穂先輩が大変な目に遭ってた時…?」
咲穂「え、ええ…」
凪桜「えっと、あの時はごめん…」
調「凪桜ちゃんが謝る必要ないって!」
咲穂「そうですよ。やったのはイザナミですし」
凪桜「……ありがとう」
ふとした会話から二人の距離感が縮まったことに気付いた凪桜はそれを指摘する。
そして正式に咲穂と調が交際を始めたことを知る。
聖「やっぱり…すぐにでもヌエを倒して二人を救わないと…!」
真黒「落ち着いてください、藍羽先生」
聖「落ち着けるわけないだろう!?生徒を傷付けられたんだ…!それもまた…アイツに…!」
真黒「今のあなたじゃ…ヌエには勝てない」
聖「…!」
真黒「それに、朱井さんも助けられません」
聖「なら…指咥えて見てろと言うのか…?」
真黒「そうじゃありません。…田貫教授から聞いたでしょう?…伊邪那岐アヤダマが何であるか」
聖「…まさか」
真黒「…あなたももう一度戦うことが出来るってことです。それも、前よりも強力な力を手にして。…今、田貫教授が伊邪那岐アヤダマを改めて調べながら神話ドライバーの改良に着手しています。イザナギの力を使いこなすことが出来たなら…きっと朱井さんを助けられるはずです」
荒れた勢いのままヌエに挑みに行こうとする聖を制止する真黒。
そして伊邪那岐アヤダマの力を用いて神話ドライバーの改良を夜御哉が行なっていることを明かす。
⭐︎⭐︎⭐︎
第肆拾肆話「因縁収束を誓う彼等の想い」
真黒「今、田貫教授が伊邪那岐アヤダマを改めて調べながら神話ドライバーの改良に着手しています。イザナギの力を使いこなすことが出来たなら…きっと朱井さんを助けられるはずです」
時雨「いつの間に…」
真黒「さっきの間に、さ。モノノケとして復活してから…」
調「え、消えた!?」
真黒「こうして瞬間移動する能力を得てね」
調「うわあっ!?後ろに!?」
真黒「ふふ、中々良いリアクションをするね。…まあ、そんな冗談は置いておいて、これでさっき田貫教授の所に伊邪那岐アヤダマを届けて、神話ドライバーの改良を依頼したのさ」
凪桜「成る程…流石は真黒さん」
咲穂「仕事が早いですね…」
真黒「とはいえ、さっき頼んだばかりだからすぐには出来ないし、今は体制を整える方がいいかと思いますよ」
聖「…ああ。…その、すまない。みっともないところを見せたね」
瞬間移動能力の実演の過程で背後を取られた調が驚いたりしつつも、時雨達は真黒の手際の良さに感心する。
そして、真黒に諭された聖は冷静さを取り戻し、時雨達に謝罪する。
時雨「いえ、それだけ藍羽先生が僕達を大切に思ってくれてるってことですし」
凪桜「…みっともなくなんてない」
咲穂「そうですね。立派だと思いますよ」
調「藍羽先生だって人間なんだし怒ることだってあって当たり前ですもんね」
真黒「…今度こそ決着を付けましょう。僕達の因縁に」
聖「…ああ」
自嘲気味に笑う聖を擁護する時雨達。
そんな聖に、真黒は因縁に決着を付けようと約束する。
⭐︎⭐︎⭐︎
汰月「…さて、時雨達が雪音や夢華の様子を見てる間に、俺達はヌエを探そう」
賢昇「…ま、それが俺等に出来ることだもんな」
汰月「それにしても都黎はいつになくやる気だな」
賢昇「…アイツはなんだかんだと夢幻に恩義があるらしいからな。…何としても助けてえんだろ」
都黎「ヌエ…どこだ…!」
建物の上から協力してヌエを探そうする汰月、賢昇、都黎の三人。
中でも都黎のやる気が尋常じゃないことを感じ取った汰月と賢昇は都黎にとって夢華が大切な存在であることを悟る。
汰月「俺達も気合を入れて探すとするか」
賢昇「…だな。都黎、俺達は向こう探してくる」
都黎「分かった」
都黎の熱量に押された汰月と賢昇もよりやる気を出し、二人は都黎とは別方向を探しに向かう。
⭐︎⭐︎⭐︎
オオタケマル「…イザナミがやられたそうで……」
雹介「まあね。流石にあの状況を覆せるほどの札ではないさ」
オオタケマル「…そろそろ儂の出番も近そうですな」
雹介「ああ。期待しているよ」
オオタケマル「そういえばヌエの奴が独自行動しているようですが…よろしいのですか?」
雹介「問題ないよ。好きにさせておけば良い」
オオタケマル「…はっ」
イザナミがやられたことに対し、平然とした様子を見せる雹介。そんな雹介に対し、オオタケマルは強い忠誠心を示す。
雹介「さて、一つ手助けしてあげるとしよう」
雹介は両面宿儺の封じられた呪符を手に悪い笑みを浮かべるのだった…。
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時雨「そういえば、どうして伊邪那岐アヤダマはその名を忘れられていたんでしょうね。…かなり有名な神様ですし、そう簡単には忘れ去られたりはしないと思うのですが…」
真黒「それにはかつての彼岸一族が関係しているようだね。…僕も色々調べた結果知ったのだけれど、どうやら朱井家は元々“
凪桜「此岸一族…彼岸一族と似てるね」
