リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!
行方不明事件の解決を雪音と副会長の桃原夢華から依頼された歴史研究部!現場で出会ったのは消えた弟を探す照羅巣高校一年生の霧宮調!
そして妖魔の前に現れたもう一人の仮面ライダー・霊魂。その正体は津久代高校の二年生で治安維持委員会の委員長である日島汰月だった。
歴史研究部と治安維持委員会。仮面ライダー妖魔と仮面ライダー霊魂。両者の協力によって事件の犯人であるヌリカベを撃破し、無事に行方不明になった人を助け出したのだった…」
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聖「お、皆揃ってるね」
時雨「藍羽先生!」
聖「さて、今日から本格的に調査開始だ」
凪桜「今日はどこに行くの?」
聖「今日調査に行くのは
調「そうなんですね。…あれ、山の上ってことは…今回は山登りですか…?」
聖「そうなるね。と言ってもそこまで標高の高い山じゃないし、道も整備されてるからそんなに身構えなくて大丈夫だよ」
時雨「な、成る程」
調「うぅ…体力には自信ないんだけどな…」
時雨「……僕も」
咲穂「私もあんまり…」
凪桜「さあ!早速行こう!」
(主に凪桜とそれ以外の三人との間で)温度差はありつつも、歴史研究部一行は早速調査に向けて出発するのだった…。
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第肆話「神社調査と新たな風」
時雨「ここが…猫守神社の麓ですか」
聖「ああ。照羅巣に接する山間の神社。結構歴史は古いんだ。故にこの街とモノノケに関する情報が何か出て来るかもしれない」
凪桜「山登りだけでは終わらない…。やることは山積みだな」
調「が、頑張っていきましょう!」
時雨「ここにも鳥居があるんですね。…あれ?猫だ…」
凪桜「本当だ。…可愛い」
猫守神社のある山の麓に辿り着いた時雨達。登ろうとする前に、時雨は鳥居の上に白猫がいることに気付く。
調「何だか、やけに貫禄のある猫ですね…」
咲穂「確かに。言われてみればそうですね」
聖「あれは…」
時雨「…あ、逃げちゃった」
調「あの高さからでも平気なんて、凄いですね、猫って」
凪桜「なら、私達も行こうか」
時雨と目があった白猫。その不思議な貫禄に、時雨が気圧されていると、白猫は突然鳥居から飛び降り、山道の脇に消えて行く。そして、それに合わせて時雨達も登り始める。
時雨(あれ?結構拓けてるのに…猫の姿がない。どこ行ったんだろ…?)
登り始めてすぐ、時雨はふと気になって横を見ると、山道の横は木が生えておらず、背の低い草しか生えていない拓けた野原になっているにも関わらずさっきの白猫が影も形も消えていることを不思議に思うが、すぐに山登りに集中する。そうして、時雨達は古びた参道を歩いて登っていく。
調「はぁ…はぁ…」
咲穂「…ちょっと、疲れましたね」
時雨「確かに…休もうか」
凪桜「何だ、皆情けないな」
時雨「凪桜ちゃんは元気だね…」
凪桜「まあね。運動は日頃から欠かさないようにしている。それよりも時雨先輩」
時雨「な、何?」
凪桜「この世は優勝劣敗弱肉強食。仮面ライダーがそんな調子じゃ、すぐにやられてしまう」
時雨「か、返す言葉もございません」
聖「まあまあ。高さはそれなりとはいえ、結構急だしね。丁度この辺りは開けてるし、少し休憩といこう」
凪桜の言葉に時雨がぐうの音も出ずにいると、聖の提案により一同は休憩を取ることに。
調「やっぱり布留杜市って大きいですよね…」
咲穂「ですね。山も幾つかありますし…」
聖「その昔は今で言う貴真賀の辺りに村があったみたいだね。この辺りはポツポツと小さな集落があるくらいで、ここまでしっかり街になったのは明治時代以降なんだ」
凪桜「成る程。…ところで、明治って何年前?」
時雨「100年くらい前かなぁ…って、凪桜ちゃん。それくらい歴史の授業でやるでしょ」
凪桜「そうだったっけ?」
調「…俺も自信ないかも」
聖「……」
時雨に尋ねた凪桜だったが、その質問は授業でやっているはずの範囲だったために時雨から指摘を受ける。しかし、それに対して完全に忘れているような素振りを見せたために、直接の受け持ちではないものの、歴史担当の教員である聖は思わず沈黙する。
