2023年6月13日 第27層 迷宮区
「な?言っただろ?俺たちのレベルなら余裕だって」
実際、その言葉通りなんなくモンスターを倒しここまで進んできた。
俺もモンスターに気を取られてキリト達を見失いかけたが、あちらの戦闘時間の方が長いためかどうかはわからないが、ギリギリ追いつけていた。
そして、初めに感じていたいやな予感は嘘であるかの如く順調だった。
「お、隠し扉」
そう言って1人が壁のほうに近寄っていくと、壁が奥に吸い込まれていき扉が出てきた。
俺も慌ててかけつけてこっそりと中を確認した。
「トレジャーボックスだ‼︎」
「待てっ‼︎」
キリトの声と同時に扉が閉まり始め、俺は反射的に中に入ってしまった。
すると、扉が閉まると同時にサイレンが鳴りはじめて、あらゆる場所からモンスターが出現してきたのだ。
それも、前にいたキリト達が見えないくらいに。
「転移‼︎タフト‼︎……転移‼︎タフト‼︎」
「ダメだ、クリスタルが使えない。」
クリスタル無効化エリアか。
早くみんなを助けないと。
俺は背中から剣をひきぬき、モンスターに斬りかかった。
モンスター自体はあまり強なく1、2発で倒せる。
しかし、数が多すぎる。
モンスターの多さに苦戦していると、部屋の奥の方からガラスの砕けるような音が何度か響いた。
「キリト‼︎」
俺はとっさに親友の名前を呼ぶ。
しかし、返事はない。
焦りつつも敵を倒しながら部屋の中央へと進んでいく。
すると、1人の人影見えてきた。
キリトかと思ったが、全く違う。
でも、今はとりあえず目の前の人を助けるのに集中しなくては。
「くそっ‼︎邪魔だ‼︎」
ようやく、あと一体というところまでさしかかった時、キリトとサチの姿が確認できた。
そして、目の前にいるのはサチだ。
「キリト‼︎」
「ユアか⁉︎サチを守ってくれ‼︎」
「言われなくてもわかってるよ‼︎」
俺はサチを後ろから攻撃しようとしている敵を倒し、レッドゾーンまで落ちている彼女のHPをクリスタルを使って回復させた。
その後、出口までサチを連れて進みつつ敵を倒す。
どのくらいたっただろう?
やはり、敵を全て倒すまで扉は開かず、全ての敵を倒すまで相当な時間がかかった。
俺のHPはレッドゾーン手前のイエローゾーンにとどまっている。
とりあえずは迷宮区を出ないとモンスターに襲われないとも言い切れない。
こんなHPで襲われたら、勝てる気がしない。
「二人とも大丈夫?」
「ああ。なんとかな」
答えたのはキリトだけで、サチは泣きながら座り込んでしまっている。
「サチさん。ここは危ない。とりあえずここをでよう」
「なんで?……なんで、みんな助けなかったの?……」
上擦った声で聞いてきたが、俺もキリトもその質問には答えれなかった。
俺は泣いて立ち上がらないサチを抱えて、迷宮区を後にした。
タフトに帰るとキリト達が帰るのを楽しみにしていたのか、ケイタが笑顔でこちらに手をふっている。
「俺は事情を説明してくるよ。ユアとサチはここでまっていてくれ」
そう言って、キリトは鬱いたままケイタを連れてどこかに行ってしまった。
数十分後
帰ってきたのはキリト1人だった。
「ケイタは?」
「…………自殺したよ…」
そう言って、キリトは歩いて転移門の方に向かう。
「キリト‼︎どこに行くんだ?」
「すまない、ユア。サチを頼んだ」
俺はキリトの転移して行った転移門を、ただ呆然と見つめていた。
勢いでサチを生存させてしまった。
どうしよう?