この奇妙な世界(ザ・ワールド)に祝福を!   作:満員座・スノー

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何の変哲もないタイトルの三話ですよ。
二人は冒険者登録をするようで…。


二人のステータス

 

「ハァ……こ、ここが冒険者ギルド、よ…」

「ゼェッ…こんな所に、一体何の用だ…」

 

 到着まで言い合いを続けていたDIO&アクア。普段は気高い様子で着飾るものの、本性は少々荒いという共通点から割と気が合うのかもしれない。

 …そんなことはさておき、ここは"冒険者ギルド"。冒険者達が集う酒場、クエストの受注、冒険者になる為の登録、etc…。とにかく冒険者に関することは大体ここに来れば何とかなる便利な施設である。

 

「冒険者登録。まずは登録しないと、自分の職業も決まらないし、クエストも受けられない。何も始まらないのよ」

 

「回りくどいな」

 

 登録だの職業だのクエストだのと…面倒な規定が決まっていそうだ、とDIOは思いつつ中へ入る。アクアも続いて入ろうとしたものの、一旦足を止めてしまう。

 

「?どうした」

 

 DIOは振り返り、アクアの方を見る。何か考えているようだが、その微妙にニヤついた顔からして大したことは考えていなさそうだ。

 

「(ギルドと言えばイカつい冒険者が群がってるイメージよね。ちょっとおっかなかったけど…目の前のコイツの方が何百倍もおっかないわ)」クスッ

 

「…何を笑っている」

 

 DIOの鋭い眼光がアクアを刺す。

 

「ひっ!?い、いや何でもないわよ…?いきましょいきましょー」

 

 誤魔化し気味のアクアはDIOの背中を押して強引に入っていく。妙なヤツとは思いながら、仕方なく押されていくDIOは屋内へ入っていくにつれその騒ぎに顔をしかめる。

 

 

ガヤガヤガヤガヤ

 

「…随分騒がしい場所だ」

「賑わってるわねぇ…」

 

 ギルド内はアクアの想像通り、荒くれ者達のイカつい集まりが繰り広げられていた。戦士やナイトだけでなく、ウィザードやプリーストといった者達まで職業など関係なく盛り上がる。このエンジョイの雰囲気は駆け出しの街ならでは。

 

「いらっしゃいませ~!冒険者登録はあちらの受付カウンターまで~」

 

「………」

 

 DIOは何も言うことなく、その酒場娘に顔を向けることもなく、指されたカウンターへ向かう。

 ここのギルドは揃って働き手が美人ということで有名であり、男達は惚れ込んではお気に入りのギルド嬢を指名することも多々。今、彼を案内した金髪の娘も冒険者達からは人気なのだが…。

 

「(あの人達、初めて見る方だわ…。特にあの男の人、私の好みの顔立ちにがっちりした肉体美…なんてカッコいい人なの…///)」ポッ

 

 惚れていたのは酒場娘の方である。DIOは惚れ込むかどうか以前にそんな発想もなく素通りしていったようだ。

 ちなみにDIOは何が好みかと聞かれて、"ジョイナー以上の脚力を持ち息子について執念深くて自分を信仰する老婆"だと一番に答えるくらいの妙な好みを持っている。

 

 

「冒険者登録を希望の方ですか?登録料として1000エリス戴きますが…」

 

「!!!!」

 

 DIO、不覚ッ!

 この世界に来てから金など…一銭も持ち合わせてなどいなかったのだ!!加え、通貨の単位は聞き覚えのない『エリス』…ッ

 仮にどんな大金を持っていたとしても…それが意味をなすことはなかったのだッ!!

 

「…後ろの女が払「持ってないわよ」何…!?」

 

「当たり前じゃな~い。急に連れてこられて、そぉ~んな都合よく、お金を持ってることなんてぇ~、あると思うのぉ~?」ニヤニヤ

 

 先ほどの余裕から一転。切り抜けようのない状況に焦り気味のカリスマ吸血鬼。(17歳の青年に敗北)

 その様子を見ながら、術中にハメられかけた報復をするかの如くニヤつく水の女神。(自分も悪状況であることに気付かない)

 

「…娘よ」

「は、はい?どうなさいましたか」

「後ろの女の衣服、売り払ったらいくらになる」

「身ぐるみ剥がそうとするなぁッ!!!」

 

