仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第陸話「大池横綱と悪の仮面ライダー!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

汰月の前に現れたのは佐乃緒高校の二年生でバスターズのリーダー・降谷賢昇だった。第三の仮面ライダー・幽冥に変身して圧倒的な力でカマイタチを撃破した賢昇は、汰月にアヤダマを奪うと宣戦布告!

 

対抗するために同盟を結んだ時雨と汰月は聖から紹介された貴真賀中央大学の田貫夜御哉や白石真黒の二人からブンプクブラストフォンを渡される。

 

その後、時雨と賢昇が決闘になってしまった頃、津久代高校では汰月がモノノケに狙われる記憶消失の少女・斜馬星海を保護することとなったのだった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

???「さて、これからは“彼”と協力して作戦に当たってくれ」

 

都黎「はっ」

 

???「これを渡しておこう。有効活用したまえ」

 

 ある夜、和風の屋敷のような場所で何者かに跪いていた都黎は、赤茶色のアヤダマと薄橙色のアヤダマの二つを手渡されるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「今日から10月かぁ…」

 

咲穂「そういえば今月末には文化祭がありましたね」

 

調「歴史研究部も何か出し物するんですか?」

 

時雨「今のところは何も決まってないけど…」

 

凪桜「それなら、私から一つ提案がある」

 

 カレンダーを見て月が跨いだことを確認した時雨に、咲穂は今月末に文化祭があることを話題に上げ、調は歴史研究部の方で出し物があるのか尋ねる。それについて未定だと時雨は答えるが、凪桜が挙手して提案を告げる。

 

時雨「?どうしたの?」

 

咲穂「何かやりたいことがあるのですか?」

 

調「?」

 

凪桜「ああ。この四人で…バンドをやろう」

 

「「「……ええ!?」」」

 

時雨「ば、バンド?何でバンド?」

 

調「歴史関係無いような…?」

 

咲穂「凪桜ちゃんはバンドに興味があったのですか?」

 

 唐突過ぎるバンドという提案に、時雨達は困惑の色を見せる。

 

凪桜「実は最近見たアニメに文化祭でバンドをやるという内容があったんだ。それで気になったんだけど…ダメかな」

 

時雨「うーん…僕は昔ちょっとだけベースやったことあるから出来ないこともないと思うけど…」

 

咲穂「私は一応一通りの楽器は扱えますよ」

 

調「あ…俺、昔音楽教室でドラムやったことあります…」

 

凪桜「私は一切経験なしだ」

 

時雨「意外と出来ないこともなさそうだね。…あ、でもそもそも楽器がないといけないけど、高いんだよね…」

 

咲穂「それなら、私の家にありますよ。父が楽器集めが趣味なので。一通り扱えるのもその影響なんです」

 

時雨「え!?そうなの!?じゃあ…何とかなるかもしれないね」

 

凪桜「本当!?」

 

時雨「うん。今度確認してみるよ。それに、物語的にも定番の流れだし、ちょっとワクワクするしね」

 

 意外にもバンドを出来そうなことが判明し、時雨達歴史研究部は前向きに検討することと決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第陸話「大池横綱と悪の仮面ライダー!」

 

 文化祭の話についても落ち着いてきた頃、不意に部室の扉がノックされる。

 

時雨「あ、はーい」

 

凪桜「?依頼かな」

 

時雨「ご依頼ですか?」

 

???「ええ」

 

咲穂「あら…あなたは保健委員長の柚木さん?」

 

???「申し遅れました。私は柚木(ゆずき)智由(ちゆ)。保健委員長です」

 

時雨「そうなんですね。部長の晴河時雨です。……えっと…」

 

凪桜「一年で副部長の暁凪桜だ。…ところで、その雨合羽を被った人は誰だ?」

 

咲穂「雨…降ってないですよね?今日。…あ、私は霞流咲穂です」

 

調「俺は霧宮調です…。降ってないと思いますけど…」

 

 やって来たのは二年生で保健委員長の柚木智由だった。

 

智由「ほら、もう隠れなくて良いですよ」

 

???「そ、そうなのだ…?」

 

時雨「!!…モノノケ…!?」

 