聖「そうだね…うん。一年のクラスの歴史を担当している川西先生には頑張ってもらわないとね…」
時雨「あはは…」
凪桜「問題ない。勉学は頑張っている」
咲穂「良かったら今度教えますよ?」
調「良いなぁ…」
咲穂「なら、霧宮君もどうぞ」
調「えっ!?で、でも二人に教えるのは大変じゃないですか…?」
時雨「あー、だったら僕も一緒に教えるよ。これでも先輩だしね!…まあ、霞流さんに比べると大分劣るけど…」
咲穂「なら、今度皆で勉強会でもしましょうか」
凪桜「勉強会か…良いな」
時雨「ナイスアイデアだね」
調「…勉強するのが楽しみなの、初めてかも」
聖「良い心掛けだね。…さて、そろそろ再開しようか」
聖の一言に、四人は立ち上がり、山登りを再開する。
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それから暫く、時雨達は疲労を覚えつつも山の上へと登り終え、猫守神社へ辿り着く。
時雨「やっと着いた…ここが猫守神社…?」
聖「そうだね。…さて、調査を…ん?あれは…」
咲穂「見覚えのある方がいますね…」
凪桜「…津久代の治安維持委員の委員長、こんな所で何してるの?」
汰月「あれ、歴史研究部の皆だ」
山の上まで登った先で一同が出会ったのは本来津久代地区に暮らしているはずの汰月だった。
時雨「僕達はここの神社に用があって来たんですが…日島君は?」
汰月「俺は日課のランニング。ここの山道は登るのに丁度良い」
調「あ、あの山道を良く走ってるんですか?」
汰月「この山に来たのは久々かな。普段は津久代の近くの山の方に行くんだけど、偶に気分転換で別の山に来る時もある」
咲穂「それでわざわざ照羅巣の方まで…」
凪桜「流石に私もそこまで体力は無いな…」
ランニングのためにここまで来たという汰月に、四人は驚きや感心を見せる。
聖「…君が仮面ライダー霊魂か。この間はうちの部員達と協力して事件解決に当たったんだよね?」
汰月「まあ、彼等の力を借りるのが一番確実だったから。あなたは?」
聖「自己紹介が遅れたね。私は藍羽聖。歴史研究部の顧問だよ。宜しく」
汰月「俺は日島汰月。治安維持委員会の委員長です。初めまして」
初対面だった汰月と聖は互いに挨拶を済ませる。
汰月「そういえば皆はこの神社の調査に来たんだっけ?」
時雨「はい。この神社は古くからあるそうなので、モノノケに関する情報なんかも得られるんじゃないかなと」
汰月「そっか。俺はそろそろ帰ろうと思ってたとこだったから、頑張って。それじゃ──!皆、危ない!」
聖「伏せてっ!」
リュウジン「ふんっ!」
時雨「なっ…!?」
凪桜「攻撃された…?」
調「木がスパッと…!?」
咲穂「今のは…風?ですが明らかに鋭過ぎるような…」
時雨達が話し終え、汰月は山を降り、歴史研究部の五人は風渦神社に向かおうとしたタイミングで、「見えない何か」が時雨達を襲い、咄嗟に汰月と聖が他の全員を突き飛ばし、更に飛んで来た「見えない何か」の一部をリュウジンが飛び出て弾き飛ばしたお陰で事なきを得る。
しかし、時雨達に当たらなかった「見えない何か」は背後にあった木の一部をいとも容易く切り裂いてしまう。
時雨「リュウジンさん、ありがとうございます…」
リュウジン「全く、おちおち寝てもいられぬわ」
汰月「今のは…風の刃?」
時雨「動きが追えない…!」
攻撃を回避した時雨達は何かが高速で動き回っていることまでは分かるが、木の影などを通っていることもあって動きを追い切れていなかった。しかし次の瞬間、何かがぶつかるような音と共に異形の者が転がり出て来る。
???「何だァ!?」
時雨「あれは…」
汰月「…“カマイタチ”…成る程。アイツの手に付いてるあの鎌から風の刃を放ってたのか」
現れたのは赤色の鉢巻を巻いたイタチのような姿に両腕に鎌の付いたモノノケ・カマイタチだった。
自身の妖之書でその正体を見破った汰月は冷静に考察する。
カマイタチ「見付かっちまったなら仕方がない…仮面ライダー!お前達を倒して名を上げてやる!!」
時雨「僕達が狙い…?」
汰月「仕方ない。いこう」
時雨「ですね!皆は下がってて!」
聖「ああ、こっちだ」
《龍!》
《大蛇!》
《装填!》
時雨「変身!」
