ゲヘナ自治区の操車場。鉄道拠点である為、ゲヘナ自治区内と言えどもハイランダー鉄道学園が管理する場であるが、そこにいるべき生徒たちの姿は無かった。あるのは貨車だったものだけだ。その貨車も、今は無残に破壊されている。
そしてそんな場所で、ワカモとイオリが対峙していた。
「狐坂ワカモ。何故お前が私を狙うのか、説明してくれてもいいんじゃないか?」
「……あれだけのことをしておいて、自覚がないと? 貴方の行いのせいで、あのお方が穢された……!」
「何のことだかさっぱりだ。もっとわかりやすく説明してくれ!」
イオリの問いにワカモは敵意むき出しで答える。だがイオリに身に覚えはないようで首を傾げるばかりだ。ワカモはそんなイオリに苛立ち、怒りを隠そうともせずに語る。
──先生がイオリの足を舐めたことに端を発し、それに対してワカモが激昂。これを受けてワカモの怒りの矛先はイオリを狙うに至ったと言うのだ。
「何でお前が怒る!」
「あのお方が穢されたから!」
ワカモは狐のお面で表情こそ見えないものの、その声から感じる気迫は本気そのもの。しかし、だからと言って怯むイオリではない。
次の瞬間、ワカモとイオリはほぼ同時に銃を構え、引き金を弾いた。着弾の衝撃で肩が痛むが今は気にしていられない。
乾いた銃声が暗闇の中に響く。
だが、その一発すら決定打とはなりえない。ワカモの放った銃弾はイオリを掠めた。しかし、イオリが放った弾はお面に阻まれてしまう。
代わりに二人の間を漂う煙が両者の視界を奪っていた。その煙幕に乗じてイオリは物陰に隠れる。そして手近にあった貨物の影に隠れながら、彼女は問いかける。
「おい、何が気に食わないんだ?!」
しかし、返事はない。代わりに銃弾が貨物を穿つ音が聞こえてくる。今や、煙に満たされた操車場はイオリの指先すら不明だ。
「私はただ、先生にお願いをしただけだ!」
「足を舐めさせる事がただのお願いなものですか!」
ワカモの叫び声が響き渡る。その声からは、怒りと焦りが入り混じっているのが、傍目にもよく分かる。
イオリは物陰から顔を覗かせると、ワカモの姿を探す。だが、彼女の姿は見えない。
──この煙の中で動くのは危険だ。そう判断した彼女は、一旦身を隠すことにした。しかし、その判断は遅かった。物陰に隠れようとした瞬間、彼女の足元に弾痕が刻まれる。
「風紀委員のスナイパーとやらは、その程度ですか?」
「っ!」
煙の中から声が聞こえる。その声にイオリは歯噛みした。挑発だ。しかし、彼女がどこにいるのかが分からない以上、無闇に動くのは得策とは言えない。
「ほらほら、どうしました? もっと撃ってみては?」
再び挑発する声が聞こえると同時に、イオリの足元で着弾音が響く。今度はわざと外したのだと彼女は直感した。だが、それが分かったところでどうしようもない。
イオリは内心で悪態をついた。
§
「こうも数が多いと厄介ね」
そうぼやくヒナの周りには倒れた生徒たちと、壊れた武器が集まって出来た小山。──ヒナの他にも、特機隊の面々が操車場内へと侵入していた。
ワカモからの果し状を見た面々は、アコの提案──急襲を考えた。しかしあらかじめ織り込み済みだったのだろう、不良たちを扇動しゲヘナ自治区内の広範囲にわたって爆破テロを起こした。
その対応に戦力を割かなくてはいけなくなり、アコが半ギレになりながらも指揮を執る形で動いた。更にそれだけではない。イオリの支援に同行した風紀委員たちを、操車場内に張り巡らされた罠の数々が行く手を阻んだ。
しかし、その程度で彼女たちが怯むはずもない。風紀委員の面々は、それぞれ武器を構えて操車場内へと突入していった。
