仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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劇場版仮面ライダー妖魔 アナザーノーマルエンド

 

僕…晴河時雨の目の前にいるのは、僕によく似た姿をした仮面ライダー。

黄金の鎧を纏った仮面ライダー妖魔 無双ヨロイに変身している僕は、目の前にいる相手の姿を見据える。

色こそ金色の部分が暗くなってたり、白かった部分が橙色になってたり、眼の色も赤色から橙色に変わっているといった違いこそあるけれど、主だったシルエットや見た目は今僕の変身している妖魔の無双ヨロイと全く同じ謎の仮面ライダー。

そんな相手と僕は今…激しく戦っていた。

 

「「はああああっ!!」」

 

互いの拳が胸部に直撃し、火花を散らしながら後退する。

心なしか、声まで僕そっくりな気がするけれど、何よりも驚いたのは強さまでも確かに無双ヨロイと同じ…いや、向こうのほうが強いかもしれないというまでの力を相手が持っているということだった。

 

妖魔「あなた一体…何者なんですか…!?」

 

「…僕?僕は仮面ライダー黄昏妖魔…らしい」

 

妖魔「黄昏…妖魔…!?」

 

黄昏妖魔「そう。そして…僕がこの世界を滅ぼす」

 

妖魔「…そんなこと、絶対にさせません!」

 

どうしてこうなったか。僕は意識の片隅で今回の一件の始まりを思い返す──。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「ここが弥城市かー!」

 

凪桜「布留杜とは随分雰囲気が違うな」

 

咲穂「この街はかなり発展した都市ですし…何より学芸の都とも呼ばれるほどに芸術活動が盛んな流行の最先端ですからね」

 

調「それにしても高いビルがいっぱいだなぁ。布留杜も別に田舎ではないと思うけど、ここは大都会!って感じ」

 

 交換留学のために弥城市へとやって来ていた照羅巣高校の歴史研究部の面々 …部長の 晴河(はれかわ) 時雨(しぐれ)(あかつき)凪桜(なお)霞流(かすばた)咲穂(さきほ)霧宮(きりみや)調(しらべ)の四人はその都会具合に驚く。

 

治「皆さん、ご無沙汰してます。…そちらの方が暁さんですかね?」

 

時雨「夏目君、久しぶり。うん、この子が僕達の仲間の」

 

凪桜「暁凪桜。時雨先輩達から話は聞いてる。よろしく」

 

治「はい。よろしくお願いしますね。…晴河君達の方でもあれから色々あったみたいですね。繰谷さんから聞きました」

 

時雨「あはは…まあうん。色々あったかな」

 

治「まあ、何はともあれ折角この街までいらしてくれたわけですし、盛大に歓迎しますよ。丁度今日の夜から街を上げた“弥城学芸祭”をやるんです。是非楽しんでいってください」

 

時雨「うん、ありがとう!」

 

治「そういえば楓山さん達はご一緒ではないのですか?」

 

時雨「ああ、雪音ちゃん達は都黎君達と一緒にいるんだ」

 

治「昏時さんの…」

 

時雨「うん。世模継学院高校が正式に四つ目の学校として認められて、初の公式行事が今回の交換留学なんだけど、急遽決まった話だからってことで磐砥高校の理事長に挨拶に行ってるんだ。雪音ちゃんと夢華さんはその付き添いかな」

 

治「成る程…そういうことでしたか」

 

 時雨達の元にやってきたのは今回の交換留学先に当たる磐砥高校の生徒である夏目(なつめ)(おさむ)だった。

 以前治が布留杜市にやって来て以来の再会に喜ぶ時雨達は軽い近況報告をしつつも弥城市を歩く。

 

???「晴河時雨を発見」

 

???「暁凪桜も確認」

 

時雨「…これは…!?」

 

治「ば、バケモノ…!?」

 

咲穂「これだけの数、一体どこから…」

 

調「咲穂先輩、下がってて…!」

 

凪桜「……時雨先輩。妙な気配を感じる」

 

リュウジン「モノノケ…とも何か違うな」

 

時雨「…?よく分かんないけど…物語的にもどう見ても敵!…って感じだね」

 

???「君達風にいうのであれば…我等は空亡トルーパー」

 

???「この世界を正しい終わりに導く存在」

 

 和気藹々とした時間を過ごす時雨達の前に突如として現れたのは黒色を基調とした鎧に身を包む謎の兵士達…空亡トルーパーと名乗る敵だった。

 

時雨「空亡トルーパー…!?」

 

リュウジン「空亡だと…!?」

 

空亡 T(トルーパー)「ふんっ!」

 

時雨「っと…はっ!はあっ!!…咲穂さん!調君!皆を逃して!」

 

空亡T「っ…」

 

咲穂「任せてください!」

 

調「皆!逃げてください!!」

 

咲穂「ここは危険です!」

 

凪桜「ふっ…やっ!」

 

空亡T「くっ…!」

 

空亡T「ふん」

 

時雨「!」

 

リュウジン「はあっ!!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

リュウジン「…大丈夫か?時雨」

 

時雨「はい!ありがとうございます!」

 

 襲いくる空亡トルーパー達に対し、時雨と凪桜は応戦し、咲穂と調が避難誘導に回る。

 空亡トルーパーの槍を振り下ろしての攻撃を何とか避けた時雨は、そのままタックルでバランスを崩させ、前蹴りを喰らわせる。

 一方凪桜はキレのある動きで空亡トルーパーの攻撃を捌くと、ローキックで転かしつつ、ブラストモードのブンプクブラストフォンで銃撃する。

 そして時雨が背後から攻撃されそうになったところを時雨の相棒のモノノケ・リュウジンが空亡トルーパーに体当たりを喰らわせて助ける。

 

時雨「っと…」

 

凪桜「時雨先輩、いける?」

 

時雨「勿論!」

 

《龍!》

 

凪桜「そう来なくっちゃね」

 

《伊邪那美…!》

 

《装填!》

 

《装填…》

 

「「変身!」」

 

《憑依装着!変化!

 

登竜大成!龍ヨロイ!》

 

《支配装着…変化…!

 

冥界姫君…伊邪那美ヨロイ…!》

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

仮面ライダー妖魔

アナザーノーマルエンド

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

黄泉「…久しぶりだからって戦い方忘れてないよね?時雨先輩」

 

妖魔「だ、大丈夫だって!そんなに経ってないでしょ!」

 

黄泉「なら良いけど」

 

妖魔「よーし…いくよ!」

 

黄泉「…うん!」

 

 時雨は黄色を基調とした龍の戦士・仮面ライダー妖魔 龍ヨロイへ変身し、凪桜は黒色を基調として赤みがかった桜色の混じった戦士・仮面ライダー黄泉 伊邪那美ヨロイへ変身するとそれぞれ武器である妖之弓剣と終滅之薙刀を構え、空亡トルーパー達に立ち向かう。

 

妖魔「はあっ!はっ!…はあっ!!」

 

空亡T「くっ…」

 

妖魔「この感覚…やっぱり普通のモノノケと違う…」

 

黄泉「はっ!…はああっ!!」

 

空亡T「うあああっ!!」

 

 妖魔は剣状態の妖之弓剣で空亡トルーパーに斬撃を叩き込み、黄泉は終滅之薙刀を振るって空亡Tを斬り裂くが、戦いの中で相手の正体に違和感を覚える。

 

黄泉「けど、時雨先輩。敵なら倒すだけだよ」

 

妖魔「だね。…いくよ!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

《登竜剣撃!》

 

黄泉「うん!」

 

《装填…一撃…必殺!》

 

《冥界薙撃!》

 

「「はあーっ!!」」

 

空亡T「くっ…!」

 

空亡T「うっ…」

 

 妖魔と黄泉はそれぞれ同時に黄色と桜色の斬撃を飛ばし、空亡トルーパー達を何体か纏めて撃破する。

 

空亡T「…無意味だ。我々に死という概念は存在しない」

 

妖魔「復活した…!?…だったら一気にいくよ!」

 

《聖獣之書!》

 

《鳳凰!》

 

空亡T「ぐっ…!」

 

《聖獣装着!変化!

 

聖炎復活!鳳凰ヨロイ!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

 撃破したにも関わらず黒いオーラを纏って復活する空亡トルーパー達に対抗して、妖魔は呼び出した燃え盛る鳥の聖獣・鳳凰によって接近してきた空亡トルーパーを弾き飛ばしつつ、その聖なる炎の力を宿す紅色の鳳凰を模した装甲に身を包んだ鳳凰ヨロイへと姿を変える。

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はっ!はあっ!」

 

空亡T「っぐあっ!」

 

空亡T「うっ…」

 

妖魔「…はあああっ!!!」

 

《聖炎閃撃!》

 

「「うああああっ!」」

 

 妖魔は新たに妖之流星刀を手元に呼び出し、鳳凰アヤダマを装填すると空亡トルーパー相手に連続斬撃を叩き込み、聖炎を纏った回転斬りで空亡トルーパー2体を焼き払う。

 

《麒麟!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

空亡T「っ…」

 

妖魔「いくよ!」

 

《聖獣装填!》

 

《聖獣装着!変化!

 

聖音泰平!麒麟ヨロイ!》

 

妖魔「はっ…はあああっ!!」

 

空亡T「くっ…」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

妖魔「はあーっ!!」

 

《聖音聖撃!》

 

「「うぐあああ!!」」

 

 妖魔は檸檬色を基調とした麒麟の装甲を身に纏った麒麟ヨロイにフォームチェンジすると、空亡トルーパーが振り下ろした短剣の一撃を妖之流星刀で受け止め、そのまま両脚に聖なる音の力を収束させて蹴り込むことで二体の空亡トルーパーを撃破する。

 

空亡T「全て無意味…」

 

空亡T「我々を倒すことは不可能…」

 

妖魔「うわ、また復活した…!だったら…リュウジンさん!」

 

リュウジン「うむ!気合を入れていくぞ!」

 

《龍神!》《真打!》

《『真価覚醒!』》

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

『画竜点睛!龍神ヨロイ!真!』》

 

妖魔「…はあーっ!!」

 

「「「「うぐああああっ!!!」」」」

 

 妖魔は金色の龍を模した鎧に銀色の陣羽織を纏ったかのような姿の龍神ヨロイ・真へとパワーアップを遂げると、雷を纏った旋風を発生させて周囲の空亡トルーパー達を纏めて消し飛ばす。

 

黄泉「千本桜!…時雨先輩、あれ!」

 

妖魔「え?…な、何あれ…!?」

 

 殲滅術式・千本桜を発動し、大量の桜の花弁を飛ばして空亡トルーパー達を爆散させた黄泉は空を見上げてあることに気付く。

 なんと、空に巨大な裂け目のようなものが現れていたのだ。

 

妖魔「裂け目…!?」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「全く…到着早々なんなんだか!」

 

賢昇「だな。…妙なことになった気配がするぜ!」

 

 一方その頃、同じく空亡トルーパー達に襲われていた津久代高校の治安維持委員会の日島(ひしま)汰月(たつき)と佐乃緒高校のバスターズのリーダー、降谷(ふるや)賢昇(けんしょう)はなんとか生身のまま応戦しつつ只事ではない事態が起こっていることを理解する。

 

《大蛇!》

 

汰月「仕方ない…!」

 

《装填!》

 

汰月「はあっ!…変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

蛇行咬合!大蛇ヨロイ!》

 

霊魂「サクッと片付けさせてもらうよ」

 

 汰月は空亡トルーパーの斬撃を軽く後ろに仰け反って最低限の動きで避けるとそのまま空亡トルーパーの腕を掴んで巧みに別の空亡トルーパーにぶつけつつ青色を基調とした大蛇の戦士・仮面ライダー霊魂 大蛇ヨロイへと変身する。

 

《鬼!》

 

賢昇「ったく、手間かけさせやがって!」

 

《装填!》

 

賢昇「オラァ!…変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

鬼気粉砕!鬼ヨロイ!》

 

幽冥「一気にぶっ潰す!」

 

 賢昇は跳び蹴りを空亡トルーパーに叩き込んで吹き飛ばし、ブレイクダンスのような動きで空亡トルーパーの攻撃を避けつつ反撃すると、すぐに立ち上がり、赤色を基調とした鬼の戦士・仮面ライダー幽冥 鬼ヨロイへと変身する。

 

霊魂「はっ!はあっ!…数が多いな」

 

幽冥「ッラア!ふん!…なーんか妙だよな」

 

空亡T「愚かな…この世界は滅びる定めにあるというのに」

 

幽冥「あ?滅びる運命だと?」

 

霊魂「何だかよく分からないけど…この世界を滅ぼさせはしない」

 

《ミズチ!》

《インストール!》

 

霊魂「はあっ!!」

 

空亡T「くっ…」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

激流Splash!ミズチヨロイ!》

 

 霊魂は空亡トルーパーの言葉に対し反論すると、斧状態の妖之斧火縄で斬撃を叩き込みつつ、紺色の蛟を模した装甲に身を包んだ、機械的な忍者にも見える姿のミズチヨロイへとパワーアップする。

 

幽冥「テメー等の好きにさせるかよ!覚悟出来てんだろうなァ!」

 

《ギュウキ!》

《インストール!》

 

幽冥「だあっ!!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

 幽冥は霊魂の言葉に同調すると、空亡トルーパーを盾状態の妖之盾槍で殴り飛ばし、その勢いで紅色を基調とした牛鬼を模した装甲に身を包んだ、機械的な鎧武者にも見える姿のギュウキヨロイへとパワーアップする。

 

霊魂「はああっ!!」

 

幽冥「オラアアッ!」

 

空亡T「我々は不滅の存在…」

 

空亡T「決して滅びることはない…!」

 

霊魂「復活した…!」

 

幽冥「んなのアリかよ…!?」

 

 霊魂と幽冥はコンビを組んで空亡トルーパーを薙ぎ倒していく。

 しかし、倒しても倒しても復活する空亡トルーパーに辟易とし始める。

 

霊魂「…キリがないな」

 

幽冥「だーもう!復活とかどうなってやがんだ!」

 

霊魂「!賢昇、後ろ!」

 

幽冥「あ?やべ…!」

 

 敵のしぶとさに苛つく幽冥。その背後から迫り攻撃を仕掛けようとする空亡トルーパーに霊魂は気付くも、遅れてしまったことで幽冥は攻撃を受けそうになってしまう。

 

都黎「はあっ!」

 

空亡T「くっ…!」

 

都黎「すまない。…遅れた」

 

幽冥「都黎!…助かった、サンキュー」

 

都黎「ここからは俺も相手だ」

 

《ヤギョウ!》

《インストール!》

 

都黎「…変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

暗夜「ふん…はっ!」

 

 闇夜月を構えてピンチの幽冥を助けたのは世模継学院高校の昏時(くれどき)都黎(とうり)だった。

 都黎は闇夜月を振るって空亡トルーパーを退けると、紫色を基調とした侍と鬼が混ざったような姿の仮面ライダー暗夜 ヤギョウヨロイへと変身し、空亡トルーパーの攻撃を闇夜月で受け止め、闇を纏った斬撃で反撃する。

 

雪音「私達もおりますよ」

 

夢華「さーて!第二ラウンドといこうか!」

 

霊魂「雪音に夢華…心強い助っ人だな」

 

 更に照羅巣高校の楓山(かえでやま)雪音(ゆきね)桃原(ももはら)夢華(ゆめか)も合流すると、それぞれ電子アヤダマを構える。

 

