自分は何故かユーベルに真っ二つにされる事しか出番の無いブルグが一級魔法使いの中で一番好きなので、多分誰も書かないであろう生存IFを書いてみました。
 葬送のフリーレンについての知識はアニメ版とほんの少しだけある原作知識しかないのでキャラの性格などがおかしいかもしれませんが、全く情報が無いブルグが主役の作品なのでどうかご了承下さい。

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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたのに切られた件。

勇者ヒンメルの死から29年後

 

 

「今年はなかなか粒揃いですなぁ」

「ああ」

「そうだね」

 

 一級魔法使い選抜試験会場にて、()()の一級魔法使いが肩を並べて立っていた。

 黒髪に丸眼鏡の男性「ファルシュ」

 薄緑色の長髪をした少女のような外見の女性「ゼンゼ」

 そして、外套を羽織った前髪で目元が隠れた金髪の男性「ブルグ」

 

「長年に渡り、魔王軍残党と戦ってきた北部魔法対隊長のヴィアベル二級魔法使い、血みどろの権力争いに勝ち抜き、宮廷魔法使いの座に着いた海千山千の老獪さを持つデンケン二級魔法使い、史上最年少で三級試験をトップの成績で合格したフェルン三級魔法使い・・・」

「リヒター二級魔法使いもいるな」

「ああ、彼女もいますね。二年前の二級魔法使い試験で、貴方の纏う不動の外套を切断し一歩退かせたユーベル()()魔法使い」

「・・・・・」

「むぅ・・・」

 

 ユーベルの姿を見たブルグは一瞬ピクリと反応し、ゼンゼは顔を顰めた。

 

「あと、有望そうなのは・・・ん?なんか、熟練の老魔法使いみたいな魔力してる人いる・・・あれ誰?」

「知らん」

「・・・・・・」

 

 

 

 私、ブルグはとある魔法使いの家系に生まれた。私は幼少期から痛みに敏感で少しの切り傷でも泣き喚くような子供だった。魔法の鍛錬が始まると真っ先に防御魔法の習得に取り組んだが、防御魔法は魔力消費が大きく、魔力量が人一倍多かった私でも直ぐに魔力切れを起こしてしまう事を知った。

そこで、痛いのが嫌な私はありとあらゆる防御系魔法や防具について調べ始めた。「お皿が割れなくなる魔法」の様な民間魔法から古代の封印魔法などありとあらゆる魔法について調べ上げ、最終的にその全ての防御系魔法を衣類に施すという結論に至った。

 魔装具の基盤は日常的に身に着けることを考え、鎧などの防具は重くてかさばり嫌だったので軽くて全身を覆える外套を選んだ。たまたま友人の親が服屋を経営しており「服を作る魔法」が使えるという事で、魔法を教えて貰えるよう頼み込みひたすら外套だけを作り出す訓練をした結果、魔力さえあれば何時でも何処でも外套を身に着けた状態で作り出せる様になった。

 そこからはただひたすらにありとあらゆる防御系魔法、衝撃吸収系魔法、封印魔法、精神防御魔法を付与して行き、そこへ攻撃魔法を撃ち込んだり魔獣の群れへ放り込んだりして強度を増していった。

 耐久実験の為に攻撃魔法も数多く覚えていく内に、防御魔法程では無いが攻撃魔法も人並み以上に上達して行った。

 

 そして気がつくと二級魔法使いにまで上り詰めており、魔物や魔族との戦いにおいてあらゆる攻撃を受けても一歩も退かない事から「不動の外套」の呼び名で呼ばれるようになっていた。

 当時の私はこの外套に絶対的な自信を持ち、破られるというイメージは全く持っていなかった。

 

 一級魔法試験の時までは・・・

 

 一級魔法試験の三次試験において、レルネン一級魔法使いと戦った時、私は初めて不動の外套に傷を付けられた。

 最終的には試験に合格し、レルネンいわく「本当は腕ごと持っていくつもりだったがかすり傷程度になってしまったよ」と褒められたが、私はショックでしばらく動けなかった。

 そして・・・

 

 

 

「今年の合格者はお前一人だ、誇ると良い」

「ありがとうございます」

 