真黒「というより、彼岸一族と此岸一族というのは両家の対立的なスタンスを見た周囲が呼び始めた名…らしい。死の神であるイザナミを祀る彼岸一族と、生の神であるイザナギを祀る此岸一族ということで、対極にある神を祀っている両家は対立構造にあったらしい」
咲穂「成る程…それで彼岸と此岸という言葉を使ったのですね」
調「えっ?ど、どういうこと…?」
咲穂「元々、彼岸や此岸というのは仏教用語なんです。そして彼岸は極楽浄土…煩悩のない死後の世界、此岸は煩悩に溢れた現世を表すとされていたので、どうもイザナミイザナギの話に噛み合わせるのは妙だなと思いまして」
真黒「いい着眼点だね。…その通り、彼岸と此岸の本来の意味を考えると彼等に付けるのは不適切なように見えるけれど、そこには彼等のスタンスの違いも大きく関わってくるんだ。そもそも、彼岸一族は死を以て人は完成する、感情に囚われている生者は完璧な存在たりえない、故に全ての命は終わりを迎えるべきという思想を持っていたのに対し、此岸一族は不完全さもまた命の宿命であり美しさとして受け入れ、その不完全な部分を互いに支え合うことに価値を見出した…パッと見は完全完璧な極楽浄土を目指すように見える一方で、命を軽んじる彼岸一族と煩悩もある不完全な生を是として捉えているように見える一方で、命を慈しむ此岸一族。…故に両者はそう呼ばれたのだろうね」
咲穂「成る程…」
伊邪那岐アヤダマが何故忘れ去られてしまったのかについて解説する真黒は、咲穂の質問もあって彼岸一族と此岸一族の関係について説明する。
真黒「さて、それで何で此岸一族がイザナギのことを忘却してしまったのかについてだけれど…これはどうも1000年前のイザナミ降臨時の出来事が関係してるみたいなんだ」
時雨「雨辺さんが活躍した時代ですよね?リュウジンさんは何か知りませんか?」
リュウジン「…そういえば彼岸一族がやたら目の敵にしていた一族がおったな…あれが此岸一族か…」
凪桜「何で覚えてないの…」
リュウジン「し、仕方ないだろう!?我が彼岸一族の危険性に気付いたのはイザナミが顕現した後なんだ。もしかすると晴朗は知っておったのかもしれんが…我は知らん」
凪桜「……やっぱり微妙に頼りないよね、リュウジンって」
リュウジン「何だと!?」
時雨「ま、まあまあ…それで白石さん、此岸一族はなんでイザナギの伝承を失ってしまったんですか?」
真黒「…イザナミを味方につけた彼岸一族はその力を振るって手始めに此岸一族を徹底的に弾圧したようなんだ。そして、ここからは僕の推論なんだけど、恐らくその弾圧から逃げ延びた末に朱井の姓を名乗り始めた此岸一族の人達は、意図的に自身達が伝えてきたイザナギの伝承を忘却したんじゃないかと思うんだ」
時雨「えっ!?な、何のために…?」
真黒「…彼岸一族にとって、イザナギの力は脅威そのもの。しかし此岸一族にはそれを守り抜く力がもう残っていなかった。だからこそ、忘れることで守ったんだ」
凪桜「忘れることで…守る」
真黒「そう。何の伝承なのか、何のアヤダマなのかが分からない状態にすればそう簡単に彼岸一族もイザナギの力に辿り着くことが出来なくなる。現に伊邪那岐アヤダマは思い出されるまで本来の力をマトモに発揮出来なくなっていたし、書についても神話ドライバーという特殊アプローチをしなくてはその力が引き出せなかっただろう?」
時雨「でも、それじゃあ後から何の力なのか分からなくなるんじゃ…」
真黒「そうだね。…だからこそ、当時の此岸一族…朱井の人々はきっと、未来に希望を託したのだろう。…そして、そのバトンを受け取るべきタイミングは…きっと今だ」
聖「!…そうだね。白石君の言う通りだ。気合いを入れなきゃだ。…そういえばもうこんな時間か」
真黒「何かあるんですか?」
聖「ああ、うん。ちょっと人が来るんだ。そろそろ着く時間だと思うんだけど…焦ってて忘れてたよ」
真黒「人…?」
最後を推論で締め括った真黒の話を聞いた聖は改めて気合いを入れ、そこで人を呼んでいることを思い出す。
「白石君っ!!」
真黒「うわあっ!?…お、黄坂さん…」
澄香「……本当に白石君だ…」
聖の言う待ち人に頭を傾げる真黒。すると背後から真黒を呼びつつ抱きつく者が。
それは真黒の高校時代からの友人である澄香だった。
真黒「えっと、その…なんていうか…久しぶり」
澄香「…久しぶり、じゃないよね。白石君」
真黒「えっ?」
澄香「はぁ…。私がどれだけ悲しんだと思ってるの!?私、本当に大変な時とか、辛い時は言ってねって言ったよね!?約束したよね!?」
真黒「あ、あー…そういえばそんなこともあったね」
澄香「忘れてたの!?」
真黒「いやその、なんていうか…暫く見ない間になんか気が強くなってない?」
澄香「これは気が強くなったんじゃなくて怒ってるの!ていうか話変えないで」
真黒「…ごめんなさい」