入口を封鎖するように設置されたバリケードを突破すればそこは戦場だ。飛び交う銃弾と怒号に硝煙の臭いが入り混じる中、特機隊員はそれぞれの目標に向かって突き進む。ヒナのそばには第四小隊が随伴していた。
「総長、ここも外れです」
「そう。……なら、次へ」
隊員の言葉にヒナが短く答えると同時に、彼女の前にいた不良たちが吹き飛ばされる。後続の部隊が身柄を確保できるように、両手足を結束バンドで縛り上げた。
彼女たちは不良たちを縛り上げた後、その場を後にする。操車場中に不良たちの呻き声とヒナの足音、そして特機隊員の重い足音が響き渡る。その中を、彼女たちは突き進んでいく。
その前に不良が現れれば即座に蜂の巣にされ、何もできぬまま倒れる。爆発に巻き込まれても、弾幕に見舞われても、彼女たちの足は止まらない。その様はまさに地獄の番犬をも思わせた。
「む、無理だあ……勝てっこないよお!」
「お、おい! 逃げんな! あたしを置いてくなって!」
「あ、あ、ああ……」
不良たちが恐怖に顔を引きつらせて逃げ、その背中を特機隊員たちは容赦なく撃つ。複数のMG42による制圧射撃は、逃げ惑う不良たちを次々となぎ倒し、その意識を奪い去っていく。
屍累々、といった様だが彼女らはまだ生きている。気絶しているだけだ。ヒナはそれを見ても何も思わない。他の者が見れば、やり過ぎと形容するであろうが、彼女たちからすればいつもの光景だ。
──ふと、特機隊員と不良の一人が目があった気がした。
その目は恐怖に染まっていた。だがそれも一瞬のこと、すぐに意識を失ったようだった。身柄を確保しようと近寄れば、地面が濡れていた。それがどこから漏れ出したかなど、誰もが言うまでもなかった。
「この程度で気絶するんじゃ、不良って言えないわね」
「ひっ……」
中にはその光景を見て泣き出した生徒もいた。だが他の者はそれを意に介さず前に進むのみだ。ヒナはその光景を見てつい言葉が漏れる。
「……たあいもないわね」
「総長、無理もありませんよ。教官たちが出張ってきたら、こんなんじゃ済まないです」
「…………」
その言葉にヒナは何も返さなかった。
彼女はそのまま歩を進める。歩く途中、今度、紅一や乾と同行してみたいなと思う反面、彼らを受け入れた自身になにか過ちがあったのではないかとも考える。
考えてはみたが……。
「……今考えることではないわね」
「総長?」
「何でもない」
ふと湧いた雑念を振り払うかのように、ヒナは答えた。
§
イオリの隠れている貨物の影に向かってワカモが発砲する。イオリは身を屈めてそれをやり過ごすが、このままではジリ貧になるのは明らかだった。
(くそ、このままじゃ……)
イオリが胸中で呟いたその時、ワカモがコンテナに近づいてくる気配がする。それを感じ取ったイオリは咄嵯に身を翻し、ワカモの射撃をかわした。
ワカモが発砲した銃弾はコンテナに着弾し、その衝撃でコンテナが揺れる。イオリはその隙を狙って物陰から飛び出した。
だが、次の瞬間にはイオリの目の前にワカモの姿があった。
「なっ?!」
「遅い!」
ワカモの放った銃弾が、イオリの銃を弾き飛ばす。そのまま彼女はイオリに跳び蹴りを食らわせた。その衝撃でイオリは地面に叩きつけられる。
それでもなお、彼女は立ち上がろうとした。しかし、ワカモはそれを許さないとばかりに銃を突きつける。そして静かに言った。
「……これでわかったでしょう? 貴方と私では格が違うのです」
何かわかったかのようなそのセリフにイオリは激昂した。