汰月「…変身」
《憑依装着!変化!》
《登竜大成!龍ヨロイ!》
《蛇行咬合!大蛇ヨロイ!》
カマイタチの狙いが時雨と汰月であったことに気付いた二人はそれぞれ妖魔 龍ヨロイと霊魂 大蛇ヨロイに変身し応戦する。一方残る四人はその場から少し離れる。
妖魔「はあっ!」
霊魂「…ふっ!」
カマイタチ「ふははっ!遅いわぁ!!」
「「うあああっ!!」」
妖魔「は、早い…!」
霊魂「変身しても追い付けないとはね…」
妖魔は弓状態の妖之弓剣で、霊魂は銃状態の妖之斧火縄でそれぞれ射撃を行い、カマイタチを狙うが、その素早い動きに避けられてしまった上に、鎌による斬撃を浴びてしまい、ダメージを負う。
霊魂「闇雲に撃ってもダメそうだ…どうしようか」
妖魔「あの素早い動きを何とか封じないとですよね…」
リュウジン『ならば、我の力を使ってみるのはどうだ?アレならばいけるかもしれない』
霊魂「?」
妖魔「成る程!名案です!…ツクモブースターさん!力を貸してください!」
霊魂「おっと!…バイクか。良いね」
カマイタチ「む…!」
リュウジンの提案を受けた妖魔がツクモブースターを召喚し、ツクモブースターはカマイタチからの攻撃を弾き返す。
カマイタチ「ふははっ!無駄な足掻きだな!」
リュウジン『リュウジンブースター起動!』
カマイタチ「何?」
妖魔「いきますよ…!」
霊魂「え?リュウジンが大きくなって…あ、くっ付くんだ…おお、カッコ良い」
妖魔はツクモブースターと巨大化したリュウジンが融合したリュウジンブースターに乗り込むと、そのまま空を翔ける。
妖魔「よーし!お願いします!」
リュウジン「喰らえっ!」
カマイタチ「くっ!電撃だと…!」
リュウジンブースターの放った電撃によってカマイタチの動きが封じられ、その隙を逃さない霊魂は妖之斧火縄を斧状態に変えながら素早く接近する。
《斧之刻!》
霊魂「隙が出来た…!」
《装填!一・撃・必・殺!》
《蛇行断撃!》
霊魂「はあっ!」
カマイタチ「しまっ…ぐぬあっ!!」
妖魔「これで…決めます!」
《装填!一・撃・必・殺!》
《登竜射撃!》
妖魔「たああっ!」
カマイタチ「ぐあああああっ!!」
霊魂が蛇の頭を模したエネルギーを纏った妖之斧火縄で斬り上げることでカマイタチを空に打ち上げ、そこに妖魔は雷の龍型の矢を、リュウジンはそれに合わせて電撃波を同時に発射し、カマイタチを貫いて爆散させる。
妖魔「…何とか倒せましたね」
霊魂「そうだね。…さて、今度こそ帰ろうかな…!?うわっ!」
妖魔「!痛ぁっ!?」
カマイタチ「ふひひっ、俺はここだぜ〜!」
妖魔と霊魂が変身を解こうとしたその時、二人を不意打ちしたのは倒したはずのカマイタチだった。ただ、その鉢巻の色は先程と違い青色に変わっている。
妖魔「!?確かに倒したはずなのに…」
霊魂「どうなってるんだ…?」
カマイタチ「ふひひひひっ!お前達を倒してやる!」
妖魔「!」
カマイタチ「ぐあっ!な、何だ…?」
カマイタチが妖魔目掛けて鎌を振り下ろそうとすると、妖魔の背後から駆け抜けてきた“何か”がカマイタチを弾き飛ばす。
「シャーッ!」
霊魂「…猫?」
妖魔「この子ってさっきの…」
カマイタチ「な、何だぁ?…チッ、白けるぜ」
妖魔「!逃げた…」
カマイタチを弾き飛ばした影の正体は時雨達が麓で見た白猫だった。
カマイタチはボヤきつつ撤退し、それを確認した二人は変身を解く。
時雨「…君は、一体……」
「……」フイッ
時雨「あっ…行っちゃった……」
汰月「モノノケを弾き飛ばすなんて単なる猫に出来る芸当じゃない。あの猫、只者じゃなさそうだけど、時雨は何か知ってるの?」
時雨「ここを登る時に麓で見掛けたんです」
謎の白猫に時雨は語り掛けるが、白猫はその場を立ち去り、それを見た汰月に時雨は麓で会ったことを教える。
汰月「成る程。…帰ろうかと思ったけど、狙われてるのは俺達二人みたいだし、取り敢えず俺も暫く君達と一緒に行動しておくか。…良いかな」
時雨「僕は別に大丈夫ですよ。皆は?」
凪桜「私は問題ない」
咲穂「私も問題ないですよ」
調「俺も…大丈夫です」
聖「私もオッケーかな」
汰月「ありがとう」
猫について不思議に思いつつも、敵の狙いが自分達仮面ライダーであると気付いていた汰月は、もう一人の仮面ライダーたる時雨と共に行動することを選ぶ。
