軛を解き放て   作:クマぴょん

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翻訳して元ネタになり得る部分を減らしたら、あんまり(書き手として)おもんない構図に。
読み手?知らん。読み手の層に考える程、面倒を見きれない。


【粛清】

 

 

ロシア・サハリン

元準内地・豊原(ユジノサハリンスク)郊外

フレディ、フキ、ピエールの3人は山荘の地下室へ続く扉に辿り着く。

フレディがドアノブを握る前にフキ言った。

 

「既に(オレ)の率いる部隊にはお嬢たちの存在を伝えている。今回の(かなめ)はお嬢たち、それを忘れないでほしい。」

 

フキに了承を得ずにドアノブを捻って入る。

作戦の(かなめ)?と首を傾げるフキにピエールが小声でフキの耳元で囁く。

 

「ルークの亡命にお嬢様の所属であるDAの許可が必要です。作戦指揮官の一存でもあるお嬢様にお願いを申し上げたまでです。」

 

フキはその場で応える。

 

「本部の判断しなければー」

「いえ、”彼を取り戻す”にはそれぐらいの決断が出来なくては共倒れです。」

 

フキの言葉を(さえぎ)ってまでピエールの答えが明確に記していた。

DAの作戦は、フレディをDAに呼び戻すこと。

ただ、彼はDAどころか内地である日本には戻れない。

彼には、準内地であるこの地でやり遂げる”任務”があるからで、それが終わらない限りは内地も踏めない上にフキたち課された任務遂行すら不可能に近いのだ。

フキは諦めて部屋に入るのと同時に、これから起こり得る”特異点(Singularity)”に挑まなければならないと内心思いつつ、部屋へと足を踏み入れる。

 

------------------------------

 

地下のブリーフィング室には錚々(そうそう)たるメンバーが居た。

老若男女問わない歴戦の猛者たちが集っていた。

その中で一番若いのがフキで、逆に年寄りなのがくすんだブロンド髪の男だ。

その男はフキを見るや否やギロリと(にら)みつけたが、フレディが注意をした。

フレディが号令する。

 

「皆、武器を机に出すんだ。」

 

それぞれの猛者が武器を取り出しては机に置く。

言った本人であるフレディも、付き人のピエールも武器を置く。

フキも冷静を装いながら、拳銃と鞄を机に出す。

弾倉の入った鞄を置いたとき、歴戦の猛者たちがざわめき出すがピエールがたしなめる。

フキが元の位置に戻るまで、フレディは待機した。

元の位置に戻った段階で確認が取ると、フレディがブリーフィングを開始した。

 

「よし。内地からの支援が到着したことで、同時襲撃、内地への強襲上陸阻止、亡命作戦のブリーフィングを行う。先ずは襲撃作戦から。カレフ、首尾は?」

 

カレフとモンゴル系ロシア人の男が前に出て、机にある地図を指して言う。

 

「はっ!コサック、タタールの2つから織り成す騎兵旅団は、黒騎士への物資地点である、コルサコフ郊外のガス液化プラントに対しての襲撃段階まで山間部にて移動・待機中です。」

「よろしい。次、フランクリン派閥による稚内上陸阻止はどうだ、ラバト?」

 

先ほどフキを睨んだブロンド髪の男、ラバトが言う。

 

「奴らはコルサコフ港なのは確かだ。問題は亡命作戦に影響が出る可能性だが・・・そのガキんちょに信頼を置けるかが問題ー」

「それほど問題ならフレディが呼んでいないわ。そうでしょ?」

 

ラバトに戒める女性はチェコ語訛りでフレディに問うと、フレディは無言で頷く。

確認した女性はラバトに続きを促す。

 

「続けて?」

「・・・解った。アイツらは強襲上陸艦(タピール)だけではなく、フリゲート(リガ)駆逐艦(ソヴレメンヌイ)、更にはミサイル巡洋艦(スラヴァ)を所持していることまで判明している。基本的にそれぞれ1隻ずつ配備されているのだがスラヴァだけは1番艦(スラヴァ)4番艦(アドミラル・フロタ・ロボフ)を所有している。それだけではない。強襲と艦砲射撃を同時に行うってほどの”積荷”はかなり多いはずだ。」

 

フキは驚きを隠せず、ラバトに質問する。

 

「質問いいでしょうか?」

「・・・なんだ?」

 

ため息をしつつ、ラバトはフキを(にら)む。

ラバトの極寒の大地に狙われた”狩人”にフキは後ずさる。

 

「ラバト!時間がないんだ。くだらんプライド吐き捨てろ!」

 

フレディはラバトに激怒した。

ラバトは反抗する。

 