彼女は足でワカモの銃を弾き飛ばすと、そのまま組み伏せた。そして殴りかかろうとしたが相手もさるもの、すぐに体勢を立て直して反撃してくる。
「このっ!」
「ぐぅ!」
イオリの拳がワカモに命中する。だが、彼女は怯まず反撃してきた。
今度はイオリが殴り飛ばされる番だ。地面に倒れ伏す彼女に、ワカモは馬乗りになる形でマウントを取った。そしてそのまま拳を振り下ろそうとする。
しかし、イオリはそれを許さない。彼女はワカモの首を摑むと、そのまま地面に叩きつけた。
「がふっ?!」
今度はワカモが地面へと倒れ伏す番だ。その隙にイオリは立ち上がり距離を取る。そして銃を拾い上げると、再び構えた。だがワカモもすぐに立ち上がるとイオリに銃を向ける。
そして引き金を引いた。放たれた銃弾が、イオリに襲い掛かる。しかしイオリは冷静にその弾道を見切り、最小限の動きだけで回避する。
そのまま彼女はワカモに向かって駆け出すと、一気に間合いを詰めた。
「いい加減にしろ! お前のわがままに付き合うほど私だって暇じゃないんだ!」
「何を言いますか! 人様に足を舐めさせて悦に浸る変態が!」
「誰が変態だ!!」
喧々囂々と言い争いながらも、互いに撃ち合い続ける。銃弾が雨の様に降り注ぐ中、二人は必死に応戦した。流れ弾がそこかしこに飛んで着弾し、その中の一つが燃料運搬車のタンクを撃ち抜いた。
揮発性の高い燃料だったらしく、途端に周囲にガソリンのような臭いが立ち込める。その臭いにイオリが一瞬顔をしかめた瞬間、ワカモは引金を弾く。
だがしかし弾が出ない。カチッ、カチッと機関部が動く音だけで、火薬が爆発する音は鳴らない。
弾切れだ。それを聞いたイオリが好機と引金を弾くも、反応はワカモの持つ<深紅の災厄>と同じだった。
弾切れの銃を突きつけ、ワカモは高らかに笑う。そしてそのままイオリ目がけ突っ込んで来た。
「弾切れだからって銃剣突撃かよ!」
「銃床に棘を生やす者が言う言葉ではない!」
対するイオリは<クラックショット>の銃身を掴むと、バットのように構えて振りかぶった。そしてそのままワカモ目がけ振り下ろす。
銃剣の刃が銃床と激突し、鈍い金属音と共に火花が散った。その衝撃で、両者は再び距離を取る。互いに荒い息を整える間も与えず、イオリはワカモに殴りかかった。
しかしワカモはそれを銃剣でいなし、逆にその勢いを利用して蹴りを叩き込む。そしてそのまま回転して突いてきた。しかし、その程度で怯むイオリではない。彼女はそれをかわし、逆にワカモの銃を持つ手を摑んだ。
そのまま関節を極めようとするも、ワカモも負けじと抵抗する。
「このおぉ……!」
「ぐぬうぅ……!」
互いに一歩も引かない状況が続く中、イオリがワカモの足を払い、体勢を崩した隙に組み伏せた。
そして馬乗りになり、拳を振り上げる。しかしワカモはそんなイオリの腕を押さえ、逆に彼女を組み伏せた。形勢が逆転した二人だが、互いの瞳からは未だに闘志が消えていない。だがそんなことを繰り返していく内に、次第にイオリの顔に疲れが見えてきた。
ワカモはそれを好機と見るや、一気にケリをつける為にイオリに組み付いたまま、彼女の首に手を回す。
そしてそのまま絞め落とそうとしたその時だった。
「そこまでよ」
「──!!」
銃声が響き渡ると同時に、ワカモの動きが止まり、イオリから飛び退くように距離を取った。そして、銃声のした方へと視線を向ける。そこにいたのは、<終幕>を構えたヒナだ。
彼女はイオリとワカモの間に入り、二人の様子を険しい面持ちで見て、今度はイオリに視線を向ける。
「イオリ、大丈夫?」