澄香「…白石君が死んだって聞いた時、私は頭の中がぐちゃぐちゃになって、凄く、すっごーく悲しかったんだよ?…私は、そんなに頼り甲斐のない友達だったんだって」
真黒「いやその、そういうわけじゃ…。黄坂さんのことを信頼してたからUSB預けてたわけだし…」
澄香「そういうことじゃない!」
真黒「はい…ごめんなさい…」
澄香「けど、生きてて良かった…」
真黒「まあ、生きてるっていうか…今はモノノケだけどね。ははは」
澄香「……ははは、じゃないんだけど?」
真黒「…いや、違くて、今のはその、重くなった空気を和ませようと……」
澄香「全然和まないから!藍羽先生から白石君がモノノケとして蘇ってしかもまた敵対したとか聞いた時の私の気持ち分かるの!?」
真黒「いやあの、すみません…」
時雨「なんか…一気に頼れる大人感無くなったね…」
凪桜「あんな真黒さん初めて見た…」
聖「は、ははは…」
再会早々詰め寄る澄香にタジタジになる真黒。
そんな様子を見て時雨達は先程までの頼れる大人の雰囲気が跡形もなく消え去ったことを感じ、聖は苦笑いする。
澄香「言いたいことは沢山あるけどさ。…沢山ある、けど…また会えて良かった」
真黒「……うん。僕も、黄坂さんとまた会えて良かったよ」
一通り文句を言い終えた澄香は真黒の胸に顔を埋め、涙声で再会出来たことを喜び、真黒もそんな澄香の頭を撫でながらその言葉に同意する。
真黒「さて、今度は三人で揃う番だよ」
澄香「え?」
真黒「漸く、朱井さんを助ける手立てが見つかったんだ。ね?藍羽先生」
聖「ああ。ヌエを倒して…朱井君を助け出そう」
澄香「…そっか。やっと…やっと清那ちゃんともまた会えるんだ。…ふふ」
真黒「頑張る理由が増えましたね」
聖「…そうだね。何が何でも…朱井君を助け出す」
清那を助ける手立てが掴めたと知った澄香は喜びを隠し切れない様子を見せ、そんな澄香に真黒と聖はより一層気合いを入れる。
⭐︎⭐︎⭐︎
都黎「ヌエの奴…一体どこにいる…。ん?電話…瑠璃子からか。どうした」
瑠璃子『あ、リーダー?…ヌエについて手掛かりが掴めた』
都黎「本当か!?…何?…分かったすぐ向かう」
瑠璃子から受けた電話でとある情報を得た都黎は内容に血相を変える。
都黎「…そうか。ありがとう。…もしもし。俺だ。瑠璃子達にも協力してもらっていたんだが、ヌエの居場所が分かった」
汰月『本当か!?』
都黎「ああ。…だが、厄介な所に現れた」
賢昇『どういうことだよ』
都黎「…ヌエがいるのはどうやら…照羅巣高校のようなんだ」
「「!」」
⭐︎⭐︎⭐︎
ヌエ「……」
「何あれ…」
「モノノケ…だよね?」
弘毅「皆、すぐにここから離れろ!」
希「…榎田君、あれは……」
弘毅「樫崎か、謎のモノノケが現れたんだ。…何があるか分からんから生徒達を避難させているんだが…どうにも野次馬根性のある連中ばかりで困る」
智由「よりによって晴河君達が出払っている時に来るとは…」
希「柚木さん…そうですね。彼等がいてくれればまだ良かったのですが…」
照羅巣高校の建物の上に堂々と立つヌエ。その姿はあっという間に生徒達に見つかり、恐怖を覚える生徒や野次馬する生徒が現れ、風紀委員長である弘毅が離れるよう声がけする。
するとそこに学級委員長の希や保健委員長の智由も駆け付け、時雨達がいないことに困る。
ヌエ「あ?蝿共が集まってきやがったか…目障りだな。まあ良い…蝿は蝿らしく…そこで倒れてな。ウオオオオッ!!」
智由「!…うっ…何か…体が…重く…!」
弘毅「なんだ…これ…!」
希「今のは…一体…!?」
「うう…」
「苦しい…!」
ヌエの叫び声を聞いた生徒達は次々に苦しみ倒れ込む。
瑠璃子「こっち…!」
双葉「えっ…こ、これは…」
玲「嘘でしょ…」
都黎「なっ…これは…なんてことだ…」
ヌエ「あ?…なんだ、暗夜か」
都黎「瑠璃子、藍羽先生達…それと汰月と賢昇にも伝えておいてくれ」
瑠璃子「…分かった」
都黎「双葉と玲はすまないが生徒達を安全な所に連れていってくれ」
双葉「わ、分かりました!」
玲「この数…骨が折れそうだね。けど、了解」
照羅巣高校に駆け付けた世模継正屠会メンバーは、その惨状を目の当たりにする。
都黎はテキパキと三人に指示を出すと、電書ドライバーを取り出し、身に付ける。
都黎「ヌエ、貴様どういうつもりだ…!」
《ヤギョウ!》
《インストール!》
都黎「…変身!」
《常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》
ヌエの凶行に怒る都黎は暗夜 ヤギョウヨロイへと変身し、ヌエに挑みかかる。
ヌエ「俺の獲物はお前じゃねえんだが…まあ良い、遊び相手になってやるよ!」
暗夜「ふざけるな…!ふん!」
ヌエ「はは、んな攻撃効くか…よ!」
暗夜「くっ…ぐああっ!!」
ヌエ「おいおいもう終わりか?弱えなぁ」
暗夜はヌエのいる建物の上まで闇を通じて一気に移動すると、そのまま闇夜月を振るって斬りかかる。
