作りかけ小説の中から切り出したお話。

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 「幻想郷の強者って呼ばれてる奴らは結界術に長けている人が多い」

「いきなり何の話だ?霊夢」

「まぁ聞きなさい魔理沙。...結界術を極めれば、結界に様々な条件を付与することが出来る。特定の人物の侵入を防ぐ結界だったり、逆に任意の相手を閉じ込める結界だったり。で、魔理沙は幻想郷の中でも指折りの実力者に迫る実力を持っているけど、結界術を使えていない。幻想郷でもトップクラスの実力者は全員結界術を極めている。例えば、早苗とか、紫とか。」

「何が言いたいんだよ霊夢」

「人間の使う弾幕の中では最高クラスの火力を誇る貴方が私達に届かない理由。それは結界術を使えていないから。そこで本題。魔理沙はさ、結界術を使えるようになりたい?結界術を極めて、幻想郷の賢者たちにも届くような実力を手に入れたい?」

 魔理沙は少しだけ考えた。確かに私は実力では霊夢たちに届かない。結界術を使えるように成れば、霊夢と肩を並べて戦えるようになる。でも、それでいいのか?いくら力が欲しいからといっても、そんなに欲望に忠実でいいのか?

「どうする?魔理沙?断ってもいいけど、後から『やっぱり教えてほしい』なんて言っても、教えてあげないわよ?」

 少し眺めの前髪の隙間から、霊夢の紅い目が覗く。その瞳は何も語らなかった。思わず私は答えをそこに書き殴りたくなった。そして気付いた。答えは最初から私の中で決まっていたらしいことを。

「...私は...」

「私は?」

「結界術を...教わりたい。いつか霊夢たちと肩を並べて戦えるように!結界術を極めたい!!」

 魔理沙のその答えを聞いて、霊夢は微笑を浮かべると言った。

「いいわよ。教えてあげる。結界術を。修行は並大抵のメンタルじゃすぐに圧し折れるくらいのキツイものだけど。それでも良いのならね。」

 霊夢のその言葉に、魔理沙は一瞬戦慄したが、

「望むところだぜ!」

 と、自分を奮い立たせるように言った。

 

 

 「ダーッ!疲れたぁ!休憩!」

「何言ってんの魔理沙。休憩まであと30分もあるわよ。立ちなさい。」

「...はぁい」

 結界術の修行というものは厳しい。午前中は霊夢とひたすら組手。偶に華扇を呼ばれて、華扇と組手をさせられたり、午後は結界術を学ぶための座学があり、眠気に耐えながら霊夢の授業を受けるという、地獄のような修行を週5でやらされる。魔理沙はヘトヘトだった。

 

「はい。じゃあ今日の午前は実際に結界を張ってもらうわよ。」

「え?まじ?」

「大マジ」

 これだけ座学をやったり、家で練習したりしてきたから上手くいくハズ。そんな魔理沙の自信は、割とあっさり砕け散ることになった。

「ブツブツブツブツ...ソイヤ!」

 瞬間、魔理沙を中心として薄い膜が半径15mに渡って形成された...筈なのだが、魔理沙が貼った結界が閉じようとした瞬間、ガラスが思いっきり割れるような音を立てて、あっさりと結界は崩れて消えてしまった。

「...え?」

 突然のことに呆然と立ち尽くす魔理沙に、霊夢は静かに近づくと、ポン、と肩に手を置き、言った。

「魔理沙。今日から午後も野外授業ね。現状貴女は基礎的な結界も張れていないから、知識を体で覚えてもらうわよ」

「え?えぇ...」

 すっかり脱力しきった魔理沙と、生き生きとしている霊夢の姿はまさしく対比になっていた。

 

 午後6時、霊夢の徹底的な指導により、魔理沙は漸く「結界内に簡易的な条件を付与できる結界」を習得した。

「お疲れ魔理沙。明日の授業は、『自分の潜在能力を底上げする空間を展開する結界の展開』についてやるわよ」

「分かったぜ霊夢。気合入れないとな!」

 眼の前で張り切る魔理沙を横目に、霊夢は少し考え事をしていた。

(ここ最近の異変解決は魔理沙への授業の兼ね合いで早苗に任せっきりだったし、いい加減巫女としての職務に復帰したい。結界術を対戦形式で実践させてみるのはアリかなぁ...)

「どうした?霊夢」

「いえ、少し考え事をしてただけよ。もう暗いし、家まで送っていこうか?」

 何気なく霊夢が魔理沙にそう言ってみると、魔理沙の身体が一瞬硬直したが、すぐに元に戻った。

「もう子供じゃないんだ!...ひ、一人で帰れる!」

 少しばかり頬を赤らめた魔理沙が霊夢に反発する。

(なんか反抗期の子供みたいね...)

 霊夢は心中でそう思ったが、口には出さなかった。彼女は空気が読める女なのだ。

「それなら良かった。じゃあ気を付けて帰りなさいよ」

 霊夢は魔理沙に手をふると、彼女に背を向けて社の中に戻っていった。魔理沙も霊夢に別れを告げ、箒に跨り飛び去っていった。

 

―――魔理沙が帰ってから数分した頃だ。ふと月見がしたくなって、私は酒瓶と猪口を持って縁側に座った。季節外れのお月見だ。

「次の異変はいつになるんだろう。できれば起きてほしくはないけど......そうだなぁ」

 お猪口に注いだ酒を飲み下し、空を見上げた。

「次に異変が起きたときは......魔理沙に結界術の実践でもしてもらおっかな」

 そう呟く私の目に映るのはバラバラに光る控えめな星の光と、陽の光を受けて燦然と輝く月の姿。そして、それを引き立てるための濃密な闇。当たり前な話だが、所詮光は闇が無ければ綺麗に見えない。光なき闇には価値など無に等しい。退治する存在がいなければ正義の味方に存在価値はなく、巫女のいない幻想郷に訪れるのは途方も無い闇と支配者の退屈だ。この世はそんな持ちつ持たれつで出来ているのだ。

―――魔理沙も今、この空を見ているのだろうか。だとしたら、どんな思いを抱くのだろうか。虚空の空を見上げながら、私はふと、そう思った。




ガラホの先からこんにちは。フロウリバーです。昔書くだけ書いて放置していた東方小説を載っけようという単発企画です。久々の東方二次創作。いつか茶番劇にして投稿したいが、ようつべ垢を持ってなかったという事実。ニューパソコン届いたら作ります。では皆さん、さよならバイバイ。

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