「だが、実力のあるガキんちょが来るのは解っていた。でもよぅ、たかが3人にー」

「この作戦に異議を申し立てるならさっさと降りろ!これで”3度目”だ。わかるな?」

「チッ・・・わかった。」

 

フキは胸をなでおろし、ホッとした。

彼がいなければ、この”暴力装置”と殺りあうことになっていただろう。

ピエールがフキの発言を促す為に後押しした。

 

「お嬢さん、そもそもなぜ大型戦闘艦艇があるのか知りたいのでしょう?」

「えぇ。独立戦争という”表看板”で、コルベット級の戦闘艦艇ならまだしも・・・フリゲートや駆逐艦、巡洋艦級の大型艦艇まで接収出来たのが不思議でして・・・」

 

フキの言葉に頷く人物は、ラバト以外の全員だった。

ラバトに注意した女性はフキの質問に答える。

 

連邦(ロシア)政府がフランクリン派閥に”情報”と引き換えに手引きした・・・って言うのが正しいかな?フレディ、違った?」

「半分は正解だ。ただ、ラバトの情報に不正確な情報がある。ラバト、何か隠してないか?」

 

フレディは前のめりになって、ラバトを(にら)む。

まるで心を読んでいるように見える。

ラバトを首を横に振る。

 

「いいんや。これで全部だ。」

「そうか、ピエール。」

 

フレディはピエールの”あるもの”を流すよう促した。

ピエールの懐から紙切れを取り出して読み上げる。

 

「マリー、或いはバレン・ジョシュアにご存知でしょうか?」

「んっ・・・!」

 

ラバトは言葉が詰まった。

ピエールは続けた。

 

「彼女は連邦(ロシア)政府の諜報員で、かつてはアラン機関に所属していました。この意味が分かりますか、”ラバト将軍”?貴方の情報元にしていた人物で、フランクリン派閥にも融通が効いていました。彼らが率いる艦隊は貴方が提示した情報より1.75倍の大艦隊がコルサコフに集結しつつあります。」

「ラバト、貴様には見損なった。失せろ。」

 

フレディが言い終わると、机にあったフキの拳銃と鞄から弾倉を引き出しては装填。

ラバトが構える前にフレディはラバトを射殺した。

フキは何もできずに唖然としていた。

ピエールがフキの肩を叩いては落ち着かせる。

 

「裏切り者が紛れ込んだだけです。彼に見抜かれたらお終いですのでご安心ください。」

 

どこに?

どこに、安心出来る要素が?

フレディが心を見透かす能力を持つのは身体そのものが機械化されている。

その出来事は半年前に知ったばかりで、当時は新鮮で生々しさは今でも残っている。

しかしながら、これで裏切り者を始末したことで(うれ)い事は無くなった。

フレディがピエールに死体を片付けさせる一方で、ブリーフィングを続けた。

 

「半世紀以上前に賠償艦として空母(グラーフ・ツェッペリン)1隻、標的艦から復帰されたスヴェルドロフ級巡洋艦とウダロイI級駆逐艦が2隻、連邦警備艦及びアメリカ沿岸警備隊(USCG)からサルベージされたカッターが20以上とされている。ラバトの情報と照らし合わせると、日本に対して南下政策を行う部隊と焦土作戦の両方を行うつもりだ。」

 

2個艦隊が日本を襲う。

しかも、ジェノサイドをためらわない連中がやってきたとしても、DAは何も出来ないだろう。

相手は一時的ではあるが、フレディを手駒にした”詐欺師”集団。

それに挑むって言うのか?

蛮勇過ぎる。

無茶だー

フキが声にならない悲鳴を上げていると、1人の人物が近寄ってはフキの頭を撫でた。

 

「もう、フレディ!子供が泣きそうなのに、まだ続けるつもり?大丈夫?フキちゃん?」

 

 

次回⇒【男は踊る】




Q:そうそうたるメンツなのになぜ国籍を表示する必要が?伏せないの?
A:生産表示国みたいなもん。
Q:諜報員の下りに元ネタはあるの?
A:エースコンバット7のDLC、アンカーヘッド港のデブリーフィング。
Q:ラバト将軍のミスなのに粛清する必要は?
A:情報源を敵にも通した時点で外患誘致に匹敵する。全て漏れる前に死なせた方が良い。
Q:グラーフ・ツェッペリンって…おかしくない?
A:レシプロ機で半世紀以上前の空母とは言え、脅威レベルが高い。火の粉を振り払うだけの防衛力が日本にあると思えないからこれだけでも妥協したレベル。
Q:カッターってなに?
A:巡視船艇のこと。日本も海外供与しているゾ。
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