仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第肆拾漆話「夏の思い出と計画全貌」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

ヌラリヒョンの本拠地に乗り込んだ時雨達。

 

しかし、それを待っていたヌラリヒョンの罠によってやむなく退却することに…。

 

悪化していく人とモノノケの関係性に落ち込む時雨だったが、改めて自身の夢のために一歩進んでいくと決意し、街で暴れるオオタケマルを汰月、賢昇と共に撃破したのだった。

 

しかし、五行のアヤダマ全てを集めたヌラリヒョンの計画が進行していて…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「…ヌエ、シュテンドウジ、ツチグモ、オオタケマル、オオガマ。…今までよくやってくれたものだ。そして…これからも、私の力として役立ってくれたまえ」

 

 怪しげに笑う雹介は、目の前に鵺アヤダマ、酒呑童子アヤダマ、土蜘蛛アヤダマ、大嶽丸アヤダマ、大蝦蟇アヤダマを正五角形を作るように並べると、妖力を込める。

 すると、そのままそれぞれを結ぶように白い妖気が繋がると、五芒星の形を露わにする。

 やがて五つのアヤダマは浮かび上がり、縦になるとそのまま一つに集約されて一つの黒を基調とし、その円周にはそれぞれのアヤダマと同じ、暗い緑色、暗い赤色、暗い黄色、暗い白色、暗い青色のグラデーションがかかった“五行アヤダマ”が生み出される。

 

雹介「計画は最終段階に入る…くく…くくく…!」

 

 五行アヤダマを手に取り、愉しげに笑う雹介は、上機嫌に手を伸ばして、机の上にある“何か”に触れるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「「「「海だー!」」」」

 

聖「元気一杯だね」

 

 ヌラリヒョンの計画も動き出し、警戒を強めていたはずの時雨達。

 しかし、今繰り広げられている光景は歴史研究部四人が夏の暑い日差しの下、砂浜で海に向かって叫び、引率の聖がにこやかに見守っている光景だった。

 どうしてこうなったか、話は少し前に遡る。

 

時雨「夏休みに入ったけど…やっぱり遊びにとか行ってる場合じゃないよね…」

 

凪桜「…まあ、確かに。ヌラリヒョンの計画が進行してるのは確かだからね」

 

時雨「…去年は凪桜ちゃんと色々やったけど、今年は咲穂さんや調君、雪音ちゃん達に汰月君や賢昇君達他校の人とも友達になれたし、折角だから皆で夏を満喫したいところだったけど」

 

聖「…ふむ、良いんじゃないかな」

 

時雨「へ?」

 

聖「夏、満喫しようよ」

 

 夏休みに入ってすぐのある日、時雨はやや落ち込み気味の様子でヌラリヒョンへの警戒の理由から夏休みにも関わらず夏を謳歌出来ないことを嘆いていたが、そんな時雨に聖が夏を満喫しても良いと伝える。

 

時雨「ですが、ヌラリヒョンがいつ動くか分かりませんし…」

 

聖「それはまあ、そうなんだけど。君達は仮面ライダーである以前に学生で、戦うことは義務なんかじゃない。ましてや、そのために君達の青春を犠牲にする必要なんてない。ヌラリヒョンも動いていない今だからこそ、沢山遊んで夏の思い出を作っておこう」

 

時雨「成る程…」

 

咲穂「それなら、皆で海に行くのも良いかもですね」

 

調「友達と海…初めてかも」

 

凪桜「…私も」

 

時雨「去年は海とか行ってないもんね。…うん。皆、全力で夏を楽しもう!」

 

凪桜「…うん」

 

咲穂「はい♪」

 

調「は、はいっ!」

 

聖「良いね。さて、それじゃあ予定を立てよっか」

 

 ヌラリヒョンの影響は無視出来ない。

 しかし、時雨達はあくまで今を生きる多感な高校生であり、戦うための存在ではない。だからこそ、そんな時雨達を想う聖はヌラリヒョンが動く前の今こそ夏を全力で楽しんで、来たる戦いに備えようと語ったのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第肆拾漆話「夏の思い出と計画全貌」

 

凪桜「はああっ!!」

 

調「うわあっ!?」

 

時雨「凄…」

 

咲穂「ビーチバレー…ですよね?これ」

 

 時雨・凪桜と咲穂・調に分かれた砂浜でのビーチバレーにて、凄まじい威力のスパイクを放った凪桜に、他三人は驚かされる。

 

凪桜「時雨先輩、もうちょっと右」

 

時雨「うーん…ここだ!!」

 

凪桜「おお、ナイス!」

 

時雨「やった!」

 

