機動戦士ガンダム WEREWOLF WARS 作:ゼビル将軍
「……まず、最初に言っておく。これから貴様らが臨むのは、訓練ではなく本物の戦争だ。命を落とす可能性も十分にあると、そのことを忘れるな」
「はいっ!」
それから少しして、ハンガー内……ワーウルフ隊の面々は、整列すると共に自分たちの教官にして上官であるガルド・レックスの話を聞いていた。
筋肉隆々の大柄な男性であるガルドは、坊主頭の厳つい風貌も相まって見る者に恐ろしい印象を与えるが……その実、生徒想いの厳しくも優しい教師であることをケーンたちは知っている。
MSパイロットとしても確かな腕前を誇る彼は、このワーウルフ隊の主任教導試験官……つまり、責任者でもあった。
教え子たちと共にブリティッシュ作戦に参加することになったガルドは、出撃前のブリーフィングで大声を張り上げる。
「貴様らは、本日まで厳しい訓練を耐え抜いてきたワーウルフ隊の中でも特に優れていると認められた、精鋭である! 今まで鍛え、磨いてきたものを発揮すれば、地球連邦軍も恐れるに足らん! 戦場の空気に飲み込まれず、全てを出しきれ!」
「はい、教官っ!」
「……もう、教官とは呼ぶな。これは実戦だ。大隊長、もしくは隊長と呼べ」
これが本物の戦争であることを伝えるように、重々しい口調でガルドが言う。
その空気にごくりとケーンが息を飲む中、ガルドはハンガーに並ぶMSたちを指し示しながら、30名の隊員たちへと発破をかける。
「我々、ワーウルフ隊の初陣に際して、キシリア様より全員分のMSが支給された! 全機が我々用にカスタムを受けたワーウルフ隊仕様とでもいうべき期待であり、更に最新鋭のザクⅡまでも支給されている!」
並ぶ巨大な人影たち……その全てが、MSだ。
丸みを帯びた装甲が特徴的なザクⅠが大半を占める中、それを改良した最新鋭機であるザクⅡの姿も見受けられる。
(1騎だけ細身な水色の機体が混ざっていたが、ケーンは気にしないことにした)
胸のコックピットハッチと、ザクⅡの肩に装備されたシールドと思わしき装甲部分には狼のようなエムブレムが刻まれており、それがワーウルフ隊のパーソナルマークであることを理解した隊員たちが興奮気味な笑みを浮かべる中、ガルドの声が響く。
「これは、キシリア様からの期待の表れである! このMSを駆り、活躍を続ければ、キシリア様の推薦を受け、エリート部隊への転属という栄誉を受けられるだろう! 貴様らは幸運だ! 他70名の同胞たちに先んじて、手柄を立てられる機会を得られたのだからな!」
そこで、呼吸を一つ。息を吸い、再び大声を出す準備を整えたガルドの叫びがハンガーにこだまする。
「これより我々ワーウルフ隊は、地球に向かうスペースコロニー、アイランド・イフッシュの護衛のために出撃する! コロニー落としを阻止しようとする連邦軍と戦闘になるだろう! しかし、戦いを恐れるな! ブリティッシュ作戦を成功させ、栄光を掴み取れ! 以上! 全員、出撃準備にかかれ!」
「成績優秀者上位10名はこっちに来い! ザクⅡを授与する! 残りはザクⅠだ! 機体のチェックを済ませたら、各小隊ごとに集合しろ!」
「はいっ!!」
ついにその時が来たのだと、心臓を緊張に震わせながらケーンが息を吐く。
上位10名に入っている彼は教導試験官補佐であるシーザー・トップマンの指示に従い、ザクⅠよりも性能が上のザクⅡのコックピットへと乗り込んだ。
「リラックスだ、ケーン。お前の腕なら、そう心配はいらんさ」
「ありがとうございます、トップマン副隊長」
「俺とレックス隊長もMSで出撃する。教え子たちと肩を並べて戦えること、嬉しく思うぞ」
励ましの言葉を投げかけるシーザーが離れると共に、ザクのコックピットハッチが閉じた。
ふぅ、と一人きりの狭い空間の中でケーンが息を吐けば、モニターに光が灯り、何名かの仲間たちの顔が映し出される。
「よう、ケーン。お前と一緒で嬉しいぜ」
「レイモンド! お前と一緒の小隊か!」
「俺たちの小隊の中じゃ、お前が成績トップだ。小隊長役、任せたぜ。俺もサポートしてやるよ」
明るい声で挨拶をしてきたレイモンドの顔を見たケーンが笑みを浮かべる。
気心知れた親友と同じ小隊になれたことを喜ぶケーンの耳に、他二名の小隊員の声が響く。
「どうやら、俺たち四人でG小隊ってことみたいだな。まあ、よろしく頼むぜ」
「くっそ、いいな……! ケーンだけ新型かよ! ズルいぞ!!」
「コネリー、ガス、お前たちも一緒か。心強いよ」
成績18位、コネリー・シモンズ。同じく26位、ガス・ギューン。
同い年の男子たちにそう挨拶をしたケーンは、これが自分の小隊メンバーかと思いながら彼らへと声をかける。
「とにもかくにも、死なないことを第一に考えよう。初陣で戦死だなんて、そんなのは御免だろう?」
「はぁ? 何言ってるんだよ!? 手柄を立ててエリート部隊への転属を勝ち取る、それが俺たちの目標だろ? そんな弱腰じゃ、他の連中に負けちまうよ!」
「落ち着けよ、ガス。そんなふうに焦ってると、呆気なくやられちまうぞ?」
「うるせえな。ビビって賭けにも乗れなかった玉無しの言うことなんて聞けるかよ。俺は手柄を立てて、エースになって、昇進するんだ! 俺の足を引っ張るなよ!」
「はぁ……まあ、ガスみたいに前のめりになり過ぎるのは避けるべきだと思うけど、消極的過ぎるのも良くないと思うよ。隊長の命令に従って、自分の役目を遂行する……そんな感じでいこうよ」
「……そうだな、コネリー。お前の言う通りだ」
少しだけ考え方にズレが生じていることが不安だが、もう戦闘は目の前まで迫っている。
戦闘領域に入り、カタパルトから次々と出撃していく仲間たちを見送っていたケーンにも、その時が訪れたようだ。
「次! G小隊、出撃だ!!」
「了解!」
レイモンドたちに先んじてカタパルトに乗ったケーンが、最終チェックを行う。
管制室からの合図を受け、操縦桿を握り締めた彼は、深呼吸をしてから大声で叫んだ。
「ケーン・フォレスト! ザク、出撃します!!」
ザクⅡ『ワーウルフ隊仕様』(MS-06F)
ブリティッシュ作戦に参加するワーウルフ隊のためにキシリアが用意した機体。
当時の最新鋭機であるF型のコックピット周りをワーウルフ隊の隊員たちに合わせて調整してあり、胸部とシールド部分に人狼のパーソナルマーク(隊章)が描かれている。
性能としては普通のザクⅡと大きな差はない。微妙に各性能が上がっている……? 程度。
この小説においてはザクと記載されている場合、基本的にはこの機体を指す。
ワーウルフ隊には隊長であるガルドが搭乗するS型や、成績11位から30位までの隊員たちが搭乗するザクⅠ(旧ザク)も配備されており、同じような改修を受けている。
この小説にエロ描写は……?
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いる(R18にしてほしい)
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いらない(ぼかして全年齢のままで)