汰月「中々厄介な相手だったし、時雨と二人で対処した方が良さそうだからね」
時雨「そうですね。あのスピード、どうやって対抗しましょうか」
汰月(…いざとなればこれもあるけど、コイツは暴れ馬だからあんまり使いたくないんだよな……)
カマイタチにどう対抗するか語る二人。汰月は密やかに橙色のアヤダマを取り出し、軽く見遣るが、その使用を渋り、再びしまう。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「さて、気になることは多々あるけれど、まずは調べ物をしてみようか」
聖の一声で目的を思い出した時雨達は神社の裏にある蔵に入る。汰月は特に興味無いからと着いて行かずに境内でトレーニングを始めていた。
聖「これだね。私も中身を見るのは初めてだから少しワクワクしているよ」
調「これって…いつの物なんですか?」
聖「調べたところによると、これは江戸時代中期の記録らしい」
凪桜「江戸時代…明治の前だっけ?」
咲穂「そ、そうですね」
時雨「それくらいは自信持って答えようよ…」
聖が蔵の奥から取り出したのは古い文献だった。その古さを調が聖に尋ね、その答えに対し凪桜は頭を傾げる。しかし、その内容自体は分かって当然のものだったために時雨からツッコミを入れられる。
時雨「…それで、肝心の内容は…なんて書いてあるのでしょうか?これは」
聖「ええっと、要約すると、『元禄三年五月に悪さするモノノケがいた。けど、ネコマタ様がお守りになってくれた。やはりネコマタ様はこの神社の守り神様だ』って書いてあるね」
古い文献を広げ、内容を読もうとするも、昔の書物特有の字体のために時雨達はよく読めず、代わりに聖が読み上げる。
時雨「ネコマタ…モノノケの名でしょうか」
リュウジン「恐らくはな。二又の尾を持つ猫のモノノケだ」
凪桜「猫…そういえばさっきの戦いの時も不思議な猫がいたけど……」
咲穂「カマイタチ相手に渡り合っていましたし…少なくとも普通の猫ではなさそうでしたけど」
聖の読み上げた文献に出てくる「ネコマタ」について説明するリュウジン。不思議な猫ということで先程出会った四人は白猫を思い浮かべる。
時雨「尻尾は一本だったような…」
調「それだとネコマタの特徴に合いませんね…」
リュウジン「ネコマタは“化ける”力を持っているという。人に化けたり、物に化けたりといった感じでな。ならば普段は普通の猫の振りをしていたとしても不思議はないな」
咲穂「成る程…。先程の猫がネコマタだったとすれば、今もこの辺りにいるということですよね」
時雨「そうなるね」
咲穂「人に敵対的なわけではなさそうですし、カマイタチ対策に力を貸してもらえないでしょうか?」
調「確かに…さっきはスピードに苦戦してましたからね」
凪桜「悪くないアイデアかもしれない」
時雨「なら、探してみようか。物語的にも、あの猫はいかにも『重要人物!』って雰囲気だったし」
白猫の正体こそネコマタではないかという仮説を立てた咲穂の発案から時雨達はネコマタを探すことに決める。
⭐︎⭐︎⭐︎
汰月「…そうか。それは良いかもしれない。俺も手伝うよ」
時雨「ありがとうございます!」
咲穂「手分けした方が良さそうですね。ここにいるのは六人…二人一組の3チームでどうでしょう?」
凪桜「そうだね…なら、組み分けは藍羽先生がお願い」
聖「了解。このメンバーなら…晴河君と暁君、霞流君と霧宮君、日島君と私…でどうかな?」
汰月「異論ナシです」
時雨「僕も大丈夫です」
聖の組み分けに異議を申し立てる者もおらず、時雨と凪桜、咲穂と調、汰月と聖の組み合わせで行動することになる。
⭐︎⭐︎⭐︎
──一時間後
凪桜「見つからないな…」
時雨「他の皆からも連絡は来てないしね…。そんな簡単にはいかないのかな…」
中々白猫が見付からず、二人が疲労感を覚えていた、その時だった。
???「俺様に何か用かにゃー?」
時雨「!…さっきの白猫!…って、今…」
凪桜「…人の言葉を話した…?」
???「そりゃあそれぐらい簡単だにゃー、俺様…ネコマタ様にかかればにゃあ!」
二人が声のした方を向くと、その木の上には先程の白猫が。喋り出したことに時雨と凪桜が驚いていると、白猫は地面に飛び降りつつ姿を変え、尾の二つある白猫となる。
