俺はディオ!ジョジョの親友で、本当の紳士を目指す者さ!   作:バケギツネ

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うそ...?

 

 

 テッテレー、俺はディオ!!

 

 転生者であり、偉大なる父・ダリオのような本当の紳士となる事を目指す男だ!!

 

 さてさて〜。

 

 5話もかけて、ようやくジョースター邸へと辿り着いた俺!長かったな〜!

 

 早速、チビる程立派な屋敷の中へとエスコートされ、今日からお世話になる大大大恩人・ジョースター卿にご挨拶する事になった!

 

「ジョースター卿。俺を引き取ってくれた事、本当に感謝しています!」

 

『気にしないでくれたまえ。ロンドンからの長旅ご苦労だったね、ディオくん。今日からキミは、私の家族だ。』

 

 何だかんだで初めて顔を合わせたジョースター卿は、穏やかな優しい笑顔の似合う、イメージ通りのイケオジだった。

 

 解釈一致!!!

 

『ジョジョとは、もう友達になったようだね。少しヤンチャな所のある息子だが、仲良くしてやってくれ。』

 

「勿論です!!こちらこそ、息子さんには大変大変お世話になってます!」

 

『ちょ、よしてくれ!ディオ。』

 

 実際、ジョジョは命の恩人だしな。転生の事も明かしたし、今では親友だと言っていい。

 

 ...ジョースター卿には絶対言わないが、ファーストキス(人工呼吸)の相手でもある。

 

 うん、絶対言わんとこ。親友のお父さんを泣かせたくないし。

 

「............」

 

『ん、ディオ君。私の顔に何か付いているかい?』

 

「あ、いえいえ!何でもありません!!」

 

 しかしこう見ると、ジョジョはお父さん似なんだな〜。顔だけじゃなく、雰囲気や性格もソックリだ!

 

 このイケメン聖人一族め!

 

 

 きっと彼らの子孫たちも、全員素行の良い、穏やかな人達なんだろうな〜。

 

 刑務所からの脱獄犯や、

 

 裏社会を牛耳るマフィアのボスや、

 

 未成年でパチンコ店に入り浸るリーゼントや、

 

 同じく未成年で飲酒・喫煙を繰り返す、喧嘩や食い逃げの常習犯である不良や、

 

 学校を中退していて、暴力沙汰で7つの前科を持ち、不倫で隠し子を作るようなクズ男、

 

 なんていないに決まっている!!!!!!!

 

 

 ジョースター家の未来は安泰だな、ガハハ!!

 

 

 

 

 

 

 

『私は貿易の仕事をしていてね。時折家を空ける事もあるので、全てを彼らに任せているんだ。キミも遠慮なく頼るといい。』

 

 ジョースター卿が、馬車の安全運転をしてくれてた執事さんを含む、7人の使用人さんを紹介してくれる。

 

 何というか、皆んなプロフェッショナルって感じだ。どの人も、貴族に負けず劣らずの気品を身につけていて、正直俺よりもよっぽど高貴に見える。

 

 自省!穴があったら入りたい!!

 

「まだまだ未熟な俺ですが、これからよろしくお願いします!!」

 

 使用人の方々には心を込めてペコペコしておく!しっかり挨拶しておこう!第一印象大事!!

 

『言っただろう?ディオくん。今日からキミは、私たちの家族なんだ。そんな堅苦しい態度はよしてくれ。』

 

 恐る恐る頭を上げた俺の目を、ジョースター卿はジッと見つめてくる。ジョジョとよく似た綺麗な瞳が、俺の視線を受け止めた。

 

「あの、ジョースター卿?」

 

 何故だかジョースター卿は、ハテナマークでも浮かべてそうな怪訝な顔で、俺の事を見つめていた。

 

 ヤベッ、何か失礼な事しちゃったか!?とりあえず謝っとく!?全裸土下座までなら全然やれるが、

 

『キミは、本当にディオ・ブランドー君なのかい?』

 

「いいいいいいいい!?」

 

 え、まさか転生の事がバレた!?何で!?

 

 慌ててジョジョの方を確認すると、彼は首をブンブンと横に振っている。どうやら、彼の口から伝わったわけではないらしい。

 

 まあ、そりゃそうか。ジョジョは間違っても、人の秘密を勝手に喋るような奴じゃない。当然だ。

 

 例え冗談でも、ジョジョがチクリ魔だなんて噂を流す不届き者がいたら、俺はソイツをぶん殴ってしまうかもしれない。

 

 ってそんな事より、今この場をどうするべきだ!?

 

『いや、すまない。こんな事を聞くなんて、どうかしている。今の発言は撤回させてくれ。申し訳なかった!!』

 

「あ、いえ、その...」

 

 その場で謝罪を口にするジョースター卿を、俺は慌てて押しとどめる。

 

 バッチリ当たってるんだよな〜。

 

 実際俺は転生者で、ディオ・ブランドーさんではない。いわば偽者のディオ・ブランドー、偽ディオなのだ。

 

 いや凄っ、何で分かるんだよ!?ジョースター卿、人を見る目ありすぎない!?

 

「あの、それについてなんですが、」

 

 どうしよう、彼にも転生の事を話すべきか?

