機動戦士ガンダム WEREWOLF WARS 作:ゼビル将軍
「おう! ケーン、レイモンド! 来たか!!」
「これ、何の騒ぎ? 出撃前のパーティーにしては、盛り上がり過ぎじゃない?」
「いや、マジですっげえぞ! お前らも乗っとけって!」
「乗っとけって、何にだよ?」
部隊のムードメーカー(お調子者とも言う)であるバランスに興奮気味に話しかけられたケーンが苦笑を浮かべながら困惑する。
乗れだのなんだの、どういうことだ? と困る彼へと、仲間たちの中心にいた少女が声をかけてきた。
「簡単な賭けをしてるのよ、ケーン。あなたも腕に自信があるなら、一口どう?」
その胸の内に燃え上がる闘志の炎が、そのまま形になったような赤い髪を靡かせながらそう言ってきたのは、ワーウルフ隊でNo.3の成績を誇る女子であるアンナだ。
何かと自分をライバル視してくる彼女に困ったような表情を見せながら、ケーンが言う。
「その賭けの内容を聞かないと何とも言えないかな。初陣前だ、あまり変なものじゃないといいけど」
「大丈夫よ、とってもシンプルな内容だから。これから始まる戦闘で、どれだけ戦果を挙げられたかで勝負する……ね? シンプルでしょう?」
「ははっ、確かにシンプルだ。それで? 何を賭けるのかな?」
アンナの説明に笑みを浮かべて頷きながら、話を促すケーン。
そんな彼へと、アンナの背後から出てきた二人目の少女が言う。
「私たちより戦果が下だった連中は、命令を何でも一つ聞く! もちろん、できる範囲でだけどね」
「説明ありがとう、ノラ。その口ぶりだと、君もこの賭けに参加してるってわけだ?」
「まあね。で、もしも、万が一にも、あんたたちが私たちの戦果を上回った、その時には――!!」
成績15位……アンナと仲のいい少女であるノラの言葉に適当に返事をするケーン。
そんな彼へと、意地の悪い口振りで話しながら、ノーマルスーツに覆われた豊満な胸を強調するように体を前に傾けながら……と、二重の意味で挑発する素振りを見せたノラが、どこかねっとりとした口調で賭けに勝った時に得られる賞品を教える。
「一発、ヤらせてあげるよ♥」
「「「うおおおおおおおおおおおっ!!」」」
その言葉を聞いた男子たちが、盛大な歓声を上げる。
はぁ~、と深いため息を吐くケーンに対して、アンナは試すような視線を向けながら口を開いた。
「ちなみに、抱けるのは1人だけよ。私たちの中から1人だけを選んで、そいつと戦果を競う。もしも男子側に複数勝者がいた場合は、一番戦果を挙げた人間が権利を独り占め、ってことで。まあ、そもそも私が負けるわけないんだけどね」
「あっ! ひど~い! そこは私、じゃなくて私たち、にしてよ~!」
「ふふふ……っ! ノラはどうかしらね? 下手を打って、変な男にヤられちゃうかもしれないわよ?」
くすくすっ、と友人をからかうアンナ。
そうした後でケーンへと向き直った彼女は、再び試すような視線を彼へと向けながら質問を投げかけた。
「それで、どうする? 私と勝負するつもり、ある?」
「………」
ワーウルフ隊に所属する女子の中で最も優秀なアンナと、同じく隊の中でMSの操縦技術は一番だと評されているケーン。
この2人の対決に興味津々という雰囲気を醸し出す仲間たちだったが、ケーンは首を大きく振ると彼女の誘いを断ってみせた。
「折角のお誘いだけど、遠慮させてもらうよ。あまり、そういうことに興味はないんだ」
「……そう。もしかしてあなた、
「いや、そういう意味じゃない。そういう誤解をされるのは困る」
「わかってるわよ。言ってみただけ。でも、そうね……このやり取りであなたの底が見えた気がしたわ」
そう、慌てるケーンへと肩をすくめながら言ったアンナの表情には、彼への失望と侮蔑の感情が滲んでいた。
僅かに目を細める彼へと、アンナは見下したような口調で言う。
「ワーウルフ隊に所属している以上、常に競争が行われているわ。エリート部隊への転属という成果を勝ち取るためにね。あなたは今、競争からも勝負からも逃げた。戦って賭けに負けるならまだしも、勝負にも乗ってこなかった。そんな男が、この隊の競争を勝ち抜けるとは思えないわ」
「……なるほど。手厳しいけど、正論だね」
「ええ、正論よ。まあ、乗らないならそれでいいわ。さっきも言った通り、あなたって男の底は見えたし……案外、この戦闘で脱落してくれるかもしれないしね」
遠巻きに、自分が死ぬとアンナに言われたケーンが肩をすくめる。
話は終わりかと、言われるだけ言われた後で輪から抜けた後も、仲間たちはこの賭けについて盛り上がっているようだ。
「はいは~い! 強豪ライバルが消えたお陰で、可能性がぐんと上がったよ~! 乗る野郎はさっさと宣言した!」
威勢のいいノラの言葉に応えるように、男子たちが手を挙げる。
ケーンがあそこまでボロクソに言われたことで、ここで勝負に乗らないなんてのは男のすることじゃないという空気が出来上がってしまったようだ。
レイモンドもこちらを気にしつつも、賭けに乗るようで……そんなふうに盛り上がる友人たちの姿を、ケーンは黙って遠くから見守っていた。
まあ、確かに自分はアンナの言う通り、競争だとか勝負には向いていない性格をしているよな……と消極的とも取れる自分の性格について自嘲していたケーンは、そこであることに気付く。
(あれ? そういえば、女子はもう1人いたよな……?)