「な、何とか……」
イオリの返事に安心したのか、ヒナの表情も少し緩んだ。
だがそれは一瞬のことで、すぐに顔を引き締める。ヒナはイオリの前に立ち、ワカモと相対した。その様子を見てワカモはお面の下で忌々しげに表情を歪める。
「空崎ヒナ……」
「ここからは私たちが相手になるわ、狐坂ワカモ。ゲヘナの風紀委員に喧嘩を売って、無事で帰れると思わないことね」
「何を!」
ワカモの足元に更に銃弾が飛ぶ。空中へ飛び退くと同時に追い打ちの弾幕が迫る。それをワカモがかわし、着地と同時に駆け出す。ヒナも<終幕>を構えながらそれに合わせるように照準し、掃射が始まる。
嵐の様な弾幕に舌打ちしながら、ワカモはコンテナの陰に隠れると、そのまま物陰を伝って移動を始めた。その後を追うようにヒナは<終幕>を掃射し、ワカモを牽制しつつ距離を詰めていく。
そして、ワカモが物陰から飛び出した瞬間を狙って、銃身を向けた。
「捉えたっ!」
「何のっ!!」
必殺の一撃がワカモを捉えようとした襲い掛かるも、彼女はその場でブリッジし、更にそこから前方に飛び、そのまま着地すると同時に回転し距離を取る。
そしてそのまま立ち上がると、再び走り出した。その背中に向けてヒナは<終幕>の引き金を弾くが、ワカモはコンテナやドラム缶を遮蔽物として利用し、それを避けていく。
そのまま逃げられそうになるが、ワカモはある程度離れた所で転んだ。無論、何かに躓いた訳ではない。足を撃たれたのだ。
「一体、何が……っ?!」
次の瞬間、ワカモは閃光に照らし出された。
あたりを見れば、そこには彼女を見下ろす複数の紅い光点。ゲヘナ特機隊の面々である。各々が油断なくMG42を構え、ワカモに狙いを付けている。
──囲まれた!
次の瞬間、一斉に掃射が開始された。嵐の様な銃弾がワカモに襲い掛かる。掃射は五秒程だったが、何十挺ものMG42による掃射だ、その弾幕は計り知れない。
ワカモはその弾幕の嵐から逃れようとコンテナを遮蔽物にしながら動いたが、流石にすべての銃弾を避けることなどできず、何発か被弾してしまう。
地面に着弾し、空薬莢が次々と地面に転がり落ちていく。硝煙が辺りを覆い、ワカモの近くにあったガス配管に流れ弾が当たったのか、派手な爆発音と共に煙が立ち上った。
それを見た特機隊の隊員たちは射撃を中止する。弾薬を使い切るつもりで撃ち続け、やがてベルトの続きが空になる頃には、辺り一面ガレキだらけと化しており、ワカモの姿は影も形もなかった。
「……総長、すみません。逃げられました」
「そう。どこへ逃げたか分かる?」
「いえ。しかし、自治区の外まで逃げられたかと」
「わかったわ。第一・第四小隊に撤収命令。被害確認を急いで」
ヒナは小さくため息をつくと、撤収を命じた。
§
「乾、そっちはどうだ?」
「こっちは何とか、カタがつきました」
「そうか」
「何と言うか、凄まじい……」
乾と紅一、チナツの三名は操車場の外縁部にいた。
足元には大量の空薬莢が積もっている。操車場の外で待機していたチナツが、ヒナから連絡を受けた紅一に報告。それを聞いた彼は、すぐに行動を開始した。
彼女たちは、数に劣るにもかかわらず不良たちを圧倒していた。もっとも、乾や紅一からすれば<セクト>よりも惰弱な連中に負けることはないと断言できる。
だが、この操車場に集められた不良たちの中には、それなりにてこずっていた者もいたというのだから驚きだ。
「他の連中は大丈夫だろうか」
「ああ……あいつらは──」
乾の言葉に紅一が答えようとした瞬間だった。突如として轟く銃声。それも一発や二発ではない。まるで雨あられと言わんばかりに轟音が鳴り響く。
