王の名はサガ   作:1年5ミリ

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大変長らくお待たせしました。
もっと評価されるために今よりも投稿進めないと...
まぁ、そろそろ高校の参考書来るんですけどね。(絶望)


第2楽章 独奏:過去と未来

かつてからこの世界には"魔族"が潜んでいた。

 

魔族...それは13もの種族を持った気高き命。

 

彼らには、切っても切り離せない存在がいた。

 

それが、人間である。

 

魔族は人間を見下し付け狙い...そのエナジーを生きる活力とした。

 

 

そして、その頂点が生まれた。

 

 

しかし約数百年後、魔族の日常が当たり前のようになったと思った矢先...

 

それは突然とやって来た。

 

 

「覚醒(ウェイク・アップ)!」

 

 

人間たちは頂点の魔族に対し、"キバ"を向き始めた。

さらには、一部の魔族でさえも人間に協力するようになった。。

何よりも強大だったのは、22年時を跨いだ、ある親子。

 

愛する者のために、戦い抜いた父。

 

 

人間と魔族、その2つの血を交え、自分の存在意義に悩んだ青年。

 

 

彼らは鎧を纏い、人間の味方についた。

 

そして、戦った。最期の、最後まで。

 

 

 

...どんなに長く続こうと、時代は変わる。

人間を狙う魔族たちは、どんどんと減っていった。

 

ついにはそれをまとめる『王』さえも、人間の側についた。

 

魔族は、いつの間にか"共存"の道を選ぶこととなった。

 

もちろん反対したものもいた。

しかしどれ一つとも、上手くいかなかった。

まるで昔の立場が、逆転したようでもあった。

その中で何人もの魔族が、その命を落としていった。

 

 

失ったのは誇りか、それとも仲間か。

 

 

そんなことがあってから、何年もの月日が経とうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

真夜中の戦いから、少しだけ時が経った頃―――

 

少年はあの機械を連れ、大きな山へと続く道の前まで来ていた。

狭く小さな道のその先へと、再び彼は歩みだす。

 

『△※□◯✕』

 

彼の周りをうろつく機械は、

また何か分からない言葉で主に話しかけていた。

 

「大丈夫だ。お前は先に帰っていろ。」

 

しかし少年がそう言うと、機械は山の上空へと飛んで消えてゆく。

そして緩やかな坂を上ってゆくと…

今度はその先でまるで山に囲まれたような立地に、いかにも豪華で、荘厳な邸宅が見えた。

それの目の前までまた歩き、大きく構えた城門のような扉を少年は少し勢いづけて両手で開ける。

 

「お帰りなさいませ。」

 

その瞬間、何者かの声が彼を彼を迎え入れた。

家の中は、まさに豪華絢爛。

ステンドグラスが張り巡らされた窓に、

一直線上に長く続く、広い廊下。

目の前には、何人も並んだ召使のような人たち。

誰一人として、微動だにしていない。

男女混合で全員が2列に並び、その間にまるで道を作っているようだった。

列の先頭には、2人とも執事のような人が待ち構えている。

 

「...ビショップか。」

 

小さな声で、少年が恐らく声をかけたであろう老男性に話しかけた。

右目にかけた老眼鏡に、きれいに纏まった白髪。

そして整った身だしなみをしたその男性は、

少年へと優しく微笑みかけた。

 

「お仕事、ご苦労様でした。」

 

ビショップと呼ばれた男性は、なぜか左(・)手(・)に(・)だ(・)け(・)は(・)め(・)た(・)手(・)袋(・)を前に出し、

小さくお辞儀をする。

すると今度は、また別の執事が少年の前に出た。

その者もまた、右(・)手(・)だ(・)け(・)に(・)手(・)袋(・)を(・)着(・)け(・)て(・)い(・)る(・)。

 

「『キング』。ノイズ討伐後、"シンフォギア"のエネルギーを感知しました。

 何か問題はありませんでしたか?」

 

