王の名はサガ   作:1年5ミリ

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人生初の投稿です。
駄文ですが、それでもokなら見てもらえると嬉しいです。


第1幕 戦いの始まり、王の降臨
第1楽章 少年:キング・オブ・アベンジ


かつてから人というものは、何かを受け継いできた。

 

誰かからもらった、特別な称号。

 

親が遺した、大事な形見。

 

師から受け継いだ、秘伝の技。

 

大切な人がその人の『1番』を作り上げ、滅びゆく中で、また誰かに託されてゆく。

 

そして、ある1人の少年も、そうなるはずの運命にあった。

 

 

だが、その運命はたった1日で狂わされた。

 

鳴り響く怒号、悲鳴、瓦礫の崩れる音。

自らを覆う壁のせいで、外の様子は伺えない。

だがそれが、より鮮明に彼の恐怖を掻き立てた。

たった一筋の光を頼りに、なんとか手を伸ばそうとする。

しかしそれが出来ても、誰1人としてその手を掴んではくれない。

 

しょうがない、と諦める自分。まだ死にたくないと、もがこうとする自分。

そんな2人が、心のなかでパレットの上の絵の具のように、ごちゃまぜになっていた。

 

―――道を開けて!

 

―――邪魔なんだよ、どいてくれ!

 

―――お母さん...?お母さん、どこぉっ!?

 

―――俺が先だ!

 

そんな声を聞くと身勝手だ、と言いたくなる。

だがきっと、自分もそうしてしまうだろうというのが答えだ。

それが人間というものだろう。

どんなに皮を被ったこと言っても結局は、自分がいちばん大切なのだ。

 

しかし自分よりも、彼には大事なことがあった。

 

「父さん...母さん...」

 

本来居合わせたはずの2人は、ここには居ない。

人混みの中、彼を突き放して行方知らずだ。

 

 

 

父は頻繁に楽器を奏でていた。

その”音”は、どこまでもなめらかで、美しく。

何者も変わることの出来ない安らぎを与えてくれた。

 

いつも、よく言っていた。

 

「人の痛みを分かるようになれ」と。

 

そして最後に、叫んだ。「生きろ」と。

 

 

母はいつも父と、自分の傍に居てくれた。

泣きたいときには泣いていい、怒りたいときには怒ればいいと、

感情を大切にしていた。

 

よく、口ずさむように言っていた。

 

「愛を知れ」と。

 

離れ離れになる直前、確かに自分は後ろから母に抱きしめられた。

 

そして、そっと優しく、耳元で囁くように言われたのだ。

 

 

「ごめんなさい」と。

 

 

 

最初は言っている意味が分からなかった。

いや、認めたく無かったのだ。

たとえこの瓦礫が前に立ちふさがっていようと、

”死”は関係なくやってくる。

生身をさらけ出すなら、尚更だ。

だからこそ、恐怖した。

”死”そのものではなく、かけがえのない人を、失ったということが。

 

 

そうして絶望に打ちひしがれる中、ガタ...と、瓦礫の動く音がした。

ようやく助けが来たのだ。

一瞬、表情は明るくなった。

しかしすぐに微笑みは消えた。

ザザザと、瓦礫の隙間から見えていた穴が、どんどんと広がる。

鉛筆程度の細さしか無かった光は、瞬く間に自分の居た周辺を覆った。

嬉しさではしゃいだりとか、そんなこと考えている余裕はない。

通れるほどの大きさになった瞬間、瓦礫の隙間から勢いよく出ていく。

ちらっと一瞬視界に写った人は、おそらく助け出してくれた人だろう。

だが状況が状況だ。

「ありがとう」と感謝する余裕もなく、外へと飛び出した。

 

 

奇跡が起こり、日常はこの手に戻ってくるのか。

 

 

はたまた変えることの出来ない、絶望の現実を突きつけられるか。

 

 

そうして答えは、示された。

 

まさに虚無。

先程まで虹色の光に包まれていたはずのステージは、

荒野と言うべき姿へと変貌していた。

見渡す景色に、人は居ない。

あるとすれば、無数の黒い粉の山が辺り一面を覆っていた。

  

―――飛牙(ひゅうが)

 

その名を呼ぶ声も、今は聞こえない。

自然と、足の力が抜ける。

崩れ落ちても、足の痛みは感じることは出来ない。

ただ呆然と、その結果だけを見つめていた。

 

夕日が、眩しい。

 

この瞳を照りつける逆光が、どこまでも美しく、儚く、憎い――――

 

 

 

こうして、彼の”絶望”の人生が幕を開けた。

 

 

 

 

 

     ―――2年後―――

 

 

 

 

 

荒がる息。止まぬ足音。

夜の道を駆ける、1人の女性。

人間...と言えるのかは定かではないが、若干20代と見て取れるその人は、

ある危機にさらされていた。

 

彼女の後ろ...そこには、得体の知れない何匹もの怪物が居た。

 

