この奇妙な世界(ザ・ワールド)に祝福を!   作:満員座・スノー

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あの方の登場する六話だぜッ!
クエストを解決したゲロ以下のにおいがプンプンするディオの野郎とその一行は…


ファントムリーインカーネイション

 

「はい!では2つのクエストの完了手続きをしておきますね」

「本日のジャイアントトードは7匹、先日と合わせて全部で10匹。ゾンビメーカーも一応退治した…ということで」

 

「ありがとうございますルナさん。後の事はよろしくお願いします」

 

「はい!!…えっと…カズマさんはこのクエストに登録されていないようですが…?」

 

「あぁ、僕は気にしないで!報酬はそこの三人の取り分で大丈夫ですよ」

 

 ではよろしくお願いしますと続けて、受付の娘に微笑みかける青年、カズマ。彼はその爽やかな顔立ちに、外見からイメージ通りの紳士的な性格から、ギルド関係者、ひいては街中の人々から好かれている。

 どこかソレジャナイ感が出ているが、そんなことは決してない。決してない…とどこかから声が聞こえる気がする。

 

「貴様…何のつもりだ」

 

 近くのテーブルに座る男、女神、そして魔法使い。その卓上には様々な料理が置かれ、魔法使いががっつくように食べている。

 

「ディオ…ぼくだからいいけど、こういう時はまずお礼をするべきだよ」

 

 睨むようにこちらを見るDIOに、苦笑いしながらカズマはそう言う。

 

「……」イライライラ

「ほ~らDIOくぅん?ちゃんとカズマさんにお礼しなきゃダメよぉ~~ごふっ!!…いたいっ何でぶつのよぉ~…!」

 

 無言でアクアに一発。

 

「コラッ!!アクアさんに何てことをするんだァ!!!」

「黙れ小僧ッ!!さっきからこのDIOを知った口を…!何者だ波紋使いッ!!!

 

 DIOが青年の襟元に掴みかかると、青年は妙な落ち着きを見せ、DIOの手を退けた。そしてゆっくりとテーブルに腰掛け、声量を落として話し始めるのだった…。

 

 

─────

 

 

「はぁ……」

 

 街外れのちょっとした高地。橙色に灯される街の全貌を見下ろせるこの場所で座り込みます。

 今日の魔道具店の営業は終了したので、私は気分転換にと夜風に当たりに来ていました。

 

「……あの方は、一体」

 

 力試し、と称して戦いを挑んできた冒険者の方…ディオさん。

 もしクエストをこなす為にただそこへ来たのなら…私は勝負などするつもりはありませんでした。きっと誤解を解くため、この口で説明していたでしょう。

 

 でも…その目は明らかにそれを目的とする冒険者の目ではありませんでした…。それこそ…あの魔王さんに匹敵するほどの恐ろしい支配者の気迫…

 

 経緯はそれとないものではあれど、アンデッドに属する私は…それを直感的に感じとることができました。

 だからこそ、貴方へ最大限の敬意を…その勝負に全力でお応えしたい…と思ったんです。

 

「それに…仲間に、だなんて………」

 

 冒険者の方々から、こういった誘いは何度か受けたことはありました…でも魔王軍という立場上、何より私には自分の店があります。もう冒険者は引退した身なのだから…その誘いは、断り続けてきました。

 でもまさか…あの方から仲間に誘われるなんて…。

 

 

「よーっ、ウィズ。また仲間に誘われたのか?」

 

 私が街を眺めながら考え事をしていると、下の方から紺碧色の髪の、大きな男の人がやってきました。

 

「ジョナサン、さん…」

 

 彼の名は、ジョナサン・ジョースター。

 魔王軍の一員で、務めてまだ一年程。にも関わらず、その実力は次期に幹部になるとも噂されているんですが…反面その活躍は全くと言っていいほどなく…とても自由気ままな方です。それこそ魔王軍幹部のベルディアさん以上、私やバニルさんに並ぶくらい…でしょうか?