しかし、ヌエには大したダメージを与えられず、その蛇となった尾を振り回しての痛烈な一撃を喰らった暗夜は弾き飛ばされてしまう。
暗夜「…沢山の生徒まで巻き込むような、卑劣なお前を絶対に許さん!」
ヌエ「はっ、やれるもんならやってみな」
暗夜「はああっ!!」
怒りを燃やして闇夜月を振りかぶった暗夜はヌエへと突撃してゆくのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「ヌエが照羅巣高校に現れた!?」
時雨「えっ…!?」
真黒「何…!」
聖「…分かった。すぐに向かうよ」
時雨「…ヌエが照羅巣高校に…」
聖「取り敢えず今は昏時君が相手してくれてるらしい」
真黒「ん?」
凪桜「けど、まだ神話ドライバーの改良が終わってないんじゃ…」
調「確かに…」
聖「けれど、生徒の皆が危険な目に遭っているのに足を止めてはいられないよ…!」
ヌエが照羅巣高校に現れ、今は都黎が戦っていると聞いた聖達は急いで向かおうとするが、まだ神話ドライバーの改良が終わっていないことを凪桜が指摘する。しかし、聖は生徒が危険な目に遭っている以上、躊躇うわけにはいかないと答える。
真黒「…そのことなんだけど、どうやら神話ドライバーの改良、終わったみたい」
聖「え?」
咲穂「早くないですか…?」
真黒「どうやら伊邪那岐アヤダマの正体が分かる前から神話ドライバーの改良をしてたみたいだね。…後一歩というところで伊邪那岐アヤダマの存在が判明したからすぐに完成出来たそうだよ」
時雨「田貫教授、流石だなぁ…」
真黒「取り敢えず僕が受け取って来るので、先生達は先に照羅巣高校に向かっててください。…ここからならそう遠くはないですし」
時雨「ですね。行きましょう、藍羽先生!」
聖「…ああ!」
夜御哉が神話ドライバーの改良を終えたことを聞いてその仕事の速さに驚きつつも、聖は時雨達と共に照羅巣高校へ向かう。
一方で真黒はその特殊能力を活かして蒼炎に身を包むことで瞬間移動し、貴真賀中央大学へ向かう。
夜御哉「その登場の仕方、心臓に悪いな…」
真黒「あはは、すみません。それより、神話ドライバーの改良、終わったんですよね」
夜御哉「ああ。名付けて“神書ドライバー”だ」
真黒「神書ドライバー…」
夜御哉「急を要しているんだろう?さあ、持っていけ」
真黒「ありがとうございます!」
突然虚空から出現した蒼炎と共に現れる真黒に、夜御哉は登場の仕方が心臓に悪いと苦情を言う。
そんな話も束の間に、夜御哉は真黒に白っぽい金色の神々しい表紙に変わり、左側のアヤダマスロットが解放された新たな神話ドライバー…神書ドライバーと伊邪那岐アヤダマを手渡す。
そして、それを受け取った真黒は一礼すると、蒼炎に身を包んでその場を去る。
⭐︎⭐︎⭐︎
暗夜「はあっ!!」
ヌエ「ふん!」
暗夜「っ…ああ!!」
戦いの場を照羅巣高校の校庭に変えつつ、暗夜は闇夜月を振るって斬りかかるも、ヌエには通用せず、鋭い爪による一撃を喰らってしまう。
ヌエ「無駄だな…お前じゃ、俺には勝てんよ。この五行の木を司るヌエ様にはなぁ!」
暗夜「くっ…うあああっ!!」
ヌエは腹を叩くことで紫の雷を生み出して暗夜目掛けて降らせ、その威力を以って暗夜を変身解除に追い込む。
都黎「くっ…!」
瑠璃子「都黎!!」
ヌエ「骨がねえなぁ…ん?」
聖「ヌエ…ッ!!」
ヌエ「神羅ァ…会いたかったぜ。ずっと待ち焦がれてたんだ…テメェを倒すこの時をな…!」
澄香「ヌエ…!」
瑠璃子「皆…」
都黎「藍羽先生…時雨…」
時雨「都黎君、大丈夫?」
都黎「まあ、何とかな…」
瑠璃子「取り敢えず、都黎は私に任せて」
凪桜「私も手伝うよ」
瑠璃子「…うん、ありがとう…凪桜」
都黎「…すまない。汰月と賢昇にも瑠璃子が連絡しているから、そろそろ来るとは思うんだが…」
時雨「そっか、分かった!」
都黎を嘲笑うヌエの前に聖が駆け付ける。そして倒れた都黎を時雨と凪桜が助け起こす。
真黒「…さて、これで役者は揃ったね」
聖「白石君」
真黒「これ、受け取ってください。…新しいドライバー…神書ドライバーです」
聖「神書ドライバー…これで戦える!」
ヌエ「なんだ…そのベルトは…!?」
聖「神書ドライバー…私の新たなるステップさ。今度こそ、お前を倒し…朱井君を助け出す」
聖の隣に真黒も現れ、神書ドライバーと伊邪那岐アヤダマを手渡す。
そして未知のドライバーに動揺するヌエに、聖はクールに返しつつ神書ドライバーを装着する。
《最終段階解放!》
聖「イザナギ…力を貸してください」
《伊邪那岐!》
ヌエ「イザナギだと…!?」
《インストール!》
聖が左手に持った神祝之御札を神書ドライバーに翳すと、足元に完全な状態の黄金の陣が展開される。そして右手で持った伊邪那岐アヤダマを起動して右側のスロットに装填すると、聖の前に神々しい光輪が出現する。
《ワーニング!ワーニング!アウェイクニング!
