お~ば~ろ~ど・ミニマム   作:トータス

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リュートの外での日常お仕事風景。


可愛い郵便屋さん?

 トブの大森林には、かつては森の賢王と呼ばれた存在が居た。

今、その王の座を継いだと目される存在が噂となっている。

 

 曰く、身の丈を越える狼の背に乗り、森を疾駆していた。

  =ルプスレギナの背中に乗って移動していた。

 曰く、恐ろしい魔物と互角に渡り合っていた。

  =コキュートスと戦闘訓練=遊んでもらっていた。

 曰く、オーガに襲われていた隊商キャラバンを救った。

  =通行の邪魔とばかりに金棒で殴り飛ばしただけ。

 

 

 普段とは違い、騒然としたナザリック地下大墳墓・第九層。

 

「準備は?」

「はい、影の悪魔シャドウデーモンを潜行、ならびにエイトエッジアサシンを先々に配備しており、既に完了しております」

 

 デミウルゴスがそう答え、アインズがそれを確かめると、遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>を起動させる。

そこに映る映像を更に〈水晶の画面〉クリスタル・モニターに映し出した。

 

 そこには、メイド達に見送られ、森へと踏み込んで行こうとする小さな後ろ姿が・・・

 

「今回は一人で行く事になるから、十分に注意して行くッス」

 

 明るく懇懇と注意点を上げるルプスレギナ。

それを聞き、コクコクと神妙に頷くリュート。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

リュートの副業お手伝い・可愛い郵便屋さん?

 

 トブの大森林に白いケモノが一匹、紛れ込んだ。

そのケモノは大きなカバンに木の葉を詰め、あっちの大樹へ、こっちの大木へと、跳び回っている。

 そうこうする中に、自分の元にも。

 

「こんちゃ~! 郵便ゆーびんで~す!」

 

 そんな声が聞こえて来た。

だが、そこには人は誰もいないが、応える者はいた。

 

 ――はい、こんにちは。

 

 応えたのはその木に棲むドリアード。

そのケモノが差し出して来たのは、仲間の見覚えのある葉っぱを束ねたモノ。

 

 近所の庭の様に大森林を巡っている内に、顔見知りになった。

 今では通りかかると挨拶したり、離れた所に居る仲間達の話をしたり。茶飲み友達の様な関係になっている。

 偶に欲しい物が何処にあるのかを教える代わりに、して貰いたい事を代行して貰う関係になっていた。

散髪というか、剪定して貰ったり。剪定した枝葉は割と高価な触媒になったりするので、対価として貰ったり。

持ちつ持たれつな関係を築いていたり。

 

 ――えっと、はい、今日はお礼にこれをあげようね。

 

 差し出されたのは大小様々な木の実や、食べられる果実、お茶や香辛料として使う木の葉など。

それと、今何処に何があるのかの情報=危険なモノの場所や、珍しいモノの在りそうな場所など、他のドライアドやトリエントからの情報。

 

「ありがと~!」

 ――あと、コレをピニスンに渡して貰えるかな?

 

 そう言って、自身の枝から幾つかの葉っぱを己で千切り、手渡した。

 

「ん、分かった! またね~!」

 

 その葉をカバンに幾つもある内ポケットの中の一つに納めると、バイバーイとばかりに手を振られるのに合わせ、自身の枝葉も揺すって見せた。

 ドライアドはその姿が遠ざかって行くのを見届ける。

 

 ――さて、ピニスンは今どんな所に居るんだったかな?

 

 受け取った葉っぱを一枚一枚、丁寧にめくるとドライアド同士でのみ伝わる葉脈の文を読み説いて行く。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その副業で様々な狩りの獲物をその都度、必要な分だけ狩るリュート。

偶に大物が狩れる事もあり、そんな時は大体ナザリックから応援に来て貰う。

 主にトーチャー達に連絡して来て貰い、手伝って貰ったり。

まだまだ未熟で、狩れたとしても大概毛皮がボロボロになってしまうので、トーチャーに癒しヒールを掛けて貰って毛皮を再生。

皮剥ぎと解体加工を手伝って貰うことも。

 

 それを手土産にカルネ村を訪れ、色々と物々交換もしたりしている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 カルネ村近郊のトブの大森林に、賢王に次ぐ新たな王が生まれたとの噂が立った。

曰く、たった一頭で人喰い大鬼オーガを叩き潰していた。《事実》

曰く、白い板状のモノシルバーゴーレムに乗って盗賊を蹴散らしていた。《事実》

曰く、恐怖の大王を召喚していた。《・・・事実?》

 

 かつての森の賢王は、漆黒の戦士・モモンの騎獣となった事は非常に有名。

ならば自分も続けと、カルネ村を訪れる俄か冒険者が急増した。

 