調「ここだ!!……外した…」

 

咲穂「お、惜しかったですから!も、もう一回やってみましょう!ね?」

 

リュウジン「西瓜…美味いな」

 

 スイカ割りに興じる時雨達。凪桜のアドバイスで西瓜を綺麗に叩き割る時雨と、思い切り西瓜の真横を叩き落ち込む調を励ます咲穂。

 その横でしれっとリュウジンはスイカを美味しそうに頬張っているのだった。

 

時雨「やっぱり夏はかき氷だねえ」

 

凪桜「時雨先輩!海の家でニャイトとハムボシの夏バージョンストラップ売ってたよ!」

 

時雨「えっ!?本当!?」

 

咲穂「ふふ、二人も仲良しですね」

 

調「…咲穂先輩、抹茶味の食べる?」

 

咲穂「…良いんですか?」

 

調「勿論。代わりにそっちのいちご味も一口分けてほしいかも」

 

咲穂「ふふ、良いですよ」

 

調「やった。じゃあ…はい、あーん」

 

咲穂「へ?あ、あーん…」

 

調「美味しい?」

 

咲穂「え、ええ…まあ…。程々の苦さが…良いですね」

 

調「…なんか、ぎこちなくない?」

 

咲穂「き、気のせいですよ」

 

調「??」

 

 レモン味のかき氷を美味しそうに美味しそうに食べていた時雨だったが、ブルーハワイ味のかき氷を片手にワンダーファンタジアの限定グッズがあったとはしゃぐ凪桜に連れられ海の家に向かう。

 そんな時雨達を微笑ましげに見ていた咲穂だったが、調の不意打ち気味かつ無自覚な行動に思わず照れさせられてしまうのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 海に行った後も、メンバーを変えつつ時雨達は夏を満喫していた。

 

 ある時は市内の河原でバーベキューを…。

 

凪桜「……美味しそう…」

 

時雨「はい、凪桜ちゃん」

 

凪桜「いただきます!…うん、流石時雨先輩。美味しい!」

 

都黎「これがバーベキュー…美味いな…」

 

時雨「ま、まあ、バーベキューって基本焼くだけだし、そんなに変わらないと思うけど…」

 

雪音「…ですが、焼き加減が絶妙ですよ。シンプルだからこそ、時雨君の腕が出ているんじゃないでしょうか」

 

凪桜「そういうこと」

 

都黎「流石雪音、分かってるな」

 

時雨「そ、そんなに褒められても何も出ないって…!」

 

 時雨の焼いた肉を美味しそうに頬張る凪桜と都黎。

 時雨の腕前を絶賛する二人に時雨が謙遜していると、雪音がお上品に肉を食みつつ、時雨の腕前を褒め、褒められまくった時雨は照れてしまう。

 

賢昇「うし、じゃんじゃん食え!」

 

圭佑「マジ美味いっす!」

 

克真「わ、ホントだ、美味しい!」

 

汰月「時雨の焼いた肉も良いけど、賢昇の焼きそばも美味いな…」

 

星海「お二人ともお料理出来て凄いです…」

 

結佳「…やっぱり料理上手いね」

 

賢昇「…ま、趣味だしな」

 

リュウジン「肉も焼きそばも美味いな!」

 

時雨「あ、ちょっとリュウジンさん、いつの間にそんなに!」

 

凪桜「皆の分がなくなる」

 

リュウジン「すまんすまん、美味くてついな」

 

 時雨達の横で賢昇の作った焼きそばに舌鼓を打つ汰月達は、賢昇のその腕前を評価する。

 その一方で肉と焼きそばを山盛りに持ってムシャムシャ食べていたリュウジンに時雨と凪桜がツッコミを入れる。

 

瑠璃子「こんなの、初めて食べたかも」

 

双葉「えへへ、美味しいですね」

 

玲「…うん、こんな美味しいものあったんだな」

 

「「……」」

 

時雨「も、もっと食べて良いよ!」

 

賢昇「だな、もっと食え!」

 

 これまで置かれていた環境故にバーベキュー等縁も無かったという世模継学院組に、時雨と賢昇は沢山の肉や焼きそばを振る舞う。

 

 そしてまたある時は市内の花火大会に参加し…。

 

凪桜「…去年も時雨先輩と来たけど…やっぱりお祭りのこの雰囲気好きかも」

 

時雨「もうあれから一年かぁ…。早いね」

 

雪音「時雨君と夏祭り!?聞いてないのですが!?」

 

夢華「雪ち、ステイステイ。…にしても都黎達どこ行ったんだろ。そろそろ花火の時間だけど…」

 

