ロドスとレユニオンの両陣営を高速で反復横跳びする一般9級フィクサー()の奮闘劇 作:深海潜水艦
オリ小説の方も投稿始めましたので、よければそちらもご覧ください。
テラで生きるにおいて最も必要なものとは何であろうか?
才能?金?権力?.......確かにどれも必要だ。それがあるだけで、生存確率はグッと上がる。
だが、それは本質的なものではない。俺が思うに、一番必要なのは運だ。
「ぐあっ!!」
黒くコーティングされた警棒を暴徒の脇腹に叩き込むと苦しそうな声を上げて倒れ込む。
すかさず床に転がったそいつを蹴り上げれば、ボウリングのボールのように転がって正面から迫る暴徒どもを蹴散らしていく。
空いた道へすかさず駆け込み、下へと続く階段に視線を向けるが暴徒どもと、どこから来たのか不明だがレユニオンが迫ってくるのが見える。
軽く舌打ちをして上に登り、近くの部屋のドアを取り外して階段下の連中に向けて放り投げると、情けない声が木霊していく。
「まだまだ来るみたいだな.....このままじゃジリ貧で押し潰される」
「ちょっと、どうにかしなさいよ!」
「それじゃしっかり捕まってろよ!」
下から溢れ出てくるレユニオンの武器を警棒で叩き落とし、拘束する。落とした武器を蹴り上げて片手で持てば、首筋に刃を当てて捕虜にする
「一歩でも動いてみろ、そしたらこいつの首を切るぞ」
「なっ....この卑怯者が!」
思ったとおり効果的だ。こいつらはロドスのように仲間意識が強い。一人でも人質に取れば動きを止めさせられる。
あとはこいつを盾にしつつ建物から出られれば......
「お前らなんぞに.....」
「は?」
「お前らロドスなんぞに、我らレユニオンの歩みを止められてたまるか!!」
人質にしたレユニオンの兵士がそう言うと、暴れ出し背後にいるミーシャを直接狙いに来た。
嘘だろこいつ。こんな状況で普通そんなことするか?
クソ、こいつらの狂気を見誤った。こんなふうに自分の命すら投げ出しにくるとかイカれてやがる。
今すぐこいつの首を掻っ切ったとてすぐ近くにいるレユニオンどもが雪崩れ込んでくる。そうなったら今の状態でミーシャを守りきれるとは思えない。
.......やるか?リスクではあるが、一瞬だけ仮面をつければ正体を隠して切り抜けられる。
目の前のレユニオンの首を切って盾にして、その影で仮面をつければ......。
「大変そうだね、ローラン!
もしかしてあたしの手伝いが必要?」
瞬間、建物の窓から一つの影が飛び込んでくる。それは窓ガラスを突き破りながら廊下へ突入し、目の前のミーシャを狙っていたレユニオンを吹き飛ばした。
赤いショートヘアに税金喰らいのラテラーノ銃、そしてサンクタ特有の羽と
彼女はローランを見るとより一層笑みを膨らませて話しかける。
「ははw、相変わらずひどい顔してるね」
「うちの依頼人の扱いが荒くてな。最近まともに寝れてないんだ」
「それじゃあそこで見てて休んでててよ、嵐のように蹂躙してくるから!」
そう言うと彼女はレユニオンの集団へ銃を向ける。ラテラーノ銃は弾丸による税金がすごいが、瞬間火力は目を見張る。ロジックアトリエなんかの高級品はそれは壁を粉砕するような威力を持つ。
複数展開したラテラーノ銃を一斉に掃射し、文字通り蜂の巣にしていく。弾丸はゴム弾だからか死亡者はいないがあれは痛い。
硬いゴムの塊が火薬の勢いで飛んでくるんだからそりゃ無事とは言えない。何人かは身を寄せ合って武器で防いでいるが、エクシアは壁を蹴って回り込んで背後から撃ち抜く。
うわ、後頭部に直撃してるやついる。身体強化施術を受けてないなら、あれはワンチャン死ぬな。
廊下のレユニオンを一通り片付けたエクシアは体を反転させてこちらの方を向く。
「わ〜、ボロボロだねローラン。また面倒ごとに首突っ込んだの?」
「どっちかっていうと、面倒ごとが向こうから来たんだけどな。
.....ロドスからの依頼でこのガキを見つける手伝いをしろって言われてたんだが.....どうやらレユニオンも狙ってるみたいで一悶着起きたんだ」
「なるほどね。それじゃああたしたちと同じなんだ」
「同じって....もしかしてペンギン急便もロドスから依頼を受けたのか?」
それならよりいっそう俺を雇ったのは何なんだ。龍門の地理に精通してる彼女らがいるのなら、ことも早く進んだろうに。
「うん。といっても、目的の少女を見つけたあと、安全に近衛局に引き渡すためのガイドをお願いされたんだよね
て、そんな話をしたいんじゃなくて.....あのこと、考えてくれた?」
「あのことって......ペンギン急便に正式採用するって話か?