ワーニング!ワーニング!アウェイクニング!》
聖「変身…!」
《神格装着!ヘンゲ!
聖は目の前に展開された光輪に右手を翳し、左にスライドさせると、そのまま右腕に左腕を交差させるように構え、そして左手に持った神祝之御札を神書ドライバーに装填する。
すると、足元の陣から神々しい光が溢れ出し、聖の身体を包み込み、やがて黄金に輝く結晶体に変える。
そしてその結晶体の上に光輪が移動し、光を放ってヒビを入れ砕け散らせると、中から純白を基調とした神主の衣服のような装甲に身を包み、ところどころには薄い金色の装飾が施された姿を現す。
最後に光輪が縮んで頭部に飾りのように装着され、複眼に神々しく山吹色の光を灯したその戦士の名は神羅 伊邪那岐ヨロイ。
澄香「あれが…新しい神羅…」
真黒「よし…!」
神羅「…三年前の決着を付けるぞ」
ヌエ「ふん…姿が変わったからなんだ…!」
神羅「ふっ…」
ヌエ「!消えただと…!?」
神羅「上だ。はあっ!」
ヌエ「な…ぐああっ!!」
紫電を帯びた爪で神羅に襲いかかるヌエ。しかし、そんなヌエの攻撃を空間を歪ませての瞬間移動で回避した神羅は上から強力な神の気による黄金の衝撃波を巻き起こしてヌエを吹っ飛ばす。
⭐︎⭐︎⭐︎
キョウコツ「…藍羽聖…お前ばかり…!許さんぞ…」
真黒「それはこっちの台詞かな」
時雨「邪魔はさせません!」
キョウコツ「裏切り者に邪魔者が…!こっちには両面宿儺もいるんだ。蹴散らしてくれる…!」
両面宿儺「哀しい…いや、憎い…!」
時雨「いきますよ!白石さん!…汰月君と賢昇君も向かってるらしいし、ここは…!」
真黒「ああ。この困ったさんにお仕置きしてやろう」
《三倍装填!》
《着火!》
《妖魔!》
《八咫烏…!》
《霊魂!》
汰月「急がないと…え?」
《餓者髑髏…!》
《幽冥!》
賢昇「汰月が消えたぁ!?…あ?」
《イグニッション!ゼロ!》
《イグニッション!ゼロ!》
「「変身!」」
《融合装着!変化!
三位一体!阿修羅ヨロイ!》
《焼却装着!ヘンゲ…
黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎…零!》
時雨と真黒はそれぞれ妖魔 阿修羅ヨロイと禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイへと変身し並び立つ。
そしてその過程で突然呼び出された汰月と賢昇は困惑を露わにするのだった…。
妖魔「よーし…!」
禍炎「ふふ、中々アバンギャルドな姿だね」
霊魂『…そういうことか』
幽冥『ったく、いきなり呼ばれるとびっくりするだろ』
妖魔「あ、ごめん。二人とも向かってるって聞いてたし…」
霊魂『…まあ、ショートカットになったのは確かか』
神羅「はあッ!!」
ヌエ「くっ…ぐあっ!!」
幽冥『どうやら上手くいったみたいだな』
妖魔「うん」
霊魂『都黎は?』
妖魔「向こうで休んでるよ」
突然呼ばれて状況を理解出来ていなかった霊魂と幽冥だったが、目の前にいる敵やヌエと戦う神羅の姿から状況を察する。
両面宿儺「哀しいな。我が存在を無視とは…。憎いな。我が相手を放棄とは…」
妖魔「おっと!…ここは集中していこう!」
幽冥『だな!オラッ!』
霊魂『ああ!ふっ!』
両面宿儺「ぐっ…!」
禍炎「強くなったねえ…さて、こっちも張り切っていきますか!」
キョウコツ「ぐはっ!この…裏切り者が…!」
禍炎「生徒の想いを裏切って利用してたあなたに言われたくないなぁ」
状況の共有をしていた隙を突いての両面宿儺の攻撃を避けると、妖魔は戦いに集中し始め、痛烈なストレートパンチで両面宿儺を怯ませる。
一方禍炎もそんな妖魔の様子を見ながら三人の成長を感じ、感慨深さを覚えつつもキョウコツを銃撃する。
⭐︎⭐︎⭐︎
ヌエ「ふんっ!はっ!」
神羅「ふっ…」
ヌエ「何…!?」
ヌエは紫電を放って神羅を攻撃するも、神羅が目の前に右手を翳すと、光のエネルギーフィールドが展開され、ヌエの雷撃を容易く弾く。
ヌエ「ならば…ウオオオッ──」
神羅「させるか」
