軛を解き放て   作:クマぴょん

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【目的と死闘】

 

 

ロシア・サハリン

元準内地・大泊(コルサコフ)

 

フレディは葉巻を取り出して火を付けた。

背後には拿捕された商船が動き出していた。

火をつけ終えて、円筒を投げた本人に向かって言い質す。

 

「よう、ジェームズ。ここに来て()()()()か?」

「えぇ。貴方と協力得て・・・ですが、まさかここまで邪魔だてされるとは・・・」

「でも、想定内だろ?貴様なら(オレ)の動きを全部見えていたはずだ。」

 

そうフレディが言うと、ジェームズは笑った。

的中されておもしろ可笑しく笑ったのだ。

 

「全部知ってましたよ。貴方が変な動きをしない為に四六時中見張っていましたが、まさかここまで出し抜かれるなんて・・・想定内すぎて笑ってしまいましたよ。コルサコフジェノサイドの犯人さん。」

 

ジェームズは脱力感を出して戦闘を構えた。

その時にジェームズは首に薬品を注射器を投入した。

フレディが問う。

 

「それが例の機関が開発したブツか。」

「えぇ、これが無いと落ち着かないんですよ。貴方を殺してでも日本へ!」

 

ジェームズが飛び出してフレディに殴り込む。

フレディは楽々と回避。

無防備状態になりながら、ジェームズの答えを導き出す。

 

「その程度で、吉松シンジとジョージに恩返しするつもりか?それとも、錦木千束の殺害か?」

「両方だぁ!」

 

ジェームズの満面の笑みで答えつつ、フレディの間合いに入るが難無く交わされる。

 

「勝負しろ!テロリスト!」

「ゴメン被るね。互いに”リスト”入りの人間。真っ正面から戦うことは(オレ)の闘いに合わない。」

「戦わない間抜けめ!」

「なら、貴様は大うつけ(大馬鹿野郎)だ。」

 

ジェームズの素早い右アッパーに対して、フレディのかかと落としがジェームズの顔に直撃する。

思わず下がるジェームズ。

フレディは肩を揺らしながら葉巻を吸いつつ、造船所にから出ようとする船に向かって走った。

 

「逃げるなァァ!」

 

ジェームズの嘆きに対して、フレディの無慈悲なLe Mat Revolver(レ・マット・リボルバー)からぶどう弾が放たれる。

ジェームズの四肢の一部が飛び散った。

第二の吉松シンジ、アラン機関の答えを聞かない千束の殺害を目的とした私兵のトップがあっけなく倒れたのだ。

奴の確認もせずにフレディは走りながら思う。

 

(第二の吉松シンジはともかく千束お嬢の殺害命令は恐らく、殺し屋の開花させるべく・・・まぁいい。)

 

と思ったことは留め、船に飛び掛かろうとした瞬間、

 

「死ねぇい!」

 

ジェームズの最期の悪あがきで造船所が連鎖爆発で崩れ落ち、フレディも瓦礫に当たって水中に没する。

 

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造船所の爆発を見たフキたちとアビス代表のジョン。

それだけじゃない、亡命を望む神美(シェンメイ)にサクラとモモ、イーダを含む護衛部隊、アビスの残党。

彼は・・・

造船所と共に消え去ってしまう。

が、空は連邦軍が確保しており、かつての戦友であるアレクが管制官として制御している。

アビス代表のもう1人、マイケルは複数人を連れて錨を下ろしにいった。

彼を拾うために。

廃墟と化したコルサコフにフキがジョンに言う。

 

「彼が望んだのはこの光景なのですか?」

 

ジョンはフキを見ずに言う。

 

「いや、奴が望んだのは千束お嬢の為だろう。」

「はい?」

 

フキはジョンに向き直って言う。

 

「彼は私たち(DA)の為に動いているとー」

「そうだったな。だが、今は違った。フキお嬢はあくまでも神美(シェンメイ)の護衛として呼び出しているだけで、本来の目的は違う。」

 

とフレディと同じ銘柄の葉巻を取り出して言い放った。

 

「何が違うって言うんです。何千人もの命を奪っておいて、その結果がこれではー」

「千束お嬢だ。」

 

ジョンはとやかく言われる前に結論を言う。

 

「千束?」

「奴が殿(しんがり)になったのは千束を狙う馬鹿野郎を止めるために志願したんだ。『お嬢たちには内緒にな?』っとしつこく言われてな。最後には『(オレ)が死んでも、千束お嬢の少しでも長生きしてくれれば安泰だ』ってこじつけやがったんだ。全く泣ける話だぜ。」

 

と渇いた笑いが零れるジョン。

千束の為に・・・

約束は果たせなかったとしても彼なりの鉄の意志があったはずだ。

だから、千束に魔の手が届かぬよう殿(しんがり)を務めた。

DAなら快く受けれる任務。

だが、プロフェッショナルの彼らはそれだけは到底受け入れられない任務。

替えの効くDAと替えの効かないプロフェッショナルでは雲泥の差であり、DAに対して大きく態度を出せる集団でもあった。

何十年も培ってきたノウハウが失われると傭兵の穴埋めにするために空白期間が設けられる。

DAはほとんどないにもかかわらず、傭兵はその1人の穴埋めに時間と訓練に費やされ、莫大な投資が必要となる。

それを彼、フレディは自ら死地に向かって歩いたのだ。

これ以上の損害を留めるべく。

失敗したら作戦全体の損耗率は少なく見積もれる。

ただ、DAの任務としては失敗に終わる。

しかしながら、彼はDAの任務よりも作戦の損耗率よりも、赤の他人である千束の()()を選んだ。

フキは不甲斐なさで頭がいっぱいだった。

結局、彼女も彼に感謝を込めて言えなかった人物の1人でもあるのだ。

ジョンは手袋を外してフキの頭を撫でて言う。

 

「お嬢、言いたいことは山ほどあるが、まだ終わりじゃない。ジェームズの排除はともかく彼が生きているかどうかの安否確認だ。見ろ、あのヘリコプターを。」

 

と指を指した先に連邦軍のヘリコプターから1本のロープが垂れていた。

それを見たフキは涙を流していた。

彼らしき人物がロープを掴んで、こちらに向かっている。

彼が帰って来ることの安心感と今までの疲労感が出て、

 

「良かったぁ・・・」

 

とジョンにもたれかかる。

ジョンは慌ててフキを担ぎ、ヘリコプターを見て言う。

 

「左半身は失っても『(オレ)の意志』は折れてない・・・か。それでこそフリッツの跡継ぎだ。」

 

 

次回⇒【新しい道】

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