???「驚かせたなら申し訳ないのだ。オイラはカッパという者なのだ。此度は頼みたいことがあってここを訪れた次第なのだ」

 

咲穂「確かにカッパですね…」

 

調「カッパの依頼…?」

 

凪桜「カッパが雨合羽…フフッ…」

 

時雨「凪桜ちゃん…?」

 

凪桜「な、何でもない」

 

 やって来たのは気の強そうな外見の二年生の女子、柚木智由。そして彼女に連れられる形でやって来た雨合羽を羽織った人物がそのフードを取ると、現れた正体は緑を基調とした身体で、頭には皿、嘴のついたモノノケ。まごうことなくカッパだった。

 

時雨「それで、今回の依頼の内容は何ですか?」

 

カッパ「オイラはこの近くの横綱池ってとこに住んでるのだ。けど、最近やって来たスイコという暴れん坊のモノノケのせいで困ってるのだ。そんな時に妖魔の噂を聞いて、頼ってみようと思ったのだ」

 

時雨「成る程…そういう事情でしたか」

 

調「俺達って結構知名度広がってるんですね」

 

咲穂「そのようですね…」

 

凪桜「でもよくこの照羅巣高校の歴史研究部に行き着いたね」

 

カッパ「えっ!?あ、その…噂で、仮面ライダーはこの照羅巣高校の生徒だって聞いたんだ…」

 

凪桜「そこまで細かい噂が出回ってたのか…」

 

時雨「まあ、僕達活動する時は制服だもんね」

 

 カッパは歴史研究部を訪れた経緯を説明し、そのことについて凪桜が素朴な疑問を抱くが、それに対してどこか慌てた様子ながらもカッパは答える。

 

智由「それで、この学校の近くで探し疲れて行き倒れていたカッパを見付けまして。困ってそうだったから連れて来たんです」

 

咲穂「驚いたりしなかったんですか?」

 

智由「まあ、驚きはしましたが…悪い子では無さそうだったので」

 

カッパ「……」

 

時雨「分かりました。その依頼、引き受けます!」

 

カッパ「ほ、本当なのだ?」

 

時雨「はい!困ってるのなら力になりたいですし!」

 

カッパ「ありがとうなのだ!」

 

 こうして、歴史研究部はカッパの依頼を受けて横綱池に調査へ向かうことなったのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「星海に関する手掛かりはナシか…」

 

由香里「ですが、監視カメラなどの映像にも映ってないのは明らかにおかしいですね」

 

克真「つまり…どういうこと?」

 

愛菜「当たり前ですが、この街にある監視カメラの映像を改竄するなんて並大抵の人間には出来ません。電気系のモノノケの仕業か、或いは…」

 

汰月「…この街の上層部にモノノケ達に協力している存在がいる…ということになるな」

 

克真「うええっ!?それって大問題じゃん!」

 

汰月「布留杜は特殊な街…学園都市だ。この街の運営には貴真賀中央大学が深く関わってる。監視カメラにしても、システムの運用や構築を行っているのは貴真賀中央大学だ。だから、現段階ではまだ可能性に過ぎないけど…貴真賀中央大学上層部には人間に敵対的なモノノケを支援する危険人物が存在している…可能性があるってこと」

 

 星海について探っていた治安維持委員会の面々は、調査のため訪れていたデータセンターから出て来ると、あまりの証拠の無さから、貴真賀中央大学の上層部に裏切り者がいるのではないかと推測する。

 

汰月「…まあ、今は存在するか分からない裏切り者について話しても仕方ない。少しでも手掛かりを見付けられるようにしよう」

 

星海「すみません…私のためにここまでしてくださって…」

 

汰月「良いんだよ。困ってる生徒がいたら助けるのが、俺達治安維持委員会の役目だし。モノノケが何かを企んでるのなら、放置は出来ないから」

 

 星海の申し訳なさそうな言葉に、汰月は気にすることはないと告げる。

 

由香里「委員長、あの方って…」

 

汰月「…!あれは、降谷賢昇…?何でアイツがこんな所に…あっちは、照羅巣の方向…時雨が狙いか!俺はアイツを追う、皆は戻っててくれ」

 

