4つも同時制作とマ?
【軛に縛られる人物】
ロシア・サハリン
元準内地・豊原(ユジノサハリンスク)・旧ユジノサハリンスク警察署
現、『黒騎士』騎兵連隊兵舎・連隊長室にて。
葉巻の
「DAという
とフキたちに言い、
葉巻をすり潰し、何かを支度するフレディ。
サクラとモモの2人は何も動けない。
動けない程にモモは泣き、セカンドのサクラでさえ涙をこらえている。
そんな3人を前に彼の動きは・・・
不思議であった。
外を
次に暖炉に薪を入れて近場にあったファイル群も暖炉の火に入れる。
丁度良く、先程の眼帯の男が中に入って
泣いていたモモとサクラは、互いに支え合い、フキの袖を引っ張る。
一方、フキは”あの時”に発生した傭兵団内戦を思い浮かぶ。
フレディがここまで執拗に外やファイルなどの情報文章を燃やす程、何かしらの状態下にある。
ある種の『SOS』なのではないかと思う。
「ピエール、準備は?」
「何時でも。」
「ならいい。3人の翻訳に入れ。”フランクリン”に聞かれてはならないことだ。」
フキたち3人は首を傾げた。
もしかしてーーー
「『O boeh ulvvfw flj jt vyubi gdg lgsz.』」
フレディが放つ言葉には意味が解らない。
いや、解らなかった。
ドイツ語なのだが文章として成り立たない。
一種の暗号文であった。
近しいのはエニグマ暗号学の1つ、反転ローターに近しいものだが・・・
モモやサクラはともかくフキでさえ解らない。
小娘たちの理解が追いつかないのだ。
フキの左耳に小声で呟くピエールがフランス訛りの英語で言う。
「
ピエールの言葉を聞くフキは横目にフレディを見た。
正に、”あの時”と同じ状態だ。
そう思った矢先にピエールは続けて言う。
「我々は戦争中にも関わらず、ある派閥の対立によって内戦状態に陥った。これは”
フキは確信した。
フレディは『何者か』によって縛られている。
顔色変えずに口を出す彼は”軛”という”呪縛”によってここに居るのだ。
あのジェノサイドも公では”フレディ”がやったとされている。
ピエール・・・”
フレディはあるキーボードをうちながら、ピエール含む4人にエニグマ暗号文を言い続けた。
ピエールは暗号を元にたて続けに言う。
「ジェノサイドの犯人は彼ではない。反アランを掲げるフランクリン派閥の長、”ジェームズ”・フランクが主犯です。ーーーそう、私の
「!?」
動揺が走るフキ。
彼はジェノサイドは行っていない。
ましてや近くにいるこの男、ピエールの甥が反アランの長で何かしらの理由で対立している。
フキは”対立の理由”をピエールに問いかける。
ピエールは数分考えたのちに、フレディにエニグマ暗号で伝えると直ぐに返ってきた。
「延空木で姿を消した直接的な理由がありますが、ここではお答え出来ません。何せ、”陣中の敵”と言ったところですから・・・ですよね?カラスバリュウジ?」
ピエールが発した名はフレディの本名である「烏羽竜司」を言うと、彼は頷いては立ち上がる。
今度は日本語で言う。
「チャリオットは?」
「既に手配してあります。」
ピエールが深々と頭を下げると、
「よろしい。錠は掛けなくていい。ついてこい。」
外套をふわりと翻して、
ピエールは、3人の女子に対して、
「お嬢様、移動の準備をしてください。ここも安全ではありませんからね。」
と笑顔で”日本語”で言う。
顔を見合わせる3人。
フキは目の前にいる
訳の分からないサクラとモモ2人に、
「とりあえず行くしかない。確証はないが彼を連れ戻すチャンスがある。」
フキの発言にピエールが言う。
「『Bound with a Yoke.』」
3人はピエールを見る。
「彼は、『軛に縛られる人物』です。
ピエールはフキたち3人にお願いした上で、事細かにフレディの動きについて言う。
それは以下の通りだ。
・彼は、時に既に”任務”を終えている
・『子供たちの未来の為に動いた』という任務遂行の為だけに延空木の際、彼女たちDAから消えては新たな任務を受け取った
・だが、その任務はピエールの甥であるジェームズが仕掛けた罠
・仕掛けた罠が戦友の2人と小隊を組んでいた20人傭兵の命を奪い去ってしまう。その時に残ったのがフレディとピエールだった
・またもや助けられなかったことを後悔していた彼に、ジェームズが近寄っては弱みに漬け込んで、名前を借りて
・その結果、ジェームズが行ったジェノサイドは”全て”フレディとされており、独立戦争まで利用した
・たが、常に見張っていたピエールによる説得によって、本当の敵と『軛』を知る
そして、DAを呼びつけることを理由にジェームズを逆利用して、ここに至る・・・
というのが事の顛末らしい。
「つまり・・・私たちがここに来ることを予め知った上で、助けてほしい・・・ということですか?」
フキがピエールに問うとピエールは神妙に頷いた。
フキは互いに支え合っているサクラとモモに向かって言う。
「急ごう。手遅れになる前にー」
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3人少女と眼帯の男は旧ユジノサハリンスク警察署から出て、”チャリオット”と呼ばれた旧式装甲兵員輸送車のBTR-80に乗り込む。
BTR-80の車体側面のドアが閉まった所でピエールは懐から笛を取り出し、
ピィー!
という甲高い音を鳴らす。
そして、それが合図のように車輛が動き出し、上部ハッチからフレディが4人が居る兵員室に滑り込んだ。
フレディがピエールに言う。
「ある程度は?」
「えぇ、ご心配なく。」
ピエールは頷きながら応える。
「ならいい。これから”ルーク”の山荘へ向かう。火種が
「承りました。」
ピエールから確認を取ると、フレディは3人の少女に向かって言う。
「申し訳ない。」
と。
その一言で3人は彼の”心情”がわかった。
先程まで彼は、憤怒に駆られていた。
今は違う。
後悔の念が伝わるほど彼は思い悩んでおり、止む負えずDAの助力を借りることを選んだ。
これから3人の少女が向かうのは、地獄の蓋を開けて”救出”して彼を連れ戻すことだ。
彼はピエールに3人を預けると、再び上部ハッチを開けては外を偵察し始めた。
モモは泣き止んだものの、見たこともない彼が怖くてサクラの影にくっついている。
サクラはモモに身動き取れなくても、向かう先は地獄の始まりを知って唾を飲む。
そして、フキ・・・
彼女はこの救出作戦は何が何でも成功しなければ、また彼は『
何が何でも阻止して彼にまとわりつく『軛』を断ち切る手段は私たちしかない。
(何としても止めなければ・・・)
フキはそう心に刻んだ。
次回⇒【子供たち】
Q:なぜエニグマ暗号を採用した?日本になじみがないのに?
A:エニグマ暗号って連合国に筒抜けってイメージだが意外にも複雑な暗号学の1つ。2013年に最後の暗号が解読されるまで64年以上経過されるほど難解。
Q:軛?呪いじゃダメなの?
A:部下を恐怖政治で植え付けることによって従えさせる、ある種の従属方法。十分の一刑じゃないよりマシ。
Q:身内の裏切りって存在するの?しかも弱みを握らせるなんてあり得なさそう。
A:古代ローマ帝国から有った話だし、まぁ多少はね?信長の本能寺の変や秀吉の唐入りなんて身内からその雑兵まで弱みを握られて、滅亡一直線になったし。
Q:BTR-80の採用した理由は?
A:旧式、安価、弱点多め。