 

……

 

 結局のところ…側で見ていたノリのいいゴロツキ達が2000エリス肩代わりしてくれた。どうやら外で二人の喧嘩を見て楽しませてもらったお礼らしい。当人達にふざけたつもりは一切ないが、勢いの激しい面白コントとして評判だったようだ。

 

 それを聞いたアクアは完全に女神の面目丸潰れ、赤面して膝をつき、DIOはブチギレかけたものの机が一つぶっつぶれよォォッだけで済んだ。しっかり借金3万エリス生活から、二人の冒険者生活はスタートすることとなる。

 

 …そして、ここからが問題の冒険者登録。

 登録する際には、"冒険者カード"という冒険者のデータを記載するカードが渡される。そのカードの身体的特徴として、"あまりの強さに周りがゲロを吐く程怖がる"とか書いて書き直しさせられるくらいはまだ序の口だった。

 DIOが能力を確かめるため水晶に触れた際、力と体力の値が()()()()()()()()()ブッ壊れたのもまだいい。

(いや…よくないが、"怪しい団体(『じゃーまん』とか名乗るヤツ)"と共同開発した試作の新水晶を使用したら測定できたので何とかなった。ちなみにアクアが先行していた場合は幸運が下限値を超え、ブッ壊れていただろう)

 

 一番の問題ということで…話は戻ってくる。

 

「ハ、ハアアァァァァァッ!?こ、これ…ッ…何ですか!?こんなステータスは、今までに見たことがないですッ!!」

「お二方の幸運を合わせても"負値(マイナス)"になりますよ…!?」

 

「「は?」」

 

 DIOのカードの『幸運』には、『-21』。

 同様に、アクアのカードには、『-9』。

 二人の運は、最悪過ぎたのだッ!それも、どんなに運の悪い人間でも『1』はあるはずの幸運が下限値を突破し、負に達するほどの恐ろしき不運…ッ!

 

アハハハハハハハッ!!!!!

 

 これにはギルド中も笑いを堪えることはできず…。酒場は更なる盛り上がりを見せ、酒が進んだ。とはいえ二人の他のステータスは高水準なのだから、そこにも注目してほしいところだが…

 

「おい新参!さっきの喧嘩も面白かったがこりゃもっとひでぇな!まっ、頑張れよ」

「でもこの男、パワーは物凄く高いらしい、"アンラッキー・ゴリラ"だったのか?w」

 

ガヤガヤ ギャハハハハ ホハハハフフフフノォホホノォホ

 

ピキキキ「…………………」キキキキキ

「…ーッ!!?」

 

 アクアは自分のステータスに一度困惑はしたものの、次第にそんなことはどうでもよくなるくらいの恐ろしい片鱗を味わう。

 二人(特にDIO)を茶化すゴロツキ共のせいで酒場中の笑い声は更に増す。それに比例するかのように隣に立つ男の気迫が増していく…。

 

 これが何を意味するか、()()()()()()()か。その力を垣間見た…というより実際に受けた彼女は、想像するだけで身の毛がよだつ思いがした。

 

 しかしその強大な力に怯えてばかりもいられない。己も女神、それも後輩の神々を従えるほどの上位の立ち位置…ただその状況を受け入れてやり過ごすなど、神としての誇りが許すだろうか?

 まだ未知の存在といえども、下手をすればギルドが壊滅する可能性さえある奴を野放しになど…そんなことを易々と許しはしないッ!

 

「やめなさいDIOォォォォ!!!」

「ディオォォォーーーーッ!!!」

 

 女神の動きに呼応したかのように、一人の若き青年も飛び出してきたッ!!何としてもDIOを阻止するのだァーッ!

 

 

フハハハハハハハーーーーーッ

「「!?」」

 

 …意外ッ!!!DIOは周りに感化されたように、高笑いをしたのだッ

 アクアと飛び出した青年も思わぬ反応に足を止め、冷や汗を垂らしつつ、ただ高笑いの声を聴くのみだった。

 

「フハハハフハフハフハフハフハフハハハハハハ…」

黙っていろッ!!!!