愛菜「分かりました〜」

 

克真「けど、こないだの奴が今来られたら俺達じゃ太刀打ち出来ませんよ?」

 

汰月「一応護衛用にブンプクブラストフォンを持たせてるとはいえそれもそうか…。分かった。星海は俺と来てくれ。ただ、危険なのは間違いないから、戦闘になったら隠れててほしい」

 

星海「は、はいっ!」

 

 由香里の発見した賢昇が照羅巣方面に向かうことに気付いた汰月は、他の仲間に学校に戻るよう伝える。しかし、汰月が離れている間に星海が狙われると危険だという意見が出たため、汰月はやむなく星海を連れて行くことに決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「横綱池はこっちですか」

 

カッパ「そうなのだ。ってわあっ!?」

 

時雨「大丈夫ですか!?」

 

 カッパの案内で横綱池を目指す歴史研究部と智由。そんな中、道端の石につまづいたカッパが転んでしまう。

 

カッパ「ち、力が出ないのだ…」

 

咲穂「カッパですから…お皿の水が無くなると力が出ないということですか」

 

時雨「そういうことですか…。なら、僕の水をどうぞ。まだ飲んでないので綺麗ですよ」

 

カッパ「あ、ありがとうなのだ……」

 

智由「怪我はしてなさそうですね」

 

凪桜「よし、カッパも元に戻ったみたいだし、先へ進もう」

 

調「ですね」

 

 カッパは転んだ拍子に頭の皿から水が失われてしまい、力が抜けてしまうが、時雨が持って来ていた水筒の水を与えることで元気を取り戻す。

 

 一行が先に進むと、やがて大きな池のある場所へ到着する。

 

時雨「ここが…横綱池で合ってますか?」

 

カッパ「そうなのだ」

 

時雨「結構広いですね…」

 

凪桜「ここのどこかに、スイコが…」

 

調「この池を全部調べるってなると大変そう…」

 

???「その必要はないでごわす!」

 

 横綱池へと到着した時雨達。早速池を調査しようとすると、大声と共に水の柱が立ち、池から何者かが飛び出してくる。

 

???「我が名はスイコ!案内ご苦労だったな、カッパ!!」

 

時雨「!…どういう意味ですか?」

 

スイコ「ふん、冥土の土産に教えてやるでごわす。ソイツ…カッパはおいどんの手下でごわす!つまりお前等はまんまと騙されたでごわす!!ガッハッハッハッ!!」

 

時雨「!そう…なんですか…?」

 

 現れたのは青緑色の水が虎の形を作ったかのような姿をしたモノノケ・スイコだった。

 そして、スイコはカッパが時雨達に接触を図ったのは全てスイコの指示だと明かす。

 

凪桜「カッパ…?」

 

智由「私達を…騙していたのですか…?」

 

カッパ「……悪く思わないでほしいのだ…落ちこぼれのオイラには…これしか生きる道がないのだ…っ!」

 

スイコ「ふんっ!愚図でノロマなお前でも偶には役に立つでごわすな!さあ…妖魔!お前をぶちのめしてやるでごわす!!」

 

時雨「!だったら…」

 

《龍!》

《装填!》

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

登竜大成!龍ヨロイ!》

 

妖魔「はあああっ!」

 

 真相を明かされたカッパはバツが悪そうにし、高笑いするスイコは時雨に向かってくる。対する時雨は駆け出しながら妖魔 龍ヨロイに変身すると、剣状態の妖之弓剣を振りかぶって迎撃する。

 

妖魔「はあっ!」

 

スイコ「ふんっ!!」

 

妖魔「うわああっ!?…凄いパワーですね…」

 

スイコ「ガハハッ!弱い弱い!!」

 

妖魔「…!」

 

 妖魔の斬撃を片手で受け止め、張り手で吹き飛ばすスイコの怪力に、妖魔は驚愕する。

 すると、その場に乱入してくる者が。

 

妖魔「!あなたは…この間の…?」

 

???「……」

 

凪桜「カマイタチをアヤダマに変えた奴…」

 

???「……妖魔、お前の力を見せてもらうぞ」

 