 大陸魔法協会の創始者大魔法使いゼーリエの前に跪くブルグ。

 一級魔法使いになった者へは特権があり、それは一つだけ望んだ魔法を授けるというものであった。

 

「当然特権の事は知っているだろう?さあ、お前の望む魔法は何だ?」

「・・・攻撃を受ければ受けるほど強固になる魔法を頂きたい」

「ほぅ?正直私が持っていても何の意味もない魔法だと思っていたが、お前にはピッタリだな?」

「・・・・・・」

「レルネンから聴いていたが直接観て良く解った。お前の防御術式はこの時代ではトップクラスの性能だ」

「お褒め頂き感謝します」

「どうしてお前はそこまで防御にこだわる?」

 

 ゼーリエの問に少しだけ沈黙した後、彼は答える。

 

「・・・痛いのが嫌だからです」

「そんな事か?なんともまあ臆病な理由だな?」

「返す言葉もありません」

「だがまぁ、一級魔法使いになれる実力があるのは事実だ。それに理由はどうであれ己の魔法にここまで情熱を注げるのは良いことだ。約束通り魔法を授けよう」

 

 こうして私はゼーリエ様から「攻撃を受ければ受けるほど強固になる魔法」を授かり、魔族や一級魔法使いの同僚からの攻撃を受けまくった。

 ある時はレルネンの不意打ち黒ゾルトラークを、ある時はゼンゼの髪の毛ドリルを、ある時はゲナウの黒金の翼を、ある時はファルシュの影っぽい?魔法を。

 攻撃を受ける度に不動の外套は強固になって行き、私は一級魔法使いになってから一度も手傷を負うことがなかった。

 

 そして私にとって二度目の敗北である二級魔法試験。

 試験内容は殺人を禁止した上で外套をまとった私を一歩でも下がらせたら合格という極めて単純なものだった。前回の試験ではリヒター三級魔法使いのバルグラントによる超大質量攻撃魔法により数センチ下がらせたのが唯一の合格者であり、その時も当然無傷であった。

 この試験内容については他の一級魔法使いだけではなく、ゼーリエですら容認しており誰も彼の心配をしていなかった。

 

 彼女が現れるまでは・・・

 

「次」

 

 不合格となった受験者と入れ替わるように舞台へ上がってきたのは全くの無名であるユーベル三級魔法使いであった。

 彼女はそのままの足取りでブルグの横を通り過ぎた、その時。

 

ジャキン!!

 

「!?」

「やっぱり切れた。布は切れるものだよねぇ?」

 

 何と、不動の外套が腹の辺りでパックリと切られていた。

 

「(何ということだ・・・保険の保険でかけていた自動防御魔法が無ければ今頃真っ二つにされていた・・・)」

 

 その事実に気づいた時、彼は思わず一歩、退いていた。

 

 その後、ユーベルはブルグを下がらせたため晴れて二級魔法使いとなり、ブルグは強靭な精神力から来る絶対的なイメージによる攻撃魔法対策に乗り出し、現在では彼女のレイルザイデンすら通さない程の鉄壁さを誇っておりゼーリエから「防御術式でお前を超えられるのはフランメか不死なるベーゼくらいだ」とお墨付きで太鼓判を押された程である。

 

 

 

現在

 

 今回の一級試験は偶然勇者パーティーの魔法使いであるフリーレンがいたことで色々と大変なことになり、最終的にゼーリエ本人による面接により合格者を決めることとなった。彼が昔担当したリヒターは二次試験で脱落してしまったが、ユーベルはノータイムで合格となり、因縁のある彼女とは晴れて一級魔法使いの同僚となった。

 その後は定期的に彼女の魔法を受け続け、とうとう彼女に「それもう切れるイメージ湧かないや」と言わせる事に成功したのであった。

 

 

 

 

 

 

勇者ヒンメルの死から31年後

 

 

「今回の任務はゼーリエ様の護衛だ。ブルグにピッタリの任務だよ」

「ああ」

 

 ゼンゼに呼び出されたブルグは新たな任務に取り掛かるのであった。

 




 自分はブルグやDTBのゴランなどの相性が悪くて一瞬で死んだけど普通に戦えば間違い無く強いキャラが好きなので、そういうキャラのIF小説が増えて欲しいです。

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