清那「白石も付いてるはずなんだけどなぁ…」

 

澄香「あれで意外と抜けてるし、ちょっと心配だね。…それにしてもこのお祭りに来るの、久々だなぁ…」

 

都黎「ふっ、待たせたな」

 

真黒「お待たせー」

 

時雨「ぶふっ…な、何その格好…」

 

夢華「少し見ない間に何がどうなったのさ…それ」

 

 花火を見るために喧騒から少し離れた所で集まっていた時雨達。

 そこへ少し遅れてやって来たのは何かのヒーローの仮面を付け、両手には器用に焼き鳥焼きとうもろこし冷やし胡瓜に綿飴を装備し、両腕から水風船を垂らした都黎だった。その横では何もおかしなことはないと言わんばかりの涼しげな顔で立っている真黒が。

 

清那「…白石、まさかと思うけど昏時君のアレ欲しいコレ欲しいに全部応えたんじゃ…」

 

真黒「え?そうだけど…何かまずか…ったみたいだね、うん。いやその、お祭りなんて初めてみたいだし、つい…」

 

「「ついじゃない!」」

 

真黒「はい…」

 

澄香「…いくらなんでもあのレベルまで買ってたらマズイでしょ…もう見た目訳わからないことになってるもん」

 

清那「…まず白石はマトモな金銭感覚を身に付けようか」

 

真黒「…はい。すみません…」

 

都黎「?」

 

夢華「…都黎も、いくらお祭りだからって何でもかんでも買ってちゃマズイよ。節度ってものがあるし」

 

都黎「そ、そうか…すまない」

 

 ついつい都黎を甘やかしていたという真黒にお叱りの言葉を飛ばす清那と澄香。

 一方で何故真黒が怒られているのか分からずキョトンしていた都黎は夢華から軽く咎められる。

 

時雨「あはは…そういえばそろそろ花火の時間だね」

 

咲穂「楽しみですね…!」

 

調「友達と花火大会だなんて初めてかも…」

 

凪桜「皆と来れて良かった」

 

雪音「…そうですね」

 

ヒュ〜

 

時雨「あ、上がった」

 

パーン!

 

時雨「たまやー!…ってね」

 

都黎「成る程、それが花火の楽しみ方か」

 

時雨「そうそう」

 

ヒュ〜

 

凪桜「次来るよ」

 

都黎「よし…」

 

パーン!

 

都黎「たまやー」

 

リュウジン「たこ焼き…美味いな」

 

 やがて夏の夜空に打ち上げられる色とりどりの花火達。

 その様を見て時雨に倣って都黎も花火を楽しむ。

 そして、花より団子ならぬ花火よりたこ焼きと言わんばかりに食欲に従っているリュウジンは器用に爪楊枝を握ってたこ焼きを食べていた。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「今日はキャンプだね」

 

汰月「偶には少人数での集合も悪くないな」

 

賢昇「ま、そうだな。こういう時こそ楽しくパーっといかねえと」

 

時雨「そうだね」

 

聖「しかしキャンプなんて…何年振りだろう」

 

真黒「僕は中学の時以来ですね」

 

賢昇「うし、昼飯は楽しみにしてろよ。腕によりをかけてやる」

 

「「おお…」」

 

聖「それは楽しみだね」

 

真黒「ふふ、お手並み拝見といこうか」

 

 とある日、時雨、汰月、賢昇、聖、真黒は五人で星出山にキャンプしにやって来ていた。

 偶には大人数ではなく少人数も良いよねと話しつつ、賢昇の作るご飯を楽しみにキャンプ場へと到着する。

 

時雨「えっと、テントは二個でしたっけ」

 

真黒「うん。流石に五人で一個は狭いからね。僕と藍羽先生で小さい方、晴河君達三人で大きい方を使おうかなって」

 

汰月「成る程…」

 

 時雨はテントを組み立てながら、夜それぞれがどこで寝るのかを確認する。

 その結果、時雨、汰月、賢昇で大きめのテントを、真黒、聖で小さめのテントという組み合わせに決める。

 

賢昇「うーし、最高のカレーを作るぜ!」

 

汰月「よっ、天才」

 

時雨「待ってました!」

 

賢昇「分かってんじゃねえか。味合わせてやるぜ、俺のカレーを!」

 

 テントの設営も終わり、いよいよと賢昇はカレー作りの用意を始め、そんな賢昇を時雨と汰月が煽てる。

 

真黒「楽しそうですね」

 

聖「そうだね」

 

真黒「…!…藍羽先生、ちょっと良いですか?」

 

聖「?…どうかしたのかい?」

 

真黒「…これ、見てほしいんですけど」

 

