お~ば~ろ~ど・ミニマム   作:トータス

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何となく、こうなるかなと。


・WANTED? Bunny the Kid?

 GGOで今一番HOT(ホット)な話題?

アップデートで、賞金首システムが搭載された!

 

 その栄えある第一号として最近、不法アクセスの疑いのあるアバターがリストアップされた!

 

・・・   ・・・   ・・・

 

手配用似顔絵・ギザギザな乱杭歯を()き出しにした山高帽を被った兎 =チョー悪そう?

アバター名:不明 仇名:バニー・ザ・キッド

外見:兎スーツ =兎の着グルミ

賞金額:1000万 =約10万円  捕獲前提! 叶わぬならばPKもやむなし!?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 

 GGO内にある、とある酒場。

 ガヤガヤとした話声が絶え間なく流れ続けるその場が、スイング(ウェスタン)・ドアを押し開き、新たに入って来た客を目にした途端、その異様な姿に驚きの余りシンッと静まりかえった。

 

 相手は小銃を肩から下げ、腰に手榴弾(グレネード)とマガジン・ポーチを鈴なりにぶら下げている。

 

 GGO内では当たり前に思える。だが、それを目にした者は皆自ずと黙り込んだ。

理由は、あまりにも酒場には不似合いだったから。

 明らかにミリタリーなのだが、ドコからどう見てもメイド服にしか見えなかった。

 

 その相手はコツコツと靴音を響かせながら、バーテンダーの元へと足を進める。

 

「ご注文は」

 

 NPCバーテンはシェイカーを振りながら、決まり切ったセリフを口にした。

 

「・・・・・・この子に見覚えは?」

 

 メイドは手にした似顔絵をバーテンに示し、尋ねた。

 

「おいおい、ソイツにそんな事を聞いても」

「申し訳ない、存じ上げません」

 

 バーテンはそう言いながら顔を横に振った。

 

「な! お、おい!」

「ご注文は」

「今、何てった!?」

「ご注文は」

「イヤ! そうじゃなくて!」

「ご注文は」

「な、なぁ! アンタは聞いただろ! コイツが今言った事を!」

 

 そう言いながらミリタリー風のメイド服を着た相手に詰め寄るガンマン。

 

「おいおい、バーチャルなのに酔っぱらってるのか?」

「NPCがそれ以外の事を喋る筈がないだろ」

「だ、だけど・・・」

「それよりさ、君、可愛いよねー。名前、聞いても良い?」

「・・・・・・邪魔」

 

 相手は邪険にされた所為か、手にしていた似顔絵の紙をひったくって掲げ見た。

 

「へぇー、この子を探してるんだ。君の何かな?」

 

 それを取り返そうと背伸びしながら両手を上げるが、届きそうもない。

 相手は持ち主の少女の手が届かない様に掲げ、ヒラヒラさせながらおちょくっている。

 

「・・・・・・返しなさい」

 

 無表情に、ん! んん~! むぅう~! と怒っている様にも見える。

 

「やーだよ! 教えてくれなきゃ!」

「・・・・・・返さないと言うなら」

「返さないよーだ! 返さなかったら?」

 

 少女は両手を下ろし背伸びを止め、物言わずに迷彩柄のグローブで拳を作ると、相手の鳩尾に一撃。

 

「うぐぁ!」

 

 追い撃ちに二撃、三撃と、更に突き込んだ。

更には蹲った相手を蹴り飛ばし、踏み付けた。

 

「テ、テメェ! いきなり何してんだ!」

 

 殴られた相手の仲間達が一斉にいきり立つが、相手は物も言わずに似顔絵を取り返すと、その場を後にしようとした。

 

「ま、待てよ! このままで帰れると思うのか!」

 

 ジャキ! ジャキジャキジャキ!

一人が抜くと、それに釣られ残りのメンバーも銃を抜いていた。

 

「・・・・・・邪魔」

「この数を相手に逃げられると思ってるのか!」

 

 タン! タンタンタン! 流れる様に、無造作に撃ち放つ。

 

「・・・・・・遅い。抜いたら撃つ、それが鉄則」

 

 抜く手も見せず、両手に銃口から硝煙を立ち上らせているハンドガンを構え、言った。

後には額に赤い点を残す者達が崩れ落ちた。

 

「ま、待てよ! その子を探してるんだろ?」

 

 殴り倒され、蹴られ、踏み付けられた相手が起き上がり話し掛けて来る。

 

「な、なら、手伝うか」 タン!