時雨「やっぱり…あなたがネコマタさんだったんですね!」
ネコマタ「そうだにゃあ」
凪桜「あなたに、頼みがあって探していたんだ」
ネコマタ「頼み?」
時雨「はい。さっき戦ったカマイタチというモノノケの速度は厄介でして…対抗するためにネコマタさんの力を貸していただけないでしょうか?」
ネコマタ「ふむ…」
時雨と凪桜から説明を受け、協力を仰がれているネコマタだったが、少し悩む素振りを見せると、首を横に振る。
ネコマタ「お断りするにゃ」
時雨「ええ!?そ、そんなぁ…」
ネコマタ「そもそも、お前らのこと、何も知らないしにゃあ」
凪桜「…なら時雨先輩、ここは自己紹介してみたらどうだろう」
ネコマタから断られてしまったので、時雨は自己紹介をすることにする。
時雨「成る程!それもそうだね。
ネコマタさん!僕は晴河時雨って言います!ワンダーファンタジアというアニメが好きなんです!」
ネコマタ「え?アニメ?」
時雨「はい!」
ネコマタ「いや…そもそもそういう──」
時雨「ワンダーファンタジアはとっても面白いんですよ!涙あり、笑いありで感動するような話や、熱く盛り上がる話もある最高のアニメなんです!」
ネコマタ「ああ、うん…そう…」
凪桜「私は暁凪桜。私もワンダーファンタジアが好きなんだ。ワンダーファンタジアの良さは…」
ネコマタ「そ、その話はもう十分だにゃー!」
凪桜「むぅ、話したいことは沢山あったのだが…」
時雨「あ、ネコマタさんは何か好きなこととか、好きなものとかありますか?」
ネコマタ「俺様?…そうだにゃあ…昼寝と、あの神社かにゃー」
凪桜「…そういえば、ネコマタは昔あの神社を守ったのか?」
ネコマタ「よく知ってるにゃー。…ここは、俺様にとって大切な場所なんだにゃあ。だから、そんな俺様の縄張りを荒らしてきた奴を懲らしめた。…それだけなんだにゃ」
時雨「そうだったのですね…」
ネコマタ「さーて、そろそろ俺様は行かせてもらうにゃー」
凪桜「あっ…行っちゃった」
時雨「うーん、どうしよう…」
凪桜「…!私にアイデアがある!」
時雨「!本当!?」
姿を消してしまったネコマタに、時雨がどうするべきか悩んでいると、凪桜が何か策を思い付いたらしく、声を上げる。
凪桜「説得で駄目なら貢ぎ物をしよう」
時雨「貢ぎ物…?」
凪桜「前にマタタビという植物を猫は好むと本で読んだことがある。だからこの山でマタタビを見付けて、ネコマタにあげるんだ」
時雨「な、成る程…?確かに猫がマタタビを好むという話は聞くけど、そう都合良くここに生えてるかな?」
凪桜「それは探してみなきゃ分からないよ。けど、マタタビの実が成る時期は丁度九月から十月で今頃だし、もし見付けられたら役に立ちそう」
時雨「まあ、探せる範囲で探してみようか。危ないから山道沿いにだけど」
凪桜「決まりだね。さあ行こう。作戦コードマタタビ、任務スタートだ」
凪桜の発案から、時雨と凪桜の二人はマタタビ探しを始める。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「結局麓まで降りて来たけど…見つからなかったね」
汰月「時雨が見かけたこの辺りならと思ったのですが。…そうですね。登るのは構いませんが…先生は大丈夫ですか?」
聖「私も問題ないよ」
汰月「確かに…鍛えてそうですしね。何かスポーツをやってるんですか?」
聖「!良い観察眼だね。…まあ、年取ると体力が落ちるからね。単なる悪足掻きだよ」
汰月「先生まだ二十代だって時雨から聞きましたけど…」
聖「細かいことは気にしない」
ネコマタを探して麓まで降りて来ていた汰月と聖の二人がそんな会話を交わしていると、一陣の風が二人目掛けて吹き抜ける。
汰月「!危ない!」
聖「おっと…敵さんの来襲か…」
カマイタチ「ふへへッ…!」
汰月「先生は神社に戻って、時雨に連絡お願いします」
聖「…そうさせてもらおうかな」
風の正体は黄色の鉢巻を巻いたカマイタチだった。直前で気付いた汰月は聖と共に地に伏せて攻撃を避けると、聖を逃してカマイタチと対峙する。
カマイタチ「ふへへっ…霊魂…お前を狩ってやる!」
汰月「…上だと神社が近かったし危なくて使えなかったけど、ここでなら時雨が来るまでの時間稼ぎくらいは出来そうかな」
《大蛇!》
《装填!》
汰月「変身!」
《憑依装着!変化!