聖「!これって…」

 

真黒「はい。対ヌラリヒョン用にヌラリヒョンの妖気を検知する機能を僕のオンミョウブラストチェンジャーに付けてもらってたのですが…どうやらここに近付いてきてます」

 

聖「狙いは…晴河君だろうか…」

 

真黒「…恐らく」

 

聖「何にせよ、私達で迎撃しよう」

 

真黒「はい。…ちょっと僕と藍羽先生は向こうを見てくるよ」

 

時雨「?分かりました」

 

汰月「何か気になるものでもあったのかな」

 

賢昇「かもな。飯前に戻ってくれば良いけど」

 

 楽しそうな時雨達三人の様子を微笑ましげに見守る真黒と聖。

 しかし、そんなところにヌラリヒョンが接近していることを察知し、真黒と聖の二人は密かに迎え撃つことに決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「…おや、お出迎えかな」

 

真黒「…ヌラリヒョン…何しに来た」

 

聖「…この先では私の大切な生徒達が青春を謳歌していてね。…お帰りいただこうか」

 

雹介「ふむ…本当は妖魔で試したかったのだけれど…仕方ない。まずは君達で試すとしよう」

 

 山道を涼しげな顔で歩く雹介は、その前に立ち塞がった真黒と聖の二人を見ても余裕綽々といった態度を貫き、そんな雹介を撃退すべく真黒と聖の二人は臨戦態勢に入る。

 

真黒「…藍羽先生」

 

聖「ああ、いくよ」

 

《着火!》

 

《最終段階解放!》

 

《八咫烏…!》

《餓者髑髏…!》

 

《伊邪那岐!》

 

《イグニッション!ゼロ!》

《イグニッション!ゼロ!》

 

《インストール!》

《ワーニング!ワーニング!アウェイクニング!》

 

「「変身!」」

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎…零!》

 

《神格装着!ヘンゲ!

 

天界君主!仮面ライダー神羅!伊邪那岐ヨロイ!》

 

 雹介に立ち向かうべく、真黒は禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイへ、聖は神羅 伊邪那岐ヨロイへと同時に姿を変える。

 

雹介「さて、試すとしよう。私の…新しい力を」

 

禍炎「!?そのドライバー…イザナミの…!?」

 

神羅「暁君を助けた時に一緒に回収したはずじゃ…」

 

雹介「これは複製品さ。イザナミの持つ原典のね。…私がイザナミを態々復活させたのも、この書が欲しかったから。それ以外に理由なんてないよ」

 

神羅「…全部お前の手の上だったというわけか…!」

 

雹介「そういうことだ」

 

《五行…!》

 

雹介「刮目したまえ、私の新たな力に。…この力で、私は全てを手にする」

 

《装填…》

 

雹介「変身…!」

 

《支配装着…変化…!

 

邪智全能(じゃちぜんのう)…五行ヨロイ…!》

 

「私は仮面ライダー 伏魔(ふくま)…。私の初陣を飾れること、光栄に思うと良い」

 

 雹介はイザナミのものを複製したのだという禁書ドライバーを見せ付けて装着すると、五行アヤダマを起動し、装填する。

 すると、木葉、火炎、土石、鉄鋼、水泡が雹介の背後に出現し、足元には五芒星の描かれたドス黒い陣が展開される。

 そして雹介が禁書ドライバーを操作すると五芒星が浮かび上がりながらその身にイザナミのものと同様の金色のラインが刻み込まれた黒色の素体を形成する。そしてその上から胸部には木葉が、右腕部には水泡が、左腕部には火炎が、右脚部には金属が、左脚部には土砂が集まり、刺々しいシルエットの黒色の装甲を作り出し、それぞれ胸部には暗い緑色、右腕部には暗い青色、左腕部には暗い赤色、右脚部には暗い白色、左脚部には暗い黄色の宝玉が嵌め込まれる。

 最後に頭部には金色の五芒星が仮面のように装着され、その中央部が紫色に妖しく光を揺蕩わせたモノアイとなる。

 そうして姿を現したのは仮面ライダー伏魔 五行ヨロイ。尊大な態度で禍炎と神羅を挑発する。

 

神羅「…っ…はあっ!!」

 

禍炎「はっ!!」

 

伏魔「フフフ…」

 

神羅「!?」

 

禍炎「…!」

 

伏魔「そんなものかい?」

 

 伏魔の挑発に、神羅は高速で接近して黄金の波動を纏わせた拳で殴りかかり、禍炎は瞬間移動で背後を取って至近距離から銃撃する。

 しかし、伏魔は左手を突き出すだけで神羅の拳を受け止め、禍炎の銃撃に至っては見もせずに掻き消す。

 