妖魔「アレは…ドライバー!?」

 

 現れたのはフードの男。男は懐から本の上に機械のモニターが取り付けられ、本は黒、モニターは白となっていて、左右には発火装置型のアヤダマ装填部の取り付けられた“焚書(ふんしょ)ドライバー”を取り出す。

 

《着火!》

 

 男は焚書ドライバーを装着すると、右手に持った橙色を基調とした“ 炎呪之御札(えんじゅのおふだ)”を焚書ドライバーのモニターに翳し、起動する。

 

《八咫烏!》

《餓者髑髏!》

 

《イグニッション!》

《イグニッション!》

 

 男は空いた左手で白色のアヤダマ…“餓者髑髏アヤダマ”と黒色のアヤダマ…“八咫烏アヤダマ”を持ち、親指を使って連続で起動すると、左右のアヤダマ装填部に八咫烏アヤダマを右のスロットへ、餓者髑髏アヤダマを左のスロットへ、順に二つのアヤダマを装填する。すると、黒色の三本足の鴉と、白色の骸骨が出現する。

 

???「…変身」

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼(こくよく) 白骨(はっこつ)!仮面ライダー禍炎!》

 

妖魔「変身した…!」

 

 男は右手で構えた炎呪之御札を文書ドライバーに差し込み、その瞬間身体は橙色の炎に包まれて銀色の素体を形成し、そこに全体的に白色の骸骨と黒色の鴉が混ざったような姿を持ち、右腰に白色の、左腰に黒色の腰布が装着された橙色に妖しく輝く複眼を持つ戦士…仮面ライダー禍炎(かえん) 八咫烏餓者髑髏ヨロイに変身する。

 

禍炎「俺は仮面ライダー禍炎…さあ、妖魔。…お手並み拝見といこうか」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

禍炎「ふん」

 

妖魔「くっ…強い…!?」

 

凪桜「アヤダマ二つ分の力は伊達じゃないわけだ…」

 

調「だ、大ピンチだ…!」

 

スイコ「俺も忘れんなよ!」

 

妖魔「うわああっ!!」

 

咲穂「晴河君…!」

 

智由「何か出来ることは…」

 

幽冥「おいおい!楽しそうだな!混ぜてくれよ」

 

 禍炎の重い拳に吹き飛ばされた妖魔は、その強さを実感し、スイコとの二人がかりということもあって追い詰められる。しかし、そこに現れたのは幽冥 鬼ヨロイだった。

 

幽冥「なんかよく分かんねえが…アヤダマ二つ持ってるそこの仮面ライダー!そのアヤダマは貰うぜ!」

 

妖魔「た、助けてくれるんですか?」

 

幽冥「ばっ…違えよ!アイツ倒せば一気に二つ手に入るだろうが。それに…二体一なんて美学ねえしな!」

 

霊魂「何だ…慌てて来てみれば助け舟は必要なさそうだね」

 

妖魔「日島君!」

 

幽冥「あ?霊魂じゃねえか」

 

霊魂「新しい仮面ライダー…厄介そうな予感がするね…!ここで倒す!」

 

幽冥「おい!ソイツは俺の獲物だぜ!」

 

 幽冥は禍炎にターゲットを定め、更にそこに駆け付けた霊魂 大蛇ヨロイまでもが加勢に加わる。

 

暗夜丸「霊魂…お前の相手は俺だ」

 

霊魂「!お前か…ここは、降谷賢昇!任せた!」

 

幽冥「は?おい!テメェ!ふざけんな!」

 

暗夜丸「…チッ」

 

 星海を狙って現れた暗夜丸の攻撃を、幽冥を身代わりにして擦り付け、自身は禍炎に挑む。一方で暗夜の一撃を何とか妖之盾槍で受け止めた幽冥は苦情を言いつつも、仕方なく暗夜丸と対峙する。

 

幽冥「んだよ…まあ良い!テメェもアイツ等も、俺が纏めてぶっ潰す!」

 

暗夜丸「……ハァ…」

 

幽冥「何溜め息吐いてんだよ!!」

 

暗夜丸「五月蝿い奴だ…!」

 

幽冥「オラァッ!」

 