雪音「おや、随分と乱暴ですね」

 

《ユキオンナ!》

《インストール!》

 

雪音「変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

夢華「おっと!…危ないなぁ」

 

《キュウビ!》

《インストール!》

 

夢華「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

幻影Illusion!キュウビヨロイ!》

 

 雪音は上品な所作を崩さずに空亡トルーパーの攻撃を受け流すと、水色を基調とした雪女の意匠の入った姿の仮面ライダー氷雪 ユキオンナヨロイへと変身する。

 一方の夢華は軽やかに空亡トルーパーの動きを避けると、桃色を基調とした九尾の狐の意匠が入った大正浪漫を思わせる姿の仮面ライダー夢幻 キュウビヨロイへと変身する。

 

暗夜「…いくぞ」

 

氷雪「ええ。全く、どうしてこう、私達はイベントの度にこうなるのでしょうか」

 

夢幻「ほーんと。けどまあ、敵も運が悪かったね。仮面ライダーが大集合してる今にこの街で事件を起こすだなんて」

 

暗夜「…そこが気がかりでもあるんだがな……」

 

 氷雪は優雅な動きで空亡トルーパー達を撃ち抜き、夢幻は踊るように空亡トルーパー達に斬撃を叩き込んでゆく。

 一方で暗夜は事件に妙な気配を感じながらも空亡トルーパー達を次々に斬り捨てる。

 

空亡T「…ならば、こいつ等を使うか」

 

オオガマ「ふんっ!」

 

霊魂「オオガマだと…!?」

 

ツチグモ「ふっ!」

 

幽冥「ツチグモまで…!どうなってやがんだ…!」

 

空亡T「我々の力でなら、情報さえあれば亡き者を傀儡として蘇らせることなど…容易い」

 

氷雪「どうやら五行全員が復活しているようですね…!」

 

暗夜「面倒な相手が増えたな…」

 

夢幻「こっちも五人だけど…」

 

霊魂「こいつ等を相手にしながら相手取るのは厳しいか。ん?…おい、アレ……」

 

幽冥「…あ?…なんだありゃ」

 

 霊魂達の前に現れたのはオオガマ、ツチグモ、シュテンドウジ、ヌエ、オオタケマルの五体のモノノケ。既に倒されているはずの強敵…五行の復活に驚くが、それすらも空亡トルーパー達の仕業であると知る。

 更に、霊魂は空に巨大な裂け目が生まれていることに気付き、幽冥にそれを伝える。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「あの裂け目は一体…」

 

黄泉「!…時雨先輩!何か出てくる!」

 

妖魔「えっ!?あ、本当だ…あれは……人?」

 

黄泉「そう、見えるね…」

 

 空に開いた裂け目。その中から何者かが現れる。

 その姿に注視していた妖魔と黄泉だったが、やがてその姿が黒ずくめの衣装でフードを被った人であることに気付く。

 

「……仮面ライダー妖魔、発見」

 

黄泉「!…今の声……」

 

妖魔「…妖書ドライバー…!?」

 

《無双!》

 

「排除する」

 

《装填!無双!》

 

妖魔「無双アヤダマ…!?」

 

「変身」

 

《憑依装着!超変化!

 

孤高最強!無双ヨロイ!オォ…!》

 

黄泉「妖魔…!?」

 

「ふんっ!」

 

妖魔「っ!?っ…凄いパワー…!」

 

 目の前に現れた謎の人物は何故か所持している妖書ドライバーを装着し、橙がかった色合いになった無双アヤダマ…その名も黄昏無双アヤダマを取り出し、妖魔 無双ヨロイに変身する際の時雨とよく似ているものの、出現する龍は橙がかり、更には光を空へ放り投げるのではなく、空から地面に降ろすようなものに変わった動作を取ってその姿を変える。

 そうして謎の人物が変身したのは妖魔にそっくりな姿をした仮面ライダー。その戦士…その名も仮面ライダー黄昏妖魔 無双ヨロイは暗い金色を基調とした外見に橙色の差し色の入ったような見た目であり、背中には橙がかった金色のマントが寂しげに揺れていた。

 

 そして、黄昏妖魔は凄まじい速度で妖魔に近付くと、その拳を振り抜く。

 咄嗟に龍神之大砲剣で受け止めた妖魔だったが、威力の高さ故に押されてしまう。

 

黄泉「時雨先輩!っ…邪魔しないで…!」

 

妖魔「こっちは僕に任せて!凪桜ちゃんはそっちをお願い!」

 

黄泉「…分かった。無茶しないでよ」

 

妖魔「分かってる」

 

 ただならぬ強さの黄昏妖魔に危機感を覚えた黄泉は妖魔の元へ駆け付けようとするが、裂け目から次々と現れる空亡トルーパーに阻まれてしまう。

 

黄昏妖魔「はっ!」

 

妖魔「っ…どうしてこの街を襲うんですか…!」

 

黄昏妖魔「…それが、ボクに与えられた使命だから」

 

妖魔「あああっ!!…使命…?」

 

 妖魔は風を纏って加速すると黄昏妖魔に重い斬撃を叩き込もうとする。

 しかし、黄昏妖魔には軽く防がれ、痛烈な拳を浴びせられてしまう。

 

妖魔「…これなら」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《『画竜剛撃!』》

 

妖魔「はああああ…はあーっ!!!」

 

黄昏妖魔「っ……ふん!」

 

妖魔「受け切られた…!?」

 

黄昏妖魔「全て…終わらせる」

 

妖魔「うあああっ!!」

 

 妖魔は妖書ドライバーを操作すると雷、風、水、氷、光のエネルギーを右脚に渦巻かせた状態で上空から跳び蹴りを放つ。

 しかし、その一撃を多少後退しつつも受け切った黄昏妖魔は手のひらから雷撃のようなエネルギー波を放ち、至近距離から攻撃する。

 

妖魔「…とんでもない強さ…だったらこっちも!」

 

《無双!》

《装填!無双!》

 

黄昏妖魔「…!その力は…」

 

《憑依装着!超変化!

 

超絶最強!無双ヨロイ!オォー!》

 

妖魔「はああああっ!!」

 

黄昏妖魔「!くっ…動きが変わった…」

 

 不利を悟った妖魔は更にパワーアップし、所々に白色の混じった金色の鎧に身を包み、金色のマントを力強くはためかせる妖魔 無双ヨロイに変わる。

 黄昏妖魔そっくりのその姿で妖魔が高速移動し、反撃の拳を打ち込むと、黄昏妖魔はその一撃に確実にダメージを受ける。

 

「「はああああっ!!」」

 

 互いに少し距離を取って出方を窺っていた妖魔と黄昏妖魔。直後、二人は同時に動き出すと、互いに拳を相手の胸部に叩き込み、火花を散らしながら後退する。

 

妖魔「あなた一体…何者なんですか…!?」

 

黄昏妖魔「…ボク?ボクは仮面ライダー黄昏妖魔…らしい」

 

???「そう、この方こそ我々空亡の希望。黄昏妖魔様さ」

 

妖魔「黄昏…妖魔…!?…あなたは…!?」

 

???「お初にお目にかかります。私はクウボウ。黄昏妖魔様の忠実なる僕です」

 

黄昏妖魔「そう。そしてボクがこの世界を滅ぼす…」

 

妖魔「…世界を…滅ぼさせなんてさせません!」

 

黄昏妖魔「……無駄なのに」

 

妖魔「それは…!?」

 

黄昏妖魔「ふっ!」

 

妖魔「うあああっ!!」

 

 正体を問う妖魔に黄昏妖魔は名乗ると、更には燕尾服に身を包み、軽薄そうな笑顔を浮かべる青年…クウボウが現れる。

 クウボウに合わせるように世界を滅ぼすという意図を明かした黄昏妖魔は本来霊魂の物であるはずのガトリング砲型の武器・クサナギガトリンガーを取り出すと、動揺した妖魔を銃撃する。

 

妖魔「どうしてあなたが汰月君の武器を…!?」

 

黄昏妖魔「…さあ…どうしてだろう。気付いたら持っていた。…まあ、この武器が誰のものかなんてどうでもいいよ。この世界を滅ぼすというボクの目的に変わりはないんだから」

 

妖魔「うっ…!この世界を滅ぼす…それがあなたの使命だというんですか…!?」

 

黄昏妖魔「…そうだよ。そのためにボクは今、ここにいる」

 

クウボウ「黄昏妖魔様の言う通り、この世界を滅ぼすことが我々の使命なのです」

 

妖魔「…そんなこと…絶対にさせません!はあっ!」

 

黄昏妖魔「っ…キミこそ、どうしてそこまで必死にボクの邪魔をするのさ…!」

 

妖魔「そんなの決まってます。世界の滅亡なんて…全然ハッピーエンドじゃないからです!」

 

黄昏妖魔「ハッピー…エンド……っ!?」

 

 クサナギガトリンガーの連射で攻撃を仕掛ける黄昏妖魔に対し、妖魔は大砲状態の龍神之大砲剣を取り出して撃ち合いに持ち込む。

 そんな中、黄昏妖魔は妖魔の言う“ハッピーエンド”という言葉に反応し、一瞬動きを止める。

 

黄昏妖魔「ハッピーエンド…そんなものはまやかしだ…!」

 

妖魔「…!?」

 

黄昏妖魔「何が…何がハッピーエンドだ!!」

 

妖魔「わっ!?…今度は凪桜ちゃんの武器…!」

 

黄昏妖魔「はああっ!!」

 

妖魔「うああっ!」

 

 「ハッピーエンド」という単語に何か恨みでもあるのか、黄昏妖魔は激昂すると今度は黄泉の専用武器であるはずの終滅之薙刀を取り出して激しく斬りつける。

 

黄昏妖魔「はあっ!」

 

《大剣之刻!》

 

妖魔「っ!…どうしたんですか、いきなり…!」

 

黄昏妖魔「ボクは…ボクはその言葉が一番嫌いなんだよ…!ハッピーエンドなんて所詮は浮ついた甘い理想に過ぎない…現実はもっと冷たくて辛くて残酷なんだ…!」

 

 黄昏妖魔の激しい斬撃に、妖魔も龍神之大砲剣を大剣状態に変えて応戦する。

 

《一・撃・必・殺!》

 

妖魔「…!」

 

《孤高剛撃!》

 

黄昏妖魔「はああ……!」

 

妖魔「稲妻の翼…!?」

 

黄昏妖魔「世界は所詮…滅びるんだ…!はあーっ!!」

 

妖魔「っ…うぐああああっ!!」

 

 黄昏妖魔は背中から青白い稲妻で構成された翼のようなものを生み出すと、それを用いて浮かび上がり、そして妖魔目掛けて稲妻の翼を叩き込む。

 

時雨「っ…!」

 

クウボウ「分かりましたか?見た目は似ていても、黄昏妖魔様とあなたとでは力の差は歴然。あなたじゃ勝てないんですよ」

 

黄泉「はっ!…時雨先輩!」

 

黄昏妖魔「そういえば妖魔…この世界を滅ぼすのに、キミが一番邪魔なんだってね。だから…消すよ」

 

黄泉「やめてっ!」

 

黄昏妖魔「…!」

 

 黄昏妖魔の一撃を受けて妖魔は変身を解かれてしまう。

 地面に這いつくばる時雨にトドメを刺そうと近付く黄昏妖魔だったが、時雨を庇うために駆け付けた黄泉の姿に動揺する。

 

黄昏妖魔「そこ、どいてよ」

 

黄泉「時雨先輩を傷付けようというのなら…私が相手になる…!」

 

黄昏妖魔「っ……!」

 

クウボウ「!…おや…そういうことですか」

 

 立ち塞がる黄泉にそこをどくよう迫る黄昏妖魔。しかし黄泉が一歩も引く気がないことを悟ると言葉を詰まらせながら変身を解く。

 

時雨「なっ……え…!?」

 

凪桜「……嘘だ……。黄昏妖魔が…時雨先輩…!?」

 

時雨?「…時雨?誰それ。…ボクは時雨じゃなくて…っ…!?今のは…。とにかく、ボクは黄昏妖魔。それ以外の何者でもない…!」

 

クウボウ「そういうことなので。では」

 

 変身を解いた黄昏妖魔の顔はなんと時雨のものにそっくりだった。動揺のあまり自身も変身を解いた凪桜、そして時雨は困惑する。

 しかし、もう一人の時雨は自分は黄昏妖魔だと告げると、そのままクウボウが生み出した妖気の煙のようなものに紛れて姿を消す。

 

時雨「一体何が…どうなって…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

空亡T「……撤退だ」

 

シュテンドウジ「…ふん」

 

ヌエ「……」

 

霊魂「は?」

 

暗夜「何だ…?」

 

幽冥「おいおい、ぞろぞろ帰ってくじゃねえか…」

 

氷雪「どういうことなのでしょうか…」

 

夢幻「何か目的を果たした…とか?」

 

霊魂「世界滅亡が目的なら暴れ続ける方がいいようにも思えるけど…」

 

 何故か去っていく空亡トルーパーや五行達に困惑しながらも、汰月達は一旦変身を解く。

 

龍之介「あ、皆いた!」

 

汰月「龍之介、久しぶり」

 

龍之介「久しぶり、日島君。…まあ、素直に再会を喜べる状況じゃないけど……」

 

汰月「…まあ、確かに」

 

龍之介「ああ、そうそう、それでこの件について繰谷さんが仮面ライダーの皆に話があるんだって。それで今から磐砥高校に向かうから、付いてきてほしいんだ」

 

賢昇「アリスの奴から?…ま、どのみち敵も退却したし、俺達も向かうか」

 

雪音「そうですね」

 

夢華「割と疲れたし、休もーっと」

 

都黎「…いつ来るか分からないしな。休める時に休んでおくのも合理的か」

 

夢華「そゆこと!」

 

龍之介「そうそう、君達と一緒に来てた他の皆はもう磐砥高校にいるから安心して」

 

 汰月達の元へ現れたのはこれまた磐砥高校の生徒である(もり)龍之介(りゅうのすけ)だった。

 合流した龍之介の案内で汰月達は磐砥高校を目指す。

 

龍之介「しかし、まさかこんなことになるなんて…」

 

汰月「俺達もビックリだ…」

 

龍之介「あれもモノノケなの?」

 

雪音「…ただのモノノケとは何か違うように感じました。彼等は一体…」

 

 現れた空亡トルーパー達について話す汰月達。その中で雪音はモノノケとは少し違うのではないかと考察する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

龍之介「着いた。ここが俺達の通う磐砥高校だよ。…まあ、三人はさっきまでいたと思うけど……」

 

雪音「あはは…そうですね」

 

龍之介「さ、皆もう着いてるから、行こっか」

 

汰月「ああ」

 

 磐砥高校へとやって来た汰月達。

 龍之介の案内でその中へと入ってゆく。

 

龍之介「ここだよ」

 

賢昇「生徒会室…?」

 

アリス「お、着いたみたいだね」

 

賢昇「アリス。…ん?」

 

 龍之介に連れられやって来たのは「生徒会室」と書かれた部屋。その中に入るとそこには時雨達や治安維持委員会、バスターズの仲間の姿と、奥の「生徒会長」と書かれた札の立てられた席に座る賢昇の幼馴染…繰谷(くりたに)アリスの姿があった。

 

アリス「その顔はなんで私がこの席に座ってるんだ?って表情だね。それはなんと!私が磐砥高校の生徒会長だからだよ!」

 

