「もういいだろっ!殺すのやめろよ!」
俺は元教会のトップに三回殺されていた。これが連絡会のナンバー2って言うんだからマジ狂ってる。
少しだけ残念そうにして剣をしまう男。持ち前の聖気を圧縮して実質的には聖剣と同じ効果を発揮させている。そんな事をしなくても貴方の剣技は人類最高峰です。俺を苦しませる為だけに高等技術を無駄遣いするのを辞めてください。お願いします、相変わらずとても痛いのです。
「あっ、終わりましたか」
「お前は逃げんなや!」
「属性ダメージは無くても、普通に剣で斬られたら私は死にますよ。貴方たちみたいな残機無限の人らと一緒にしないでください」
別にいいだろうが!何回死んでも俺が戻してやるからよ。安心してお前も死ねよ。
「久しぶりに会いましたが、やはり貴方に剣は届きませんか。これでも日々努力はしてるんですがね」
「目狂ってんのか。何度殺せばお前は納得するんだよ」
「贅沢を言うならば、完全に復活を阻止したい所です。現実的に考えれば復活速度を遅らせるぐらいが精々限度ですかね」
冗談じゃない。コイツの場合は本気で出来そうなのが怖い。
ん、あれ。この剣技って良く考えたら古い剣術だよな。それも今の時代で使えるのは、数が少ない筈。
「お前って弟子いるのか」
「おや。彼女に会ったのですか。ええ、私の姪でしてね。筋が中々良く、見所のある子ですよ」
「あー、なるほどね」
だからあの年で聖騎士やって、聖剣まで所持出来てたのね。次期教皇候補も間違いないが、コネも多少なりともあった訳か。実力は充分あることは俺が良く知ってるし、もっと上の立場でも誰も文句は言えねえな。
「しかし、貴方がわざわざこちらへ出向くとは。……どういうつもりですか。殺されるのを分かっていて来ているでしょうし、何の思惑があって出向いたのですか」
手を剣に移動させながら、俺に質問してくる。脅すな。やめろや。相変わらず教会の連中には俺は無力だ。戦っても勝てない。そんなに俺の命が欲しいのかよ!
「ここに来たんだから答えは一つだろ。七災厄を知りたくてな」
「なるほど。それは確かにここでないと分からない事ですね。この前の神託もそういうことですか。良いでしょう。中でお茶でも振舞います」
こいつらの思考回路どうなってんだ。納得は出来かねるが、堕天使を連れて中へと俺たちは入る事になった。
軽く話してみた。意外と納得した様子だった。
「そういえば、リズの扱いはどうなってんの?」
「難しいんですよ。聖女リーゼロッテは確かに神から赦されはしましたが、教会としては貴方の伴侶となったという事実も見逃せません。ご存知だと思いますが、聖女が魔女になったという事実は教会からすれば不都合極まりないのですよ。……しかし敵対したとしても今まで粛清出来なかったのに加えて、今度からは貴方も積極的に反撃するでしょう。勝ち目が一切無くなるので、あの聖者の様に融和まではいかないにしても穏便に事を運びたいと私は考えていますよ」
「……リズがお前らから狙われるというのなら、俺は大義名分が出来て今までと違って抵抗するからな。一応、大前提として完全に敵対するんならお前らが俺に勝てる訳が無いんだからな。全力で敵対する奴を皆殺しにするぞ」
顔を歪めたな。流石に俺の実力をある程度だろうが把握してるみたいだな。
例外を除けば、俺に勝てる訳が無いんだよなー。最近はやられまくっていたけど、俺の実力は教会が抱える戦力では到底敵わないとこには居るんだからな。だからちょっとは手心を加えて欲しいんだよ。俺だけが相手だったら、反撃の危険が無いからってヘイトは稼いでるからな。本当にリズに手を出した瞬間に今までのお返しをさせて貰うからな!まじ覚悟しとけよ!
「……姪を通じて古巣に警告しておきましょう。では本題に戻りましょうか」
姿勢を正した。口振りからして全部知ってんのね。じゃあ、聞こうか。
「七災厄は『
「つまり?」
「これ以外にも七災厄として認定されるべきものはあるんです。前者三つが消えるというのなら、新たに選出したいと思うぐらいには候補が沢山あるんですよ……」
頭が痛くなる。おい、終わらねぇぞ。解決したとしても次の七災厄が出来たら一生かかっても無くならんぞ。手っ取り早い方法探す以外ないか。
どうにか一気に無くす方法を考えないとな。ずっとこれに掛かり切りになるのは勘弁願いたいわ。
「聞くんだが、どうして七災厄と名付けたんだ?」
「先々代の話ですね。元々災厄と認定した中で有名処を纏めただけなのが実情です。全てを公開しなかった理由として、纏めきれない災厄も危険な七災厄かもしれないと脅威を促すのが目的だったんです。実際に災厄での被害は減りましたし、一定の効果はあったようですよ」
「まさか、公開しないのがそういう理由だったとは……。確定していないか、候補が沢山あって決めきれない点も大きいと思ってましたよ」
「その点も否定は出来ません。これは百年前の暫定的な決定という面も大きいのですよ。本人を目の前で言う事かは知りませんが、『
そうだよなー。俺ら夫婦だけこの中で浮いてるというか、危険ではないし、普通に関わる事の方が珍しいだろ。一般人に世界でも特筆すべき脅威を七つあげる中に俺が入ってるのは明らかにおかしい。リズも極論を言えば属性が闇に反転しただけだし、悪魔よりになっただけだしな。教会の聖女がそうなるのを認められないから徹底的に排除しようとしただけだろ。教会の面子を保つためだけに認定されたんだから、本当に呆れ果てるわ。
「どうするんだよ。七災厄という概念を無くす以上はどうにかする予定だったよ。これでどうにか減らせって言われても、新たな七災厄が出来たら永遠に終わらんぞ。まあ、俺らとグリゴリが事にあたる以上は時間の制約は無いに等しいが、それでも長い戦いになることが明白なら、少しでも減らす方向で進めたいんだわ。なんか思いつかんの?」
「私たちとしてもルシファーさんに有望な子をずっと預ける気は無いですね……。そういう話になるんだったら、また別の話というか、出世コースの一つとして組み込まれる事になるでしょうし。これからルシファーさんと長い付き合いになることを踏まえて、実質的な先行投資になることも悪くは無いとは思いますが、どちらにしても持ち帰って幹部の人に報告を上げる事になりそうですね」
俺と堕天使の言葉に項垂れて溜息をついていた。同情してやるよ。幾ら何でも今までのツケがデカすぎる。元々、先々代……いやもっと前からか。問題を提起したのが先々代だったっていう話だろうし、ナンバー2のコイツが対応するのもどうかと思うわ。
うーん。どうするべきかねー。七災厄というものを把握は出来たけど、こっから先が地獄だと分かっている以上は何も考えずに事をあたるのも嫌だしな。
現状維持は論外ではあるが、何も行動しない訳にもいかないし。軽はずみで行動したところで、イタチごっこになって問題解決が何時になるか分からないのも嫌だしなー。
どうしたもんかねー。