暗夜丸「甘いな」

 

幽冥「ぐあっ!…やるじゃねえか」

 

 幽冥は暗夜丸に刺突を仕掛け、暗夜丸はそれを渋々弾き返し、斬撃を放つ。その斬撃に対して妖之盾槍で鍔迫り合いに持ち込んだ幽冥だったが、暗夜丸の前蹴りからの見事な太刀捌きでの斬撃を浴びてしまう。

 

霊魂「はあっ!」

 

禍炎「……その程度か。まあ良い。なら、こうするだけだ」

 

《鎌鼬!》

 

霊魂「鎌鼬のアヤダマ…!?」

 

《イグニッション!武装!鎌鼬!》

 

禍炎「ふんっ!!」

 

霊魂「くっ…うあっ!!…モノノケを武器化出来るのか…!?」

 

 禍炎は鎌鼬アヤダマを取り出して起動し、右側の八咫烏アヤダマと入れ替える。すると、イタチの意匠の入った二振りの手持ち鎌“ 辻風之鎌(つじかぜのかま)”がその手に握られる。

 禍炎の繰り出した風を纏った連続斬りを受けた霊魂は火花を散らしながら後退し、その能力に慄く。

 

禍炎「それだけではない…」

 

《天邪鬼!》

 

《イグニッション!召喚!天邪鬼!》

 

アマノジャク「うぅ…!」

 

霊魂「モノノケの召喚だと!?くっ…!」

 

禍炎「ふんっ!」

 

霊魂「うああっ!」

 

 禍炎は天邪鬼アヤダマを左側の餓者髑髏アヤダマと入れ替えると、橙色の炎が集まってアマノジャクを形成する。呼び出されたアマノジャクは霊魂に棍棒で殴りかかり、二対一の劣勢に追い込まれた霊魂は苦戦を強いられる。

 

《イグニッション!》

 

禍炎「さて…これで終わりにしてやろう」

 

《ブースト!》

 

霊魂「…!」

 

《禍炎デストロイ!》

 

禍炎「ふっ!」

 

霊魂「くっ…うああああっ!!」

 

星海「!日島さん…っ!」

 

 禍炎は八咫烏アヤダマと餓者髑髏アヤダマを再度装填すると、炎呪之御札を取り出してモニターに翳すと、再度装填する。そして橙の炎を左脚に集めて跳躍、そのまま左脚で蹴りを放つ。

 霊魂はその一撃を妖之斧火縄で受け止めようとするが、受け切れずに押し切られ、変身解除されてしまう。

 

妖魔「はああっ!」

 

スイコ「軽いでごわす!!」

 

妖魔「うわあっ!!…駄目だ…攻撃が通じない…!」

 

スイコ「ガッハッハッ!弱過ぎるでごわすなぁ!!そんな攻撃効かないでごわす!」

 

妖魔「だったら!…え!?すり抜け…うああっ!」

 

 スイコの持つ圧倒的なパワーに苦しめられる妖魔。更には妖魔が何とか放った斬撃を、スイコは自身の体を液状化させて回避する。 

 そして苦しめられる妖魔を煽りながら、スイコは張り手で痛めつける。

 

妖魔「ううっ!!」

 

智由「!…何も出来ないのですか…っ」

 

カッパ「…!」

 

智由『大丈夫ですか?』

 

カッパ『君は…オイラが怖くないのだ?』

 

智由『その見た目、カッパ…で合ってるでしょうか?』

 

カッパ『そうなのだ。…オイラはモノノケ…何で、声なんて掛けたのだ?』

 

智由『人でもモノノケでも犬でも猫でも、倒れて苦しんでいるなら助けるべきでしょう?ですから、怖くなどないです』

 

カッパ『!』

 

時雨『困っているのなら、助けになりたいですし!』

 

時雨『僕の水をどうぞ。まだ飲んでないので綺麗ですよ』

 

カッパ(オイラは…どうすれば……)

 

 行き倒れていた自分を恐れずに助けてくれた智由、騙している自分に親身になってくれた時雨。そんな彼等が苦しんでいる様子を見たカッパはこのままで良いのかと自問自答する。