蛇行咬合!大蛇ヨロイ!》
霊魂「はあっ!」
カマイタチ「遅いわッ!」
襲来したカマイタチに対し、汰月は霊魂 大蛇ヨロイに変身して妖之斧火縄による銃撃を放つが、避けられてしまう。
カマイタチ「ふへへっ!!!」
霊魂「くっ…!やっぱり素早いな…コレを使うしかないか」
素早く接近したカマイタチの斬撃を何とか妖之斧火縄で弾き返すと、霊魂は橙色のアヤダマを取り出して見つめる。
⭐︎⭐︎⭐︎
ネコマタ「にゃったく…あの時雨と凪桜とかいう人間は変な奴等だったにゃあ…。けど…ふふっ」
時雨達の前から姿を消したネコマタは、自身のお気に入りの場所である神社まで戻って来て先程の出来事を回顧し、笑みを零す。
ネコマタ「…ん?」
カマイタチ「ったく…もう一人の仮面ライダーの奴どこ行きやがった?あーもう!面倒臭えな!!……待てよ?この神社に何か用ありそうだったな。なら、ここ狙えば…オラアッ!」
ネコマタ「!させるかにゃーっ!」
カマイタチ「ああ?お前は…俺の邪魔してくれた奴か…」
ネコマタ「この神社を傷付けさせはしないにゃー…!」
カマイタチ「丁度良い…さっきの礼をしてやるよッ!」
ネコマタ「にゃーっ!!」
神社の前に現れたのは青い鉢巻のカマイタチ。カマイタチは風の刃を飛ばして神社を攻撃するが、ネコマタが間一髪で弾き飛ばす。
そして、睨み合っていた両者は互いに駆け出し激突する。
咲穂「何だか向こうが騒がしいですね」
調「神社の方ですけど…」
咲穂「!あれは…カマイタチ…それに」
調「あの猫のモノノケは…ネコマタ…でしょうか?」
咲穂「…日島君の連絡先は知らないので…少なくとも晴河君には連絡しないといけなさそうですね」
調「な、なら俺が晴河部長に連絡します!」
咲穂と調は神社での騒乱に気付き、時雨に報せるべく行動する。
時雨「マタタビ…見つからないね…」
凪桜「まだだよ、時雨先輩。可能性はゼロじゃない」
時雨「そうだけど…って、電話…霧宮君から?もしもし」
調『ぶ、部長!大変なんです!』
時雨「ど、どうしたの?」
調『今、さっきのカマイタチってモノノケと、ネコマタさんが戦ってるんです!』
「「!」」
調『神社の本殿があるところです!急いで来てください!』
調からの電話で時雨と凪桜は状況を知る。
時雨「急いで向かわないと…」
凪桜「幸い、ここからならそう遠くはない。急ごう」
時雨「だね」
マタタビ探しで山道を巡っていたために本殿の近くにいた二人は急いでそちらへ向かうのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
霊魂「さーて…どうしよっか」
カマイタチ「お前はここでおしまいさ!!救援もどうせ来れないしな!」
霊魂「…どういう意味?」
カマイタチ「そろそろネタバラシしてやるとするか!この俺様はお前達が倒したカマイタチとは違うのさ!」
霊魂「!…まさか…」
カマイタチ「そうさ!俺達カマイタチは三人組!今頃お前の仲間ももう一人にやられている頃だろう!ふへへっ!!さあ!覚悟しろ!」
霊魂「成る程…道理でその鉢巻の色が変わってたわけだ。さて、生憎そう簡単にやられるわけにもいかないんだよ、ね!」
カマイタチは自身が三人組であることを明かし、霊魂を煽る。対して霊魂は挫けずにカマイタチに向けて射撃して牽制するが、決定打を与えられずにいた。
霊魂「この速度、対処するには!」
《装填!一・撃・必・殺!》
霊魂「はああっ!」
《熱狂銃撃!》
カマイタチ「ふんっ!そんな攻撃…!?追って来るだと!?ぐあああっ!!」
霊魂は橙色のアヤダマを妖之斧火縄に装填すると、炎の車輪を弾丸として射出し、カマイタチを狙う。最初は避けられてしまうものの、炎の車輪は回転してカマイタチを狙って追尾し、追い詰める。
霊魂「これは、流石に神社のすぐ近くで使うわけにはいかないけど、これだけ広ければ使える。さて、倒させてもら──」
賢昇「楽しそうな遊びしてんな!」
霊魂「君は…?」
カマイタチ「アァ?」
霊魂がトドメを刺そうとカマイタチに銃口を向けた時、そこに割り込む男が一人。
賢昇「俺様は
霊魂「…?」
カマイタチ「よく分かんねえが、チャンス!」
賢昇「待てよ」
カマイタチ「ぐわあっ!…な、何で…!」
霊魂の前に現れた賢昇に二人は一瞬動きを止めるが、カマイタチはその隙に逃亡しようとする。しかし、それを見逃さなかった賢昇はスマートフォンにグリップがくっ付いて拳銃型となったデバイスを取り出すと、カマイタチを背後から撃ち、その動きを止める。
霊魂「それは…」
賢昇「ブンプクブラストフォン。イカすだろ?」
カマイタチ「この野郎…!」
賢昇「さーて、盛り上がんのはここからだ!」
霊魂「!妖書ドライバー…まさか君は…」
賢昇はブンプクブラストフォンを見せ付けると、懐に仕舞い、代わりに妖書ドライバーを取り出す。その表紙に刻まれた文字は「幽冥」。
不敵な笑みを浮かべた賢昇は妖書ドライバーを装着し、赤色のアヤダマを取り出す。
⭐︎⭐︎⭐︎
時雨「!あれだね!」
ネコマタ「ぐああっ!!」
凪桜「ネコマタがやられてる!」
カマイタチ「ふひひっ!俺様の邪魔した罰だぜ〜?」
時雨「止めてくださいっ!」
駆け付けた時雨と凪桜はカマイタチにネコマタがやられている光景に気付き、時雨は妖書ドライバーを装着しながら駆け出す。
カマイタチ「お前は…妖魔!」
ネコマタ「時雨…?」
《龍!》
調「部長!」
咲穂「来てくれましたね…」
《装填!》
時雨「変身!」
《憑依装着!変化!