 今日も今日とてカルネ村を訪れる冒険者達。

 

「なぁ、本当にこの村なのか?」

「その筈なんだが・・・」

 

 どこまでも牧歌的な村落に見えるが、この村にはゴブリンなどの亜人種が、村のあちこちでチラホラと姿を見せる。

村人たちも何処かしらで視界に収まる様な動きを見せる。

 まるで、自分達を監視する様に・・・。

 

 村の中心にある祠には、小振りながらも立派だが、禍々しくも厳しい感じのする銅像がそびえ立つそこには、常に花が供えられ、小奇麗にされて崇められている。

 

 今も、不釣り合いな程に大きな木箱を背負った子供が銅像の前でペコリと頭を下げている。

 この村を訪れて暫く経っていたが、ここいらでは見ない子供だった。

風変わりな兎の様な格好をしていた。

 

 その子供は慣れた様子で村人に挨拶をしながら、あのポーションで有名なバレアレ薬剤店を訪れている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 入って早々、店主の老婆に向かって「おば~ちゃ~ん!」と、タックル!

 

「おお! 良う来た良う来た!」

 

 年の割にシッカリと抱き止めるリイジ―・バレアレ。

咄嗟に鎧強化と下級筋力強化を無詠唱で行使しながらだが・・・

 

 出産後も人間とは差異があるとはいえ、育児経験者の居ないナザリックで育児全てをこなす事は危険が大きい為、定期的にルプスレギナに連れられてカルネ村にて定期検診を受けている。

 幼子しか罹らない様な風土病などに罹って魔法で治した場合、高度な治癒魔法は病気に罹った事自体を無かった事になってしまう為、その病気に対する免疫が付かなかったりする。

それを案じての処置でもある。こちら特有の病気などを警戒して、念を入れて定期的に健診して貰っている。

 

「あ! リュートくん、いらっしゃーい」

「ネム姉ちゃーん! きたの!」と、こちらにもタックル!

「そう、良かったねー」

 

 こちらは日頃から鍛えている事もあり、タックルの勢いそのままに高々と掲げられた!

 

「あと、お使いなの! いつものポーション!」

「おうおう、出来ておるぞ」

 

 そう言ってリィジーはそれ用に取置いていたポーションをテーブルに並べて行く。

 

「他には、何かいる物はある?」

 

 ネムがそう尋ねると。

 

「あとね、あとね、卵とお乳! 小麦粉もー!」

「うーん、それは元村長さんの所の交換所だね。後で一緒に行こうねー」

「ウン!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その様子を見るともなしに見ていた他所者の冒険者達。

 

「・・・なぁ、今の子供。見たか?」

「ああ、かなりの量のポーションを詰めていたな」

「ヤルか」

「・・・そうだな」

 

 その光景は冒険者の目には、金貨の山にしか映って居なかった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 村長の家だった所を訪れると、元村長が直に対応してくれた。

 

「おやおや、いらっしゃい。アインズ様はお元気ですか?」

「ウン! 元気そー! でも、最近は忙しいって!」

「はっはっは! それは良かった!」

「えっとね、小麦粉と卵、お乳がほしーの! いつもの量で、これで交換こーかん!」

 

 そう言って、熊の毛皮や肉、他にも途中で手に入れた希少な薬材原料などが更に出て来そうな所で、

 

「もう十分以上です。では、一寸待っていてくださいね」

 

 そう言うと、小麦粉一袋=20㌔、卵30個、良く冷やされた牛・山羊の乳を5ℓ缶に各一本。

それらをナザリックの魔宝箱マジックボックスに詰め込んで行く。

どう見ても入り切らないだろう箱の中へと、ズブズブと沈み込みながら次々と消えて行く品々。

 

「いやはや、何時見ても不思議な代物ですなぁ」

「うん、ホント。どうなってるんだろうね? これだけの物が入るのも不思議だけど、不思議と重たくないんだよね」

「??? ワッカンナーイ!」

 

 リュートも良く分かっていないが、便利に使えるので困ってはいない。

 

 そんなこんなで他にもアインズ様に食べて貰ってほしいと色々持たせて貰い、帰る事に。

大半がリュートの胃に収まる事に確定しているが、その美味しそうに食べる様子を眺める事をアインズは楽しみにしている。

 後でそっとその時の記憶を覗き見て、疑似体験していたりもする。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 村の外れ。大声を上げたとしても、村からは直には駆け付けられないだろう離れた距離。

 

「よう、坊主。荷物、重そうだな」

「俺達が途中まで持ってやろうか?」

 

 6人程の柄の悪い冒険者にわかワーカー達。

 