賢昇「へえ、生徒会長…生徒会長!?アリスが!?」

 

雪音「知らなかったのですか?」

 

賢昇「ああ、初耳…ってかお前等は知ってたのかよ!?」

 

時雨「あー、うん」

 

賢昇「マジか…」

 

アリス「びっくりさせたかったから賢昇には言ってなかったんだ。そもそも今回の交換留学については磐砥からは生徒会メンバーが来てるし」

 

賢昇「そういうことかよ…」

 

治「あんなに楽しそうに笑う繰谷さんは初めて見ました…」

 

 再会早々に賢昇が驚かされ、アリスは楽しそうに笑う。

 和気藹々とした雰囲気が出来たところで、アリスは表情を引き締めて本題に移る。

 

アリス「さて、ここから真剣に本題に入ろっか。あの謎の敵についてだよね」

 

時雨「どこかモノノケとも違う、不思議な敵でした。それと、自分達で“空亡トルーパー”って名乗ってました」

 

雪音「空亡…」

 

夢華「トルーパー?」

 

アリス「空亡…やはり」

 

賢昇「何か知ってんのか?」

 

アリス「うん。まさかとは思ってたけど間違いなさそうだね。今回の騒動、敵は…空亡と呼ばれる存在」

 

汰月「空亡…」

 

星海「…空亡…まさか実在したなんて」

 

リュウジン「空亡…本当にそうなのか…」

 

凪桜「二人も空亡について知ってるの?」

 

リュウジン「…詳細は知らないが、名前は聞いたことがある。最悪の厄災…とも呼ばれていた」

 

星海「…私も聞いたことだけはありますが…あまり詳しくはないですね」

 

アリス「流石に長生きしてるモノノケや裏社会で生きてきた呪術師の家系なら知ってたか。…まあ、詳しいことは私の方で説明するよ」

 

 時雨達の話を聞いたアリスは今回の騒動を起こしたのは空亡と呼ばれる存在だと語り、リュウジンや星海も何かを知っている素振りを見せる。

 

都黎「それで…その空亡というのは一体なんなんだ?」

 

アリス「端的に言えば…世界と世界の狭間に巣食う病魔…かな」

 

克真「びょ、病魔?病気なの?」

 

圭佑「多分そういう意味じゃないっす…」

 

アリス「そもそも空亡っていうのは私達の暮らすこの現世と、モノノケ達が暮らす幽世との狭間に存在してるんだ」

 

時雨「えっ、綺麗に裏表なんじゃないんですか?」

 

アリス「ううん。厳密には違う。ここに二冊の本があるでしょ?こっちが現世で、こっちが幽世だとする」

 

 アリスは空亡とは現世と幽世の狭間にいる存在だと説明すると、その解説のために机の上にあった二冊の本を手に取り、少し離した位置に立てる。

 

アリス「空亡がいるのは…ここ。この本と本の間の空間」

 

時雨「……世界…狭間…」

 

咲穂「成る程…それで、何故その存在がこの世界に侵略して来たのですか?」

 

賢昇「そもそもどこでそんな知識得たんだよ」

 

アリス「…空亡については各国の祓魔師や陰陽師といったその手の道に通じる人の間で情報が共有されてるんだよ」

 

結佳「それ、かなり危険な相手ってことなんじゃ…」

 

アリス「…そう。空亡の存在は…下手すればこの世界を崩壊させかねないものとされてる。だから、私達の業界では国を問わず危険な存在として扱われてる。ただ、一つ気がかりなのは、なんで奴等が急に動き出したか。これまで兆候なんてなかったのに…」

 

賢昇「んなのが、侵略を始めたってことかよ…。しかも復活した五行まで引き連れて」

 

アリス「…そうなるね」

 

時雨「そっか…五行まで…。となるとヌラリヒョンが絡んでるのかな」

 

都黎「はぁ…面倒な置き土産を残してくれたものだな」

 

汰月「どうにかする方法はないのか?」

 

アリス「…あの空の裂け目が関係してるだろうことは分かる」

 

賢昇「…え、それだけかよ」

 

アリス「仕方ないでしょ、空亡についてはこっちも情報が少ないんだよ。ましてや侵略して来た時どうすればいいかの情報なんて…」

 

「話は聞かせてもらいました」

 

時雨「黄坂さん!」

 

 空亡という存在の危険性について語ったアリスだったが、対処法までは分からないというアリス。そこに現れたのは弥城市に暮らしている時雨達の仲間の大学生、黄坂(おうさか)澄香(すみか)だった。

 

アリス「黄坂…まさか黄坂澄香さん!?」

 

時雨「え、知ってるんですか?」

 

アリス「知ってるも何も、黄坂澄香さんは今この弥城市でも話題の“歌姫”なんだよ」

 

時雨「えっ!?そ、そんな凄い人なんですか!?」

 

澄香「そ、そんな大したことないよ…。少し前に街のコンテストで優勝したけど、それだけで、まだ世間的な知名度もないし…」

 

アリス「この街のコンテストはレベルが高いの。だから私もいずれ優勝することを目標の一つにしてるくらいなんだよ」

 

賢昇「あんた、凄い人なんだな」

 

澄香「ま、まあ、私の話は良いからさ。取り敢えず本題に戻ろっか」

 

 駆けつけて来た澄香が弥城市ではちょっとした有名人だったことをアリスから聞いた時雨達は驚くが、照れた様子の澄香は話を空亡のものへ戻す。

 

時雨「そういえば…黄坂さんは空亡について何かご存知なんですか?」

 

澄香「私が…というか、今から来る子が詳しいんだ。もうそろそろ到着するんじゃないかな」

 

時雨「?」

 

 澄香の発言の意図がよく分からず首を傾げる時雨達。すると、部屋の中の虚空から突然蒼炎が出現する。

 

治「わっ!?何…!?」

 

龍之介「炎…!?」

 

凪桜「まさか…」

 

真黒「っと…お、無事着いたみたいだね」

 

清那「…ねえ、やっぱり他に良い移動方法なかったの?」

 

聖「ま、まあ、これが一番早いのは間違いないし…」

 

夜御哉「便利な能力だなぁ…」

 

時雨「藍羽先生に白石さんに田貫教授に朱井さん!?」

 

真黒「や、黄坂さんに頼まれてね。増援に来たよ」

 

 蒼炎の中から現れたのは時雨のクラスの担任にして歴史研究部の顧問である藍羽(あいば)(ひじり)、貴真賀中央大学に所属している白石(しらいし)真黒(まくろ)と、教授の田貫(たぬき)夜御哉(やおや)、そして真黒の古くからの友人である朱井(あかい)清那(せな)の四人だった。

 

清那「さて、空亡についてだよね。状況は澄香ちゃんから聞いててね」

 

時雨「成る程、朱井さんが…」

 

真黒「朱井家は日本でも名門の陰陽師の家系だからね。空亡に関しての情報も色々あったみたい」

 

アリス「朱井家…そういえば跡取り娘が帰って来たと噂で聞いてたけど、まさか賢昇達の知り合いだったなんて…」

 

賢昇「あー、そういう業界って結構繋がってんだっけ。…世間って狭えな」

 

 著名な同業の家系ということもあって朱井家についても知っていた様子のアリスに賢昇が世間の狭さを感じていると、清那は話を本題に戻す。

 

清那「ま、そんなわけで空亡について私の方から知ってることを教えるね」

 

時雨「お願いします」

 

清那「まず、空亡というのは意思を持った力の塊…とされているの」

 

凪桜「…というと?」

 

清那「空亡のいる狭間の世界には妖力とも違う特殊なエネルギーが満ちていて、空亡はそのエネルギーが意思を持って動いている存在ってこと」

 

調「な、成る程…?」

 

清那「で、その関係で空亡は活動するために元の世界のエネルギーが必要なんじゃないかって言われてるんだよね」

 

真黒「来がけに田貫教授の開発した装置で測定してきたけど、あの裂け目からは未知のエネルギーが放射され続けてることが分かったんだ」

 

時雨「それで倒しても倒しても復活してたってことか…」

 

賢昇「道理でキリがねえわけだ」

 

咲穂「…つまり、あの裂け目を塞ぐことが出来れば…」

 

汰月「連中も力の根源を失う…というわけか」

 

 清那の説明から、時雨達は裂け目を塞ぐことさえ出来れば敵のエネルギー源の供給を断つことが出来るということを知る。

 

時雨「そうなってくると、一つ気がかりなことがあります」

 

賢昇「何かあったのか?」

 

時雨「うん。…さっき戦っていた時、実は仮面ライダーも現れたんだ」

 

聖「仮面ライダー?君達以外の、かい?」

 

時雨「はい。…彼は自分を仮面ライダー黄昏妖魔と名乗っていました」

 

凪桜「!時雨先輩…」

 

雪音「黄昏…妖魔…何故時雨君と同じような名前の仮面ライダーが…」

 

時雨「多分それは…黄昏妖魔が“並行世界”か何かの僕だから…だと思う」

 

真黒「並行世界!?…けど、そこまで明言するってことは確証を持てるだけの何かがあった、ということかい?」

 

時雨「…はい。…戦ってる時、彼が変身解除したその姿が、どう見ても僕だったんです」

 

夜御哉「そんなことが…現実に…」

 

凪桜「私も見てたから、間違いない。あれは時雨先輩だった」

 

調「まさかもう一人の時雨部長が出てきちゃうなんて…」

 

 話が一つ落ち着いたところで、時雨は先程交戦したもう一人の自分…黄昏妖魔の存在について語る。

 

夢華「…晴っちの姿を借りてる何者かって線はないの?」

 

時雨「その可能性も考えたけど、薄いと思う。…もう一人の僕は凪桜ちゃんを攻撃出来なかったし、ハッピーエンドって言葉に強く反応してた。それに…無双の力を持ってたんだ」

 

都黎「無双の力を…!?」

 

真黒「あれほどの力を簡単にコピー出来るとは思えないし、一理あるか…」

 

時雨「後、凪桜ちゃんや汰月君の武器を持ってたりしてて…ただ無双の力をコピーするだけなら態々そんなことする必要はないんじゃないかなって…」

 

汰月「…確かに。並行世界の俺達が持っていた武器を何らかの要因で使っていると考えた方が自然か」

 

時雨「何より…もう一人の僕と対峙して、理屈とかではなくて直感で、これは僕自身だって、決して姿を似せただけの他人じゃない…晴河時雨なんだって、そう感じたんです」

 

聖「それで、並行世界の晴河君じゃないかという考えに至ったわけか…」

 

時雨「はい。…荒唐無稽な考えなのは分かってましたけど、空亡が世界の狭間の存在だっていうのならもしかしたら別の世界の僕を呼び寄せることも…可能なんじゃないかなって、そう思ったんです」

 

清那「…あり得るかもね。もしかすると、本当に“何か”が並行世界で起きていて、その結果空亡に操られた晴河君がこちらにやってきた…世界の狭間という不安定な環境を考えれば、並行世界の空亡がこちらの世界の狭間を通じてやって来ることも可能かもしれない」

 

 時雨はもう一人の自分は並行世界の晴河時雨本人ではないかと説明し、清那もその可能性は決してないものではないと頷く。

 

聖「そうなると…ここは分散して動いた方が良いかもしれないね」

 

真黒「ですね。…あの裂け目を閉じる役割は…取り敢えず僕達に任せてくれれば。後は街中の逃げ遅れた人の避難や街を守るグループと、もう一人の晴河君に対処するグループ…ってとこかな」

 

時雨「もう一人の僕は…僕が止めます」

 

凪桜「…まあ、無双の力を持ってるもう一人の時雨先輩を止められるのは時雨先輩しかいないか。…けど、勝てるの?さっき負けてたじゃん」

 

賢昇「はあ!?時雨が負けたのかよ…!んな奴相手に一人でなんて無茶だ。俺も行く」

 

汰月「俺も行くよ。危険過ぎる」

 

時雨「ありがとう。けど、大丈夫。僕一人で何とかしてみせるよ。だから…二人は皆と一緒に動いてて」

 

賢昇「けどな…」

 

アリス「…賢昇、実際のところもう一人の晴河君に裂ける人員は多くない。今先生方に頼んで弥城学芸祭で明日やるライブの会場として押さえてた弥城中央スタジアムを街の人達の避難所として解放してる。それに、白石さん?が言うように逃げ遅れた人もいるから、なるべく大人数で対処しないと」

 

星海「裂け目をどうにかすることも考えると、決して人手に余裕はありませんから…」

 

汰月「…分かった。なら…時雨に任せる」

 

賢昇「…けどな、絶対負けんじゃねえぞ」

 

時雨「…うん。負けないよ」

 

 時雨を案じて共に戦おうとする汰月と賢昇だったが、人手不足の現状を星海とアリスに指摘され、やむを得ず時雨に専任する。

 

龍之介「んー…そうだ。皆!折角だし皆で写真を撮っとこうよ」

 

汰月「え?写真…?」

 

龍之介「こういう時こそ明るくいかなきゃ、折れちゃうよ」

 

時雨「成る程。一理ありますね。折角これだけのメンバーが揃ってるわけですし、撮ってもらいましょうか」

 

凪桜「成る程…メンタルケアの一環というわけか。非常時こそ平常心を忘れずに…大切な心構えだね」

 

龍之介「そういうこと!ほら笑って笑って、うん!良い画になってるよ!」

 

都黎「こんな感じで大丈夫か?」

 

玲「大丈夫じゃない?」

 

愛菜「結構ぎゅうぎゅうですね〜」

 

結佳「ま、この人数だからね」

 

 暗くなっていた空気を戻すために、龍之介の発案で一同は写真を撮るのだった。

 そしてその効果もあり空気はいくらか緩和される。

 

賢昇「つーか、お祭りに街のスタジアム使うとか、結構規模でけえんだな」

 

アリス「そりゃまあ、一大イベントだからね。…そうそう、明日、私ライブするんだ。だからこんな事件、さっさと解決して観に来てよ」

 

賢昇「…だな」

 

澄香「因みに私も出るんだよ」

 

真黒「えっ…人前とか大丈夫なの?」

 

清那「てい」

 

真黒「いたっ!…何するのさ」

 

清那「あのねえ、注目するとこそこじゃないでしょ…」

 

澄香「あはは…まあ白石君らしいね。…色々頑張ってね。歌を歌う時だけは人前、いけるようになったんだ」

 

真黒「凄いじゃん」

 

澄香「えへへ…でしょ」

 

清那「本当に凄いよ。絶対観に行かなきゃだね」

 

リュウジン「!…この気配…来たようだぞ」

 

時雨「!…じゃあ、皆…行こう!」

 

 明日のライブには自分も出演することをアリスや澄香が語る中、リュウジンは敵の気配を感じ取る。

 そして時雨が全員に出撃の号令を掛け、皆それに頷く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「もうこんなに…!」

 

真黒「どうやら僕達を狙って集まって来たみたいだね」

 

汰月「まずはここを突破しないとか…」

 

賢昇「ここは俺達三人の力の見せ所だな」

 

時雨「…うん!」

 

《三倍装填!》

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

 

「「「変身!」」」

 

《融合装着!変化!