今回選抜された30人の隊員たちの内、女子は3名いたはずだ。
あの輪の中に残る最後の1人の姿は見えないが、彼女はこの賭けに参加していない、ということなのだろうか?
そんなことを、ぼんやりとケーンが考えていると――?
「ねえねえ! なんで賭けに乗らなかったの?」
――底抜けに明るい、無邪気な声が近くで響いた。
驚いてそちらへと顔を向ければ、屈託のない笑顔を浮かべた小柄な少女がこちらを見つめているではないか。
髪、瞳、ノーマルスーツ……全てが緑色。
麻雀にそんな名前の役があったよなと思うケーンへと、
「なんで賭けに乗らなかったの? もしかして、女の子がそういう対象に入らない系の男子?」
「違うって! 僕は、ただ……賭けでセックスをするとか、そういうのが嫌だったってだけ」
「おお! 実に童貞らしい答えだ! ピュア過ぎてびっくりしちゃうね!!」
「うるさいなぁ……! どうでもいいだろう?」
痛いところを突いてくる少女へと、苦々しい表情を浮かべながらそう返すケーン。
それでもニコニコと無邪気な笑みを崩さない彼女を見て、ため息を吐いた彼は、その少女の情報を頭の中に思い浮かべる。
フィオナ・レイク……それが彼女の名前だ。
身長は150㎝前後とかなり低く、とてもケーンたちと同い年には見えない彼女だが、これでもれっきとした18歳である。
成績は平均的(若干座学が苦手)で、MSの操縦が得意。
実際、ケーンも彼女と模擬戦をしたことがあるが、腕前はなかなかのものだったと思う。
ただ、ケーンはそこまでフィオナと仲がいいわけではないし、二人きりで話したこともない。
明朗快活で無邪気な性格をしていて、誰とも距離が近い美少女。おまけに、小柄な体躯に反して胸部に凶悪な核弾頭を2つ備えている。
そんな彼女はアンナたちと並ぶ人気を誇っており、男子たちからも注目されていた。
「で? 話はそれで終わり? だったら、一人にしてほしいんだけど」
「あ~っ! 待って、待って! ここからが本題っていうか、お願いがあってさ……!」
自分を追い払おうとするケーンへと、手を合わせて頭を下げるフィオナ。
なんだなんだと驚く彼を上目遣いで見つめながら、彼女はそのお願いを口にする。
「あたしとの勝負、乗ってくれない? お願い! このと~り!!」
「はぁ? え? なんで?」
よく理由のわからないその頼みに、困惑するケーン。
そんな彼に対し、フィオナは詳しい事情を説明していく。
「いや~、あたしも実を言うと、そこまで勝負に自信があるわけじゃないんだよね~! でも、あんな雰囲気だから断れなくってさ~……半ば強制的に今回の賭けに参加することになっちゃったってわけ!」
「ああ、それは災難だったね。それで?」
「このままだと、作戦終了後に誰かと一発ヤんなきゃいけないわけじゃん? いや、それは別に構わないんだけど、そこまで乗り気になれないっていうか、この感じだとできたら回避したいな~……って思ったりなんかしちゃったわけですよ!」
「ははぁ、なるほど。読めたぞ。そこでヤる気のない僕が戦果を一番挙げれば、君は晴れて何もせずに済むってわけだ」
「その通り! ねっ、お願い! 参加メンバーの中で最下位のあたしを守ると思って! ねっ? ねっ!?」
成績30位、ギリギリこの作戦に参加できる順位だったことを告白しながら、頭を下げてくるフィオナ。
そんな彼女の懇願に後頭部を掻きながら、小さく頷いたケーンが応える。
「……わかった、いいよ。できる限りのことはしてみる」
「ホント!? わ~い! ありがと~っ!!」
ぴょこん、ぴょこんと飛び跳ねて喜びを表していたフィオナは、不意に振り返るとまだ騒いでいるワーウルフ隊の仲間たちへと大声で叫ぶ。
「お~い! ケーン、あたしとの賭けに乗るってさ~!」
「うえっ……!?」
なんでそこで報告するんだ、と焦るケーンであったが、仲間たちの反応は以外の良好だ。
若干のからかいはあるものの、どこか楽し気に大声でこちらへと色んなことを言ってくる。
「なんだよ! やっぱお前もヤりたかったんじゃねえか!」
「あ~……! ロリ巨乳が好みだったわけね! そっか、そっか!」
「勝負に乗らなかったんじゃなくて、アンナとノラに興味がなかったってだけか!」
「そりゃあ、好みの女を抱きたいよな! 納得したよ!」
「……なんかちょっと腹が立つわね。別にそんなことないのに、フラれた気分になるわ」
「同感。や~な気分!」
やんやと囃し立てる男子たちと、不機嫌さを見せる女子たち。反応は極端で、それを見たケーンの表情が引き攣る。
そんな中、この事態を引き起こしたフィオナはダブルピースをしながら無邪気な笑顔をケーンへと見せていた。
「あっ、そうだ。一応、言っておくけどさ……もしもあたしで童貞卒業したくなったら、いつでもお相手するよ! バッチコイ!!」
「もういいから、少し黙ってもらえないかな!?」
そんなこんなで、胸にも負けないくらいに大きくて丸いお尻が鳴らす、ぺちーんという音を聞きながら、こちらへと突き出されたノーマルスーツに覆われたフィオナの巨尻を見たケーンは、顔を赤くしながら彼女にツッコミを入れ、作戦開始前のブリーフィングが早く始まってくれることを祈ったそうな。
この小説にエロ描写は……?
-
いる(R18にしてほしい)
-
いらない(ぼかして全年齢のままで)