伏魔「次は私からいくとしよう」

 

神羅「くっ…うあああっ!!」

 

禍炎「ぐああっ!!」

 

神羅「今のは…!?」

 

禍炎「…あの術、ここまでの威力はなかったのに…!」

 

 伏魔は手を翳すと極太の黄色い光線を放って神羅と禍炎を薙ぎ払う。

 

伏魔「まだまだ…試したいことが沢山あるんだ!」

 

神羅「くっ…だったら!」

 

禍炎「はああっ!!」

 

伏魔「…へぇ。無駄だけどね」

 

「「うあああっ!!」」

 

 伏魔は神羅と禍炎を重力波で捕らえるが、神羅と禍炎はそれぞれ瞬間移動で難を逃れ、急接近して反撃しようとする。

 しかし、伏魔を囲うように生成されたバリアが二人を弾き飛ばす。

 

神羅「どうなってる…!」

 

禍炎「まさか、術式を自在に生み出しているのか…!?」

 

伏魔「正解さ。この力があれば…どんな術式も思うがまま。さて…次は何を試そうかな。そうだ、これでいこう!」

 

禍炎「っ…うあああっ!!」

 

神羅「白石君!!くっ…うあっ!!」

 

 楽しげな声で二人を追い詰める伏魔が空に向かって手を翳すと、空から無数の隕石状のエネルギーが降り注ぎ、禍炎を変身解除に追い込み、神羅も大ダメージを受ける。

 

真黒「無茶苦茶だ…!」

 

伏魔「これが私の力…面白いだろう?」

 

神羅「貴様…!」

 

伏魔「さて、次は何を試そうかな…ん?」

 

時雨「先生!白石さん!」

 

汰月「大丈夫ですか!?」

 

賢昇「あの仮面ライダーは…」

 

神羅「晴河君!二人も…」

 

真黒「奴はヌラリヒョンだ」

 

時雨「ヌラリヒョン…!」

 

伏魔「やあ、これが私の新しい力さ。どうだい?」

 

 伏魔の強さに真黒と神羅が驚いていると、そこに騒ぎを聞きつけた時雨と汰月、賢昇の三人が駆け付ける。

 

時雨「ヌラリヒョンを止める!」

 

《無双!》

 

汰月「…ああ」

 

《激怒!》

 

賢昇「…いくぜ」

 

《地獄!》

 

「「「変身!」」」

 

《無双ヨロイ!オォー!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

《八岐大蛇ヨロイ!》

 

霊魂「ふっ!!」

 

《地獄ヨロイ!》

 

幽冥「オラッ!」

 

伏魔「おっと…」

 

 時雨、汰月、賢昇の三人は次々に駆け出すとそれぞれ妖魔 無双ヨロイ、霊魂 八岐大蛇ヨロイ、幽冥 地獄ヨロイへと変身して突撃していく。

 

妖魔「はっ…はあっ!!」

 

伏魔「おっと…やるじゃないか」

 

霊魂「はっ!!」

 

幽冥「オラァッ!」

 

伏魔「ふむ…この局面なら、これでいこう」

 

 妖魔は伏魔の放つ衝撃波を見切って回避しながら接近して打撃を喰らわせ、続けて霊魂がクサナギガトリンガーで銃撃、幽冥が針を束ねたブレードで斬撃を仕掛ける。

 流石に優勢を保つのが難しくなった伏魔は妖気を固めてオオガマ、ツチグモ、シュテンドウジを召喚する。

 

オオガマ「……」

 

ツチグモ「……」

 

シュテンドウジ「……」

 

霊魂「はあっ!?」

 

幽冥「オオガマに…ツチグモ、シュテンドウジだと!?」

 

伏魔「既に倒されたモノノケを復活させて手下として使う…焚書ドライバーに組み込まれた術式を発展させたものさ。…ま、流石に五行クラスを元の強さ据え置きで復活は出来ないけど」

 

霊魂「…くっ、厄介な…!」

 

幽冥「やってくれる…!」

 

神羅「私も…加勢せねば…!」

 

キョウコツ「させるかぁぁ!!」

 

伏魔「おや…」

 

神羅「淀川一茶…!」

 

 復活したオオガマとツチグモ、シュテンドウジの相手を余儀なくされる霊魂と幽冥。

 結果として単身で伏魔と交戦している妖魔に加勢するため、神羅も加わろうとするが、そこにキョウコツ・三妖混合態が乱入し、神羅を足止めし始める。

 

伏魔「心置きなく戦おうじゃないか!」

 