 

三位一体!阿修羅ヨロイ!》

 

 磐砥高校の建物から出て来た時雨達は街中に現れている空亡トルーパーを目にする。

 各々の目的地に向かうべく、まずは時雨、汰月、賢昇の三人が融合変身した妖魔 阿修羅ヨロイが先陣を切る。

 

妖魔「はああっ!」

 

霊魂『はあっ!』

 

幽冥『ふんっ!』

 

空亡T「無意味…」

 

空亡T「何度やろうと結果は同じ…」

 

 妖魔はそれぞれ妖之弓剣による斬撃、妖之斧火縄による銃撃、妖之盾槍による刺突で空亡トルーパー達を薙ぎ倒していくが、倒した空亡トルーパーは復活し、再度立ち塞がる。

 

妖魔「それでも…戦闘不能にすることは出来ます…!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

《全員!》

 

《三位連撃!》

 

「「「はあーっ!!!」」」

 

「「「「うああああっ!!」」」」

 

 妖魔は妖魔 龍ヨロイ、霊魂 大蛇ヨロイ、幽冥 鬼ヨロイのオーラと共に跳び蹴りを繰り出し、目の前の空亡トルーパー達を蹴散らす。

 

時雨「皆!今のうちに!」

 

汰月「ああ!」

 

賢昇「おう!」

 

時雨「僕も…行かなきゃ」

 

真黒「ああ、そうそう。移動ならこれ使いなよ」

 

時雨「!これは…ツクモブースター!?」

 

真黒「流石に持って来るのはくたびれたけどね」

 

時雨「ありがとうございます…!」

 

真黒「じゃ、こっちは僕達に任せて、行っておいで」

 

時雨「はい!」

 

 一旦変身を解いた時雨は、一際厚い暗雲が垂れ込めている方角を見つめ、そこへ向かおうとする。

 そして、真黒が持って来たというツクモブースターに乗り、街の中央部へと向かうのだった…。

 

真黒「さて、それじゃサクッと組み分けだけど、取り敢えず僕、朱井さん、黄坂さん、藍羽先生、田貫教授の五人はあの裂け目を塞ぐのを担当するよ」

 

アリス「それ、私も同行します」

 

真黒「!良いのかい?」

 

アリス「はい。私も何か手助けになるかもしれませんし…」

 

星海「あ、私も!…これでも、呪術師の一族の出ですし」

 

清那「二人とも…心強い助っ人だね。じゃ、よろしく!」

 

賢昇「…頑張ってこいよ」

 

アリス「…勿論!」

 

汰月「そっちは任せた」

 

星海「はいっ!」

 

 時雨が向かった後、それぞれが何を担当するかを割り振り、裂け目への対処は真黒、聖、清那、澄香、夜御哉、そしてアリスと星海の七人が担当することになる。

 

真黒「それじゃ、残る凪桜ちゃん、日島君、降谷君、昏時君、楓山さん、桃原さんの六人の仮面ライダーが…」

 

凪桜「街の人達を守る…」

 

聖「一人一人は大したことはないとはいえ危険な敵に違いはない。それに、五行がいることや道中人助けもしなくちゃいけないことも考慮して、二人一組でいこうか」

 

 残る六人の仮面ライダーの面子が街に散らばって防衛や避難誘導にあたることとなり、念の為に二人一組となって行動するべく、汰月と賢昇、凪桜と都黎、雪音と夢華で三組に分かれる。

 

咲穂「では私達は…」

 

調「スタジアムに行って避難して来た人を守らないと」

 

玲「これだけの人数がいればある程度は粘れるか…」

 

双葉「最悪オンミョウトルーパーになれば良いですし…」

 

瑠璃子「…だね。私達は敵を入れなければ勝ちだし」

 

克真「よーし、委員長達に負けないよう、頑張るぞー!」

 

圭佑「やる気は十分っす!」

 

結佳「ま、この子達のことは任せといてよ」

 

治「うぅ…怖いですけど、頑張ります!」

 

龍之介「ま、俺達はこの街をよく知ってるし、スタジアムも知ってる。そういう人間のサポートも必要だからね」

 

千瀬「さーて、張り切ってくよ〜」

 

由香里「…仮面ライダーの皆さんを少しでも手助けしないとですからね」

 

愛菜「皆で力を合わせましょう!」

 

 咲穂や調達を始めとする仮面ライダー以外の12人は弥城中央スタジアムの警護に当たることになる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「ヒッ…やめて…!」

 

「お、お姉ちゃんを傷つけるな…!」

 

空亡T「…くだらん」

 

汰月「させるか!」

 

空亡T「ぐっ…」

 

賢昇「おらよっと!」

 

空亡T「…仮面ライダーか」

 

「あなた達は…」

 

汰月「交換留学中の…仮面ライダーさ」

 

賢昇「お前、度胸あんな。姉ちゃん連れて向こうのスタジアムまで逃げるんだ。良いな?」

 

「う、うん!」

 

「ありがとうございます!」

 

 街中にて、逃げ遅れた中学生ほどの少女と、小学生ほどの少年の二人が空亡トルーパーに襲われそうになっていたが、そこに汰月と賢昇が駆け付け、跳び蹴りや回し蹴りで空亡トルーパーを牽制する。

 そして、懸命に姉を守ろうとしていた少年を讃えつつ、汰月と賢昇は空亡トルーパーに立ち向かう。

 

汰月「賢昇。俺達でこの場所を守り抜こう!」

 

賢昇「だな。おいお前等、折角の交換留学だ、邪魔すんじゃねえ!」

 

《激怒!》

 

《地獄!》

 

《大蛇装填!》

 

《装填!》

 

「「変身ッ!」」

 

《編纂装着!変化!

 

八重展開!八岐大蛇ヨロイ!》

 

《憑依装着!変化!

 

閻魔裁決!地獄ヨロイ!》

 

霊魂「はあああっ!!」

 

幽冥「だあっ!!」

 

 汰月と賢昇は同時に霊魂 八岐大蛇ヨロイと幽冥 地獄ヨロイへと変身し、空亡トルーパー目掛けて霊魂は銃撃し、幽冥は拳を構えながら突撃する。

 

霊魂「ふっ…ふん!」

 

幽冥「だっ、らあっ!」

 

空亡トルーパー「ぐっ…!」

 

 霊魂はクサナギガトリンガーで銃撃しつつ、地面を隆起させることで空亡トルーパー達の足場を奪い、その隙に隆起した地面を足場に跳躍した幽冥が両腕に針を束ねたブレードを伸ばし斬撃を叩き込む。

 

オオタケマル「ふんっ!」

 

霊魂「!…出たか」

 

幽冥「はっ、もう一度地獄に送ってやるよ!」

 

 参戦してきたオオタケマルの放った斬撃を咄嗟に回避すると、二人は果敢に立ち向かう。

 

「く、来るな…!」

 

「や、やめて…!」

 

都黎「はあっ!!…大丈夫か?」

 

凪桜「ふっ!ここは私達…仮面ライダーに任せて。…都黎、あの人」

 

都黎「ん?…お腹の子に気を付けながら、なるべく急いでスタジアムに向かうんだ」

 

「ありがとうございます!ほら、行こう」

 

「え、ええ。…本当にありがとうございます。」

 

 妊婦と思われる女性とそれを守ろうとする夫と思われる男性。そんな二人を狙う空亡トルーパーに、闇夜月で都黎が斬りかかり、凪桜がブンプクブラストフォンで銃撃すると、胎児の安全に気を付けつつ、弥城中央スタジアムに逃げるよう案内する。

 

凪桜「この世界は…あなた達のオモチャじゃない!滅ぼさせなんて…絶対にさせない。いくよ、都黎」

 

《伊邪那美…!》

 

《装填…》

 

都黎「ああ。凪桜の言う通りだな。…お前達に、皆の笑顔は…奪わせない!」

 

《ヤギョウ!》

 

《インストール!》

 

「「変身」」

 

《支配装着…変化…!

 

冥界姫君…伊邪那美ヨロイ…!》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

 空亡トルーパー達へ憤りを見せつつ、並び立った凪桜と都黎はそれぞれ黄泉 伊邪那美ヨロイと暗夜 ヤギョウヨロイへと変身する。

 

暗夜「はああっ!!はっ!ふん!」

 

黄泉「都黎!」

 

暗夜「!」

 

黄泉「千本桜!」

 

「「「うぐあああっ!!」」」

 

 先陣を切って突撃した暗夜は闇夜月を振るって空亡トルーパー達に斬りかかると、黄泉の合図を聞いて頷く。

 そして次の瞬間、黄泉は手を翳して高威力の桜の花弁を大量に飛ばして空亡トルーパー達を纏めて消し飛ばす。

 

シュテンドウジ「はあっ!!」

 

黄泉「彼岸桜」

 

暗夜「…助かった」

 

黄泉「気にしないで。…相手はシュテンドウジ、力を合わせていくよ」

 

暗夜「…ああ!」

 

シュテンドウジ「……」

 

 突如として放たれた爆炎の斬撃を、黄泉は複合術式・彼岸桜で展開した桜色の円陣で防ぐと、礼を言う暗夜に気にしないように伝えつつ、シュテンドウジの姿を確認する。

 

「あ、あなた、無茶よ…」

 

「何の…この程度…!ふん…つ、杖が…!」

 

空亡トルーパー「…無意味な真似を」

 

「あなた!!」

 

夢華「させないよー!」

 

空亡T「何…!」

 

雪音「おっと。させない、と言いましたよね?」

 

空亡T「…!」

 

雪音「今のうちに逃げてください」

 

夢華「あっちのスタジアムまで逃げてねー」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「し、しかしお嬢さん方は…」

 

夢華「私達はだいじょーぶ!」

 

雪音「ええ。私達は…仮面ライダーですから」

 

「仮面…ライダー…」

 

「な、何だか分からないが…恩に着るよ」

 

 老夫婦ににじり寄る空亡トルーパー。妻を守るためか老体に鞭打って杖で空亡トルーパーを打ち据えたお爺さんだったが、普通の人間であれば効きそうなものではあるものの、人間より遥かに強い空亡トルーパー相手には通用せず、杖がへし折れてしまう。

 しかし、空亡トルーパーの反撃がある前に駆け付けた夢華のアヤカシレーザーアタッカーによる斬撃で後退し、反撃しようとしたところを雪音がアヤカシレーザーアタッカーに乗せて放った冷気によって身体の一部が凍結され、動きが封じられる。

 そして雪音と夢華に促され、老夫婦は弥城中央スタジアムに向かおうとするが、雪音と夢華の身を案ずる。しかし、二人は仮面ライダーであるが故に心配は要らないと返し、よく理解出来ないながらも納得し、その場を去る。

 

雪音「さて、なんとしても食い止めましょう。いけますよね?夢華さん」

 

《ユキオンナ!》

 

夢華「勿論。よーし!派手にやっちゃうよ〜!」

 

《キュウビ!》

 

《インストール!》

 

「「変身!」」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!》

 

《凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

《幻影Illusion!キュウビヨロイ!》

 

 気合いを新たに、雪音は氷雪 ユキオンナヨロイへ、夢華は夢幻 キュウビヨロイへと変身し、並び立つ。

 

氷雪「ふぅ…はああっ!」

 

空亡T「何…!」

 

夢幻「ナイス!はあああっ!!」

 

「「「ぐあああっ!」」」

 

 氷雪は地面に手を付き、凄まじい冷気を放って空亡トルーパー達の足元を凍り付かせて動きを止めると、その隙に多重に分身した夢幻が空亡トルーパー達を斬り刻む。

 

オオガマ「ゲルォォォッ!!」

 

氷雪「はあっ!!」

 

夢幻「雪ちナイス!」

 

氷雪「…オオガマ…五行の水、ですか」

 

夢幻「…再生能力に要注意、だったっけね!」

 

 オオガマが放った音波攻撃を氷の壁を形成する氷雪と、そんな氷雪を褒める夢幻。

 これまで戦ったことのない相手に緊張感が走りながらも、二人は息を合わせて立ち向かう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「さて…あの裂け目を閉じる作戦だけど、田貫教授が作ったこの機械を使うよ」

 

アリス「これは…?」

 

夜御哉「簡単に言えば術式を打ち上げる装置だ。元々は妖力を使ったエコで安全な花火をやるために開発したんだが…軽く調整すれば裂け目を閉じるための術式を裂け目目掛けて撃ち出すことも可能だ」

 

アリス「成る程…」

 

清那「で、中に込める術式は私と斜馬ちゃん、繰谷ちゃんの三人で作り上げていくよ」

 

星海「頑張ります…!」

 

アリス「分かりました。…とはいえ、あれだけ大規模な裂け目を塞ぐ術式となると、三人でも相応に時間がかかりそうですね…」

 

夜御哉「黄坂君は俺の手伝いを頼むよ」

 

澄香「了解です!」

 

夜御哉「発射準備に色々と必要なものでね」

 

真黒「…どうやら、敵も気付いてるみたいですね」

 

聖「だね。…私達はここを守り抜こうか」

 

真黒「…ええ。張り切り過ぎてバテないでくださいよ」

 

聖「はは…善処するよ」

 

 夜御哉が持って来たという花火打ち上げ用の装置を活用し、裂け目を塞ぐための術式を打ち上げることに。

 しかし、裂け目を塞ごうとしていることに気付いたのか、空亡トルーパー達も寄って来ており、邪魔をさせないために真黒と聖が立ち向かおうとする。

 

空亡T「貴様等…何をしている」

 

真黒「あの裂け目をちょっと閉じようかなって」

 

空亡T「させぬ…!」

 

聖「その反応、やっぱりあの裂け目が塞がれたら不都合なようだな」

 

真黒「ほぼ確ってとこかな」

 

《着火!》

 

聖「…そうだね。尚更邪魔はさせられない。空亡、お前達の思い通りにはさせない!」

 

《最終段階解放!》

 

《八咫烏…!》

《餓者髑髏…!》

 

《伊邪那岐!》

 

《イグニッション!ゼロ!》

《イグニッション!ゼロ!》

 

《インストール!》

《ワーニング!ワーニング!アウェイクニング!》

 

「「変身!」」

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎!零!》

 

《神格装着!ヘンゲ!