前にも言ったけど断る。俺はフリーでやるぐらいがちょうどいいんだ」
「ふ〜ん
そっちのことじゃないんだけどなぁ........」
「???
何か言ったか?」
「別に〜
それよりほら、そろそろ来るんじゃない」
そう言うや否や、複数人の足音が階下から聞こえてくる。聞き覚えのある声と共に。
「ローランさん!大丈夫ですか!」
ロドスCEOアーミヤの声だ。ドクターとフランカ、リスカムの姿も見える。
エクシアは彼女らを見ると、一拍置いて話し始めた。
「ハロゥー、ロドスのみんな〜!」
「エクシアさん、もう来ていたんですね」
「うん、見知った顔がいたからついね」
「あぁ〜、アーミヤ?
とりあえずミーシャは保護したから、あとはこいつが逃走ルートを確保してくれるはずだ
すでに周辺の地図は共有してあるんだろ?」
「うん。とりあえずこのルートから向かおう。ひとまずは進めると思うけど、レユニオンが包囲してきてるから戦闘は避けられないかな」
予想以上に敵の動きが速い。おそらくあらかじめ周辺に部隊を展開していたんだろう。
目標が見つかればそのまま護衛して離脱。先に確保されたなら部隊を集結させて包囲。敵ながらすばらしいと言わざるを得ない戦術眼だ。
ひとまず建物を出ようと移動していると、奥から人影が現れる。
無機質な表情のループスの少女は、エクシアと同じ『ペンギン急便』のトランスポーター、「テキサス」であった。
どうやら斥候をしていたようで、そばにはレユニオンが転がっている。
「アーミヤ、新しい情報が.....ローラン?」
「エクシアがいるならお前もいるよな。よう、テキサス」
テキサスの方へ手を振る。どうやら俺がいるとは思っていなかったようで、少し動揺したのが見て取れる。
普段は無表情だからこう言った反応が見れるのはレアだ。
「久しぶり....だな。お前もロドスの一員になったのか?」
「いや、ここにいる聡明で大変優秀なロドスのドクターに依頼されたんだよ。内容はそっちとほとんど同じだ」
「そうか......エクシアから何かされてないか?」
よりによってエクシアとは。こいつは結構な頻度で俺にちょっかいをかけてくるから一概にないとは否定できない。
が、直近の記憶では特に何かされた様子もないので問題ないだろう。
「エクシアが?いや別に何もされてないが.....むしろ助けてもらったところだけど」
「そうだよ〜、あたしがローランの窮地を救ってあげたんだからね!」
「.....ならいい」
そういうとテキサスはアーミヤとドクターのほうに向き直る
「どうやら後続の部隊は大所帯のようだ。隠密行動なんてせずに、おおっぴらに集団で動いている」
「そう、それならやることは簡単ね。敵の包囲網の一点をついてそこから離脱する」
「フランカさん、リスカムさん、各チームを集めてください。私たちは.........」
アーミヤが何か言い終わるよりも早く、フランカが先に口を挟んだ。
「いや、それより先に隠れたほうがいいんじゃないかしら?」
いくつもの足音が響く。一時的に身を寄せていた部屋の扉が、アーツによって吹き飛ばされるとその奥に小柄な影が見える。
重厚なガスマスクと両手に持ったグレネードランチャー。ボロボロになったローブを身に纏っているその影の正体はレユニオンの幹部『スカルシュレッダー』その人であった。
「やっと、お前を見つけた.....」
「ッ、あなたは私を知っているの.......?」
「お前を迎えにきた、一緒に来てもらう」
スカルシュレッダーは有無を言わさぬ声で、しかしどこか懐かしさを含んだ声でミーシャへと手を向ける。
もっとも、それに気づく人間はここにはおらず、ミーシャを庇うように前に立つのがほとんどだ。
周囲には複数のレユニオンの兵士がいる。突破するのは一苦労しそうだ。
「ダメじゃないスカルシュレッダー。そんな言い方じゃあついてきてくれないわよ」
と、聞き覚えのある。しかし俺にとっては聞こえてほしくなかった声が聞こえた。
廊下から顔だけを覗き込むようにWは、不敵な笑みでこちらを見る。
「久しぶりねあんたたち。悪いんだけど、その子こっちに渡してくれないかしら?」
Wははっきりと俺の方を向いて、悪魔のような笑みを受けべていた。
ロドスの人間を殺そうが、レユニオンの人間を殺そうが
それはそれで、これはこれだから