妖魔「…絶対に負けません!」

 

伏魔「無双の力…どこまで粘れるか見ものだね。はっ!!」

 

妖魔「っ…はああっ!!」

 

 伏魔は妖魔目掛けて強烈な緑色の疾風をぶつけるが、妖魔は無双ゴールドマントを翻して弾き飛ばす。

 

伏魔「…既存の術では通用しないか。なら!」

 

妖魔「刀…!?っ…!」

 

伏魔「ほらほら、逃げないと当たっちゃうよ」

 

妖魔「はああっ!!」

 

伏魔「!…弾き落としてきたか」

 

 伏魔は大量の妖力で出来た刀を飛ばし、妖魔を追い詰めようとする。回避に限界を感じた妖魔は妖之流星刀と妖之弓剣の二刀流で向かってくる刀を全て斬り捌いて対処する。

 

伏魔「こういうのは…どうかなぁ!」

 

妖魔「…!うあああっ!!」

 

伏魔「流石にタダじゃ済まなかったかな」

 

《超絶剛撃!》

 

妖魔「はああっ!!」

 

伏魔「くっ…ぐあっ!!……やるね」

 

 伏魔は妖魔を取り囲むようにして特殊空間を生み出し、その中で爆発を引き起こすことで妖魔にダメージを与えるが、負けじと妖魔も妖之弓剣から凄まじい威力の矢を放って空間を突き破り、そのまま伏魔を吹っ飛ばす。

 

キョウコツ「うああっ!!」

 

神羅「ふ…あなたの力は…通用しない!」

 

キョウコツ「っ…うぐああっ!!」

 

 キョウコツは鋏で斬りかかるが、神羅には片手で受け止められ、そのまま顔面を殴り飛ばされる。

 

キョウコツ「この…!」

 

神羅「そんな程度の攻撃で…私は崩せない」

 

キョウコツ「!?」

 

神羅「こっち…だ!」

 

キョウコツ「うぐあああっ!!」

 

 神羅はキョウコツの枕型エネルギー弾を瞬間移動で避けると背後に現れ、そのまま黄金の衝撃波で吹き飛ばす。

 

オオガマ「……」

 

霊魂「厄介…ではあるけど」

 

幽冥「前程強いわけでもねえ…っ!」

 

ツチグモ「……」

 

霊魂「…俺達二人でなら、いける!」

 

幽冥「みてえだな。覚悟しやがれ!」

 

シュテンドウジ「……」

 

 霊魂は鋭い岩を隆起させてオオガマを牽制し、幽冥は氷塊を纏った右脚でツチグモを蹴り飛ばすと、同時にシュテンドウジに拳を叩き込む。

 

妖魔「はっ!!」

 

伏魔「くっ…!」

 

妖魔「はあっ!あなたの…思い通りになんてなりません…!」

 

伏魔「流石の力と言ったところかな。お見それしたよ」

 

妖魔「はああっ!!」

 

伏魔「っと…だったら私も…!」

 

妖魔「はあっ!」

 

伏魔「ふっ…はあっ!」

 

 妖之流星刀を投げ付けて伏魔を牽制しつつ、自身は剣状態に戻した妖之弓剣で斬りかかる妖魔。距離を詰めると地面に突き刺さっていた妖之流星刀を回収し、再度二刀流に戻って伏魔に連続で斬撃を放ち、対する伏魔はシュテンドウジの武器である外道丸とオオタケマルの生成していた矛を組み合わせて応戦する。

 

伏魔「ククッ…!」

 

妖魔「!……身動きが…!」

 

伏魔「ふんっ!!」

 

妖魔「うあああっ!!」

 

 伏魔は妖魔の足元に巨大な牙のようなものを生成して足を挟むことでその動きを封じ、その隙にドス黒いオーラを纏わせた右脚で回し蹴りを叩き込んで妖魔を蹴り飛ばす。

 

妖魔「…この術式、厄介ですね」

 

伏魔「こういうのは…どうかなあ!!」

 

《河童!妖斬り!》

 

妖魔「!くっ…はああっ!!」

 

伏魔「へえ…流石だねえ…!」

 

 伏魔は近くの岩石を集めて巨大な岩を作り出し、妖魔を押し潰そうとするが、すぐさま体勢を整えた妖魔が繰り出した胡瓜型の水流エネルギーを纏わせた斬撃によって岩を木っ端微塵に砕かれ、失敗に終わる。

 

妖魔(…このままじゃ決め手に欠ける。…どうにかしてヌラリヒョンの隙を作らないと…!)