 

天界君主!仮面ライダー神羅!伊邪那岐ヨロイ!》

 

 空亡トルーパー達の反応から裂け目を狙うのが正解だと確信すると、真黒と聖は禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイと神羅 伊邪那岐ヨロイへと同時に変身する。

 

禍炎「はああっ!!」

 

神羅「…ふんっ!」

 

空亡T「くっ…」

 

空亡T「近付けん…!」

 

 禍炎は蒼炎の弾丸をオンミョウブラストチェンジャーから連射して空亡トルーパー達を銃撃し、神羅は掌から黄金の衝撃波を放つことで空亡トルーパー達を吹き飛ばす。

 

禍炎「僕達最強タッグの力、見せてあげるよ」

 

神羅「…フッ、頼もしい限りだね」

 

「「はあーっ!!」」

 

 禍炎と神羅はここから先へは一歩も通さないと言わんばかりに立ち塞がると、同時に空亡トルーパーへ向かっていく。

 

ヌエ「…ふん」

 

ツチグモ「フフフ…」

 

神羅「…どうやら私達は相当警戒されているらしい」

 

禍炎「…みたいですね」

 

 空亡トルーパーに加勢するように現れたヌエとツチグモの姿に、二人は自分達が余程警戒されていることを悟り、裂け目を守ろうとしていると確信を得る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

T(黄昏)時雨「……来た」

 

時雨「……」

 

クウボウ「フッ、愚かにもまた負けに来ましたか」

 

時雨「…負けに来たんじゃありません。…止めに来たんです。ハッピーエンドで終わらせるために」

 

 ツクモブースターに乗ってもう一人の時雨の元へやって来た時雨。

 クウボウの煽りへの反論として時雨の発した「ハッピーエンド」という言葉に反応したもう一人の時雨は妖之流星刀を取り出すと、時雨目掛けて斬りかかる。

 

T時雨「…ハッピーエンド?…くだらない。そんなもの…ただの幻想だ!!まやかしだ!!」

 

時雨「そんなことありません!例え綺麗事だったとしても…諦めずに少しずつ歩んでいけば…いつか必ず、ハッピーエンドに辿り着けます…っ!」

 

T時雨「キミに…何が分かる…!」

 

時雨「…分かりますよ!少なくとも僕は…そしてあなたは…そうやって歩んで来た。そうでしょう?」

 

T時雨「!…どういうこと」

 

時雨「あなたは…別の世界から来た僕なんじゃないんですか?」

 

 もう一人の時雨の攻撃を自身も妖之弓剣を取り出して受け止める時雨。

 押しつ押されつで激しく斬り結ぶ中、時雨は鍔迫り合いに持ち込みながらもう一人の時雨の本質を問う。

 

クウボウ「!…黄昏妖魔様、そんな奴の言うことに耳を貸す必要はございません!」

 

リュウジン「お前は…邪魔をするな!」

 

クウボウ「くっ…虫ケラ風情が…!」

 

リュウジン「む、虫っ!?…トカゲ呼ばわりでも許せんというのに…虫だと…!?許さん!!」

 

クウボウ「ぐっ…面倒な…!」

 

 う一人の時雨に呼びかけようとするクウボウだったが、リュウジンとツクモブースターが突撃して妨害する。

 しかし、その最中で虫呼ばわりしたせいでリュウジンの逆鱗に触れ、雷のブレスを吐きながらクウボウに襲いかかり、クウボウも全身に目玉の付いたような醜悪な怪物の姿に変貌して応戦する。

 

T時雨「ボクが…キミ?…そんな甘ったれた譫言を言うキミが、どこかの世界のボク?…そんなわけない」

 

時雨「じゃあ何で、僕と同じ姿をしていて、僕と同じ力を持っているんですか?」

 

T時雨「!それは…」

 

時雨「…どうして、あの時凪桜ちゃんに攻撃することを躊躇ったんですか?ハッピーエンドって言葉に過剰に反応するんですか?……あなたは、過去の記憶がないんじゃないんですか?だから、本当は自分が誰なのか分かってないんじゃないですか?」

 

T時雨「っ!……違う。ボクはキミじゃない…!確かにボクに過去の記憶はない。けど、ボクは黄昏妖魔…この世界を滅ぼして…正しいバッドエンドに導く存在なんだ…!」

 

《無双!》

 

時雨「!…そう来るんなら…仕方ないです」

 

《無双!》

 

《装填無双!》

 

時雨「変身っ!」

 

T時雨「変身…!」

 

《憑依装着!超変化!》

 

《超絶最強!無双ヨロイ!オォー!》

 

《孤高最強!無双ヨロイ!オォ…!》

 

妖魔「はああっ!!」

 

黄昏妖魔「はああっ!!」

 

 もう一人の時雨は時雨の言葉を跳ね除けて黄昏無双アヤダマを取り出し、それを見た時雨もこれ以上の言葉は無意味と悟り、無双アヤダマを取り出す。

 そうして時雨は妖魔 無双ヨロイへ、もう一人の時雨は黄昏妖魔 無双ヨロイへと変身し、同時に駆け出しその拳をぶつけ合わせる。

 

妖魔「…あなたが忘れてしまったというのなら…何度だって思い出させてみせます!仮面ライダー妖魔とはどういう存在か。晴河時雨がどういう人間だったのかを…!」

 

黄昏妖魔「…思い出すことなんて何一つない!ボクは…黄昏妖魔…世界を滅ぼすための存在。そうじゃなきゃ…いけないんだ!!」

 

 妖魔は黄昏妖魔に殴りかかりながら自分が“晴河時雨”という存在の全てを思い出させると息まき、それを受けた殴り返しつつ黄昏妖魔はどこか必死な様子でそれを拒絶する。

 

妖魔「はああっ!!」

 

黄昏妖魔「はあっ…ふっ!!」

 

妖魔「!……強い…!だったら!」

 

《猛攻之刻!》

 

黄昏妖魔「無駄だね…!」

 

《猛攻之刻!》

 

《無双猛攻剛撃!》

 

「「はああっ!!」」

 

 妖魔は妖之弓剣を取り出して斬りかかるが、その攻撃を黄昏妖魔は斧状態の妖之斧火縄と槍状態の妖之盾槍の二刀流で迎え撃つ。

 下段を妖之弓剣で薙ぐ妖魔に対し、黄昏妖魔は横回転するようにその場で跳躍しそのまま左手に持った妖之盾槍を突き出して妖魔を攻撃する。しかし、対する妖魔もその攻撃を妖之弓剣の角度を変えることで受け流す。

 続けて放たれた黄昏妖魔の妖之斧火縄による重い斬撃を妖魔は身体を捻らせて回避しつつ、妖之弓剣を突き出して黄昏妖魔を狙う。

 妖魔が放った突きをすんでのところで妖之斧火縄の刀身で受け止めた黄昏妖魔を見た妖魔はより決定的な攻撃を放つべく赤色のオーラを全身に纏うが、対抗した黄昏妖魔も同様に赤いオーラを纏い、互いに強烈な斬撃をぶつけ合う。

 互いに決定打は与えられぬまま、その余波で後退した妖魔と黄昏妖魔は、互いに出方を伺う。

 

妖魔「なら…」

 

《弓之刻!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

《銃之刻!》

 

黄昏妖魔「そうくるなら…こっちも」

 

《盾之刻!》

 

 妖魔は妖之弓剣を弓状態に変えて矢を放つと、黄昏妖魔はその一発を妖之斧火縄で弾き返しつつ銃状態に変え、更に妖之斧火縄を空へ投げてその隙に妖之盾槍を盾状態に変える。

 

妖魔「はあっ!」

 

黄昏妖魔「ふっ…はああっ!!」

 

 妖魔は矢を連続で射ることで黄昏妖魔を狙うが、黄昏妖魔はその矢を妖之盾槍で防ぎつつ、妖之盾槍の上に乗せることで固定した妖之斧火縄で弾丸を撃ち込む。

 その銃撃を妖之弓剣を振るって斬り捌くと、妖魔は移動しながら矢を放ち始め、黄昏妖魔と射撃の応酬を繰り広げる。

 

黄昏妖魔「…隙ありだ」

 

妖魔「っ…!」

 

 射撃後に生まれた妖魔の隙を狙い、黄昏妖魔は闇夜月で斬りかかり、妖魔も咄嗟に妖之流星刀に持ち替えることでその攻撃を防ぐ。

 

妖魔「はあっ!はっ…はあ!」

 

黄昏妖魔「ふっ…ふう、はあっ!!」

 

妖魔「くっ…はあっ!」

 

黄昏妖魔「うあっ!」

 

 妖魔は妖之流星刀で黄昏妖魔に斬りかかるが、その太刀筋を見極めた黄昏妖魔は闇夜月を回転させるように振るうことで横から斬撃を叩き込み、妖之流星刀の軌道を狂わせ、そのまま妖魔に突きを喰らわせる。

 しかし、負けじと妖魔も妖之流星刀を持ち直し、下から勢いよく斬り上げ黄昏妖魔を斬り裂く。

 

黄昏妖魔「世界は滅びる…それ以外の結末はない」

 

妖魔「そんな結末、僕が変えます!」

 

黄昏妖魔「…そんなこと、出来っこない!!」

 

妖魔「!…これは…!」

 

《加速之刻!》

 

黄昏妖魔「逃がすものか」

 

《加速之刻!》

 

《無双加速剛撃!》

 

黄昏妖魔「はあっ!」

 

妖魔「っ…はあっ!はっ!はあああっ!!」

 

黄昏妖魔「ふっ…。!」

 

妖魔「っ!」

 

 黄昏妖魔は妖魔の言葉を否定すると五つのブラストモードのブンプクブラストフォンを浮かせつつ、自身はオンミョウブラストチェンジャーを構えて連続銃撃を仕掛ける。

 対する妖魔はその攻撃を咄嗟の判断で回避し、自身もブラストモードのブンプクブラストフォンで応戦しつつ、青色のオーラを纏って高速移動を始めるが、黄昏妖魔も青色のオーラを纏って高速で追跡を始める。

 大量に黄昏妖魔に追従しながら射撃し続けるブンプクブラストフォンと、その合間から飛んでくるオンミョウブラストチェンジャーの強力な弾丸を、妖魔は何とか高速移動で回避しつつブンプクブラストフォンを連射することで撃ち落とし、更には黄昏妖魔と互いに放った銃撃で互いの手から武器を弾き落とさせる。

 

黄昏妖魔「滅びるんだ…!!」

 

妖魔「勝手に…この世界をバッドエンドに決めないでください!そんな結末!僕が…僕達がハッピーエンドに変えてみせる!」

 

黄昏妖魔「くっ…!」

 

《守護之刻!》

 

《無双守護剛撃!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

黄昏妖魔「ふっ!」

 

 大剣状態の龍神之大砲剣に持ち替えた妖魔と、レーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカー二刀流で斬りまくる黄昏妖魔。

 舌戦を交えつつ、二人は同時に紫色のオーラを全身に纏い、激しく斬り合う。

 妖魔の放った重い横薙ぎの斬撃を受けて少し横に移動させられながらも、黄昏妖魔は二本のアヤカシレーザーアタッカーで何度も斬りつける。

 

妖魔「はあっ!!」

 

黄昏妖魔「くっ…だったら…!」

 

妖魔「!三本目…!なら!」

 

《大砲之刻!》

 

妖魔「はっ!!」

 

黄昏妖魔「ふんっ!」

 

 妖魔の巧みな剣捌きによってアヤカシレーザーアタッカーを弾き飛ばされてしまった黄昏妖魔は三本目のアヤカシレーザーアタッカーをレーザーガンモードで取り出して妖魔に銃撃し、それを受けた妖魔も龍神之大砲剣を大砲状態に変化させてそのレーザー弾と撃ち合う。

 

「「はああっ!!」」

 

黄昏妖魔「…!あり得ない…ボクの方が強いはずなのに…空亡の力を持つボクに、キミなんかが勝てるはずないのに…どうして追いつき始めてる…!?」

 

妖魔「そんなの簡単です。この力は…想いの力!自分を見失ってるあなたに、夢を追いかけて、仲間を信じる今の僕が負けるはずありません!」

 

 互いに撃ち合った攻撃のダメージを攻撃力に転化し、紫色のエネルギー弾を発射する妖魔と黄昏妖魔。しかし、その攻撃は完全に威力が拮抗し、相殺される。

 最初は少し劣勢だったはずの妖魔の追い上げに、黄昏妖魔は取り乱すが、そんな黄昏妖魔に妖魔は無双の力の本質を語る。

 

黄昏妖魔「…夢…?仲間…?そんなもの…!はああっ!!」

 

妖魔「!…向日葵…っ!」

 

黄昏妖魔「だったら…そんなものごと、この世界を滅ぼす…!」

 

妖魔「させません。…絶対に、思い出させてみせます!はああっ!!」

 

黄昏妖魔「!くっ…うああっ!!」

 

 黄昏妖魔は背中から稲妻の翼を伸ばして飛翔し、妖魔目掛けて叩きつけるが、妖魔は咄嗟に複合術式・向日葵を発動することで黄色い向日葵の模様の刻まれた円陣を展開して受け止める。

 そして、円陣が砕けると同時に黄金のオーラを纏って跳躍し、黄昏妖魔目掛けて接近すると、そのまま渾身の拳を顔面に叩き込んで地面まで一緒に落下する。

 

黄昏妖魔「くっ…ボクは…キミなんかじゃない…!」

 

《究極之刻!》

 

妖魔「…自分を失ったあなたに、僕は負けません。何がなんでも思い出させます」

 

《一・撃・必・殺!》

 

「「はあああ…!」」

 

《無双究極剛撃!》

 

「「はあーっ!!」」

 

 妖魔と黄昏妖魔は互いに勝負を決めるべく動き出し、妖魔は右脚に黄金のオーラと白い稲妻を迸らせ、黄昏妖魔は右脚に橙がかった黄金のオーラと黒い稲妻を迸らせると、同時に跳躍して凄まじい威力の跳び蹴りを放って激突する。

 

黄昏妖魔「はああああっ!!…!なんなんだ、この強さ…どうして…ボクが…ハッピーエンドなんて絵空事を信じるキミなんかに…!」

 

妖魔「確かに…絵空事かもしれません。でも、僕は決めたんです。僕は絶対に…ハッピーエンドを諦めはしない!それが、“仮面ライダー妖魔”で…“晴河時雨”だから!だから…あなたにも思い出させます!僕が!あなたが!どんな人間だったのか!仮面ライダー妖魔が…何のために戦うのか!!はああああっ!!!」

 

黄昏妖魔「っ…はあああああっ!!」

 

 マントをたなびかせながら激しく空中で押し合う妖魔と黄昏妖魔。

 両者引かない中、妖魔は自分の中にある譲れない想いを黄昏妖魔にぶつける。

 その瞬間、二人の力がぶつかり合ったことで凄まじいエネルギーが生じ、白いエネルギーフィールドに二人は包まれる。

 段々と飛びそうになる意識の中、もう一人の時雨の脳裏には聞き覚えのある声が響いていていた。

 

「時雨」

 

T時雨(この…声は…)

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

霊魂「はああっ!!」

 

幽冥「オラアアッ!」

 

オオタケマル「ふんっ!!」

 

霊魂「おっと…!相変わらず硬いな…」

 

幽冥「ツチグモとかオオガマは弱くなってたのに、何でこいつだけあんま変わってねえんだよ!」

 

霊魂「…他の面々は特殊能力面に頼る奴が多かったけど、オオタケマルだけは完全にパワーが脅威だからな…あんまり強さが左右されにくいんだろ。…とはいえ」

 

幽冥「…だな。とはいえ、そのままの強さじゃねえ。今の状態なら魂壊も使えねえだろうし、俺達二人でぶっ潰す!」

 

霊魂「ああ!」

 

 復活したオオタケマルに殴りかかるが、あまりダメージを与えきれず、力強く振るう矛を避けるために距離を取る霊魂と幽冥。

 他の五行との強さの違いを考えつつ、それでも勝機はあると考え、二人は力を合わせて立ち向かう。

 

《白日槍撃!》

 

幽冥「だあッ!」

 

オオタケマル「ふんっ!!」

 

霊魂「隙あり…!」

 

《熱狂銃撃!》

 

オオタケマル「!?」

 

 幽冥は光の槍をオオタケマルにぶつけ、怯ませる。その隙に霊魂は反撃に移ろうとしたオオタケマルの手に持つ矛を灼熱の車輪を発射して叩き落とす。

 

霊魂「賢昇!」

 

幽冥「おう!」

 

《焦熱地獄!判決之刻!》

《一撃・必殺!》

 

霊魂「よし…!」

 

《一撃!必殺!》

《超!弾丸装填!》

 

《焦熱刑撃!》

 

幽冥「ウラアアッ!」

 

《八重憤怒爆撃!》

 

霊魂「はああっ…!」

 

オオタケマル「くっ…ぐあっ!!」

 

空亡T「くっ…」

 

