Fate/Sinfonia Sagas【芥ヶ原聖杯戦争】~誰かの決意と選択の物語~   作:空雲時雨

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 初めて小説を書くことにチャレンジしました。
 至らないところも多々あるかと思いますが、読んでいただければ幸いです。温かい目でお見守りください。

 更新は不定期になるかと思いますが、せっかく挑戦したので、何とか最後まで書き上げたいと思っております。


プロローグ
プロローグ 『運命の夜』


 

 

 

 

 

 冬だというのに、妙に熱のこもった夜だった。

 

 

 

 まるで、何か強烈な力を発する渦に無理やり蓋をしているかのような。

 

 行き場を求めたエネルギーが僅かな隙間からあふれ、まさに破裂しようとしているかのような。

 

 街全体が、そんな狂奔する寸前を思わせる膨大な熱を孕んでいた。

 

 

 

 ―――何かが起こりそう。

 

 

 

 その熱を感じ取った者は、等しくその予感を感じていた。

 

 それを、破壊をもたらす不吉なものだと感じ、家に籠る者があった。震える者があった。祈る者があった。

 逆に、熱に浮かされて心を躍らせる者があった。沸き立つ者があった。そして、その熱そのものを求める者があった。

 

 

 

 彼女もまた、そのひとり。

 

 街を包む熱の奥にある衝動を感じ取り、何かが始まりそうな予感と高揚に脚を引かれて夜の街へ繰り出したことを、彼女は決して後悔していなかった。

 

 

 

 

 

 「はッ、はぁッ、はぁッ──‼︎」

 

 

 

 

 

――――たとえ、命が危ぶまれる状況であっても。

 

 

 

 それは、美しい存在だった。

 

 おそらく、人間ではない。人間にしては、あまりに完璧だった。完成されすぎていると言ってもいい。精巧なマネキン人形や絡繰り人形、名工の手による彫刻。そういった美しさを体現したそれが超常の存在だということは、直感的にすぐ理解できた。

 

 

 その存在が、自分に刃を向けた。

 

 

 殺気は感じなかった。しかし、死の予感は彼女を貫いた。

 ナイフを突きつけられたというより、映画に出てくる無人のセキュリティ装置の銃口を向けられたかのような、そんなシステマチックな殺意。その照準を定められたことを肌で感じた。

 

 一瞬、呑まれて固まった脚を必死に動かし、森の悪路をドロドロに汚れながら駆けて、その途中でたまたま見つけた物置小屋に転がり込んだ。

 

 恐怖と疲労で四肢は強張って無様に丸まっている。息が切れすぎて、呼吸のたびに喉の奥からツンと鉄の匂いがして頭がクラクラする。なにより、さっきから右手の甲が焼けるように痛くて堪らない。その痛みをかばうように、自然と体が丸まってゆく。

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 

 

 

 そんな彼女に声をかける者がいた。

 

 当然だ。彼女だけならば、殺意に足竦んだ時点で死んでいる。

 彼女が今なお生きているのは、連れて逃げた者がいたからに相違ない。

 

 

 そして、その存在もまた超常のものだ。

 

 

 先ほどと違い、こちらは人間だと確信できる。

 しかし、陣羽織と具足を身に纏い、腰に刀を差したその姿はあまりに浮世離れしている。さらに、そのどれもが一級品の風格を纏っており、コスプレや撮影衣装の類とは明らかに一線を画している。

 ダメ押しに、その身から発する雰囲気だ。容姿端麗な青年、というだけでは説明のつかない大人物特有の風格が強張った身体を激しく叩く。

 

 返答がなく埒が明かないと思ったのか、青年は彼女に近づき、その印に気が付いた。

 

 

 

 

 

「令呪……ということは、キミはマスターなのか」

 

 

 

 

 

 レイジュ……とは何のことだろうか。

 

 

 息が落ち着いてきて、ようやく少し回るようになった頭で彼女は考える。例、礼、霊? 思考を巡らせながら地面に丸まっていた体を起こし、なんとか壁にもたれかかって身体を支えた。

 

 その拍子に、視界の端に右手が映った。巻いていたはずの包帯はどこかで木の枝にでも引っ掛けたのか、いつの間にかなくなっている。

 

 

 

 そうして顕わになった右手の甲には、奇妙な紅い紋章が浮かんでいた。

 

 

 

 同じ形だが上下に互い違いで点対称に配置された二画と、その中央で対称を崩すように刻まれている一画の、三つの塊からなる刻印。

 

 

 なるほど、自然と青年の言っていたことが理解できた。これが“レイジュ”なのだろう。

 

 “レイジュ”が何なのかはわからないが、これが今必要なことだけはわかった。

 

 喉がかすれて声が出ないので、代わりに“レイジュ”が刻まれた右腕を青年へ伸ばした。

 

 

 

 

 

「なるほど、サーヴァントがいないのか」

「————?」

 

 

 

 

 

 相変わらず、青年の言っている言葉の意味は結理にはわからなかったが、なにやら青年は得心がいったようだった。

 

 青年がそう言った時、外で大きな衝撃があった。

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

 

 次いで、地面を伝わった衝撃の余韻と、吹き飛ばされた土くれがトタン屋根に降る音が二人の体を叩く。

 

 青年は小屋の外の気配を探り、同時に嘆息した。

 

 

 

 

 

「どうやら時間はないか。すまないが即答してくれ」

 

 

 

 

 

 そう言って、青年は彼女の方へと向き直り、告げる。

 

 

 

 

 

「ひとまず、お互い命を繋ぐため、オレと契約してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 そう言って、青年は彼女の方へと向き直り、告げる。

 

 

 

 

 

「ひとまず、お互い命を繋ぐため、オレと契約してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 Fateのプロローグと言えば、というところから始めてみました。

 次の第一話からは、時系列が過去に戻ります。この時点に来るまでそんなに時間はかからないつもりです。

 第一話は13時に投稿されます。(この話は予約投稿し忘れた&消し方がわからない)



 以下、お礼とお願い。

 私の拙い文章を読んでいただき、ありがとうございました。どうか、この先もお付き合いいただければと思います。

 感想や評価もぜひよろしくお願いいたします。

 何分、手探り状態で書いておりますので、ご意見・ご感想をいただけると本当にありがたいです。
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