 

 優柔不断な俺は、再びジョジョの方を確認。すると彼は、かなり悩んだ後にゆっくりと首を横に振る。

 

 まあ、いくらスーパー大聖人のジョースター卿でも、いきなりそんな事言われたら、大混乱だろうしな。

 

 秘密をカミングアウトするのは、もう少し時間を置いてからでいいかも!

 

「やっぱ、何でもないです〜。ハハハハ〜。」

 

『..............』

 

 ヤッベ、何か微妙な空気になっちゃった!気まずい!!

 

「ジョジョ、何か良い一発ギャグない?」

 

『え、この流れで!?絶対今じゃないと思うよ!?』

 

 ええい、何でもいいんで話を変えよう!

 

「あ、あのインテリア、おしゃれですね〜!流石はジョースター卿!!」

 

 俺が指をさしたのは、適当に目に入った石の仮面。

 

 何故だか分からないが、視線が吸い寄せられたのだ。まるで何か大きな力に導かれるように。

 

 まあ、気のせいだろうがな。

 

『ほお、その石仮面が気になるのかね?』

 

「あ、はい!めっちゃ気になります!!」

 

 嘘です!全て嘘です!!

 正直どうでもいいですあんなの!!

 

『ほぉ、試しに被ってみるかい?』

 

「あ、それは結構です。」

 

『ハハハッ、すまない。冗談だよ。』

 

 正直、ボロいし、不気味だし、キモいし、何か臭いし、あんな石仮面の何がいいのかサッパリ分からない。

 

 例え天地がひっくり返っても、被ろうなんて思う事はないだろうが、ジョースター邸にあるんだし、きっと高級品なんだろう!

 

 多分!!!!!!!!!

 

「いや〜、きっとお高いんだろうな〜!!!」

 

『実はね。さほど価値がある物でもないんだよ。』

 

「い!?あ、た、たた確かに〜。」

 

 ヤッベ、モノを見る目がない奴だと思われたかも!?

 

「た、たしかにあの仮面、何か、傷も多いし、えっと、独特の匂いがするし...」

 

『ソレはね。妻の写真代わりに、そこにかけてあるんだ。』

 

「あ......その、すいませんでした...マジでっ、すいませんでした...!!!」

 

 やった。やっちまった。痛恨のミス過ぎる...

 

『気にしないでくれ。その石仮面は、メキシコの遺産から発見されたそうだ。ジョジョが生まれたばかりの頃、ロンドンの美術商から買ったんだよ。妻が気に入ってね。』

 

 ジョースター卿は話をしながら、どこか遠くを見つめている。その目は少し寂しそうなものだった。

 

『そしてその帰りに、馬車の事故があってね。私が妻を喪ったのも、その時だ。』

 

「そうだったんですね...」

 

 彼にとって石仮面は、亡き奥さまとの最後の思い出が詰まったものなんだろう。

 

 それで、あんな風に目立つ場所に飾っているのか。奥さんとの幸せな日々が色褪せないように。

 

『そうそう、その馬車の事故があった時に出会ったのが、キミのお父さん。ダリオ・ブランドーなんだよ!』

 

「おお、そうでしたか...!」

 

 父さん〜!!!

 

 俺にとっての憧れであり、紳士としての理想像でもあるダリオ・ブランドー。やっぱりジョースター卿にとっても、彼は大きな人物なんだろうな〜。

 

 なんだか、誇らしい気分だ!エッヘン!!

 

『...キミは、お父さんを尊敬しているんだね。』

 

 父を懐かしんでニヤついていた俺に、ジョースター卿は声をかける。

 

「はい!父のように、命懸けで人を助けられるような、本当の紳士になる事!それが俺の夢なんです!!」

 

『......そうか。彼からは、“そう”聞いているんだね。』

 

 一瞬、ジョースター卿の顔に迷いが浮かんだような、そんな気がした。

 

「???」

 

『いいや、何でもない。うん。ディオ君ならなれるさ、ダリオのような立派な紳士に!!』

 

「はい!ありがとうございます!!」

 

『そうだ、ディオくん。キミの部屋へ案内しよう。付いてきたまえ。』

 

 気付けばジョースター卿の顔には、普段の穏やかな笑顔が戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ジョージ・ジョースターは知っていた。

 

 ディオの父、ダリオ・ブランドーが、命懸けで人を助けるような高潔な人間ではない事を。

 

 それでも、彼は嘘をついた。

 

 父を尊敬する心の優しい青年の憧れを、自身の新しい家族の理想を、守る為に。

 

 

「そうだ、ジョースター卿!父の事をもっと教えてくれませんか!?」

 

『え!?あ、あーー、そうだな。えっと、彼はその、て、手先の器用な人で...』

 

「おお!他には?」

 

『他には!?え、えっと、そうだね.......あーーーーー』

 

 

 そのせいでディオにせがまれ、存在しないエピソードを幾つも捻り出す羽目になったのは、また別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジョージ・ジョースター。やはりコイツは目障りだ。』

 

 転生者である偽ディオ。その異常さを知る唯一の人間は、暗闇の中で悪態を吐く。

 

 その正体は、この世界に転生を果たした悪の救世主だった。

 

 

『奴はいずれ、始末するとしよう。“前の世界”と同じように、この”DIO“の手でな。』

 

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