 

伏魔(やはりこの力を以てしても勝つのは厳しいか。流石の力だ)

 

 互いに距離を取り、出方を窺う妖魔と伏魔。

 しかし、その均衡は思わぬ形で破られる。

 

神羅「はあっ!!」

 

キョウコツ「くっ…このっ!!」

 

神羅「……あなたに構ってる暇はない」

 

《極限段階解放!》

 

キョウコツ「だあっ!!」

 

《天界ジャッジメント!》

 

神羅「ふっ!!」

 

キョウコツ「っ…うぐああっ!!」

 

真黒「…!今のうちに…このアヤダマは回収させてもらいますよ」

 

一茶「…!か、返せ…!」

 

 向かってくるキョウコツに対して、神羅はカウンター気味に横蹴りを繰り出して変身解除に追い込み、飛び散った三つのアヤダマをこれ以上悪事を出来ないように真黒が回収する。

 

《八重爆撃!》

 

《鉄針刑撃!》

 

霊魂「はあああっ!!」

 

幽冥「うおりゃあああっ!!」

 

 霊魂と幽冥は同時に青色のエネルギー弾連射と水流弾による砲撃、極太の針をミサイルの如く打ち出しての爆撃を放ちオオガマ、ツチグモ、シュテンドウジを撃破する。

 

伏魔「おや…やられてしまったか。五行とはいえ流石に妖力で再現した人形では話にならないらしい。…それにしても、情けないな。君は…」

 

一茶「…っ…」

 

伏魔「私もこの力に馴染みきっていないしね。足手纏いがいては勝ち目もなかろうからね。ここは撤退するとしよう」

 

妖魔「っ!…逃げた…!」

 

 伏魔は無様にやられた一茶につまらなさそうな声を漏らすと、不利を悟って一茶共々姿を消すのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「…成る程、イザナミの持っていた禁断之書を複製してたんですね…」

 

賢昇「結局、イザナミさえもアイツの計画に転がされてたってわけか」

 

汰月「…何十年とかけてきた計画…奴は何を目論んでるんだ…?」

 

真黒「分からないけど、少なくともとんでもないことをやろうとしているのは間違いないと思うよ。…五行の力を全て集約させ、それを禁断之書という器を用いて制御した。それによってありとあらゆる術式を操ることが可能になっている。…そこにヌラリヒョンの頭脳が加わってるんだ」

 

聖「…朱井君の予想が正しければ、この世界の理を覆しかねないほどの“何か”をやろうとしている。…そういうことになるよね」

 

 日が暮れ、焚き火を囲いながら時雨達は一通り状況を共有し終わり、ヌラリヒョンの計画がいよいよ形を持って動き出したことを感じ取る。

 

時雨「…ヌラリヒョンが何をするんだとしても…絶対に止めましょう。僕達、仮面ライダーの力で。…皆でならきっと、止められる」

 

汰月「…そうだな。俺達の力を合わせて…」

 

賢昇「あいつの計画をぶっ潰す!!…そのためにも、まずは腹ごしらえだな」

 

聖「そういえば結局、昼ご飯食べ損ねちゃったね」

 

真黒「僕もお腹ぺこぺこだよ」

 

 例えヌラリヒョンが何を企んでいようが、その計画を阻止してみせると意気込む時雨に続いて汰月と賢昇もやる気を出す。

 そして食べ損なった昼食を摂るため、賢昇は改めてカレーを温める。

 

賢昇「出来たぞー」

 

時雨「わ、美味しそう!」

 

汰月「いただきます…。うん、美味い」

 

時雨「美味しい!」

 

賢昇「だろ!自信作だ」

 

真黒「キャンプっていう雰囲気もあって特別な美味しさになってるね」

 

聖「…腹が減っては戦はできぬというしね。しっかり腹拵えしよう!」

 

 わいわいとカレーを食べながら、五人は自分達を活気付ける。

 

時雨「……」

 

汰月「あ、こんなとこにいた」

 

賢昇「ババ抜きやろーぜ」

 

時雨「二人とも」

 

汰月「…何か考え事か?」

 

時雨「…まあ、うん」

 

賢昇「んだよ、不安がったって仕方ねえだろ。どっしり構えていこうぜ」

 

時雨「あはは…そうだね。……色々あったなぁって、思ってたんだ」

 

 完全に夜になり、時雨は川のほとりで水面に映る月を眺めていた。

 そこに汰月と賢昇がやってくるが、そんな二人に時雨はこれまでのことを思い出していたことを語る。

 

汰月「…確かに、色々あったな」

 

賢昇「…お前等と出会ったり、学園間で争いが起きたり、イザナミが出て来たり…」

 