空亡T「うああっ!」

 

 霊魂は高火力のエネルギー弾の連射とオロチキャノンからの砲撃を、幽冥は地獄の業火を放つことでオオタケマルに大ダメージを与えつつ、近くの空亡トルーパー達を一時的に撃破する。

 

霊魂「…これで終わりだ」

 

《一・撃・必・殺!》

 

幽冥「一気に攻め立てるぜ!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《八重憤撃!》

 

《閻魔剛撃!》

 

「「はあーっ!!」」

 

オオタケマル「くっ…うぐああああっ!!」

 

 霊魂と幽冥は同時に跳び上がり、八体の大蛇のオーラを右脚に収束させた跳び蹴りと黒いオーラと赤色の炎を纏わせた跳び蹴りを同時に放ち、オオタケマルを撃破する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

シュテンドウジ「ふんっ!!」

 

黄泉「!」

 

暗夜「凪桜!こっちだ!」

 

黄泉「…ありがと、都黎」

 

暗夜「気にするな」

 

 シュテンドウジの放った炎の斬撃への対応が遅れた黄泉だったが、暗夜が闇の中を通じて退避させることで難を逃れる。

 

黄泉「気を引き締めていくよ」

 

暗夜「ああ」

 

シュテンドウジ「ふんっ!」

 

黄泉「ふっ…はあっ!」

 

暗夜「ふん…!」

 

シュテンドウジ「ぐあっ!」

 

 シュテンドウジの放った突きに対し、黄泉は終滅之薙刀で絡めとるように外道丸を抑え、その隙に暗夜が接近して斬撃を浴びせる。

 

シュテンドウジ「…酒…池…爆、斬…!」

 

黄泉「っ…あの大技も使えるのか…!」

 

暗夜「面倒だな…なら」

 

《唐傘御化!アヤダマ一閃!》

 

暗夜「はっ!!」

 

黄泉「…!そうだ、都黎、提灯御化アヤダマ貸して」

 

暗夜「…分かった」

 

黄泉「ありがと」

 

 シュテンドウジは生前と同じ技である酒池爆斬を発動することで凄まじい威力の爆炎の斬撃を連発し、黄泉と暗夜を苦しめるが、暗夜が咄嗟の判断で発動していた唐傘型バリアで凌ぎ、それを見て黄泉は何かを思い付き、提灯御化アヤダマを借りる。

 

《装填…一撃…必殺!》

 

《灯火薙撃!》

 

シュテンドウジ「ふんっ!!」

 

黄泉「はああ…!」

 

暗夜「!…成る程、炎を吸収したのか」

 

黄泉「はあっ!!」

 

シュテンドウジ「くっ…うぐあああっ!!」

 

 黄泉は終滅之薙刀に提灯御化アヤダマを装填することで提灯型エネルギーをその刃に形成し、そこで炎の斬撃を受け止めることで炎を吸収し、威力を高めて撃ち返す。

 

黄泉「都黎!」

 

《一撃…必殺!》

 

暗夜「…ああ!」

 

《夜行流奥義!》

 

《冥界滅撃…!》

 

《神剣・暗闇演舞!》

 

黄泉「はあああっ!!」

 

暗夜「はっ!はあっ!!」

 

黄泉「は…はっ!」

 

暗夜「ふっ…ふん!」

 

シュテンドウジ「くっ…」

 

空亡T「ぐああっ!!」

 

空亡T「うぐあっ!」

 

「「はあーっ!!」」

 

シュテンドウジ「ぐあああっ!!」

 

 黄泉は桜色のエネルギーを右脚に纏わせて桜の花弁を舞い散らせた連続回し蹴りを放ち、暗夜は闇のオーラを集めた闇夜月で踊るように連続斬りを放つことでシュテンドウジにダメージを与えつつ、空亡トルーパー達を殲滅すると、最後に強力な一撃を叩き込んでシュテンドウジを撃破する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

オオガマ「ふんっ!」

 

夢幻「おっと…!」

 

氷雪「大丈夫ですか?」

 

夢幻「だいじょぶだいじょぶ。…とはいえ、厄介だね」

 

氷雪「以前より弱いとはいえ再生能力もありますからね…。このままでは決め手に欠けます」

 

 オオガマが舌を伸ばして放って来た攻撃に対し、何とか幻影による身代わりで回避する夢幻。

 生前より効力は落ちたものの再生能力のあるオオガマ相手にどう攻め切るのか、氷雪は思案する。

 

オオガマ「ふん!」

 

氷雪「っ…はあっ!」

 

夢幻「たあっ!!」

 

オオガマ「くっ…」

 

夢幻「!これかも…!」

 

氷雪「へ?」

 

 オオガマの拳をなんとかアヤカシレーザーアタッカーで受け止めると、そのまま銃撃で反撃に出る氷雪。

 追撃として夢幻が氷雪の銃撃を叩き込んだ箇所に斬撃を叩き込んでオオガマを退かせるが、その光景を見て何かを閃いたらしい様子を見せる。

 

夢幻「連続で攻撃した箇所は治りが遅かった。つまり、もっと強い攻撃を連続で放てば…」

 

氷雪「倒せるかも…ということですか?」

 

夢幻「そゆこと。ほら、晴っちから借りてたアヤダマあるじゃん、アレ使おうよ」

 

氷雪「成る程…確かにアレなら…」

 

 夢幻の思い付いた策を実行すべく、夢幻は河童アヤダマを、氷雪は天狗アヤダマを取り出す。

 

夢幻「ちょっと危険な方法だけど…これしかない…!」

 

氷雪「…仕方ありませんね。夢華さんに乗るとしましょう」

 

《天狗!》

《インストール!》

 

夢幻「よーし!」

 

《河童!》

《インストール!》

 

《スペシャルムーブ!》

 

夢幻「もう一声いこっか」

 

氷雪「…ですね」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《凍結ストライクフィニッシュ!》

 

《幻影ストライクフィニッシュ!》

 

《疾風シュートフィニッシュ!》

 

《水勢スラッシュフィニッシュ!》

 

「「はああっ!!」」

 

空亡T「くっ…ぐああっ!」

 

空亡T「うぐあああっ!!」

 

オオガマ「!…ゲルォォォッ!!」

 

氷雪「負けません…!」

 

夢幻「ここで倒させてもらうよ…っ!」

 

オオガマ「オオォォォ…!っ…ぐあああああっ!!」

 

 オオガマ目掛けて凄まじい局所的ブリザード砲と水流によって質量と大きさを増した幻影のアヤカシレーザーアタッカーを放った氷雪と夢幻。

 空亡トルーパーを巻き込んで撃破していきながらも、オオガマは口から放つ咆哮で抵抗を図る。

 しかし、何とか氷雪と夢幻が押し勝ち、オオガマを爆散させる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

神羅「はあっ!はっ!!」

 

ヌエ「っ…!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

禍炎「はああっ!!」

 

空亡T「くっ…!」

 

ツチグモ「ふっ…!」

 

禍炎「は!?ちょ…うわあっ!?」

 

神羅「白石君!?」

 

禍炎「つ、ツチグモは僕に任せてください!」

 

神羅「わ、分かった…」

 

 神羅は高速で移動すると頭上から衝撃波を叩き付けてヌエと周囲の空亡トルーパーを吹っ飛ばす。

 一方で蒼炎を纏った蹴りで空亡トルーパーを蹴り飛ばしていた禍炎の体を、背後からツチグモが糸でぐるぐる巻きにすることで身動きを止め、そのままどこかへ引きずっていく。

 

神羅「数が多いな…ならここは」

 

《極限段階解放!》

 

《天界ジャッジメント!》

 

神羅「はああっ!!」

 

「「「「うぐああああっ!!」」」」

 

 神羅は空亡トルーパー達の攻撃を黄金のバリアで受け流すと瞬間移動で距離を取り、上空から黄金のエネルギー弾を大量に降り注がせることで空亡トルーパーを纏めて倒す。

 

ヌエ「ふんっ!」

 

神羅「ヌエ。もうお前には…負けない!」

 

ヌエ「ぐっ…ふんッ!」

 

神羅「はっ!はあ!」

 

ヌエ「うがっ!!」

 

 神羅はヌエの拳を片手で受け止め、横蹴りでその距離を空けると、ヌエの放った紫電を黄金のバリアで受け止め、更にそのまま黄金のバリアを消すと同時に黄金の光の刃を放ってヌエに斬撃を叩き込む。

 

《超過段階解放!》

 

神羅「これで…終わりだ!」

 

《天界パニッシュメント!》

 

ヌエ「ふんっ…!?」

 

神羅「はああっ!!」

 

ヌエ「うぐっ…ぐああああっ!!」

 

 神羅は背後から殴りかかるヌエに対し、瞬間移動でその攻撃を回避しつつ頭上を取ると、上から押し潰すように渾身の拳を叩き込み、ヌラリヒョンを爆散させる。

 

ツチグモ「ふふふ…!」

 

禍炎「痛い、痛いって!お尻が地面にゴリゴリ言ってるから!…仕方ない、ここは」

 

《天邪鬼!》

 

《イグニッション!》

 

《雨降小僧!》

 

《イグニッション!召喚!天邪鬼!雨降小僧!》

 

アメフリコゾウ「はっ!」

 

アマノジャク「ふん!」

 

ツチグモ「っ…!」

 

 ツチグモに捕らえられ、引きずられていた禍炎は尻の痛みを訴えつつアマノジャクとアメフリコゾウを召喚し、ツチグモを攻撃させることで窮地を脱する。

 

禍炎「よい…しょっと。…全く、あなたのお気に入りだったか何だったか忘れたけど、こういうのはあんまりいただけないねぇ…」

 

ツチグモ「ふふ…ふん!」

 

禍炎「っと…ここは」

 

《陰摩羅鬼!》

 

《イグニッション!》

 

《野槌!》

 

《イグニッション!武装!陰摩羅鬼!野槌!》

 

禍炎「ま、これでも使ってよ」

 

アマノジャク「……」

 

アメフリコゾウ「……」

 

禍炎「お気に召してくれたみたいで何より、さあ、いくよ!」

 

 禍炎は生前のツチグモが自身のことを妙に気に入っていたことを思い出しつつ、絡み付いた糸を蒼炎で焼き切ると、アマノジャクに土中之槌を、アメフリコゾウに魂魄之弓を生成してそれぞれ手渡す。

 二人が武器を構えてやる気万端の様子を見せると、禍炎も頷き並び立つ。

 

禍炎「はああっ!」

 

ツチグモ「っ…」

 

アマノジャク「ふん!」

 

ツチグモ「くっ…」

 

アメフリコゾウ「はっ!」

 

ツチグモ「うあっ!」

 

禍炎「よし、この調子なら…」

 

「危なーい!」

 

禍炎「ん?」

 

「はあっ!」

 

アマノジャク「ぐはっ!?」

 

 禍炎の銃撃で怯んだ隙にアマノジャクが接近して殴打し、すかさずアメフリコゾウが水を纏った矢で追撃を喰らわせる。

 しかし、その直後、どこからか現れた青年が跳び蹴りでアマノジャクを攻撃してしまう。

 

禍炎「アマノジャク!?…ちょっと、君、何してくれてるのさ」

 

「え?一人で何体も敵を相手にしてるって感じじゃないの?」

 

禍炎「違うよ。この二人は僕の仲間」

 

「え!?そうだったの!?ご、ごめんなさい!いかにも怪人って見た目してたからつい…」

 

禍炎「まあ、分からないでもないけど…。大体、どこから来たのさ、君。街の人達はスタジアムに逃げてるはずじゃ…」

 

「ん?あー、大丈夫大丈夫。俺は守られる側の人間じゃないし、そもそも街の人じゃないから。ヒーローたるもの、困ってる人は助ける、でしょ?」

 

禍炎「ヒーロー…?街の人じゃないって、君は一体…」

 

「…俺は機道(きどう)裕輝(ひろき)。ヒーローに憧れる喫茶店の店主!そして…」

 

禍炎「!ドライバー…!?」

 

《エナジーテクノドライバー!》

 

 機道裕輝と名乗った青年は自らをヒーローと称すると、黒色と銀色を基調として青色のラインが入っている、正面から見て右側に備え付けられた黒い大きなレバーが特徴的な装置…“エナジーテクノドライバー”を取り出し、自らの腰に装着させる。

 

裕輝「張り切っていくよ!」

 

《ホッパー!》

 

禍炎「電池…?」

 

《バイク!》

 

《エナジーオン!》

 

禍炎「えっ…え?」

 

裕輝「変身!」

 

《アクティベート!

 

シナジースピード!ホッパーバイク!》

 

禍炎「バッタとバイクの仮面…ライダー…!?」

 

「そういうこと!俺は仮面ライダーメカニック!さっき間違えて攻撃しちゃったし、お詫びに手伝ってくよ」

 

 裕輝は緑色を基調としてバッタの絵柄が刻まれた“ホッパーエナジーデンチ”をエナジーテクノドライバーの裕輝から見て右側のスロットに、赤色を基調としてバイクの絵柄が刻まれた“バイクエナジーデンチ”をエナジーテクノドライバーの裕輝から見て左側のスロットに装填していく。すると、緑色のバッタの絵柄が刻まれた電子的な基盤のような模様が裕輝の右横に、更には赤色のバイクの絵柄が刻まれた電子的な基盤のような模様が裕輝の左横に出現する。

 続けて掛け声を上げ、裕輝はレバーを左側から右側へ移動させる。

 次の瞬間、二つの模様が裕輝の前にスライドしてきて重なり合い、裕輝の身体を通過する。

 そうしてその身体をバッタの要素が入った装甲とバイクの要素が入った装甲が各所に追加された姿の戦士に変えてゆく。

 最後にその複眼をマゼンタに輝かせ、新世代の戦士、仮面ライダーメカニック ホッパーバイクシナジーが登場する。

 

禍炎「メカニック…なら、手を貸してくれるかい?」

 

メカニック「勿論!ヒーローの名にかけて、悲劇は俺が終わらせる!はああっ!」

 

ツチグモ「っ…!ふん!」

 

メカニック「おっとと…はああっ!」

 

ツチグモ「うう…!」

 

禍炎「中々やるじゃん」

 

《イグニッション!武装!鎌鼬!》

 

禍炎「はあっ!!」

 

空亡T「ぐああっ!」

 

 メカニックはバッタを彷彿とさせる軽快な跳躍をすると、ツチグモとの距離を詰めて拳で殴り飛ばす。

 そしてツチグモの反撃を軽く後ろに下がって回避し、蹴りで反撃を叩き込む。

 その様を見た禍炎は感心しつつ自身も辻風之鎌で空亡トルーパーを連続で斬りつける。

 

禍炎「っとと…はああっ!!」

 

ツチグモ「くっ…ふん!」

 

禍炎「はっ!はああっ!!」

 

メカニック「はっ!はあっ!はああっ!!」

 

空亡T「ぐあっ!!」

 

空亡T「くっ…!」

 

 禍炎はメカニックに変わりツチグモに斬りかかり、その糸を斬り裂きながら接近する。

 一方空亡トルーパー達の相手を引き受けたメカニックは軽いフットワークで連続攻撃を繰り出していく。

 

メカニック「よーし…コイツで!」

 

《コンピュータ!》

 

《エナジーオン!》

 

《アクティベート!