 

スイコ『ふんっ!愚図が!お前は本当に役に立たないでごわすな!』

 

カッパ『ご、ごめんなさい…ごめんなさい…!』

 

カッパ(あんな思いはもう嫌なのだ。…でも…)

 

妖魔「うあああっ!!」

 

凪桜「時雨先輩!」

 

咲穂「何か良い手は…」

 

リュウジン『マズいな…力で完全に負けてる…。ツクモブースターを呼ぼうにも…水辺だから使いにくい上にこの乱戦じゃ却って隙を作りかねないな…』

 

妖魔「まだ…終わってません…!」

 

智由「!晴河君…」

 

調「部長!これ以上は無茶です!!」

 

スイコ「さーて…!」

 

 脳裏に過るのはスイコに虐げられていた時のこと。その時のように戻りたくはない。そう考えるカッパだったが、その瞳には追い詰められる妖魔と、妖魔に向けて拳を振り上げるスイコが映る。…次の瞬間、カッパは駆け出していた。

 

カッパ「うあああああっ!!」

 

スイコ「なっ…貴様…何のつもりでごわす!この愚図!!」

 

妖魔「か、カッパさん…?」

 

智由「カッパ…」

 

スイコ「おいどんに逆らうとは…どうなるか分かってるでごわすな?」

 

カッパ「はぁ…はぁ…。時雨も、智由も…こんなオイラに優しくしてくれたのだ!オイラは騙そうとしてたのに…こんな良い人達が傷付けられるのなんて見てられないのだ!時雨…もしオイラのことを許してくれるのなら…オイラと一緒に戦ってほしいのだ!」

 

妖魔「カッパさん…!…力、貸してください!」

 

凪桜「!カッパが…アヤダマに…!」

 

 スイコを突き飛ばしたカッパ。裏切りにスイコは激昂するが、カッパはそんなスイコに時雨達が傷付けられるのは我慢ならないと告げると、妖魔と一緒に戦いたいと宣言し、妖気の塊となって妖魔の元に飛来する。その想いを受け取った妖魔は妖之書を用いることでカッパを緑色の“河童アヤダマ”に変化させる。

 

《河童!》

 

妖魔「一緒にいきましょう!」

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

水勢怪力(すいせいかいりき)!河童ヨロイ!》

 

 妖魔が妖書ドライバーに河童アヤダマを装填して解放栞を引き下げて表紙を畳むと、緑色の河童が出現する。そして河童を模した装甲に変化し、その胸部装甲には水飛沫を模した飾りや、横倒しの胡瓜型の飾りが付いた青色の複眼が輝く妖魔 河童ヨロイへと姿を変える。

 

スイコ「捻り潰してやるでごわす!」

 

妖魔「はあっ!」

 

スイコ「ぐっ!?この…力は…!?」

 

《弓之刻!》

 

妖魔「はあっ!たっ!やあっ!!」

 

スイコ「くっ!ぬあああっ!!」

 

凪桜「あれは…胡瓜…?」

 

調「もしかして…カッパだから矢が胡瓜ってこと…?」

 

咲穂「な、中々個性的な攻撃方法ですね…」

 

智由「カッパ…やはり悪い子ではなかったのですね…良かったです」

 

 妖魔はスイコの張り手を受け止めると、逆に持ち前の怪力で押し除け、妖之弓剣を弓状態に変化させて胡瓜を模した水の矢を放ってダメージを与えるが、その独特な攻撃法に仲間達は困惑の声を漏らす。

 

スイコ「くっ…ならば…」

 

妖魔「液体には…水で!」

 

スイコ「ぬっ…うおおっ!」

 

 スイコは放たれる矢を液状化で避けようとするが、それを見抜いた妖魔は水流を放って液状化を強引に解除させる。

 

妖魔「これで決めます!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「エピローグといきますよ!はあっ!!」

 

スイコ「うおああっ!?」

 

《水勢射撃!》

 

スイコ「くっ…こんなはずでは…ウガアアアアッッッ!!!」

 

 妖魔は河童アヤダマを妖之弓剣に装填すると、強く四股を踏むことでスイコの足元から水柱を発生させて噴き上げ、空中のスイコ目掛けて巨大な胡瓜型のエネルギー矢を発射して貫く。