ヌエ「もがががが…!?…なんだ…何をした」
神羅「叫ぶのは迷惑になるからな。黙っててもらった」
瘴気に満ちた叫び声をあげようとしたヌエに対し、神羅が静かに口元に人差し指を立てると、光のフィールドがヌエの口元に出現し、その声を塞ぐ。
ヌエ「この…!だったら接近戦だ…!ふんっ!」
神羅「はっ…!」
ヌエ「触れないだと…!?くっ…!」
神羅「はっ…はあっ!!」
ヌエ「!?…うぐあああっ!!」
神羅に爪を突き立てようとするヌエ。しかし、その攻撃は神羅が眼前に展開した光のフィールドによってヌエの攻撃は通らず、そのままフィールドに受け流されるまま神羅の背後まで動かされ、更に足元から展開した光のフィールドに足元を救われたヌエは神羅の頭上まで浮かされ、落とされる。
自身の目の前に来たヌエに対し、神羅は自身の周囲の空間に光のフィールドを展開することでその落下速度を低下させ、無防備なヌエの腹部へと痛烈な回し蹴りを叩き込む。
ヌエ「こうなったら…魂壊!うおおおっ!!」
神羅「!力が上がった…」
ヌエ「当然!この力でお前を完膚なきまでに叩き潰す!」
神羅「だが…今のお前じゃ、私には勝てない」
ヌエ「!?」
《雷獣!》
《イクスパンション!憑身!雷獣!》
《犬神!》
《イクスパンション!憑身!犬神!》
神羅「はあっ!!」
ヌエ「ぐあっ!!…ライジュウとイヌガミの力を同時に発動しただと…!?」
神羅「どうした?もう自慢の力はネタ切れか?」
ヌエ「図に!乗るなァァ!!」
神羅「遅いな…はあっ!!」
ヌエ「くっ…う…ぐああっ!!」
神羅は魂壊の術を使ってパワーアップを果たしたヌエに対抗すべく、自身も雷獣アヤダマと犬神アヤダマを新たに解放された左側のスロットに次々装填し、右腕はライジュウの鋭い爪のついた状態に、左腕はイヌガミの犬の頭部を模した状態に変化した神羅 伊邪那岐ヨロイ・雷獣犬神憑身へ姿を変える。
すると神羅は稲妻を帯びた爪で高速で斬りつけ、更には距離を取りつつ呪いエネルギー弾を連射してヌエを撃ち抜く。
《多重段階解放!》
ヌエ「!!」
《神羅エレメント!》
神羅「ふん!」
ヌエ「ぐっ…」
神羅「はあっ!!」
ヌエ「ぐあーっ!!」
神羅は下から右腕を振り抜くことで電撃を立ち昇らせながらヌエを斬り裂き、空へと飛ばすと、更に呪いのエネルギーを凝縮エネルギー砲を撃ち込むことでヌエを吹っ飛ばす。
ヌエ「こうなったら…!」
ヌエ2「ぐるるる…!」
ヌエ3「うがああ…!」
神羅「分身の数が増えている…腐っても強化されてるわけか」
ヌエ「余裕ぶれるのも今のうちだけだ!お前等!この学校の生徒を皆殺しにしろ!」
神羅「何!?行かせるか…!」
ヌエ「それはこっちの台詞だ!お前は生徒を見殺しにするんだ!大した先生だなぁ!!ヒャハハハッ!!」
神羅「ヌエ…貴様…ッ!」
ヌエは腹を叩いて闇の瘴気を発し、それを固めて自身の分身体を二体生み出すと、照羅巣高校の生徒を襲わせようとする。
咄嗟に止めに行こうとする神羅の隙を突いて攻撃を仕掛けたヌエに、神羅は怒りを露わにする。
妖魔「はあっ!!」
両面宿儺「ぐっ…!」
霊魂『時雨!』
幽冥『あっちがヤバいぞ!』
妖魔「分かってる!」
《霊魂!》
《分離之刻!》
《幽冥!》
《分離之刻!》
霊魂「はあっ!!」
幽冥「ふんっ!」
妖魔「はっ!!」
両面宿儺「ぐああっ!!」
霊魂「あっちのヌエは俺に任せて」
幽冥「ならあっちは俺に任せろ!」
妖魔「二人とも、頼んだよ!」
両面宿儺を横蹴りで引き剥がした妖魔は霊魂と幽冥を分離し、三方位からそれぞれ剣状態の妖之弓剣、銃状態の妖之斧火縄、槍状態の妖之盾槍による同時攻撃を両面宿儺に叩き込むと、そのまま霊魂と幽冥はヌエ2とヌエ3へ向かっていく。
霊魂「好き勝手はさせない!」
《激怒!》
幽冥「ふざけやがって!」
《地獄!》
両面宿儺「ふむ…哀しいな。手加減で相手とは…。ぬう…憎いな。この俺が舐められているとは…」
妖魔「手加減なんて…しません。全力で倒します!」
《無双!》
《装填!無双!》
両面宿儺「!?」
《憑依装着!超変化!