登竜大成!龍ヨロイ!》
妖魔「はあっ!」
凪桜「ネコマタ、大丈夫?こっちに…」
時雨は走りながら妖魔 龍ヨロイに変身して妖之弓剣で斬りかかる。
一方で凪桜はネコマタを保護し、咲穂と調の元に向かう。
カマイタチ「当たらんなぁ!そんなトロい攻撃は!」
妖魔「!はあっ!」
カマイタチ「俺の攻撃を躱しやがっただと!?クソッ!」
妖魔「何度も同じ手は喰らいません!」
カマイタチは妖魔の攻撃を避けて煽るが、自身の攻撃も妖魔に避けられてしまい、焦りを覚える。その後放たれた風の刃も妖魔は回避と妖之弓剣による防御を駆使して乗り切る。
カマイタチ「チッ!…だったらこういうのはどうだ?ふんっ!」
妖魔「!神社を…させません!うあっ!」
カマイタチ「まだまだ行くぞォ!」
妖魔「くっ、はあっ!うっ…!」
カマイタチは妖魔ではなく神社に向けて風の刃を飛ばし、妖魔はそれを防ぐために自身が攻撃を受ける。そしてカマイタチは追撃を放ち、妖魔はそれを妖之弓剣で弾いたり防いだりしつつも、それが間に合わない分をその身で受け止め続ける。
凪桜「!あいつ…時雨先輩が避けられないように神社を狙ってる…!」
調「そ、そんな…!」
咲穂「しかも晴河君が庇えばギリギリ対処出来ないほどの速度じゃありません。そのせいで晴河君は自分の身体で守る選択肢を取るしかなくなってますね…」
ネコマタ「!」
カマイタチの卑劣なやり方に凪桜達は怒りを覚え、ネコマタは愕然とする。
妖魔「うあああっ!!」
カマイタチ「ふひひひひっ!どうした?もう終わりか?神社がどうなっても知らんぞー?」
妖魔「ま、まだですっ!」
ネコマタ「よ、よせっ!時雨!何で君がそこまでするんだにゃ!」
妖魔「ううっ…だって、ここは、この神社は…ネコマタさんの大切な場所なんですよね?うあっ!…だったら…壊させるわけにはいきません!」
ネコマタ「時雨…どうして出会ったばかりの俺様のために……」
凪桜「時雨先輩だからだよ」
ネコマタ「え?」
凪桜「他の誰かが困ってたら、例え自分が損しても手を差し伸べずにはいられない。それが時雨先輩なんだよ」
ネコマタ「!……時雨…」
攻撃を受けて苦しみながらも神社を守ろうとする妖魔に、ネコマタはどうしてそこまでするのかを問う。
そんな問いに対する妖魔の返答や、凪桜の言葉から晴河時雨という人間の在り方を知ったネコマタは妖魔を見つめてポツリと呟く。
妖魔「うっ!…負けるわけには…いきませんっ!それに…耐え続ければきっと日島君が……」
カマイタチ「ふひひっ!霊魂は来ないぜ!あいつは今頃、もう一人のカマイタチにやられている頃だろうよ!」
妖魔「!まさか…一人ではなかったということですか!?」
カマイタチ「そうさ!俺達カマイタチは三人組なんだよォ!」
妖魔「くっ……」
カマイタチ「しぶてぇなぁ…そろそろトドメにしてやっからヨォ!!ふひひっ!!」
凪桜「!時雨先輩!!」
調「!ぶ、部長!早く逃げてください!」
咲穂「晴河君…ッ!」
妖魔「……ッ」
カマイタチは自身の仕組みについてネタバラシして絶望感を煽ると、特大の風の刃を放ってトドメを刺そうとする。
ネコマタ「…にゃああああ!!」
凪桜「ネコマタ!?」
ネコマタ「うああああっ!!」
妖魔「ネコマタさん!?な…大丈夫ですか!?」
大ピンチの妖魔だったが、間一髪のところでネコマタが割って入って攻撃から庇ったことでことなきを得る。しかし、攻撃を受けたネコマタは吹き飛ばされ、地に伏してしまう。
ネコマタ「…時雨」
妖魔「は、はい…」
ネコマタ「この神社を守ろうとしてくれてありがとうにゃ。…時雨のこと、信じてみてもいいかもしれないって、そう思ったにゃ」