よほど心配なのか、前の老男性よりも強い口調で尋ねる執事。

 

「安心しろ、ルーク。”奴”が来る前にとっくに離脱しておいた。」

 

そう言うと少年は、あのとき使ったスティックをその執事に手渡した。

 

「少し疲れた。休憩してくる。」

 

そのまま召使いたちの道を通り、彼は先にある扉へと向かおうとする。

 

「お待ち下さい。」

 

しかしそれを、あの老男性の執事が呼び止めた。

 

「...なんだ?」

 

「プレゼントです。今日であなたのノイズ討伐回数は100に登りました。

このジャコーダーをあなたに。」

 

すると老男性の言葉を聞いた瞬間、少年の動きはぴたりと止まり、

急いで執事たちのところへと戻ってきた。

 

「本当か?」

 

今の話題に食らいつくように話しかける少年。

それに対して老男性は、ゆっくりとうなずいた。

 

「ルーク。」

 

隣の執事にも目をやる。

若い執事は何も言わなかった。

少年は勢いよくスティック状の物...『ジャコーダー』を手に取る。

 

「ありがたく受け取ろう。」

 

そうして再び後ろを向き、少年は扉の向こうへと向かっていった。

 

「ハァ...」

 

王の部屋の扉が閉まった直後、若い執事からため息が漏れ出る。

老男性がずっと微笑んでいるのに対し、

ルークと呼ばれた執事は困り果てていたような表情をしていた。

 

「どうしました?ルーク殿。」

 

その執事へと、老男性が語りかけてくる。

 

「ビショップ。あなたはあれでいいんですか?」

 

「...あれ、とは?」

 

「キングのことですよ。」

 

何か納得行かない様子の『ルーク』。簡潔に言えば、彼はこの屋敷であの少年に仕えている者だ。

同様に、横の老男性『ビショップ』もそうである。

 

「もうあの方がキングになってから早2年。

 もう2年は短いと言うべき期間ではありません。

 なのにどうです?あの方はずっと、

 ノイズの討伐にばかり力を入れているばかりではありませんか。」

 

その言葉にふむ、と少し間を開けてビショップは答えた。

 

「...あの人の境遇を考えれば、仕方ないことでしょう。

 それに、ノイズ打倒もキングの仕事です。」

 

「あなたという人は、本当に寛容ですね...

 1学校の理事長というだけはある。」

 

少年を肯定するビショップを見て、ルークは苦笑する。

 

「実際そうでしょう。我々が出来ることは、キングを支えるだけだ。」

 

「確かにそうですが...」

 

言葉を詰まらせながら、ルークは奥へと続く扉を見る。

 

「私はやはり、もっとあの方には我々のことを知ってほしいです。」

 

その発言に、ビショップが返すことは無かった。

 

 

 

 

 

 

扉を開けた、その先。

屋敷の大部屋に、少年は居た。

ステンドグラスで出来た屋根の下、

ホール上の部屋の壁には至る所に楽器が掛けられている。

 

『✕〇□△※』

 

そしてその中にぽつりと置かれたテーブルの上で、

円盤の機械生命体『サガーク』が待ち構えていた。

 

「少し遅くなったな。」

 

不可思議なサガークの言葉を理解しているかのように、

少年は椅子に座ると、机に向かった。

とはいえ、何かするというわけでもない。

机を這うようにして近寄ってくるサガークを見ながら、

小さな器に入れられたクッキーを手に取る。

 

「食べるか?」

 

よく見るとサガークの円盤状の側面には、

ヘビを模したような顔があった。

そこにクッキーを差し出そうとしたところで、

少年は手を止める。

 

「...そういえば、何も食べないんだったな。」

 

そうして、1人チョコチップ入りのクッキーを頬張った。

 

『◯✕△※□』

 

「いや、もう眠れなさそうだ。気分転換で済まそう。」

 