 

 DIOがそう言うと、酒場は一気に静まり返った。周囲の笑い声は途端に唾を飲み込む音へと変わる。

 

「いずれ…このDIOをコケにして楽しんでいられる時間は、ダイヤモンドよりも希少なものになるぞ」

 

「その小っちゃな脳味噌に刻んでおけッ!!『DIO』…魔王を滅ぼす者の名をなァーッ」

 

バアァァーーーーーーァン

 

…ウオオォォォォォオオオオ!!!

 

 嘲笑は、歓声へ。

 目に黄金の如く輝かしく映る大男は、魔王を滅ぼすと宣言したのだ。

 今まで…冒険者の魔王討伐の決意表明など、腐るほど聞いている。それを成し得ることなく果てていった者も沢山知っている。

 だとしても、確証がないとしても…。この男は、それを成し得る強さを、頼もしさを感じる。信じてみる価値がある。着いていく価値がある。そう感じた者も、少なくないのではないだろうか。

 

 そして、ある荒くれ者は言うのである。

俺は今、新たな"世界"の誕生を見ているのかもしれんな』と…。

 

 

 暫し経ち、先の盛り上がりの空気はそのまま元の酒場の空気となった。

 

「さて…」

「さて…じゃないわよッ!!何よさっきの!!!なんかイイ感じに盛り上げちゃって!」

「?その内起こる事実を予告しておいたに過ぎん」

「ううぅ…すっごいステータス見せつけて、ああいうことするのは私の役目だと思ったのにぃ…」

「ふん、くだらんな」

「くだらない!?くだらないですってッ!!?大体アンタはねぇ!このぉぉぉぉ」

 

 目の前のうるさい女神は他所に。DIOには今、気になることが三つある。

 

 一つ。このカードに書かれた職業という欄。おそらく何か役職を決めるものなのだろうが、まだ空白であるため決めておきたい。

 二つ。己の運の無さ。そんなわけがない。確かに結果として因縁の相手には敗北を期した…が、その生涯がそれほどまで不運だったとは思わない。なのにこれはどういうことなのか、ひょっとしたらそこの女神の仕業なのか。

 三つ。さっき自身の前に飛び出してきた、あの青年。全く見知らぬ男。立ち向かってきたとて、何ら自分に支障はないだろう。しかし、その目には…妙な物を感じた。あと共に仕掛けようとした女神は許さん

 

 どれから触れるべきか…。少し考えたものの、不当な己の不運にムカッ腹が立ったのでそれに決めた。

 DIOはガミガミ言う女神の口を封じ、問い掛ける。

 

「おい女神。この運の無さはどうなっている?貴様のせいか」

「むぐぅっ…………っは、はぁ!?私にそんなことできないわよ!!大体今私はこっちに下りてきて、r…」

 

 今度は、突然アクア自身で口を押えた。あまりに有り得ない騒ぎ続きに、失念していたのだ。人前で己が女神だと、あまり口に出してはならないことを。

 

「ちょ、ちょっと!あんま人前で私が女神ってこと言わないでよ、騒ぎになっちゃうからっ」

「さっきまであれほど自己主張してたのにか?くだらん…」

 

 アクアとDIOはコソコソと話す。その様子からDIOは、こんな間抜けそうな女神が狡いことをする脳味噌はない、と自己完結した。あんたねぇ~~~

 

「クソ…まあいい。おい、受付の娘」

 

「は、はいっ!何でしょう?」

 

「この『職業』というのは何だ」

 

「あっ、申し訳ございません!記載されたステータスに合わせて、これから職業の選択をしなきゃいけないんでした」

「…ええと、DIOさんは力と体力が異常に高いところは本当にすごいんですよ!!それ以外は魔力が上の下であることを除けば普通です。あっ、でも幸運は冒険者史上過去最低で「それについては触れるな」は、はぁ…そうですね。ともかく…そのパワーがあれば上級職のソードマスターやクルセイダー……あ、あれ」

 

 受付嬢が職業の一覧を確認し、違和感を感じる。

 

「どうした」

 

「い、いえ…今の職業選択に関係はないのですが。どうやらDIOさんも、将来的にこの珍しい職業に就けるみたいで」

「『()()()()()()()()()()()』、と言うのですが…」

 

「ワールド…ッ!」 「クルセイダースぅ?」




原作の流れに全て沿うつもりはないのですが、それにしたって全然進んでない…!?
しかし作者の構成力では、このすば原作特有のスピーディーさに到達することは決してない…(レクイエム)

アクアのステータスは幸運以外変わってません。
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