超絶最強!無双ヨロイ!オォー!》
妖魔「はあっ!!」
両面宿儺「うぐああっ!!」
分離してそれぞれヌエを追いかける霊魂と幽冥。
その姿を見て自身との戦いに手を抜いていると考えた両面宿儺だったが、そんな両面宿儺に対し、妖魔は一切の容赦なく最強の無双ヨロイへと姿を変え、取り出した大剣状態の龍神之大砲剣による斬撃を叩き込む。
双葉「ひええ!?こっち来ないでください〜!?」
ヌエ2「ぐるる…っ!?」
《八重展開!八岐大蛇ヨロイ!》
霊魂「そっから先へは行かせない。はあっ!!」
双葉「ありがとうございます…!」
倒れた生徒達を逃がしていた双葉の元へ襲いかかるヌエ。しかし、その行手を地面から生えた土壁が阻み、背後から八岐大蛇ヨロイへ姿を変えた霊魂がクサナギガトリンガーで銃撃する。
玲「マズい…!」
ヌエ3「うがっ──!?」
《閻魔裁決!地獄ヨロイ!》
幽冥「大丈夫か?」
玲「あ、ああ…助かった」
双葉と同じく倒れた生徒を逃がしていた玲の元にはヌエ3が襲いかかったものの、その爪が玲に届く直前に横手から地獄ヨロイへと姿を変えた幽冥が割って入り、右腕でその爪の一撃を受け止めていた。
キョウコツ「馬鹿な…ヌエの力が通用していないだと…!?」
禍炎「あんた等みたいに互いを利用してるだけの連中に、僕達の互いを信じ合う力は負けないってことだ!」
キョウコツ「ぐあっ!!」
ヌエの策略を潰す霊魂と幽冥の姿に驚愕するキョウコツ。しかし、禍炎はそんなキョウコツに自分達の絆の力を説くと蒼炎を帯びた回し蹴りをその横っ面に叩き込む。
禍炎「晴河君、そろそろこっちを片付けよっか」
《オンミョウチャージ!》
妖魔「はい!」
《大砲之刻!》
《読取装填!神業!一撃必殺!》
「「はあーっ!!」」
《オンミョウブラスト!》
《神業砲撃!》
キョウコツ「くっ…マズい…!」
両面宿儺「有り得ぬ…っ!」
「「ぐあああっ!!」」
妖魔と禍炎は同時に黄金のエネルギー砲と蒼炎の弾丸を放つことでキョウコツを変身解除に追い込み、両面宿儺を爆散させるほどの攻撃を叩き込む。
《極寒地獄!》
《判決之刻!一撃・必殺!》
幽冥「終わりだッ!」
《極寒刑撃!》
幽冥「ふんっ!!」
ヌエ3「うが…うぐあああっ!!」
霊魂「ほっ!…トドメだ」
《一・撃・必・殺!》
霊魂「はああっ!!」
《八重憤撃!》
ヌエ2「ぐ…ぐるああああっ!!」
幽冥は槍状態に変えた妖之盾槍に冷気を帯びさせて巨大な槍に変え、振り下ろすことでヌエ3をぺしゃんこにする。
一方で霊魂は地面を隆起させることで軽く跳躍し、ヌエ2の爪を避け、上から渦巻く激流を纏わせた右脚で蹴り込み、ヌエ2を打ち倒す。
神羅「皆…!」
ヌエ「おのれ…!」
神羅「はっ!…これが、私の信じる、私の自慢の生徒達だ!!」
ヌエ「っ…ぐあっ!!」
次々に敵を突破する他のライダー達の様子に、憑身を解除していた神羅は頼もしさを感じると、背後からヌエが振りかぶった爪を見向きしないまま片手で受け止め、そのまま向き直りつつ痛烈なボディーブロを叩き込む。
神羅「ヌエ…朱井君を返してもらうぞ」
《極限段階解放!》
ヌエ「…!」
《天界ジャッジメント!》
神羅「はああっ…!」
ヌエ「っ…くっ…ぐああっ!!」
澄香「!清那ちゃん…!」
神羅は神祝之御札を神書ドライバーに一度翳すと、両手から青白いエネルギー弾を連射し、ヌエを撃ち抜く。
すると、着弾した部分からヌエの身体を構成する黒い靄が霧散し始め、中から高校生ほどの少女…まさしく朱井清那の姿が見え始める。
神羅「よし…!」
ヌエ「離して…堪るか…!」
神羅「何…!?」
禍炎「往生際が…悪い!」
《イグニッション!武装!鎌鼬!》
ヌエ「何…!?離せ…小僧…!」
禍炎「離すかよ…お前が朱井さんを離せ…ッ!」
神羅「…白石君の言う通り…だな!」
ヌエ「ぐあっ!!」
神羅の力によって清那が解放される…かと思った次の瞬間、蛇になっている尾から黒い靄を放出したヌエの悪あがきによって再び清那の身体は吸い込まれそうになってしまう。
しかし、そこに猛スピードで飛来した禍炎が逆手に持った辻風之鎌をヌエの首にかけながら引き剥がそうとし、更には神羅の放った黄金の衝撃波で完全に引き剥がされ、地面を転がる。
真黒「朱井さんっ!!…息はあるみたいだ…。良かった…」
澄香「清那ちゃん…っ!」
神羅「…朱井君を…助けられた……」
ヌエから助け出された清那。その姿に変身を解除しながら倒れ込む清那を抱き止める真黒。更には澄香も駆け寄る。
真黒が生きていることを確認すると、三人は安堵の息を漏らす。
ヌエ「ふざけるなぁぁ!!」
神羅「ヌエ…」
《超過段階解放!》
神羅「…これで終わりにしよう」
《天界パニッシュメント!》
神羅「はっ!」
ヌエ「なっ…やめろ…ぐあっ!!」
神羅「はあっ!」
ヌエ「ぐああっ!」
神羅「はあっ…!」
ヌエ「うああっ!」
神羅は神祝之御札を二回神書ドライバーに翳すと、黄金の波動を纏って浮き上がり、ヌエに連続で攻撃を仕掛け、空へと吹っ飛ばし、照羅巣高校の屋上へと叩き付ける。
神羅「…はあーっ!!」
ヌエ「くっ…うう…ふざけるなァァ!!うっ…!」
神羅「はああああっ!」
ヌエ「うぐああああっ!!」
神羅は空中へと浮かび上がると、そのまま急降下して黄金の波動を纏った右脚で跳び蹴りを叩き込む。
対するヌエは紫電を帯びた爪で迎え撃とうとするも、力負けし、その身を貫かれ爆散する。
雹介「…君も、役目を終えたか、ヌエ。お疲れ。…やれやれ、五行も残り一人か」