 

 ですが、それには理由があるんです。

 

「…それ言いづらくね?ここにはどうせ二人しかいないし、いいよ『カズマ』で」

 

 彼は本来、"カズマ"さんという転生者の方なんです。…えぇ、そうです。アクセルに住む冒険者のあのカズマさんです。

 

 

 えっと…初め、彼から説明された時は私も困惑しましたよ?ですが、つまりこういうことなんです。

 

 ジョナサンさんの体を持つ()()()()()()『魔王軍』。

 カズマさんの体を持つ()()()()()()()()『冒険者』。

 

 何があってそんなことになったかは、そもそも何故魔王軍についているのかも教えてくれないんですが…このことは私か魔王さん、後は心を見通すバニルさんくらいしか知らないんじゃないでしょうか?

 

「分かりました…えっと、カズマさん。その氷像は…また『冒険者狩り』ですか?」

 

 彼はよっと、と言って騎士を形取る氷像を置きました。それからちょっと困ったような顔で笑って、こちらを見ます。

 

「狩りだなんて物騒な!俺は冒険者の一人も殺しちゃいねぇっての。ちなみにコイツも生きてるぞー」ツンツン

 

 そう言って彼は、氷像の女性の上半身…主にむn……ゴホンッ/// とにかく、上半身を突っついてみせました。ニヤリと悪魔みたいな笑みを浮かべ、楽しそうに突っついています。

 

 もう、まったくっ……!!でも、こういうところが彼らしいところなんですけどね。

 

 あっ。でも突然氷像の指先が少しピクピクと動いたのに彼は驚いて、気味悪がってるみたいです。

 

「うげぇ!!やっぱりコイツ、まだ固まりきってねぇ…!?」

「そんな反応して、さっきから好き放題触ってたじゃないですか」

「さっきから?…ハッ!えっ、な、な、何のことかなぁ~?それは自然に手が出……ウィズの気のせいじゃないかなぁ~?」

「…」ジトッ

「…ええいコイツが悪いんじゃいッ!!俺は襲う気なかったのに、コイツから凸ってきたんだぞ!それも脅えさせようとして、この『気化(きか)冷凍法(れいとうほう)』を腕に喰らわせてやったら気持ちよさそうな反応して興奮しやがるんだこのドM女騎士はよぉ~~~ッ!?」

 

 彼が早口でそう言うと、氷像の指先は"何か"に反応したように、更にウネウネと動きます。

 

「ひいぃぃぃぃッ!!?…あ、いや、何ィーーーーーー!?」

 

 どこかで聞いたことあるようなフレーズ…?

そんな彼ですが、魔王軍なのに実際に人間の命を奪うつもりは全くないみたいです。それは冒険者でさえも。

 

 彼の扱う『気化冷凍法』は、私のような魔法使いが得意とする氷魔法とは異なる原理の技らしく…。

 彼の精密なコントロールによって、身動きはとれなくとも、上手く肉体が生き続けることを可能にしているみたいです。

 

 どうやらこれは、襲われるモンスターを逃がすためであり、それを狩る冒険者の命を守るためでもあるみたいです。勿論、逆も然りです。死を覚悟した冒険者の前に現れ、巨大なトロールを氷漬けにしたなんて話もあったらしいですし。

 

 以前彼はこんなことを言っていました。

『知らん内にこんな立場にされちゃってよー、正直よく分からん。だからその辺ほっつき歩いて通りかかった時の気分次第、ってとこか。…え、通り魔だって?ふん、そうですけど悪いですかねー!?』

 

 私は、冒険者は狩る道を選んだのですから、モンスターに己が狩られるのも覚悟の上…だと考えています。ですが実際中立の立場となり、複雑な思いになることも時々あります。

 彼は自身の行為を通り魔だと言っていますが、そうにしては手の込んだやり方ですよね。あんな風に言っていても…やっぱり彼は優しいのだろうと思います。

 人間の心を持つ…それも本来、冒険者になる側だっただろう転生者の彼だからこそ。そんな彼なりの答えに、私は心を打たれました。

 