 

禍炎「……スイコがやられたか。まあ良い」

 

汰月「…アヤダマを集めて…何を企んでる!そのドライバーは何だ!」

 

禍炎「お前が知る必要はない」

 

汰月「いなくなった…」

 

 倒されたスイコの残滓を青緑色のアヤダマに変えて回収した禍炎は、汰月からの質問を一蹴すると飛び去ってしまう。

 

幽冥「見せてやるよ!とっておきをな!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

幽冥「オラアッ!」

 

《鬼気槍撃!》

 

暗夜丸「……試してみるか」

 

《唐傘御化!》

《アヤダマ装填!》

 

暗夜丸「ふん」

 

《アヤダマ一閃!》

 

幽冥「!?やるじゃねえか…!」

 

 幽冥の炎の金棒型エネルギーを纏わせた妖之盾槍を振り下ろす一撃を、暗夜丸は闇夜月に赤茶色の“唐傘御化アヤダマ”を装填し、その刀身から唐傘型の妖気フィールドを展開して防ぎ切る。

 

暗夜丸「……はぁ、奴等もいなくなったか。これ以上は無駄のようだな。終わりにしてやろう」

 

《提灯御化!》

《アヤダマ装填!》

 

暗夜丸「はあっ!」

 

《アヤダマ一閃!》

 

幽冥「!?ヤベッ…!」

 

《盾之刻!》

 

幽冥「くっ…ぬああっ!!」

 

 うんざりした様子の暗夜丸は闇夜月に薄橙色の“提灯御化アヤダマ”を装填し、闇夜月の先端から火炎弾を連射して幽冥を攻撃する。

 幽冥は咄嗟に妖之盾槍を盾状態に変えて凌ごうとするが、防ぎ切らずに吹き飛ばされ、地面を転がる。

 

暗夜丸「無意味な…帰らせてもらう」

 

幽冥「は!?あ、おい!チッ…こっから盛り上がるとこだったのによぉ…」

 

 そしてスイコが撃破されて禍炎がその場を去った状況を確認すると、暗夜丸は心底面倒そうに溜め息を吐いて闇夜月を振るうことで発生させた闇の中に紛れ消えていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「日島君、大丈夫ですか!?」

 

汰月「まあ、何とか。時雨は新しいアヤダマを手に入れてあのモノノケを倒せたのか。良かったね。しかし…アイツは一体何者なんだろうか…」

 

賢昇「お前等は何か知らねえのかよ」

 

 何とか状況を切り抜けた時雨と汰月、賢昇の三人の仮面ライダー。その話題は自然と謎の仮面ライダー・禍炎に移る。

 

時雨「…あの人はこの間猫守神社にもいて、あの時は僕が倒したカマイタチをアヤダマに変えてました」

 

汰月「じゃあさっき使ってた鎌鼬アヤダマはその時のか…。にしても、アヤダマを集めている…まさか降谷賢昇、お前の仲間か?」

 

賢昇「はあ?あんなの俺の仲間にはいねえよ」

 

汰月「…まあ、そうだよね。じゃなかったら君もわざわざ喧嘩吹っかけたりしないだろうし。味方と敵の区別も付かない馬鹿じゃない限りは……」

 

賢昇「何でそこで言い淀むんだよ。何だお前俺が馬鹿だって言いてえのか!?」

 

汰月「俺は別に君が馬鹿だなんて一言も言ってないけど。過剰反応するのは気にしてるからじゃない?」

 

賢昇「あんだと!?」

 

時雨「ま、まあまあ!二人とも落ち着いてください!あの仮面ライダーについてはまだ謎も多いですが、少なくとも敵で確定ってことで良いですよね。…そういえば、日島君。そちらの方は?」

 

 険悪な雰囲気になり始めた汰月と賢昇。そんな状況をどうにかすべく、時雨は禍炎についての話を早々と畳み、星海について尋ねる。

 

汰月「ああ、うん…。この子は斜馬星海」

 

星海「初めまして…斜馬星海です…」

 