サガークの言葉に答えると、少年は壁の楽器へと手を伸ばした。

選んだのは...バイオリン。

大部屋の中心へと歩み、演奏の構えを取る。

 

「いつからだったろうな。こうなったのは...」

 

独り言のように呟いたその言葉に返すものは、誰一人としていない。

部屋に沈黙が流れ―――ついに、右手の弦が動いた。

追憶の演奏が、今開始される。

 

 

 

 

 

あの日、絶望を味わった。

これまでにない、絶望を。

 

温もりを手放したくなど無かった。だが、もう戻ってはこない。

だってそれは、難き"厄災"に殺されたのだから。

 

そうして1人愕然としていたとき..."彼ら"はやってきた。

 

奇麗に整った列。非の打ち所がない身だしなみ。

メイドと執事だけで構成されたそれを見て、

最初は何かの冗談かと思った。

だが少し時間が経ったあと、

ようやくその者たちが自分の方へと来ているのが分かった。

最前列の老眼鏡をつけた者が、目の前で跪く。

そして、言った。

 

「はじめまして、お待ちしておりました。」

 

「...は?」

 

そんな返事しか出てこなかった。

馬鹿にしているのか?

追い打ちでも何かかけるつもりか?

頭の中でそんな憶測が飛び交う。

しかし出てきた答えは、予想だにしないものだった。

 

「貴方は"キング"として覚醒しました。

 そ(・)の(・)手(・)に(・)浮(・)か(・)ぶ(・)紋(・)章(・)が(・)証(・)。

 ただ今から、我々は貴方に忠誠を誓います。」

 

男を筆頭に、同じく後ろの人間たちも跪くようにしてお辞儀をした。

言われた直後は、本当によく分からなかった。

だが自分の左手を見て、ようやく理解した。

薔薇とコウモリの羽のような模様。

なぐり書きの「king」の文字。

それが自分がそのキングだという証拠なのか?

 

『△✕◯※』

 

すると、何か円盤のようなものがやって来た。

こいつの名前など、まだこのときは知りもしない。

だが不思議と、ひとの言語とはかけ離れたこいつの声を、なんとなく理解できていた。

 

「僕が、君の主...?」

 

はい、と円盤が頷く。

すると今度は、老人の方が口を開いた。

 

「あなたこそが我々を導き、『ノイズ』を打ち倒すことの出来る存在。

 どうか、我々に付いてくれませんか?」

 

「どういうこと?」

 

どんなほら吹きだろうか。

到底信用できるものではなかった。

何をどうしたらあいつらを殺せる?

今にこうして、両親は―――

 

「あなたのお側にいるその『サガーク』こそ、ノイズ打倒の要です。」

 

気が付くと、円盤は自分の周りをぐるぐると浮遊していた。

 

―――タタ、カエ。

 

確かに、サガークの声がそう聞こえる

 

「本当に?」

 

静かに老人は、首を縦に振った。

思わずノイズを倒せると聞いて、気持ちは昂っている。

だが心の中で、こんな思いもあった。

果たしてこの言葉を鵜呑みにしていいのかと。

本当にあいつらを、殺すことが出来るのかと。

確証などどこにも無かった。

しかし、もう頼れるところは他にない。

この道を拒めば、後は孤児院か何処かに引き取られるだけだろう。

そんなので、父さんと母さんの無念を果たせるだろうか。

だとすれば今、自分で選べる択はこいつらと手を取ることだけしかない。

 

「...分かった。」

 

そうして、手を伸ばす。

後悔しようがしまいが、別に構わない。

おかげで新しい目標が出来た。

 

「僕は...いや、"俺"はなんの王なんだ?」

 

覚悟を決め、1つだけ尋ねる。

 

「ならば答えましょう。我らの誇り高き字(あざな)...」

 

帰ってきた答え、それは―――

 

 

 

 

    ―ファンガイア―

 

 

 

―――そうだ。この日から"復讐"を決めた。ノイズをこの手で、残らず倒す為に。

 

 

 

 

 

そこで、バイオリンの独奏は止まった。

再び部屋に、静寂が訪れる。

そして彼が見つめた左手からは、あ(・)の(・)紋(・)章(・)は(・)消(・)え(・)て(・)い(・)た(・)。

結果的に言えば、あの選択は彼にとって正解だったのだろう。

現にこうして、彼はここにいる。

ノイズを討ち倒す...