 

 躊躇なく相手の額にも撃ち込むメイド。

そのまま相手を足で転がすと、銃を抜き掛けていたのが見えた。

 

 ガタガタと席を立つ客達が遠巻きに取り囲む。

静かに片方の目だけでその客達を見渡すと、不審な動きがあれば今にも引き金を引こうという体制で待ち構えている客達。

 その客達に対し、メイドはスカートを摘まみあげる様に持ち、その場で挨拶でもするかのようにクルリと一回転をした。

 

 その仕草に思わず可愛いと見蕩(みと)れる者達。だが、次の瞬間。見慣れたそれを目にして一転した。

 

 ゴト、ゴト! ゴトゴト!

丸く、赤い点滅を繰り返す見覚えのあるそれらを蹴り転がしたのだ。

 

「な!」「逃げ!」

 

 ボン! ボン! と連続して炸裂するそれを背に、カウンターの裏側に飛び込むメイド。

カウンター近くで炸裂するモノもあるが、カウンターには《イモータルオブジェクト》の表示が出るばかりでビクともしなかった。

 

 爆発と煙が収まったのを確かめ、自身に降り注いだ埃を払うと、メイドは何事もなかったかのように店を後にした。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 久しぶりにGGOにアクセスしたシノンに、

 

「・・・ダインからのメール?」

 

 シノン宛てに幾つかのメールが届いていた。

一応は目を通したが、内容はほとんど同じ、対人戦闘(PK)への誘いだった。

 

「バッカバカしい」

 

 そう言って全て消去しようとしたその時、当の本人からのフレンド・コールが届いた。

 

「はいはい、何の用?」

 

 こうなれば直接断りを入れておくべきだろうとの判断だった。

 

【シ、シノンか?】

「ええ、そうだけど?」

【た、頼む! 手を貸してくれ!】

「・・・自業自得じゃないの?」

【や! そう言われると仕方がないんだが・・・賞金首が強過ぎて、手も足も出ねぇんだ!】

「はぁ? 賞金首?」

【あ、ああ! とにかくムチャクチャな奴で、賞金の額も1000万だぜ! 一千万!】

「へ、へぇー」

 

 思わぬ金額に皮算用を思い浮かべてしまったシノン。

 

 GGOではRMT=リアル・マネー・トレーディングのシステムがある。

そこでの一千万は、現実での十万に相当する。

それだけの額をゲームで稼ぐとしたら、相当やり込まなければ稼げない額だ。

 

 一人暮らしは何かとお金が掛る。そうなると自ずと自由に使える金額も決まってくるから、思わぬ高額収入は望む所でも有る!

 

「そ、それで、どんな相手なの?」

 

 興味が無い様に装いつつも、声が上ずってしまうシノン。

 

【おう、それが・・・兎なんだ】

「ウサギ? あの、ピョコピョコ跳ねる?」

【ああ。だが、ただの兎に1000万なんて額が付く筈がねぇのは分かるだろ?

奴はただ狩られる兎じゃねぇ。狩りに来た奴等をも狩る、狩兎(かりうと)と呼ばれるまでに育ちやがった兎なんだ!】

「へ、へぇー」

 

 半ば呆れながらも話の続きを待つシノン。

 

【それもだ! 奴を狩ろうとした奴の大半が足が出てるのにも関わらず止めようとしない! これが何を意味するのかは、言わずとも知れるんじゃないか?】

 

 そう話しを振られ、少し考えてみた。

 

「それだけの強敵なら、ドロップする物も相当の筈? それに、これまで返り討ちにしたドロップ品も目的?」

【そう! だから是が非でも俺らが落としたい!】

 

 ワザと話しに溜めを作り、さも不本意だと装って話に乗る事に決めた。

 

「で、相手の武装は?」

【乗ってくれるか!】

「まだ決めてない。とにかく話して」

【あ、ああ。相手は主に光学銃を使って来る】

「まって、遮断シールドは?」

【使ってる。だが、それが関係無い位の攻撃だったら、意味がねぇ】

「・・・続けて」

【棍棒ってぇか、キネだ。あと、これは未確認なんだが・・・(ビーム砲)

 

 勿体ぶって言っているのか、尻すぼみに言葉が消えた。

 

「何?」

【・・・ビーム砲】

「はぁ?」

【だ、だからぁ、とにかく、デッカイレーザー砲をぶっ放すって話だ!】

「・・・馬鹿?」

 

 常識的に考えてもそれは無い。という気持ちから、つい本音を零した。

 

【だぁー! だったらメールに添付したのを見てくれ! 信じられねぇだろうが、それを見れば分かる!】

「はいはい、与太話だったら一発撃ち込むわよ」

【ああ、それでも良い! とにかく見ろよ! 見れば納得が行く筈だから!】

 

 それからメールに添付されたそれを確認した。

確かに、相手は兎の格好をしているらしい。それもふざけた様な着グルミだ。

 だが、腕は立つ様で、体重が無いかの様な軽業(アクロバット)な動きで跳び回っている。その辺りがチートの様だ。

動きは大体分かった。肝心の武器の方だが、殆どが真っ白で、何も分からなかった。

 