ゼリー状で、半透明の表皮。

 

『#%&%”$’&〜>』

 

到底聞き取ることの出来ない、奇っ怪な声のようなものが、不気味さを際立てている。

人の形や、丸い身体に手だけの生えた姿。

ぶどうの房に似ている飾りのあるものまでいた。

 

これは『ノイズ』。

 

人だけを殺す、厄災。

群れで発生し、自分まるごとその人を炭素の塊へと変えてしまう。

この化け物たちに対抗する手段はない。あるのは一方的な殺戮のみだ。

しかも壁だろうとすり抜け、一度目をつけた人間はしぶとく追ってくる。

 

それが今、数体。しかも彼女1人だけを狙っていた。

 

絶体絶命。その言葉が女性の頭の中に浮かんだ。

だが今は走るしかない。

ノイズは時間経過によって消滅する。

それが唯一死を免れることができる回避方法だ。

だがそんなことを思った瞬間、女性の視界が暗転した。

ほんの少しの間だったが、転んだと分かるのに時間はいらなかった。

 

「...ヒッ!」

 

立ち上がろうとする前に、振り向いてしまったのが運の尽き。

すぐそこまで迫ったノイズを見て、女性は恐怖で足がすくんでしまった。

もう動く気力もなく、ノイズに触れようとしたその瞬間―――

 

ノイズが一瞬で、その場から消え去った。

 

「...えっ?」

 

時間が経過した訳でもない。

現にまだ、他のノイズは健在だ。

ただ1つ、考えられる理由があるとすれば...

 

『◯▢△✕※』

 

そんな時女性の頭上で、ノイズとは違うまた別のなにかの声が聞こえた。

思わず、その声の方向を向く。

見上げるとそこには、円盤のような形をした機械のようなものが浮いていた。

 

「ノイズ共。」

 

更に今度は、女性の背後からきちんとした人の声が聞こえる。

振り向いた瞬間見えたのは、道の先のトンネルに佇む1人の人影。

声から推測すれば、男性だと分かる。

後ろにある街灯の明かりが逆光となり、その顔は見えない。

見えるのは、小柄なシルエットだけだ。

 

するとその瞬間、人影が左手を突き出すように掲げた。

 

そして、真っ黒な姿に包まれた影から光るように、手のひらに紋章が浮き出る。

また、それを映すように、人影を覆うほどの大きさの紋章が現れた。

コウモリを模した羽のような模様に、バラと「KING」と荒々しい文字で書かれたマーク。

ミシミシ、と音を立てるそれは、凄まじい威厳を感じさせるものだった。

 

「サガーク...」

 

再び、その人物が呟く。

そしてそれに答えるかのように、あの円盤のようなものが人影の元へと飛んでいった。

すぐそこまで近づくと、円盤は背を面に向け、人影の腰に取り付く。

まるで、ベルトの帯のようなものを出して、巻き付くように。

すると今度は、その人物は何かスティック状の物を手に取った。

中間部分が少し膨らみ、笛にも似たそれを、横に倒し、構える。

そして―――

 

 

それは、復讐の覚悟を表したもの。

 

それは、戦いの幕を開けるもの。

 

そして、『(キング)』の降臨を告げる、偉大なる言葉。

 

 

「変身」

 

 

その掛け声とともに、笛のようなものをベルトに差し込んだ。

 

ヘン・シン

 

次の瞬間、円盤のディスクのようなものが回転し、電子音のようなもので復唱される。

刹那、色褪せた不思議なオーラで包まれる影。

しかしそれも束の間、今度はその滲んだような暗い色が、

まるでガラスが割れるように砕け散ってゆく。

だがその一瞬で、人影は大きく変貌した。

身体は再び影に照らされ...

そして最後に、暗闇の中で大きな蒼い目が光った。

 

「あぁ...まさか...『キング』!」

 

その姿を見た瞬間、女性は歓喜の声を上げた。

まるで、自分の味方が来たとでも言うように。

すると、その鎧をまとった『キング』と呼ばれる男が、女性の方へと歩み始めた。

そして数歩前に出たその時、ついにその姿が明かりで照らされた。

白と、銀の装飾。

ステンドグラスのような、鮮やかな胸の模様。

人の何倍も大きく、尖った瞳。

全身には、蛇のような鎖があと割付いていた。

その姿は、まさしく鎧を纏ったようなものだった。

しかもその顔は、人とは似ても似つかない。

いわば”仮面”、といえるものを身に着けていた。

たったあの一瞬で、男は言葉通り『変身』したのだ。

 

「さっさと下がっていろ。死ぬぞ。」

 

だがキングと呼ばれた男は女性を気にもとめず、たった一言だけそう言うと、

歩きながら邪魔だと言わんばかりに、彼女を軽く押しのけた。

 

「ッ!?は、はい...」

 