 

ファンガイアの『王(キング)』として。

 

そこで、木製の扉を軽くたたく音が聞こえた。

 

「入れ。」

 

バイオリンを元に戻すと、少年は言う。

すると扉が開き、ビショップが入ってきた。

 

「お一人のところ申し訳ございません。今は私のみでございます。」

 

ちらっと少年を一瞥すると、すぐさま扉を締め切り跪く。

 

「構わん...なんだ?」

 

「なに、ただのつまらないお話ですが...」

 

そこで少年も、席に着いた。

 

「キング。もうそろそろ貴方様も私たちの学院へ入る時期でしょう。

 何か困ったことは、ございませんかと。」

 

「...ハッ、なんだそんなことか。安心しろ、問題なんてのはない。」

 

その言葉に、机に肘をつき少年は軽笑する。

 

「ハハハ、そうですね、やはり杞憂でした...唯一の懸念としては、

 貴方様のお立場が露呈してしまうことだけでしょうか。」

 

ビショップも穏やかな笑みを浮かべながら、今度は立ち上がった。

 

「忘れることなく。表向きでは貴方は私の息子です。

 外での私たちの呼び方にはお気をつけなさって下さい。

 

「...分かっている。」

 

そこで、少年は窓の方へと向いた。

外に広がるのは、ネオンライトで照らされた1つの町。

それを見つめながら、少年は呟き始めた。

 

「だが心配はいらない。例え俺が学生になろうがならないが、

 結局は変わらないのだから。」

 

黙って、ビショップも同じ方向を見つめる。

 

「そうですね...」

 

ただ一言、彼はそう言うだけだった。

 

 

 

だが、彼らはまだ知らない―――

 

 

これから先、自分たちの運命を変える者たちと出会うことに。

 

 

「―――でねでね、今度出るツヴァイウィングの新曲CDなんだけどさ、

 "未来"!」

 

例えば今、家で電話越しに親友と会話をしている彼女も。

 

 

「―――いいかい健介君、これからは君は高校生だ。いけるかね?」

 

「もちろんですよ、"名護さん"。」

 

「もうっ、立派なこと言ってくれちゃって。」

 

ある一室でとある夫婦と話している、少年も。

 

 

「本当にこれで、戦争なんか終わるんだよな..."フィーネ"。」

 

湖畔で1人呟く少女も。

 

 

いつか出会う...のかもしれない。

 

 

まだ確かな事なんて分からない。

 

 

だがもし、彼らを巡り合わせることができるものがあるのなら、

それは何だろうか。

 

 

答えはまだ、見えることはない。

 

 

 

 

 

再び場面は戻り―――少年はビショップの方へと向き直った。

 

「もちろんサプライズぐらいは用意してくれているんだろうな。

 ビショップ...」

 

月明かりに照らされる中で、独りの少年は呟く。

 

「もちろんですとも。」

 

そこで細めた目を開き、ビショップは一呼吸置いた。

 

 

 

 

―――飛牙(ひゅうが)様。

 

 

 




音楽が題材の小説を書いてるのが、音楽48点の男ってマ?
なんか中盤でやるべきことを今やっちゃってる感がある。
次回はお待たせしました、響メインです。
というか第2話投稿までに一週間とか...なめてんだろお前。

追記:一番書きたかったところを書き忘れていました。
マジで書き手として終わってやがるぜこいつ。
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