後半はミカエル視点
この話は本編の何処かの話です
私は彼を求めていた。
何故、彼は私から逃げたのだろうか。
ああ、ルシフェル。私は貴方を愛しています。酷い仕打ちをした、私は醜い女です。
貴方が逃げると知っていました。それは分かっていました。私には貴方しかいない。貴方以外を愛するつもりはないのです。
貴方は私がこんなにも愛してる事を知らないのでしょう。伝えられたら良いのに。私は貴方に想いを告げれないままです。
私は間違えた。もう貴方は戻っては来てはくれないのでしょう。
あんなに近くにいたのに。それが当たり前だと思っていた。手の届く場所に居たはずの貴方はもう、私が知らない場所にいるのでしょう。
私を嫌っている。信じたくない。嘘だと思いたい。
けれど、きっとそれは真実なんでしょう。私は愚かです。失ってからでしか、貴方への過ちを恥じることしか出来ない。
ルシフェル。戻って来てと言えば貴方は戻って来てくれますか?
もう一度だけで良いんです。私に贖罪の機会を与えてはくれないですか。
……分かっています。もう手遅れなのでしょう。
もう一度だけで良い。やり直したい。きっと、次は上手くする。
叶わぬ願い。でも、私にはそれをする力があった。
☆
僕はこういう役回りなのだろうか。
前世で営業マンをやっていた。周囲の人間には部署でも毎回トップ争いをしている凄腕の営業として認知されていたのだろうか。全くの誤解だった。僕は運が良いだけだ。実際は僕はちょっと面倒な事を済ませただけだった。
前世で営業成績が良かったカラクリは簡単だった。会社にもよるだろうが、営業は入れ替わりが激しい部署だ。異動や退職、休職もそこまで珍しくない。そして、その人達が居なくなる前に受け持っていた顧客を僕が引き継ぐ。それを上手く纏めて契約まで持っていき、僕の手柄になった。それだけの話だった。
僕は昔から比較や見え方を変えたりするのが得意だった。比較は単純に欲しいゲームがあった時に、コスパが他のゲームと比べて良いとか、このソフトを買えば長時間遊べるとかを強調した。親からすれば金を出すにしても次の要求が長いに越した事は無いし、大体こうやってする要求は勉強で好成績を出した時のご褒美だった。だから、大体が上手くいった。親も僕に甘かったも事も理由の一つだったのだろう。
見え方は良い所を見つける点が早かったから、自然と身に着いたものだった。要するに良い所を知っていて、その点だけをアピールすると人は嫌な気はしない。デメリットの部分を濁しつつ、メリットの点をとりあえず挙げていく。それだけで上手くいくわけではないけど、それと他を比較してみせれば、僕の良い方向に向かわせるのは難しくなかった。
僕からすれば、引継ぎは一から顧客を探すよりかは楽だった。今までのものと比較させ、良い所をブラッシュアップしていく。前任をダシにするようで、心が痛まないと言ったら噓になる。……訂正、感じていた事は事実でも、そのことに何の感傷も抱かない。それを楽しむ様になったのは何時からだったのだろう。
どの業種でもそうかは分からないが、大体の仕事の引継ぎはメリットはあまり無い。引き継ぐという事は、誰かの仕事を覚えて代わりに出来るようにならないといけない。営業の引継ぎに関しては、雑務は各自でやることが多いし、上司からの頼まれごとは新人か成績の低い人がターゲットに選ばれやすい。だから、顧客の引継ぎだけが宙に浮く。僕はそれを率先して奪っていく。
僕のやり方を真似しようとしたり、煙たがれたりする場合もあった。それも暫くすれば上司が黙らせてくれた。
上からすれば、数字を稼いでくれる社員の方が有難い。凡人やそれなり程度の実力が徒党を組もうが、僕一人の方が価値が高いようだった。
あまりこういう言い方をしたくないが、ソシャゲとかのレアリティーに似ているかもしれない。
自画自賛になるが、僕がSSRで彼らが
将棋で例えるけど歩は金にしか成れない。僕は飛車だ。龍にもなれる器だった。
自意識過剰だったのかもしれない。僕の前世は嫉まれた同僚に殺された。
こっちの世界で全てを知った。嫉んだ同僚が僕専用に近かった社用車に細工をした。本人は悪戯気分だと思っていたのかもしれない。
タイヤのパンク。本人が下手に知識があったのもいけなかったのだろう。気が付かず運転して、雨で車がスリップして事故。運が悪く、そのまま僕は元の世界に戻れなくなった。
二度目の生で僕は反省した。教訓を得たといって良いだろう。
仲間を作ろうと思った。僕に与えられたのは聖書でのミカエルという大層なもの。
冗談じゃないと思った。やりたくなかった。そんな名を背負いたくは無かった。でも神は全て分かった上で、その選択をしてくれた。
聖書と同じく僕の肩書は多かった。僕なりに反省してから、人を頼ったり、使ったりするようにした。上の立場ではあるけれど、そうすれば人から悪い対応はされなくなった。嫉妬もされない訳では無いけれども、前世に比べたらマシだ。
