機動戦士ガンダム WEREWOLF WARS 作:ゼビル将軍
人狼部隊/ケーン・フォレストという青年
「ケーン、そろそろ時間だぜ」
ブリティッシュ作戦への参加前、実験競合育成部隊『ワーウルフ隊』の一員であるケーン・フォレストは、部屋にやって来た友人のレイモンド・ヒルに声をかけられて顔を上げた。
読みかけの本をベッドの上に置き、ため息を吐いた彼は、緩い笑みを浮かべてレイモンドへと言う。
「ありがとう、レイモンド。じゃあ、行こうか」
モスグリーンのノーマルスーツを着ている彼らは、そのままハンガーへと向かう途中の道で会話をしていく。
「さっきの本、家族からの差し入れか?」
「ああ。所属部隊名がワーウルフ隊だって聞いた弟が選んでくれたんだ。人狼の青年が悪い魔女と戦うファンタジーもので、結構面白いよ」
「そうかい。なら、弟に礼を言ってやらなくちゃな」
「……ああ、そうだね」
ケーン・フォレスト。くすんだ茶色の髪と海のように青い瞳が特徴的なこの青年には、故郷に残してきた家族がいる。
母が一人と、弟が二人。父は既に亡くなっていた。
ケーンが軍に入ったのは、家族を養ってやりたかったからだ。
女手一つで自分たちを育ててくれた母と、これから大きくなる弟たちに楽をさせてやりたい。そんな望みを胸に、彼はジオン軍の養成学校の門を叩いた。
性格は温和。成績も優秀。特にMSの操縦技術に関しては優れた才能を発揮する彼であったが、ただ一つだけ足りないものがあった。
運、あるいは家柄がそれだ。
ジオン軍において、エリートコースに乗るには技術や才能以上に家柄や後ろ盾が要る。
それを持ち合わせていなかったケーンは、エリートコースからの選抜に外れてしまった。
そうしたしがらみのせいで思ったように道を進めなかった者は数多くいる。今、ケーンと話しているレイモンドもそうだ。
ジオン軍突撃機動軍総司令官であるキシリア・ザビは、そういった若者たちを集め、戦果を挙げることでエリート部隊への転属を約束するという餌をちらつかせることで、部隊員同士を競わせ、成長させる特殊部隊を結成した。
それこそが今、ケーンたちが所属している実験競合育成部隊……『ワーウルフ隊』だ。
通称、人狼部隊と呼ばれるワーウルフ隊には、100名の兵士たちが所属している。
その100名を5人の教導試験官が鍛え上げ、成績を付け、上に報告する……そういった形で、今日までケーンたちはエリート部隊への転属を賭けて競い合ってきた。
そしてこの日、特に優秀だと判断された30名の若者たちが教導試験官に連れられ、ブリティッシュ作戦に参加することになったのである。
「いよいよ実戦だ。ここで手柄を挙げりゃ、エリート部隊もすぐそこだぜ!」
「浮かれるなよ、レイモンド。調子に乗ってると、僕たちだって命を落とすかもしれないんだぞ?」
「わかってるよ。けど、お前も知ってるだろ? 連邦軍の連中は、俺たちのザクに手も足も出ないんだぜ?」
浮かれ気味の友人を諫めるケーンだったが、レイモンドはそんな彼へと軽い調子でそう述べる。
確かにレイモンドの言う通り、ここまでの戦いはMSザクを開発したジオン軍が圧倒的優位に進めており、ミノフスキー粒子下において圧倒的な戦闘能力を持つMSを前に、連邦は一敗地に塗れていた。
「それでも油断はするなよ。お前が死んだら、誰が故郷の家族の面倒を見るんだ?」
「うっ……」
「……生きて、家族に楽をさせるんだろ? お互い、まずは死なないことを最優先にしよう」
そう、レイモンドを諫めるケーン。
レイモンドにも故郷で暮らす家族がいる。彼らに楽をさせるために軍に入ったという部分も、ケーンと同じだった。
「……そうだな。死んだら、エリート部隊もクソもねえからな」
似た境遇の友人から窘められたレイモンドが、納得したような、それでいて気まずそうな顔をしながら頷く。
自分よりも大柄な親友の肩を叩いたケーンは、微笑みを浮かべながら彼へと言った。
「油断さえしなけりゃ大丈夫さ。最悪、お前のことは僕が守ってやるよ」
「はっ! 成績優秀者は流石だな! お前の方こそ、調子に乗ってやられるんじゃねえぞ?」
ワーウルフ隊に所属する部隊員100名中、総合成績7位。それが、ケーンの順位だ。
温和で、戦いを好む性格をしているわけではないが故に消極的な部分を見せてしまうこともあり、それが7位という順位に彼を甘んじさせているが……MSの操縦においては部隊一であると見ている者も多く、間違いなく非凡な才能を有している。
まずは死なないことを第一に考えようと、初陣は手柄などを考えずにいこうと、そう冗談を交えながら語るケーンの言葉に、笑みを浮かべるレイモンド。
そうしている間に集合場所であるハンガーまでやってきた二人は、そこに集まっているワーウルフ隊のメンバーたちが何か騒いでいることに気付いた。
この小説にエロ描写は……?
-
いる(R18にしてほしい)
-
いらない(ぼかして全年齢のままで)