物陰から撃破されたヌエの妖気を暗い緑色の鵺アヤダマに変えると、雹介は踵を返しその場を去っていく。
聖「…これで、終わりだ……」
真黒「…漸く、決着が付きましたね」
聖「…だね」
清那「……んん…」
澄香「!清那ちゃんが…」
真黒「!」
戦闘を終えると同時に変身が解けた聖と、真黒はこの三年の因縁に決着が付いたことを喜ぶ。
そんな中、真黒が抱き止めたままだった清那が微かに声を漏らし、澄香が二人に声を掛ける。
清那「……ん…白、石…?」
真黒「…朱井さん…!」
澄香「清那ちゃん!」
聖「朱井君…」
清那「…澄香ちゃんに藍羽先生…ここは…照羅巣高校の屋上…?そうだ、私ヌエに…」
真黒「…全部、終わったんだよ」
清那「え?…なんだか、白石も清那ちゃんも、顔付きが大人っぽくなったね」
澄香「…あのね、清那ちゃん。実は──」
意識を取り戻した清那。そんな清那を心配したように見つめる三人。
状況を上手く飲み込めていない様子の清那に、三人は現在の状況を伝えるのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
清那「…じゃあ私、三年間もヌエの中にいたってこと?」
真黒「そうなるね」
清那「道理で二人とも大人びてるわけだよ」
聖「……その、朱井君、すまなかった」
清那「へ?な、何で先生が謝るんですか?」
聖「あの時、君を救える可能性があったのは私だけだった。私が不甲斐ないばかりに、君の貴重な三年もの時間を奪ってしまった。…本当にすまない」
清那「良いんですよ。二人はちょっと大人になっちゃったりしたけど、こうして四人でまた変わらず会えたんですから」
状況を知って驚く清那。そしてそんな清那に謝罪する聖だったが、清那は気にしていない様子を見せる。
清那「…ってあれ?なんかさ…白石」
真黒「ん?」
清那「…白石から妖気を凄く感じるんだけど、なんでかな…?」
真黒「……あー…気のせいじゃないかな。うん、気のせいだよ」
清那「いやいやいや!絶対気のせいじゃないって!この妖気の感じ…人っていうかモノノケ…?え、なんで?」
真黒「……いや…それは、その…」
清那「…じっくり事情を聞かせてもらおうかな…?」
真黒「えっとその…ハイ…」
凪桜「真黒さん…また怒られてる」
時雨「あはは…けど、これも一つのハッピーエンド、だよね」
凪桜「…だね」
モノノケになったことを勘付かれてしまい、清那に詰め寄られてタジタジになっている真黒を見た時雨と凪桜は澄香に続き清那にまで怒られている様に苦笑いを浮かべるも、そんななんてことのない日常の一幕を真黒が送れるようになったこともまた、ハッピーエンドに違いはないと結論付け笑い合うのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
都黎「…その後どうだ?」
夢華「特に問題ないよ。すっかり元通り!…ってか、その質問何回目!?学校の皆だって全員元通りになったんだから私達だって大丈夫だって!」
都黎「す、すまない…」
雪音「まあまあ、昏時さんも心配してくれてるわけですし…」
夢華「…ま、まあ、それは分かるけど…」
聖がヌエを撃破したことで呪いも解け、元通りの生活に戻った雪音と夢華だったが、そんな二人へのくどいレベルでの都黎の心配に夢華は憤慨し、雪音に宥められる。
雪音「しかし今回の一件、藍羽先生達の長年の因縁に終止符が付けられて万事良かった…というわけでもなかったみたいですね」
都黎「どういうことだ?」
夢華「実は今、今回の一件の影響もあって、布留杜市では“反モノノケ派”の人が台頭して来てるんだよね」
都黎「反モノノケ…無理もないか。短期間でモノノケのせいで何度も危険な目に遭ってるわけだからな…」
雪音「ええ。…そしてこれは、私達の目標にとっても良い状況とはいえません」
夢華「人とモノノケの共存…とは真逆な方向性だもんね」
ヌエの一件も相まって市民の中で強くなっていく反モノノケの感情。その話を聞いた都黎は内心、人とモノノケの共存を謳う時雨を想う。
都黎(時雨…ここからが正念場になるぞ)
⭐︎⭐︎⭐︎
次回!仮面ライダー妖魔!
「頼むよ!モノノケとかいうあのバケモン、全部倒してくれ!」
「仮面ライダーなんだからとっととモノノケ全部倒してよ!」
時雨「み、皆さん落ち着いてください…!」
高まるモノノケへの反感…
時雨「ヌラリヒョンとの決着を…付けましょう」
賢昇「最後の五行のお出ましか…!」
オオタケマル「ふん。小賢しい人間共め…一人残らず蹴散らしてくれる」
突入!反人間連合の拠点へ!
雹介「…人とモノノケの共存…。ふん、青臭い理想だ」
時雨「それでも…その理想を掲げて僕は戦います!最後まで!」
第肆拾伍話「決戦勃発!人とモノノケの生きる道」
日曜午後9時!
第四十四話をご覧いただきありがとうございます!
今回はこれまで続いていた聖、真黒達の因縁の相手であるヌエとの決着が着く回となりました。
紆余曲折を経た上で辿り着いた結末として、清那の帰還もあったわけですが…ある意味では縦軸の大きな目標の一つだった部分でもあるので、回収することが出来て安心しております。
次回はいよいよ最終局面に入りますが、そんな中で人間側からモノノケ側への反感も噴出。時雨の掲げる人とモノノケの共存、という理想を描く上で避けて通ることはできない部分となりますが、そことどう向き合うのか、是非ともお見逃しなく!