それに最悪、こっちで死んでも蘇ることは可能だ。僕が死ぬなんてほぼ有り得ない事ではあるけれど、その保険があるからか心は何時も落ち着いてけていたのだろう。
ルシフェル。いずれは堕天するのかもしれないと注意していた。読み違いのルシファーという名の方が僕的にはしっくり来る。その名を悪魔や堕天使とかに名乗っているみたいだが、その名になった事を僕は認めはしないし、許したくはない。
彼が堕天する可能性は皆が知っていた。聖書を軽くでも知っていれば、その事実は誰もが認識していたのだろう。
それでも彼に皆が惹かれた。僕も彼に焦がれていた。
僕が唯一嫉妬した男だ。神からの寵愛を受けていたと言っても過言では無い人だった。文字通り、神のナンバー2として恥ずべき所が無かった。……未だに思う事がある。今でも彼が戻って来る事を僕は望んでしまっている。
他の
二人が想いは違うだろうが、ルシフェルに対して特別な想いを持っていた事は明白だった。ある程度の天使からすれば、共通認識といっても良かった。
彼が堕天した。アザゼルやシェムハザを引き連れて、僕たちの前から去っていった。
原因は色々あることは知っていた。それでも僕に出来る事があった筈だった。僕はどうしようもなく後悔した。
戻れないだろうか。戻りたいと思う。あの頃に戻ってまた皆で一緒に居たい。
あの光に包まれた幸せな空間をもう一度味わいたい。
ルシフェルという神とは違う光を僕はまだ手を伸ばし続けている。それと同時に怒りがある。僕は良い。だけど、神やガブリエルを悲しませた事だけは絶対に許せない。本当にそれだけは僕の一生かけて制裁してやると胸に誓った。君は本当に愚かだよルシフェル。君は昔から女性の扱いだけは上手く出来ないんだね。
それにしても、ルシフェルが堕天する理由が今一つ分からない。建前的には激務と言ってはいるものの、それだけではないと感じた。……もしかして、ただ逃げたのだろうか?彼は鈍感で無いと思う。だから二人の好意に気が付いてはいた。選べなくて逃げた?彼なら有り得ます。それも原因なら軽蔑しますよ。
それは良くないですが、もっと困った弊害が発生しています。僕が天使で一番早く結婚した事もあってか、まるで恋愛強者みたいな扱いをされてしまっている。僕はそんなに人間じゃないんです。偶々、この人となら長い時を過ごせる運命の人に出会えただけなんです……。
それを僕の力にしないでください。やめてください。二人とも、相談を持って来ないで。特にアルカディア様、むしろ貴方は立場からしてもう無理だと思いますよ。常識的に考えて、神が叛逆した堕天使を娶りたいとか気が狂ってると言われても仕方が無い事ですよ。
ガブリエル。貴方は自分の性癖を理解していますか。彼はノーマルです。無理矢理カップリングするのをやめましょう。その他の性癖も歪み過ぎです。逃げられるのも仕方ないですよ。
最後にメタトロン。あの人に見出されたて特別な感情を抱くのは分かります。でもガブリエルが焚きつけたからと言っても、彼にそっちの気はありません。認めたくないですが、貴方だけは応援しませんよ。億が一でも二人のどちらかが結ばれたら祝福はしますよ。あくまでも二人のどちらかが、それを出来たなら認めます。その二人を更に追い込む……いや、ガブリエルは悦びますか。訂正します。
良いですか、同性愛を否定するつもりはありませんが、貴方は恋敵に配慮すべきだと考えます。えっ?身体だけの関係でも良い?知りませんよ!!!私は胃が痛いです!僕は認めませんよ!!!
彼が堕天した理由も分かる気がする。この中で一番結ばれやすいのが、我が神な事に震える。いやだ。なんで僕だけがこんな目に。僕はカウンセラーじゃない!!!
そう思ってたら、なんか急にダークホースが現れた。
聖女リーゼロッテ。彼が好きそうな外見だった。彼が一目惚れしてしまった相手だった。
それだけを聞けば、荒れ狂うと思って恐怖することだろう。だけど、真実を知っている以上は僕は別の恐怖があった。
そこまでするのか。もう僕には手が負えない。そう思って動向を窺って、見守っていただけだったのに、リーゼロッテの相談を乗る事になった。なんででしょうね……。
その甲斐あって、何とか今回は成功した。メタトロンを天獄にぶち込む。
長かった……。ようやくだ。ルシフェルが誰かと結ばれた。彼の甲斐性を考えれば一人が限度。これで終わる。そう思っていた時期が僕にもありました……。
終わりませんでした。何時の間にか抜け出していたメタトロンを再び天獄に幽閉する。二人が怖い。まだ諦めてないの?ゆるして、ゆるして……。もう僕は何も出来ない。したくないです。
そう考えてたらメタトロンが脱獄して、下界へと向かって行ってた。知らねぇよ!!!
僕は寝込んだ。
ミスリード(謎)
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実は堕天寸前