妖魔「それって…」
ネコマタ「俺様の力を使うにゃ!」
リュウジン『!時雨、妖之書を取り外してアヤダマを取ったら開いた状態でネコマタに向けろ!』
妖魔「えっと…こうですね!」
駆け寄った妖魔に対し、ネコマタは感謝の意と共に力を貸すと伝え、その身体は白い光を帯び始める。
それに気付いたリュウジンは妖魔にアドバイスを送り、妖魔は言われた通りに妖之書をドライバーから取り外し、龍アヤダマを取ってから妖之書を開いてネコマタに向ける。
すると、ネコマタの身体は白い光となって妖之書に吸い込まれ、やがて白色のアヤダマ“猫又アヤダマ”に変わる。
妖魔「え!?おぉ…こういう感じになるんだ…」
凪桜「ネコマタが…アヤダマに…」
妖魔「…ネコマタさん、力借ります!」
《猫又!》
《装填!》
猫又『俺様の力、存分に振るっちゃうにゃー!』
《憑依装着!変化!
妖魔は猫又アヤダマを妖書ドライバーに装填して表紙を開くと、白い猫又が出現して駆け回る。表紙を閉じて白い猫又が白い猫を模した装甲に変化すると、妖魔はそれを身に纏い、腰からは二対の尾が垂れていて、黄色の複眼が輝く妖魔 猫又ヨロイに姿を変える。
カマイタチ「ハンッ!姿が変わったからって…調子に乗んなよ!」
妖魔「ふっ!」
カマイタチ「!?速え…!」
カマイタチは妖魔目掛けて風の刃を放つが、妖魔はそれを素早い身のこなしで避ける。
妖魔「はあーっ、たあっ!!」
カマイタチ「ぐああっ!」
妖魔「このスピードなら…いけますね!」
凪桜「成る程、素早いネコマタの力を妖魔が用いることでカマイタチを完全に押している…」
咲穂「評論家さん…?」
調「けど、凄いですね!あれなら勝てそうです!」
妖魔「まだまだいきますよ…!」
妖魔は素早く接近し、爪による連撃でカマイタチを圧倒する。
《妖之弓剣!》
妖魔「はあっ!はああ…たあっ!!」
カマイタチ「この俺が…負ける…?」
妖魔「この神社は…壊させません!」
カマイタチ「ぐああっ!」
妖魔は妖之弓剣を逆手に持って連続斬りを繰り出し、カマイタチにダメージを与えていく。
《一・撃・必・殺!》
妖魔「エピローグといきますよ!」
《俊敏剛撃!》
妖魔「はっ!たあっ!やっ!はあーっ!!」
カマイタチ「ぐああああっ!!」
妖魔は妖書ドライバーを操作すると、両腕の爪による引っ掻きを繰り出し、トドメに足の爪に妖気を集中させ、白い軌道を描く跳び回し蹴りを放ち、カマイタチを撃破する。
妖魔「……ふう」
凪桜「!時雨先輩!」
妖魔「え?…!あなたは…?今何をしたんですか!?」
???「……お前はまだ知る必要はない」
妖魔がカマイタチを撃破した直後、消えかけていたカマイタチの残滓が一点に吸い込まれる。
凪桜がそれに気付いて妖魔に声を掛けたために妖魔が振り向くと、そこにはカマイタチの残滓が変化した若葉色のアヤダマを持った黒いフードの男がいた。
妖魔の問いに、黒いフードの男は碌に返さずにその場を立ち去っていく。
妖魔「今のは…一体…」
⭐︎⭐︎⭐︎
都黎「…遂に三人の仮面ライダーが接触したか…。計画も次の段階だな」
どこかの廃墟にて一人闇夜月を振るい、鍛錬に励んでいた都黎はほくそ笑み、次のフェーズに移行することを宣言する。
⭐︎⭐︎⭐︎
次回!仮面ライダー妖魔!
時雨「同盟…ですか」
汰月「俺達が協力する必要があると思う」
妖魔と霊魂の同盟!
賢昇「俺は孤高を貫く冷酷無情な大悪党だ」
時雨「そこまで言うなら…!」
激突!妖魔vs幽冥!?
汰月「記憶喪失…ってことか」
第伍話「同盟と悪党襲来!?」
日曜午後9時!