男の冷めた態度に戸惑いながらも、女性はふらつきながら立ち上がり、

その場から去っていった。

それを黙認すると、男は先ほど変身に使った、あのスティックを取り出す。

すると、その先端から赤い剣のようなロッドが飛び出てきた。

 

「...よし。」

 

そうしてロッドを構え、ゆっくりとノイズへと歩みを進める。

 

『%$#&’%*/”』

 

だがノイズは、それに見向きもせず、不気味な音を立てて男へと

突っ込んでいった。

しかしその体は、男へと届くことはない。

なぜなら既に、赤い剣先がノイズを貫いていたからだ。

 

「...」

 

次の瞬間、炭の塊へと姿を変え、崩れ落ちてゆくノイズ。

先ほども言ったように、ノイズには攻撃が効かない。

ミサイルや銃のような現代兵器であろうと、それをすり抜けてしまうのだ。

だが今ここで男は、そのノイズを討って見せた。

本来なら有り得ない話だろう。

そしてロッドを振り下ろし、他のノイズを見回す男。

すると今度は、自らノイズの群れへと突っ込んでいった。

ついさっきのノイズの攻撃を待つような動きから、真逆のような動きである。

2体、3体と、瞬く間に同じようにして敵を消滅させてゆく。

さらに残りのノイズの眼前へと迫ると、男は一度に何体もの個体をロッドに突き刺し、

柄を掴んだまま投げ飛ばした。

そして、するりと剣先から抜け落ちるようにノイズが投げ出され、

あっという間に炭素の山を作り上げる。

 

「こんなものか。」

 

その様子を見て、男は小さな声で呟いた。

 

『&$&(!%$!』

 

しかしその後ろから、ノイズが迫ってきていた。

だが、男はそのノイズに気づいていないのか、振り向こうともしない。

そして、男の背中とノイズの距離がすぐそこまで近づいた、その時...

突き出された男の肘が、勢いよくノイズを吹き飛ばした。

 

「足しにもならない。」

 

そう言うと、振り向きざまにそのノイズを突き刺し、消滅させる。

時間にして、たった数分。その間に、辺り一帯のノイズは全滅していた。

 

「終わったか。」

 

そうして男が剣をしまおうとした、その時、

突如として地面が揺れ出した。

 

「!...チッ。」

 

軽く舌打ちをすると、男は人間には到底不可能であろうな高さまで跳び上がる。

そのまま着地した先で見たのは、先ほどまで男が居たところから、

今までとは比べ物にならないほどの大きさの、ノイズが出てくる様子であった。

 

「厄介だな。」

 

軽く顔を上に向け、手を額に当てる。

だが逃げ出す、というわけではなく、男はその巨大なノイズにも向かっていった。

ノイズの形はいわば芋虫とよべるものだ。

地面を這いながら、近くの木をなぎ倒していっている。

その巨体へと走り出すと、すぐさま巨大ノイズは男の存在に気づいた。

 

『&$!*+#”@』

 

小さな個体と同じように、あの不気味な音をたてている。

そうして男の進行方向へと、その頭に当たる部分を振り下ろしてきた。

 

「...」

 

しかし驚くこともなく、男は跳んでそれを躱してみせる。

さらにはその余波を利用し、先ほどよりも高く飛び上がった。

その時、雲の裂け目から隠れていた月が現れ出てくる。

そうして、剣を振り下ろす男の姿が、まさにピッタリと重なった。

天空から、重い一撃が下される。

赤い軌道を描き、”厄災”を断ち切った。

どんなノイズも脅威ではあるが、攻撃を喰らえば一撃で死ぬ。

凄まじい躯体を誇った巨大ノイズは、その斬撃の前にひれ伏した。

物凄い音と共に、炭素の山が作り上げられてゆく。

 

「上出来だな。」

 

それを見届けると、男は1人、戦場(いくさば)から去っていった。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

だが雑木林の中へと入った途端、空から”歌”が聞こえてきた。

そう、歌が。

振り向くとそこには、ノイズたちの屍がある場所へと降りてゆく、

1つの光があった。

 

「...もう遅い。」

 

動じることもなく、男は呟いた。

彼からすれば、もう慣れたことなのだろう。

そうして、今度は男がつけていたベルトが外れる。

すると、先ほどと同じようにベルトは宙に浮いた。

しかしそれだけではない。

同時に、男が纏っていた鎧が、ガラスが砕けるかのように崩れ落ちてゆく。

そこから現れたのは、少年だった。

茶色の髪に、黒い瞳。

あの恐怖の象徴を倒したのは、こんな子供だったのだ。

 

『◯✕△※□』

 

「いや、構わないでいい。戻るぞ。」

 

そうして、機械の言葉に答えるかのように話すと、

少年...否、復讐の王である『サガ』は、森の中へと歩みを進めていったのだった。




こんなので良いのだろうか。
次回からはもっとシンフォギア要素増す予定...です。
良かったら感想お願いします。
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