時雨「……この一年、辛いこととかもあったけど…それ以上に大切な物が沢山増えたなって思って。夢だって出来たし。…だから、守らないとね」

 

汰月「…そうだな」

 

賢昇「…おう」

 

 色々あったことを振り返り、辛いこともあったものの、その中で得た大切な物が沢山あることを思い、三人は決意を固める。

 

時雨「…そういえば、ヌラリヒョンの夢…目標って何なんだろう」

 

汰月「……ヌラリヒョンの夢…」

 

賢昇「…確かに、あれだけのこと、並大抵の努力じゃ出来ねえよな」

 

時雨「うん。…途方もないほどの長い時間をかけてまで…ヌラリヒョンは何がしたいのかなって」

 

賢昇「…ま、分かんねえことは考えても仕方ねぇ。そろそろ戻ってババ抜きしようぜ」

 

汰月「そうするか」

 

時雨「まあ、確かに…って、ちょっと待ってよ〜」

 

 時雨はヌラリヒョンが何を目的としているのか、その「夢」と呼べるものは何なんなのか考えるが、汰月と賢昇の言葉もあり、考えても仕方のないことだと割り切ると、テントに戻り始めた二人を追いかける。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「やれやれ…君のせいで折角の実験が台無しだよ」

 

一茶「申し訳ございません…!」

 

雹介「…仮面ライダーには負けて、こっちの作戦は漏らして、アヤダマは奪われて、てんで成長していないんじゃないかな」

 

一茶「そ、そんなことは…!」

 

雹介「…結果も出せていないのに、かい?」

 

一茶「…っ!」

 

 和邸にて、雹介は失態続きの一茶を詰っていた。

 

雹介「君には期待していたんだが…期待外れだったみたいだね。……矢張り、大蛇石を手に入れる方が早いか」

 

一茶「ま、待ってください!今度こそ!今度こそ役に立ってみせます!だから…」

 

雹介「…君に今度はないよ。…生憎、役立たずの無能に割いてあげる時間はないんだ。使い物にならないのなら…代わりを手に入れるだけ」

 

一茶「そ、そんな…!」

 

雹介「…次の標的は…霊魂。君だ」

 

 雹介は一茶に戦力外通告を言い渡すと、不敵な笑みを浮かべ、大蛇石…クサナギガトリンガーの持ち主である汰月を思い浮かべるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

汰月「舐めてもらっちゃ困るな…!」

 

賢昇「お前は俺達が止める!」

 

雹介「私の計画のため、欲しいものがあってね」

 

動き出す伏魔(ヌラリヒョン)の計画…

 

凪桜「…ここからは、私も戦う。時雨先輩が望む…ハッピーエンドのために!」

 

時雨「凪桜ちゃん…何で…!?」

 

凪桜「今からは…私が仮面ライダー黄泉。この力は…私が未来を作るために使う!」

 

凪桜、決意の変身!

 

一茶「お前さえ…お前達さえ…いなければァァ…!うああああっ!!」

 

リュウジン「あれはもはや…人間ではない」

 

第肆拾捌話「不屈闘魂で立ち向かえ!」

 

日曜午後9時!




四十七話をご覧いただきありがとうございます!

さて、今回は夏の思い出回…そして最強の敵、仮面ライダー伏魔の登場回となりました。

長らく暗躍して来たヌラリヒョン。その計画がいよいよ動き出すこととなります。
ここからが本当の最終章。最後の一月、是非とも見届けてくださると嬉しいです。

さて、今回登場の仮面ライダー伏魔ですが、名前については妖魔と同じく「魔」の付く名前であり、尚且つ悪人や悪魔の類が潜んでいるという意味も人の心の闇に漬け込み、気配を消すことを得意とする黒幕であるヌラリヒョンのキャラ性に何となくマッチしていると思い、付けさせていただきました。
最悪な“ラスボス”伏魔の活躍も是非ともお見逃しなく!

さて、今回は伏魔の変身ポーズ紹介もやっていきます。(このコーナーもこれで最後となります)

①五行アヤダマを逆さまにした状態で右手で持ち(位置は顔の右横で構える)、人差し指で五行アヤダマを起動します。
②そのまま禁書ドライバーに五行アヤダマを装填します。
③装填した右手で栞を引き下げ、表紙を展開します。
④左手を広げて正面に突き出し、すぐに手を返して自分の喉の高さまで持って来て「変身」の掛け声を上げます。
⑤左手は維持したまま右手で表紙を閉じたら、右手と左手を手首で交差させつつ、顔の横に両手を持って来ます。(イメージ的には外科医みたいなポーズ)
…という手順となっております!お付き合いいただきありがとうございました!
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