『ま、氷漬けになってから、数週間…ひどけりゃ半年は炎魔法で慎重に治療し続けなきゃいけない…って時の仲間達の恐怖に怯え続ける顔は、見てて面白いんだけどなぁ~?』

 …とも言っていた彼は、やっぱり人間の皮を被った大悪魔の可能性もありますけどね。

 

 

「フーーーーー危なかったぜ…このまま氷を無理に破ろうとしてたら、コイツの体はバラバラに砕け散ってしまうとこだった……。心なしかコイツ自身がそれを望んでいるように感じたが気のせいだろう、あぁ、それは気のせいだ」

 

 氷像の女性を再び先端まで凍らせて、動かなくさせたところでカズマさんはそう言います。

 

「カズマさん…生前は芸術家か何かだったんですか?」

 

 完全に動かなくなったのに、その女騎士の方の表情は喜んでいるような…生き生きとしているような様子。私の氷魔法にはできない精巧な技術です…すごい…。

 

「あぁ、芸術家さ。社会を貪り続け、新たに腐りゆく社会という芸術を作るニーt……」

「…ナンデモナイヨ。またこれが動く前に、俺はそろそろこれを街へ置いてくる」

 

「はい。くれぐれも落とさないでくださいね?」

 

 氷像を軽々しく右肩に抱え、月夜の薄暗闇を歩いてゆく…そんな彼は、冒険者から『悲哀の冒険者狩り・ジョナサン』と噂され、恐れられているんです。

 

「んなことしないって。…何かコイツはそれを望んでるような…き、気のせいだ多分」

「…それは置いといて。通りかかったのはこれを言いに来たんだった、ウィズ」

「何でしょう?」

 

 彼は、いつしか見せてくれた優しい笑顔を私に向けて、言います。

「同じ魔王軍だし…悩んでんなら頼れよってさ。何せ俺は次期幹部だからなぁッ!?なっはっはっはっは」

 

 その強さと裏腹に、時々見せるこうしたところが…どんなに氷漬けにしたモンスターからも、彼が愛される証拠だと…私は思います。

 

「…はいっ、ありがとうございます!!」

 

 彼はそれから、左手を振りながら街へと向かっていきました。私もそれに応えて、手を振り返します。

 

 

「(いつか敵同士になるとしたら………そりゃ悲しいけどなぁ)」ヘッ

 

 私に背を見せた裏で、彼がそんな風に切なく笑っていたことを…知らないまま。

 

 

─────

 

 

「「ええぇぇぇぇぇーーーーーッ!!?」」

「ほほう…………」ニヤ

 

「あ、あまり大声で驚かないでくれ…!」

 

 大声をあげ驚く二人に、興味深く笑う一人、そして焦る紳士も一人。

 

「中身の入れ替わった、転生者…!?」

「それも、あの悲哀の冒険者狩りと…!?」

「つまり貴様は………"ジョジョ"!!」

 

「まあ…そういうことになるかな。僕の本当の名はジョナサン・ジョースター。冒険者で、そこのディオとは昔…いろいろあった、かな」

 

 ジョナサンと名乗った青年は、DIOの様子を伺いながらそう言った。彼には、このカミングアウトが挑戦の蓋切りになることが分かっていた。何故ならば…

 

      ゴゴゴゴゴゴ

「再びこのDIOの前に姿を現すとはな…そんなちんけな肉体になって、より貧弱に見えるぞッ

ジョジョ!!!」

  ゴゴゴゴゴ

「君のその体だって…ぼくのものらしいじゃないか!その気ならやってやるッ そしてぼくの体を悪しき事には使わないと誓わせるッ!!!」

        ゴゴゴゴゴゴゴ…

その血の運命が、呼応しているからだッ!

 




カズマ(cv:興津和幸)

あの紳士でお馴染み興津さんジョナサンがクズマしてるの想像したら流石に笑ってしまう()

ちなみにディオとジョナサンの顔と胴体の所有の影響で三人の関係はかなりややこしい
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