それが何なのか、三人にはすぐにわかった。
「都々目教官! チナツさん! ご無事ですか?!」
「天雨か。こっちは大丈夫だ」
「私も、問題ありません」
紅一とチナツが無事を伝えるとアコはほっと胸をなでおろした。しかしすぐに表情を引き締める。
「それで、状況は?」
「ここいらの不良どもはあらかた片付いた。ワカモだけだ」
アコの問いに紅一が答える。それを聞いたアコは、ヒナに連絡を取るべきかと考える。
だがその時、突如として轟く銃声。それはアコも、チナツも、そして紅一や乾でさえも聞き慣れた銃声だった。
「空崎の銃だ。近いぞ」
「行きましょう」
チナツの言葉に、紅一たちは音の鳴った方向に向かって駆け出す。するとそこには足を引きずるように歩くイオリと、彼女をかばうかのようにヒナの姿があった。
「大丈夫?」
「な、何とか。お互い弾切れになったから、殴り合いになったんだ……次は負けない」
駆け付けたチナツはイオリの傷を見る。幸いにも大きな怪我は無いようだ。だが、このまま放置しておくわけにはいかない。
「保健室に連れて行こう」
誰かが言い出した矢先、一台の車両が猛スピードで突っ込んできて、目の前で停車した。そして、ドアが開き、中から数人の生徒が降りてきた。
その先頭に立つ人物を見て、アコは思わず叫んだ。
「した……負傷者がいると聞いたので来ましたが」
「セナさん!!」
先頭の白髪の少女──救急医学部部長、氷室セナはアコの姿を見つけると、少し驚いた表情を見せつつも、落ち着いた口調で話しかけてきた。そんな彼女にチナツが状況を説明する。
一通り聞いた彼女は、すぐさま治療に取り掛かった。設備の不足でチナツが出来なかった傷の手当ても、彼女がいれば安心だろう。
イオリの治療が終わると、彼女と共にやって来た生徒たちが負傷者を次々と救急車両に運び込む。
だがしかし、その様子は手荒としか言いようがなく、まるでごみ袋を放り込むかのように次々と投げ込まれていく。その様子を見ながら、紅一は呟いた。
「俺は、乗りたくないな……」
「あれではかえって酷くなりそうだ」
乾もまた、酷いと評した。確かにそうだ。と、イオリは二人の言葉を認めた。だがそれは、救出という名目で行われる暴徒鎮圧などでみられる方法だ。
そして、その手段はあまりにも手荒であることが多いのだ。しかし、今はそんな悠長なことを言っていられる状況ではないのも確かだ。
何しろここは治外法権、ゲヘナにあってゲヘナにあらずと呼べる場所だ。ハイランダー鉄道学園から許諾をいただいているとはいえ、長居をするものではない。
そしてゲヘナ学園は今回の損害を補填しなくてはいけない為、早急な対応が必要だった。全ての負傷者を乗せた車両に続いて、風紀委員たちは車両に次々と乗り込んで行く。
今後しばらくは、厳しい状況が続くだろう。
「乾。狐坂ワカモは逃げたと思うか?」
「恐らくは」
「あなたたちも、そう思うのね?」
「空崎、奴のことは俺たちには見当がつかん。しばらく戒厳令か何か、敷く必要があると思うが」
「私も、あいつが諦めたとは思えない。警戒を厳しくする必要があるかも」
「そうね……」
指揮車両の中で、紅一が口を開く。それに続いて一同が答え、ふむ、と右手を顎の下に当ててヒナは考えた。
こちらでもある程度は警戒する必要がある。その上で、取り締まりも強化しなくてはならないだろう。それには、特機隊の存在は不可欠だ。
そう考えて、ヒナは号令をかけた。
「全車、全速前進。帰って準備!」
指揮車両を先頭に、各車両は加速した。