 その様子を、じーっと見詰め、更にぢぢぃー、更に更にじぃー! っと見詰めてから・・・フルフル! 顔を横に振った。

 

「なぁに、遠慮する事はねえんだ」

「そうそう、一寸?中身をわけてもらえりゃ、な」

 

 全くそんな気はなさそうな冒険者達。

 

 再度、顔を横に振り、その傍を通り抜けようとする。

だが、子供の背負った箱に手を掛け、足止めしようとする冒険者。

その冒険者は、突然開いた箱の中から伸びた白い繊手せんしゅに引き摺り込まれ、呑み込まれて行った。

 

 呑み込まれる上半身、バタバタともがく足。

入り切る筈の無い箱に次々に呑まれ、ついには足先だけが暴れ、呑み込まれてバタンと閉じた。

 そんな事になってはいるが、子供は気にせず足を先に進めて行く。

 

「な、なんだ!?」

「テ、手前ェ! 何しやがった!?」

 

 冒険者達が驚き戸惑っている内に、村から更に離れる様にタッタと走って行く、簡単な獲物だった筈の子供。

 

「ま、待ちやがれ!」

 

 目の前で起きた事は何がしかの手妻手品で、こんな事があり得る筈が無いと疑ってかかる冒険者達。

 

 現場から多少離れ、村からも十分に離れた所まで駆けると、今度は箱を降ろし、横に掛けていた半弓を手に取る。

大人からすると半弓だが、子供からすると長弓と変わらない。

 それも、所々をかなりの改良を加えられたオーダーメイドと見受けられた。

それだけでそれなりの価値があるのではないかと窺い知れた。

 

「捕まえれば、大金になりそうだな」

「ああ、それに持ち物もかなり良い物みたいだしな」

 

 欲に目が眩み、状況判断が正しくなくなって来ている。

 

 それを次々に射掛けて来る。

子供の射る弓なんざ、大した事は無いと断ずる冒険者達。

 

「ぎゃっ!」

「がぁっ!」

 

 矢継ぎ早に次々と射込まれる矢。

防具を容易く貫く矢に浅手を負って行く冒険者達。

 

「な! 盾だ! 木を盾に!」

「お、オウ!」

 

 咄嗟に木々を遮蔽物にし、逃れようとする冒険者。

相手が木の陰に隠れた時点で弓を仕舞い、更に撒く為に森へと入り込んで行くリュート。

 

 それを確認し、ニンマリと笑みを浮かべる冒険者達。

こちらを撒く為とはいえ、浅はかにも森に入ったなら足は鈍るだろうし、目撃者が居なくなるという事。

あとは、モンスターに襲われたり、追われているかも知れない。そうなれば、自分達が手に掛けたという証拠も分からなくなる。

 そんな事を考えているのだろう。

 

 ゆっくりと、森へと踏み込んで行く冒険者達。

 

 その様子を幾つもの目に見られているとは知らず、その先に待ち構えているモノが破滅だとは分からずに気軽に踏み込んで来る。

 

 

 そして、森は静かに・・・全てを呑み込んだ。

 

 

 リュートは誰も追い掛けて来ないのを不思議に思いながら、出迎えてくれたアウラとマーレと共に帰路についた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「さて、これはリュートからの思わぬ土産だな」

 

 リュートを襲おうとした冒険者達は、震え上がり、声も出ないまま、アインズの元に引き出された。

 

「我が家の者が世話になったそうだな。それ相応の礼をし様と思うが、歓待したい者はいるかな?」

 

 静かに手を挙げる者達の中、何時もなら挙げるだろう者が手を挙げて居なかった。

 

「ん? ソリュシャンは要らないのか?」

「いえ、既に先に頂いていますので」

「・・・そうだったか」【何時の間に・・・】

 

 それを聞いた時、思い当たる者達は、あの時の箱からの手かと納得していた。




エンリ・エモット  良く遊びにいくトコのお姉ちゃん
 ルプスレギナさんが連れて来る男の児。

ネム・エモット  良く遊びにいくトコのお姉ちゃん
 ルプスレギナさんが連れて来る男の児。

リイジ―・バレアレ  おばーちゃん!
 出産から携わっている為、ひ孫の様に思っている。
何気に異形種とのハーフである事も知りたがっていたり?

ンフィーレア・バレアレ  色々面白いモノ錬金素材をくれたり錬金術を教えてくれる面白いお兄ちゃん
 おばーちゃんがひ孫みたいに可愛がってるし、甥っ子みたいな?

ゴブリンズ  遊び相手
 恩を売っておいて損は無し?


次こそは恐怖公モノか冒険者ギルド編にしたいかな。
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