君の口癖を最後に聞いたのはいつだろうか。昨日、一週間前、多分それより前からずっと聞いていない。君は変わってしまったのだろうか、僕と一緒じゃないときなら言ってるのだろうか。後者であるならば少し妬いてしまう。
その言葉を連想するモノを考えてみた。君は嫌うだろう命の終わり、季節で考えたら人との別れ。後は桜の散り際。どれもあの言葉が頭に浮かぶんだ。もちろん僕だけかも知れない。でも、なんとなく君も僕と同じようなことを考えてくれるような気がするんだ。
大学の講義終わり、呼び出した。女子大に進学して苦手な勉強も好きな演劇もやって疲れているのは承知の上で前日深夜にダメ元での誘い。連絡すると数秒と立たずに既読の表示、次いで了承の返事。君の分け隔て無いファンサービスには頭が上がらないよ。
「やぁ、待たせたね」
今までと変わらず待ち合わせの5分前に君は来た。春風に吹かれたのか、頭には桜の花びらが乗っている。萎れた、散った後の花びら。君は気づいていないようだったから、さりげなく取っておいた。
「それで、行くのはいつもの公園かい? 私もあそこに行くのは久しぶりで……そうだ、アイスクリームを食べようじゃないか」
昔のように、桜の木の下のベンチで食べよう。なんて粋なことを口にする辺り、君は僕の知っている君に変わりはないのだろう。
少し時間を掛けて移動。ちょうど学校も終わりの時間と言うこともあって人は多い。ついでに子連れの親子も。
コーンに塩バニラとさくら味の季節限定のフレーバーを2つ。君は遠慮していたけど、誘った側だし会計は僕持ち。たかだか数百円が2つ、それぐらいどうってことはない。
「面白い話があるんだ。昨日の夜、君に誘われてから見た夢の話だよ」
アイスクリーム片手、久しぶりに聞く人の夢。風が強い日で、それでも少し暖かくて。過ごしやすい日に延々と続く桜並木の先を目指して歩いて行く夢。
「その先には……すまない、ここから先は朧気になってしまったよ」
答えに手が届く寸前で夢語りは終わる。結局その先に何があったかは僕も君も分からない。金銀財宝が眠っていたのか、はたまた有名なあの人がいたのか。夢は夢のまま、答えを探し続けるのも悪くないのかも知れない。
唐突に突風が吹く。木枝は揺れ、桜の花びらは舞い散り吹雪く。目の前一杯に広がる桜吹雪。
「人の夢も、散り舞う花弁も……儚い、ね」
聞きたかった君の口癖。これも舞い散る夢の一部、なのかもしれない。
タイトル適当にブルームです