 

ホッパー&コンピュータ!》

 

禍炎「ちょっと見た目変わった…」

 

メカニック「はああっ!!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

メカニック「うおりゃああっ!」

 

空亡T「ぐはっ!」

 

禍炎「え…キーボードの…剣…?」

 

 メカニックはバイクエナジーデンチを白色のコンピュータエナジーデンチと入れ替える。

 すると、今度は白色のコンピュータの絵柄が刻まれた電子的な基盤のような模様がメカニックの左横に出現して重なるとバイクを思わせる装甲が消え、代わりに各所にコンピュータを思わせるパーツが装着されたメカニック ホッパーコンピュータに姿を変える。と同時にキーボードが付いた大剣型の武器、キーボードブレードを召喚し、それを振るって空亡トルーパー達を斬り裂いていく。

 

メカニック「はああ…はあっ!!」

 

「「うぐあああっ!!」」

 

禍炎「へえ、面白いね!いくよ!」

 

アマノジャク「ふん!」

 

アメフリコゾウ「はっ!」

 

ツチグモ「くっ…うあっ!」

 

 メカニックは力を溜めて重い一薙ぎで空亡トルーパー二体を爆散させる。

 それを見た禍炎は自分たちも負けてられないと辻風之鎌でツチグモに連続で斬撃を叩き込み、更にその勢いのままアマノジャクの打撃とアメフリコゾウの射撃で追撃を仕掛ける。

 

《ホッパーバイク!》

 

メカニック「一気に決めるっ!」

 

《チャージオン!》

 

メカニック「はあっ!」

 

《スピードエナジーフィニッシュ!》

 

メカニック「はーっ!!」

 

禍炎「ん?ええ!?」

 

空亡T「ぐああっ!」

 

空亡T「うぐっ…!」

 

ツチグモ「くっ…うああっ!!」

 

 メカニックはホッパーバイクシナジーへと戻ると、再びレバーを左に戻し、右脚に赤色と緑色のエネルギーを溜め込み、レバーを右側に展開し直すと同時に跳躍する。

 そして飛び蹴りの姿勢を取ると同時にエナジーテクノドライバーが輝いて生成された黄色のエネルギーの道の上を疾走するバイクの如き勢いで突き進む。

 禍炎が唖然としている横で空亡トルーパー達をついでに蹴散らし、そのままツチグモに強烈なキックを浴びせる。

 

禍炎「取り敢えず…チャンスかな」

 

《オーバーブースト!》

 

《禍炎インフェルノ!》

 

「「はああっ!!」」

 

ツチグモ「ぐっ…!」

 

禍炎「ゲームセットだ…!はああっ!!」

 

ツチグモ「っ…うぐあああっ!!」

 

 メカニックの攻撃でダメージを負ったツチグモにトドメを刺すべく、禍炎達は猛攻を開始する。まずはアマノジャクの地面に土中之鎚を打ちつけての痛烈な衝撃波とアメフリコゾウの高圧水流の矢がツチグモに直撃し、間髪入れずに竜巻を纏って加速した禍炎が突撃しながら回転斬撃を浴びせてツチグモを爆散させる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「今日の晩御飯は時雨の好きなハンバーグよ」

 

時雨「はんばーぐ!やったぁ!」

 

「こらこら、時雨、そんなにはしゃいだら溢しちゃうぞ」

 

時雨「あ、ごめんなさい!」

 

「良いのよ。でも、これからは気を付けるようにね」

 

時雨「はーい!」

 

「ハハハ、時雨は素直で良い子だな!」

 

お母さんは銀行員で、お父さんは公務員。特別な何かがあるわけでもない、普通の家庭。そこに生まれた至って普通の子供。それが…ボクだ。

ずっと、ずっと、普通で平凡な日常を送っていくんだと思ってた。物語が好きなのも、そんな凡庸な自分や日常じゃない波乱に満ちた世界への憧れだったのだろう。

他の人と比べて、大した取り柄なんてない。そう思っていた。そんなボクの前に…あの子が現れたんだ。

 

時雨「初めまして。僕は2年A組の晴河時雨。君は…1年A組の暁さん、だよね?」

 

凪桜「…うん。私は暁凪桜。よろしく」

 

時雨「うん。よろしくね」

 

凪桜ちゃん。彼女との出会いが、ボクのいる世界の色を大きく変えた。

彼女に選ばれたことで、ボクはモノノケと呼ばれる不思議な存在を知り、戦いの道に進むこととなった。

その中で、ボクを信じて力を貸すと決めてくれたモノノケ達の力を借りて、ボクは戦ってきた。

 

リュウジン「時雨…最高の夢だな!我も改めて共に歩むと約束しよう!」

 

ネコマタ「時雨のこと、信じてみてもいいかもしれないって、そう思ったにゃ」

 

カッパ「こんな良い人達が傷付けられるのなんて見てられないのだ!」

 

テング「お前になら…儂の力を託せる!時雨!儂の力を使え!!」

 

ホウオウ「自分のことなど微塵も考えず、ただ他がためを想って私の力を振るう…良いだろう」

 

キリン「仲間を信じ、友を信じるその姿勢、気に入った。良いだろう。吾輩の力を貸すに相応しい!」

 

戦いの中で、大切な仲間達と出会って、絆を結んできた。

 

咲穂「是非私にも協力させてください」

 

調「にゅっ、入部したいんです!!歴史研究部に!」

 

汰月「ここは一つ協力するのはどう?」

 

賢昇「まあ…あれだ、これからも頼んだぜ」

 

都黎「俺と一緒に戦ってくれ…!この呪われた運命を断ち切るために!」

 

雪音「行ってきてください。頼みましたよ…仮面ライダーさん」

 

夢華「それで良いんだよ。うん。というわけで任せて!」

 

聖「今日からよろしくね。“仮面ライダー”君」

 

真黒「気付いてくれると思ってたよ、晴河君」

 

人とモノノケが手を取り合って、誰もが笑い合える。そんな世界を、ハッピーエンドをボクは…望んでいたはずだ。そのために戦うんだって、そう…誓ったはずだ。

 

凪桜「私は時雨先輩を信じてる。それだけは…覚えておいて」

 

時雨「歪み合って憎しみ合うよりも、笑い合って手を取り合う!人もモノノケも、僕も皆も!一緒に笑顔で暮らしていく!そんな…普通で平凡で…退屈なくらい幸せな日常を…僕が叶えてみせます!」

 

時雨「僕は、“仮面ライダー妖魔”なんです。そして、“仮面ライダー妖魔”は皆一緒のハッピーエンドを叶えるために戦う存在です!僕が今そう決めました!」

 

晴朗「見せてくれ。俺に…俺の叶えられなかった可能性を」

 

けれど、ボクには叶えられなかった。

ボクは弱いから、大切なものを…この手で壊してしまったんだ。

 

黄昏妖魔「うああああああっ!!!」

 

凪桜「時雨…先輩…っ…。お願い…戻ってきて…!」

 

咲穂「時雨君…しっかりしてください…!」

 

調「時雨部長!!自分を取り戻して!」

 

クウボウ「くくっ、これは使えそうだ」

 

空亡が侵攻してきたあの日、ボクは空亡に取り憑かれた。そして自我を失って大暴れして…気付いた時には、ボクの仲間はみんないなくなっていた。

自らの望んだハッピーエンドを自分の手で壊してしまったことへの罪悪感に耐えきれなかったボクは…そのまま空亡に取り憑かれていた。何も考えたくなった。思い出したくなんてなかった。ハッピーエンドなんて戯言、聞きたくなかった。だけど…。

 

妖魔「僕は絶対に…ハッピーエンドを諦めはしない!それが、“仮面ライダー妖魔”で…“晴河時雨”だから!だから…あなたにも思い出させます!僕が!あなたが!どんな人間だったのか!仮面ライダー妖魔が…何のために戦うのか!!」

 

そうだ。ボクは、僕は…晴河時雨。仮面ライダー妖魔だ──。

 

黄昏妖魔「うあああっ!!」

 

 全てを思い出すと同時に、妖魔に競り負けた黄昏妖魔は蹴り飛ばされ、変身を解除される。

 

妖魔「はあっ…はあっ…。今のは…もう一人の僕の…記憶…」

 

T時雨「……思い出したよ。僕が、誰なのか」

 

妖魔「……あなたの過去も、見えました。僕もあなただから、あんな風に仲間を失ったなら、皆を失ったら、きっと辛いってことは分かります。でも…立ち止まっちゃダメなんです。少しでも、ハッピーエンドに近付けるように戦い抜く。それが…仮面ライダー妖魔で…晴河時雨。そうでしょう?」

 

T時雨「…そうだね。お陰で思い出せたよ。…ありがとう」

 

妖魔「どういたしまして、ですかね」

 

 へたり込んだもう一人の時雨は、自分を完全に取り戻したことを告げ、妖魔に礼を言うと、妖魔の差し伸べた手を取り、立ち上がる。

 

リュウジン「うああっ!」

 

クウボウ「ふんっ!!」

 

妖魔「!はあっ!!」

 

クウボウ「よくも…よくもよくも!…お前なんかのくだらないハッピーエンド如きに…我々の計画が潰されるなど…あってはならない…!」

 

妖魔「くだらないハッピーエンド…?…もう一人の僕達の暮らす世界を好き放題に破壊して、今度はこの世界まで狙ってきて…その上くだらないハッピーエンドと言いましたか?…そんな風に人の想いや願いを踏み躙るあなた達を…僕は絶対に許さない!はああっ!!」

 

クウボウ「くっ…ふん!」

 

T時雨「リュウジンさん、大丈夫ですか?」

 

リュウジン「もう一人の時雨…ふ、我のよく知る時雨の目に戻っとるな」

 

T時雨「…はいっ!」

 

 激昂したクウボウはリュウジンやツクモブースターを弾き飛ばして妖魔に襲いかかり、対する妖魔も身勝手な空亡達のやり方に怒りを見せながら応戦する。

 一方で弾き飛ばされたリュウジンを助けにいったもう一人の時雨を見て、リュウジンはその瞳が元の時雨と同じものに戻っていると評する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

清那「…完成した!」

 

星海「はあ…はあ…」

 

アリス「つ、疲れたぁ…」

 

澄香「皆、お疲れ。おっとと…田貫教授、これを」

 

夜御哉「よくやってくれた!これで…!」

 

 清那、星海、アリスの三人は作り上げていた術式を完成させ、それを一つのボウリングのボールより一回りほど大きいサイズの球体に集約させる。

 そして力の抜けた三人に変わり、澄香がその球体を打ち上げ装置に装填する。

 

夜御哉「発射ッ!!」

 

ヒュ〜…ドオオォォンッ!!

 

清那「裂け目が…塞がっていく…」

 

星海「上手くいったみたいですね」

 

アリス「良かったぁ…」

 

澄香「これで…」

 

 打ち上げ装置のスイッチを押し、夜御哉が術式の入った玉を裂け目目掛けて発射する。

 花火の如く炸裂した術式により、裂け目は急速に閉じ始める。

 

禍炎「はああっ!!…復活しない。…裂け目が塞がってる…!やってくれたみたいだね。…あ、そうだ、ありがとう。君のお陰で耐え抜け…た…あれ?いない…」

 

 空亡トルーパー達を蹴散らしても復活しないことから裂け目が塞がり始めていることを察知した禍炎。

 共に戦ってくれたメカニックに礼を言おうと振り返るが、そこにはメカニックの姿もなかったのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

《猫又!》

《装填!超回転!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はあっ!」

 

《俊敏流星閃撃!》

 

妖魔「はあっ!はっ!はああっ!!」

 

猫又「ふっ…にゃああっ!!」

 

クウボウ「くっ…うぐああっ…!…ふん、無駄だ。こんな傷…すぐに…!…?何故回復しない…。!?裂け目が塞がっているだと…!?」

 

妖魔「どうやら僕の仲間達がやってくれたみたいですね。…あなたも、年貢の納め時です!」

 

 妖魔 猫又ヨロイと共にクウボウに超高速で連続斬撃を叩き込む妖魔。

 負ったダメージを回復しようとするクウボウだったが上手くいかず、裂け目が塞がっていることに気付く。

 

クウボウ「ふざけるな…お前達人間如きに…!丁度良い…お前の力を寄越せ!」

 

T時雨「なっ…くっ…うあああああっ!!」

 

妖魔「!」

 

リュウジン「もう一人の時雨!」

 

 怒りと憎悪に燃えるクウボウは空亡の力を共鳴させることで、妖魔との戦いで消耗していたもう一人の時雨を引き寄せ、その中に取り込む。

 

クウボウ「これが無双の力…この力でこの世界を全て消し去ってくれる…!ふん、最初からこうしておけば良かった…フハハハハッ!!」

 

妖魔「何あれ…」

 

空亡「全て…滅びよ!!」

 

妖魔「うああああっ!!」

 

 クウボウは無双アヤダマの力を取り込むことで巨大な黒い太陽のような姿をした怪物、大怨魔・空亡へと変貌し、その体表から黒い熱線を連続で放って妖魔を追い詰める。

 

リュウジン「このままじゃマズイ…そうだ!これをこうして…っと」

 

 黄昏妖魔との戦いで消耗しているところにその猛威を振い始める大怨魔・空亡。

 このままで妖魔がピンチだと考えたリュウジンは攻撃を受けた妖魔が取り落としたブンプクブラストフォンを見てあることを閃く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

調「咲穂先輩、あれ!」

 

咲穂「裂け目は塞がりましたが…あれは…」

 

空亡「うおああっ!!」

 

「な、なんだあの化け物…!?」

 

「俺達どうなるんだよ…ッ!」

 

結佳「完全にパニック状態だね…」

 

克真「ど、どうすれば…」

 

 スタジアムにて、天高くに登って熱線を連射しているせいで大暴れしている大怨魔・空亡の姿を多くの人が目撃してしまい、パニックが発生する。

 

調「ん?時雨部長から…?…!これって」

 

咲穂「時雨君が…ピンチ…」

 

リュウジン『咲穂と調か!』

 

咲穂「リュウジンさん!」

 

調「時雨先輩は大丈夫なんですか!?」

 

リュウジン『全然大丈夫ではないな。…だから、お主達の力を…この街の人達の力を借りたい』

 

咲穂「え?…!そういうことですか」

 

リュウジン『そういうことだ!』

 

調「えっ、何!?どういうこと?」

 

咲穂「簡単です。皆で時雨君を応援するんです。それも、この街の人達全員を巻き込んで」

 

調「!…そっか、無双ヨロイは感情で強くなる…」

 

咲穂「そういうことです。時間がありません。設備をお借りして…スクリーンはこうですね」

 

調「て、手伝うよ!」

 

咲穂「ありがとうございます」

 

 リュウジンからの通信で状況を把握した咲穂は妖魔を応援することで妖魔のパワーアップを図ろうと考え、調と共に準備に取り掛かる。

 そして咲穂が色々と操作をすると、スタジアムにある巨大なスクリーンが妖魔と大怨魔・空亡の戦いの様子を映す。

 

空亡『フハハハハッ!』

 

妖魔『うああっ!!』

 

「あ、アレは…?」

 

治「皆さんっ!!」

 

「な、何だ…?」

 

龍之介「あれは仮面ライダー…この騒動を解決するために戦ってくれている、ヒーローです!」

 

治「ですが今…仮面ライダーはピンチになってます!」

 

咲穂「この状況を打開するためには皆さんの力が必要です!」

 

調「ど、どうか力を貸してください!!」

 

「力を貸すって…どうやって…」

 

治「応援です!」

 