「ちょっと! 武装に関して全然分からないんだけど」

【だーかーらー。肉薄されて至近距離からブッ叩かれるか、ビーム砲みたいなので薙ぎ払われたんだ!】

「そこもチートなのかしら」

【らしいぜ。システム的には問題無いみてぇなんだが、それをどうやってるのかを会社の方は知りたいらしい。

アカウントを特定しようにも、それも儘ならねぇみてぇだしな】

 

 以前、死銃(デスガン)が持っていたスティレットは、宇宙船の外部装甲を銃剣作成スキルで加工して作ったモノだったと聞いた。

 

「・・・宇宙船」

【ン? なんだって?】

「宇宙船の、デブリ対策用の砲を流用したのかも・・・」

【それは無いぜ】

「どうして?」

【アレは、トンデモナク重い。拠点に据え付けてだったら分かるが、それを引っ担いでとなると、絶対にあの動きは無理だ】

 

 そう言われ、ベヒモスとの一戦を思い出した。

あの時は、ミニガン(GE M134)による過重ペナルティの移動速度制限があって歩行すら遅くなっていた。

 それを聞き「そうだったね」と生返事を返すシノン。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 一方その頃・・・瓦礫に囲まれた魔天楼の一角。

 

「奴は、何処だ!」

「こっちにはいないぞ!」

 

 あちこちでそんな声が上がる中、

 

「あ! あそこだ!」

 

 そう言い合う内の一人が空を見上げて言った。

 

「・・・月は、月は出ているか!」

「! まさか!」

「アレが来るぞ! 隠れろ!」

「ダメだ! もう間にあわねぇ!」

 

 言い合う者供を光の柱が丸呑みにした。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「だぁー、またやられたー」

「無理ゲーだな」

「運営にケチ付けに行くか」

「だなー」

「なぁ、今度はメイドが酒場を襲ったってさー」

「そっち行こうぜ、そっち~」

 

 そんな事を口々に話す集団の横を通り過ぎるシノン。

 

 ダインと合流すべく移動している途中、途方に暮れている様子の風変わりなアバターが手にしている似顔絵を見て、

 

「えっと、リュートくん、だよね?」

 

 つい口に出していた。

 

「・・・・・・知ってる?」

「えっと、知ってる子に似てるなって思って」

「・・・・・・捜してる」

「あ、なら、私も手伝おうか? 知らない相手でもないし」

 

 そう言いつつ、気が乗らないダインからの依頼を断る良い口実が出来たと思っても居るシノン。

 

「・・・・・・お願いする。ここは初めて」

「えーと、私はシノン。アナタは?」

「・・・・・・CZ2128(シーゼットニイチニハチ)Δ(デルタ)

「・・・えっと、もう一度お願い」

「・・・・・・CZ2128・Δ」

「・・・ゴメン、シズさんで良いかな?」

「・・・・・・構わない。皆からはシズ・デルタで通ってる」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そんなこんなでリュートを捜し始めると、ダイン達を薙ぎ払った所で見付かった。

 

「・・・・・・捕まえた」

 

 とシズはリュートの後ろから抱え込む様に抱き付いた。

 

「つかまったー!」

 

 あーあ、とばかりにもう少し遊びたかったといった風情。

 

「えっと、リュートくん。その手にしてるのは?」

 

 シノンが指差す先は、ゴツイ砲身を持つ長大なナニカ。

 

「??? 兎さん、持ってた!」

 

 出会って早々に狩った様だ。

 

「触って見ても良い?」

「ウン!」

 

 と言って手放すと、ズゥン! と音を立てて地面にめり込んだ。

 

「ど、どうやって・・・」

「??? カルイよ?」

 

 と、あっさりと持ち上げて見せるリュート。

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 

GGO内ステータス

リュート

AGI(俊敏性)・DEX(器用)・LUX(幸運)型?

 

兎の皮衣EX + 兎さん魔法?

 重力干渉 1/6×1/6 = 1/36まで軽減? 攻撃力も1/36? 防御力はそのまま・・・

 所持・触れたモノ全ての重量を軽減・・・

 

レーザー砲? or 光学砲?

 宇宙船の隕石(デブリ)破壊用を流用? 距離は関係なく薙ぎ払う!

光学砲の為、攻撃力はDEX(器用)依存?

 

本来は、固定砲台としての運用が想定されていた・・・らしい。

リュートに掛れば移動砲台ならぬ高機動砲に早変わり?




他のメンバーがGGOに居るとしたら?

アスナ・・・45口径シングルアクション・リボルバー=ピース・メイカー

リズベッド・・・ショットガンにシールド

シリカ・・・22口径ダブルアクション・リボルバー

クライン・・・44オートマグ

エギル・・・ウィンチェスター・ライフル

かな? 想像のままに。
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