汰月「星海は実はこの前ウチの学校の前で倒れてて…。モノノケも絡んでそうだったから俺達治安維持委員会で保護したんだ」

 

賢昇「道理で暗夜丸がお前を狙ってたわけだ。…まあ、どうでも良い。俺はもう帰る」

 

汰月「元々お前と仲良く話すつもりはないから好きにしたら良い。俺は時雨と話してるだけだし」

 

賢昇「あ?何だとこの野郎…!」

 

時雨「喧嘩しないでください!…もう…どうしてこうなるんでしょう!!」

 

 汰月は星海ついて説明するが、またすぐに賢昇と喧嘩し始める。そしてその様子を見た時雨は二人の噛み合わなさに思わず叫び声を上げるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──数日後

 

智由「この前はありがとうございました」

 

時雨「いやいや、そんな律儀に礼言いに来なくても大丈夫ですよ」

 

智由「それでも、言わずにはいられなかったんです。金品のやり取りは学生がするのは良くないでしょうから、せめてコレだけは受け取ってもらえると。とても美味しいケーキなんですよ」

 

凪桜「時雨先輩!これはまさか…栗のモンブランか…!?漫画で見たぞ!」

 

時雨「じゃあ…ありがたく受け取ります。そうだ、折角なので一緒に紅茶でも飲んでいきませんか?」

 

智由「…なら、お言葉に甘えるとしましょうか。そうでした、晴河君。あなた方歴史研究部にはとても感謝しています。これから仮面ライダーの活動の中で怪我することなどありましたら、その時は好きに保健室を使ってください。何せ照羅巣の保健室は設備が整っていることで知られているので」

 

 カッパの一件を無事解決した礼にと栗のモンブランを持ってきた智由。そんな彼女を時雨はお茶会に誘う。智由もその提案に乗り、これからは保健室を使っても良いと許可を出す。

 

時雨「まあ、あんまり怪我はしたくないですけどね…」

 

智由「私もお世話しなければならない時が来ないことを祈っておきます」

 

時雨「でも…ありがとうございます!心強いです!」

 

智由「いえいえ。私に出来るのはこれくらいなので。それでは…お邪魔しました」

 

 そう言って話を締めると、智由は歴史研究部の部室を後にする。

 

 その頃、聖は真黒、夜御哉の二人と通話していた。

 

聖「謎の仮面ライダーが現れました。しかも、生徒達の反応を聞く限り…システムが明らかに“アレ”に似ている。何か知ってませんか?」

 

夜御哉『……そのことなんだがな。実は、こちらも話したいことがあったんだ。俺が開発したドライバーが一基、盗み出されていた。それが…焚書ドライバーだ』

 

真黒『盗まれたルートについては現在調査中です』

 

聖「やはりあなたの開発した物でしたか…」

 

夜御哉『アレは危険性が高かったから厳重に保管してたはずなのだがな…。一体どうやって盗み出したのやら。…兎に角、生徒達にも十分に注意するよう伝えておいてくれ』

 

聖「言われなくてもそのつもりですよ。…二度と、あんな悲劇を繰り返さないためにも」

 

夜御哉『そうだな…』

 

真黒『……ですね』

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

汰月「このアヤダマを使えるようになっておかないと…」

 

時雨「特訓…」

 

時雨と汰月の特訓!

 

時雨「降谷君、ここは協力して禍炎に対抗しましょう!」

 

賢昇「あぁ?」

 

汰月「今度こそ、いけるはず!」

 

霊魂が熱い炎で駆け抜ける!

 

第漆話「暴走車両を乗りこなせ!」

 

日曜午後9時!




第六話ご覧いただきありがとうございます!

さて、今回は妖魔の新形態・河童ヨロイが登場しました!
弓矢をメインウェポンに据えるパワーファイターという中々珍しい属性持ちとなりました!河童は代表的な妖怪ということもありフォームチェンジに採用いたしました。

更には敵のライダーとして禍炎が登場しましたね。要はリバイス以降恒例の液晶ドライバー枠です。
○号のくくりには入れず、敵幹部怪人みたいな扱いになっていくかと思いますが、その活躍もお楽しみに!
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