龍之介「皆で仮面ライダーを応援しましょう!!」

 

調「皆で頑張れ!仮面ライダー!と応援しましょう!」

 

治「人々の応援で、仮面ライダーは強くなります!」

 

咲穂「さあ、せーのでいきますよー!」

 

調「…せーのっ!!」

 

【頑張れ!仮面ライダー!】

 

克真「皆さんも一緒に!」

 

愛菜「もう一度いきますよ!」

 

由香里「せーのっ!」

 

【頑張れ!仮面ライダー!!】

 

千瀬「まだまだいくよー!」

 

圭佑「さあ、声を合わせていくっすよ!!」

 

結佳「せーのっ!!」

 

【頑張れ!仮面ライダー!!!】

 

瑠璃子「まだまだいくよ!」

 

双葉「皆さん!更に気合を入れていきますよ…!」

 

玲「せーのっ!!」

 

【頑張れ!仮面ライダー!!!!】

 

咲穂「さあ、精一杯の力を込めて!」

 

調「全力の応援いきますよ!せーのっ!!」

 

【頑張れ!!!仮面ライダー!!!!!】

 

 咲穂、調を始めとする仮面ライダーの仲間達の呼び掛けによって弥城市の人々は仮面ライダーへの応援を始め、その応援は次第に強くなり、黄金のオーラの渦を生み出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

空亡「滅びよっ!!」

 

妖魔「っ…!…?これは…この暖かな力は…。感じる、皆の…僕を応援してくれている気持ちが…!」

 

空亡「何が起きている…!?」

 

T時雨『頼む…コイツを…止めてくれ…!』

 

時雨「…はいっ!!」

 

 大怨魔・空亡からの一際強力な黒い熱線が妖魔を襲うが、それをスタジアムから溢れ出た黄金のオーラが弾き、妖魔を守る。

 と同時に黄金のオーラの中で妖魔の変身が解け、もう一人の時雨の想いと共に大怨魔・空亡から飛び出て来た黄昏無双アヤダマが無双アヤダマと結び合う。

 更に黄金のオーラが二つの無双アヤダマを包み込み、一つのアヤダマに変える。

 そうして誕生した形こそ他の通常のアヤダマと同じながらも豪華な黄金色を基調として白色と橙色の差し色が入った“天下無双アヤダマ”を時雨は手に取る。

 

時雨「絶対に取り戻してみせる…この世界のハッピーエンドも、向こうの世界のハッピーエンドも!」

 

《天下無双!》

 

《装填!無双!》

 

時雨「変身!!」

 

《憑依装着!超変化!

 

最高結末(さいこうけつまつ)!天下無双ヨロイ!》

 

 天下無双アヤダマを妖書ドライバーに装填すると、黄金の龍と橙がかった金色の龍が出現して時雨の周りを飛び回り、そのまま通常と同じ手順で無双ヨロイの姿に変える。

 そしてそこから橙がかった金色の龍が追加装甲へと姿を変えていき、顔には橙色の追加装甲が入り、胸部には太陽を模した黄金の装甲が追加される。更には両腕両脚にも橙がかった金色の追加装甲が装着され、背中の無双ゴールドマントは「天」の字を模した巨大な黄金と純白の翼に変わる。

 最後に複眼も金色に変化し、妖魔の最高到達点たる仮面ライダー妖魔 天下無双ヨロイが爆誕する。

 

空亡「何だと…!?」

 

妖魔「結末は…絶対の絶対にハッピーエンドで決まりです!!」

 

空亡「くっ…滅びよ…!」

 

妖魔「はあっ!!」

 

空亡「!?」

 

妖魔「はああっ!!」

 

空亡「うぐあああっ!!」

 

 大怨魔・空亡の放った黒い熱線を片手で弾き飛ばすと、妖魔は翼を広げて大怨魔・空亡へと距離を詰め、そのまま凄まじい威力の拳で殴り飛ばす。

 

《龍神之大砲剣!》

 

妖魔「…もう一人の僕も返してもらいます!はあっ!はっ!はあ!!」

 

空亡「くっ…ぐ…うぐあっ!!」

 

《大剣之刻!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

空亡「ぐ…うぐあああっ!!」

 

T時雨「…助…かった…」

 

 妖魔は高速で飛び回りながら龍神之大砲剣で砲撃を喰らわせ、更には大剣状態に変えた龍神之大砲剣を構えたまま大怨魔・空亡に突撃し、もう一人の時雨を救出する。

 

空亡「許さんぞ…人間風情が…!」

 

妖魔「許さない?…それはこっちの台詞です!あなたは絶対に…僕が倒します!!」

 

空亡「黙れええええ!!!」

 

妖魔「はっ!はあっ!!」

 

空亡「くっ…うぐあああっ!!」

 

 もう一人の時雨を奪還され、怒りを露わにする大怨魔・空亡の触手を伸ばしての攻撃を軽く弾き返した妖魔は凄まじい威力の蹴りを撃ち込んで大怨魔・空亡を吹き飛ばす。

 

空亡「この…!」

 

妖魔「向日葵!」

 

空亡「何…!動けない…!!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

妖魔「…エピローグと…いきますよ!」

 

空亡「…!あり得ん…我々空亡が…人間に…人間如きに…!」

 

《最高剛撃!》

 

妖魔「はああーっ!!!」

 

空亡「ぐおっ…うぐぐ…ぐあ…!」

 

妖魔「はああああーっ!!!!!」

 

空亡「うぐぬ…ぐうああああああっ!!!」

 

 巨大な複合術式・向日葵で大怨魔・空亡を拘束した妖魔は天高く舞い上がると、そのまま黄金のオーラを右脚に纏わせ、白と橙の稲妻を迸らせながら凄まじい威力の跳び蹴りを繰り出すことで大怨魔・空亡を貫き、爆散させる。

 

調「やったー!!」

 

咲穂「時雨君が勝ちました!」

 

治「あれが…仮面ライダー…」

 

龍之介「凄いなぁ…本当に」

 

「勝ったぞー!」

 

「仮面ライダーが勝ったー!」

 

汰月「時雨が…やってくれたみたいだな」

 

賢昇「だな。…流石だよ」

 

都黎「…終わったみたいだな」

 

凪桜「…だね。流石は時雨先輩」

 

雪音「……疲れましたね…」

 

夢華「だねー。お疲れ様」

 

聖「何とか…終わったか」

 

真黒「…しかし、あの仮面ライダーは一体…まあいっか」

 

清那「一件落着!かな」

 

澄香「…みたいだね」

 

夜御哉「君達のお陰でもある。ありがとう」

 

星海「いえいえ、少しでもお役に立てたなら」

 

アリス「そうね。礼を言うのはこっち」

 

 大怨魔・空亡が消し飛び、それによって全てが終わったことを察した街の人々や、各地で戦っていた時雨の仲間達は口々に喜びを露わにするのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

T時雨「…帰るとするかな」

 

時雨「…そういえば、裂け目は閉じちゃいましたけど、帰れるんですか?」

 

T時雨「問題ないよ。僕には空亡の力がまだ残ってるからね。…これを使えば戻れるはず」

 

時雨「成る程…」

 

T時雨「……ありがとう。君のお陰で、僕は僕を取り戻せた」

 

時雨「…まあ、僕自身のことですから」

 

T時雨「…そうだね。…これから先、君も色々大変だろうけど、僕も負けないように頑張るよ。…失ったものは戻らないけど、それでもいつかハッピーエンドに辿り着けるように」

 

時雨「…はい!僕もこっちから応援してます」

 

凪桜「もう一人の時雨先輩!」

 

T時雨「!…凪桜ちゃん」

 

凪桜「良かった、間に合った」

 

咲穂「私達もいますよ」

 

調「本当に時雨部長そっくり…」

 

T時雨「咲穂さんに…調君…ごめん。沢山迷惑かけて」

 

凪桜「…まあ、大変ではあったけど…そっちも色々あったんでしょ?」

 

咲穂「世界は違えど時雨君は時雨君ですから」

 

調「…この世界の俺達も仲間ってことです!」

 

凪桜「…そういうこと。頑張ってね、もう一人の時雨先輩」

 

T時雨「!…うん。…う…ん…。ありがとう…!」

 

 元の世界に帰ろうとするもう一人の時雨を見送る時雨。

 そこに凪桜、咲穂、調も駆け付け、思い思いのエールを送る。

 それを受けたもう一人の時雨は泣き笑いを浮かべつつ、生み出したゲートを通って元の世界へと帰っていく。

 

時雨「…さようなら!!頑張ってください!僕も頑張りますから!!」

 

T時雨「うん。頑張るよ!!」

 

 憑き物が落ちたような爽やかな笑顔を浮かべ、もう一人の時雨は手を振りながらゲートの向こうに消えていくのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「さあ!今年度の弥城学芸祭!ただいまを以て開幕いたします!最初の項目は磐砥高校の生徒会長、繰谷アリスさんのソロステージ…の予定でしたがスペシャルゲストが参加されます!前回開催の弥城歌唱コンテストで優勝を果たした“歌姫”黄坂澄香さんです!この後登場予定でしたが…急遽デュエットでの出演となります!」

 

アリス「繰谷アリスです。よろしくお願いします」

 

澄香「歌姫は照れちゃいますが…精一杯歌わせていただきます!」

 

 騒動が終わり、何とか無事に開催された弥城学芸祭。

 多少のプログラム変更はありつつも、その影響でアリスと澄香はデュエットをすることに。

 

賢昇「頑張れ!アリス!」

 

結佳「リーダー…これじゃオタ…」

 

千瀬「まあまあ、大好きな繰谷さんのステージくらい好きに応援させてあげなよ〜」

 

賢昇「変なこと言うんじゃねえよ!?…俺はただ、あいつの全力に応えようとだな…」

 

圭佑「そうっすよ!」

 

結佳「圭佑…あんたまで…」

 

千瀬「ははっ、面白ーい!」

 

圭佑「うおお!頑張るっすー!」

 

 アリスのステージということで応援していた賢昇だったが、その格好はハッピを着込んで両手に手作りのうちわとサイリウムという完全にイタいオタクのような様相になっており、更には圭佑まで同じスタイルだったため結佳は呆れ、千瀬は楽しそうに笑う。

 

真黒「立派になったなぁ、黄坂さんも」

 

清那「白石はどの目線から言ってるのさ…」

 

聖「けどまあ、並大抵じゃない努力はあっただろうからね…」

 

夜御哉「黄坂君は昔から努力家だったからなぁ…」

 

真黒「これは僕達も全力で応援しなきゃだね!」

 

清那「…だね!」

 

 真黒、聖、清那、夜御哉の四人は賢昇達とは別の場所でライブを見て、そこに至るまでの澄香の努力を感じ取る。

 

龍之介「うーん!いい画だね!」

 

汰月「そ、そうか?」

 

星海「えへへ、それなら嬉しいです」

 

由香里「それにしても…本当にお代無しでいいんですか?」

 

龍之介「良いの良いの!皆のお陰でこの街も守られたわけだし!ま、それに出し物ってだけでそこまでガチガチの経営じゃないし!」

 

克真「そういうことなら…」

 

愛菜「お言葉に甘えちゃいましょうか!」

 

汰月「…そうだな」

 

星海「汰月さん、もう一枚、私と二人で撮りませんか?」

 

汰月「…そうしよっか」

 

龍之介「よし来た!任せてねー!」

 

 龍之介の所属する写真部の出し物で記念撮影をしてもらっていた治安維持委員会の面々。

 お代は要らないという龍之介の言葉に甘え、汰月と星海は更にもう一枚ツーショットを撮ってもらうことに。

 

治「…この街の流行というのは食文化も含まれるので、この弥城学芸祭では先端のグルメやスイーツが色々出展されるんですよ」

 

都黎「成る程…道理で美味いものがこんなに…」

 

双葉「都黎先輩!フルーツ飴美味しいです!」

 

瑠璃子「…このたこ焼き、凄い。外はサクッと、中はフワフワ…」

 

玲「…このフルーツサンドも美味しいな」

 

 治の案内でグルメツアーしていた都黎達世模継学院高校組。

 未体験のグルメやスイーツに目を輝かせながら幸せな時間を過ごしていた。

 

雪音「…偶にはこういった賑やかなお祭りの雰囲気も良いものですね」

 

夢華「ん〜っ、このパフェ美味しい!ほら、雪ちも一口食べてみなって」

 

雪音「…ではいただいてみましょうか。…!美味しいですね…!」

 

夢華「でしょでしょ!」

 

咲穂「調君、こちらのショートケーキも美味しいですよ。はい、あーん」

 

調「え?本当?…ホントだ、美味しい…!」

 

 歴史研究部と雪音、夢華の照羅巣高校組はとあるカフェでスイーツやコーヒー、紅茶に舌鼓を打ち、穏やかな時間を過ごしていた。

 

時雨「…良かった」

 

凪桜「…時雨先輩」

 

時雨「どうしたの?」

 

凪桜「…向こうの時雨先輩、大丈夫かな」

 

時雨「…きっと大丈夫。そう信じよう」

 

凪桜「…だね」

 

リュウジン「二人とも、ボサっとしてると我が二人の分も食べちゃうぞ」

 

時雨「えっ!?ちょっと待ってください!これはこの学芸祭期間限定のワンダーファンタジアのコラボ商品なんです!」

 

凪桜「…全く、意地汚いトカゲだな。リュウジンは」

 

リュウジン「誰がトカゲだ!」

 

時雨「もう、またやってる。…ふふ」

 

 もう一人の時雨の身を案じる凪桜と、そんな凪桜を元気付ける時雨。そこに空気を一切読まずに二人の分のスイーツを食べようとしてくるリュウジンに対し、凪桜はお決まりのトカゲ弄りで返し、また喧嘩を始める。

 もはや見慣れた光景となったそれに、時雨は呆れつつも微笑みを浮かべる。

 

凪桜「時雨先輩、何で笑ってるのさ」

 

リュウジン「そうだぞ、何かおかしなことでもあったか」

 

時雨「…いや、こうして皆で賑やかに、平穏に過ごせるのがどれだけ大切で…かけがえないことなのか、身に染みて分かったからさ。…だから、そんな時間が少しでも長く続くよう、僕も頑張らなきゃなって」

 

凪桜「…そうだね。…私も全力で手伝うよ」

 

リュウジン「それを言うなら我だって手伝うぞ。凪桜より役立ってやる」

 

凪桜「…私の方がリュウジンより強いし」

 

リュウジン「だが時雨の相棒は我だ」

 

「「ぐぬぬぬぬ…!」」

 

時雨「もう…。けどまあ、こんな時間を…これからも」

 

 今度は時雨への貢献度合いで争い始めた二人に時雨は苦笑しつつも、改めてこんな時間を過ごせることへの喜びを噛み締めるのだった…。

 

Fin




劇場版をご覧いただきありがとうございます!
今回は長めのお話を読んでいただいたということもありますので後書きは軽めにいたします。(詳しい話はまた別の機会でするとします)
というわけで劇場版いかがだったでしょうか?
仮面ライダー妖魔のある種の集大成、楽しめていただけたなら幸いです!
さて、劇中に登場した新たなライダー、メカニックですが、こちらについてはお察しの通り次回作となります!
詳細は活動報告に投稿しますので、是非ご確認いただけると幸いです!
ちなみに準備期間の関係上、投稿開始は来年9月…「ゼッツ」の次のライダーと同時スタートになるかと思われますので、ご承知おきいただけると幸いです。
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