やめて!殺さないでっ!   作:ハラシキア

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ガブリエル
緩急〇


軽い用語解説

冥界
悪魔と堕天使が領地にしている世界
広い

地獄
主人公の領地
地上と違い現代レベルまで発展している
時間が流れが地上と違う
制約の制限が解除される
主人公とその眷属は残機が無限になる



後半三人称
戦闘描写です


長め


磨き上げた力は全てを解決するらしい

 

冥界に行き、大罪の悪魔連中から上納金(シノギ)を巻き上げた。これで俺は百年は戦える!

そこまで要らないので、一年分ぐらいの運用資金だけを手元に持っておく。残った金は地獄に使うぜ!

 

次いでに最初の眷属に新たな部下を聞いてみた。

 

「アイツどうなった?」

 

「終わった。半年も持たなかったな。直ぐに眠る(休む)事になったぞ」

 

「……根性なしがっ!」

 

興味無さそうに俺を見る眷属。その目は何であんな奴を連れて来たんだ?という目だった。

……俺は見る目が無い。アイツが初めてじゃないからな。

 

「実力は下級神に届きうるレベルだったんだがな」

 

「そちらの世界での創作物のガワだけを被った別物なんだろ。俺からすれば力に溺れ過ぎた間抜けだ」

 

「人の身を自力で辞める奴が言ってもな……。で、一応聞いておくんだが再起可能な奴は出てくるか?」

 

「尖兵ぐらいにはなるだろう。小競り合いで使い潰すぐらいには数は揃ってるぞ」

 

「俺が聞きたいのはそうじゃないことぐらい分かるだろう」

 

鼻を鳴らし、腕を組みながら大胆不敵な笑みを浮かべたゼロ。下にある歓楽街を見下ろしながら呟く。

外見相まってスゲー似合ってんな。終盤に出てきそうな悪役(ボスキャラ)だぞ。三十近い風貌をしているが、もっと老けた容姿をしていることが多いんだがな。なに?失恋でもしたの?

 

「使い物になるかは分からんぞ。個人的には再起を待つよりも、足掻く者共の方が評価は高い。実力はあったかもしれないが、子供が剣を振り回してるのと変わらん。向上心のある者の方が先がある。研磨の時間は幾等でもあるだろ。近道をしようとして楽を選んだ末路がアレらだ。戻る者も居るだろうが望みが薄い。お前の糧になるとは思えん」

 

「光るものがあると感じたんだがなー。そうかー、やっぱり駄目か」

 

「成功体験を繰り返せば、それが当然になる。失敗も恐れずに挑戦出来る心が必要になる。成功とて、要因を洗えば学習は出来る。出来るのにしないのは怠慢だ。ロトは勤勉だったが、子孫にそれを伝えれなかった。その責をベルフェゴールが背負うのは酷とは思うが、それも世の運命(さだめ)であったのだろうな……」

 

「おじいちゃん、昔話は後にしてよ。……お前、もしかして俺とのタイマンしたいが為に見込みのある奴らを潰してるってないよな?」

 

「さあ、どうだろうな」

 

……そんなことはないか。俺もおかしな方向に思考がいってるな。

あのゲテモノに出会ったせいだな。思考が乱されるわ。

 

「失言だ、すまんな」

 

「気にするな。意外と思うかもしれないが、お前とのタイマンが無くても楽しめてるぞ」

 

うん?ああ、コイツが自ら鍛えた方か。期待しては無かったな。そうか、それは良い報告だな。

 

「そっちはサブプランでおまけに過ぎなかった。お前みたいな例外がそんなに現れんと思ってたからな」

 

「力はそうだ。自惚れじゃないが、俺には遠く及ばない。徒党を組まれて一撃貰うかどうかだろうな」

 

人類元最強が何か言ってるわ。なんで人間状態の時に他神話の最強格であるヘラクレスを十二回も殺して引き分けに持ち込んだんだ……。あっちは半神やん。お前はただの人間だろ。

そもそも、寿命が今よりも長かったとしても五十年以上強さを更新し続けるのが意味が分からん。全盛期過ぎて、流石になーとか思ってたらなんでそっからまた成長しだすの?挙句の果てには自分の力で寿命という枷を外したしな。

種族が天使や悪魔に変わるなら分かるが、全く違う種族だからな。真人類(クリアヒューマン)と言うべきか。

 

寿命という生物として後世に残す必要が無くなった完成体だ。生殖機能が機能しなくなった。同格というか子孫を残せれる母体が存在しない。

種族して可笑しいが、現状で真人類はコイツ以外に現れる可能性は零に等しい。悪魔や天使、堕天使はハーフが存在できるのに、コイツだけが俺らの神話のイレギュラーになっちまった。

 

邪神ですら対応に困った。だから奪った。俺が眷属へと迎い入れた。

俺の初めての契約者で、唯一の眷属。悪魔としての格だけでいえば、俺は大魔王なので大多数の眷属は持てるんだがなー。

あの偽桐生もそうだったなー。アレも含め、他にも候補は居たが目星を付けるだけで終わるんだよな。勝手に脱落していくというべきか。内政もコイツに任せてるが、正直勿体ないんよなー。内政出来るのが欲しいな。

 

「お前が眷属候補を鍛えてくれてるが、さっきも言ったが期待はしていなかったんだよな。お前は戦士としては世界の頂点だろう。だが、それが育成面で発揮できるとは思ってなかった」

 

「……お前は身内認定したら過大評価しがちなトコがある。俺は強い自覚はあるが、最強になったつもりは無い」

 

「それで良い。俺はこの世界の戦士として、と言ったんだ。この世の理では邪神ぐらいでしか、お前に膝をつかせることは出来ない」

 

「全ての戦士の頂点かと思ったぜ。それを目指してはいるがな」

 

「勘違いするな。この場所だとお前は大罪上位クラス。だから俺に勝てないように領域での有利不利は覆すことは難しい。何れは俺レベルまで来て欲しいが、流石に簡単に抜かれるつもりはねーぞ。お前が成長している様に俺だって指咥えて待ってねぇからな」

 

「熱烈に誘ってくれるじゃねぇか。おい、ヤろう(殺し合おう)ぜ」

 

「ストレス解消だ。本気でいかせてもらうぞ」

 

久々に見せるとするかね。大魔王様の本気ってヤツをな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄の闘技場。コロッセオをモデルにした建物だった。

そこに向かい合う地獄の支配者のルシファーとその運営を任されている唯一の眷属であるゼルエル。地獄どころか冥界でも知らぬものは居ない二人の対決。偶にあるこのイベントは突然の開催にも関わらず、冥界中の住人達が仕事を辞めて見に来ようとしていた。

 

当然のように賭けが始まっていた。恒例行事ではある為、皆も手慣れたように胴元へと各々のチップをBETしてしく。

だが、そこにはどちらが勝てるかを賭けてはいなかった。皆がゼルエルがどれだけの時間を持ち堪えるかを賭けていた。

 

最短で十分以下。最長で一時間と幅が広かった。ゼルエルが勝てるとは誰も思っていなかった。

それはゼルエル本人ですら分かっていた事だった。地獄の支配者であり、この空間においては誰もが理解していたのだ。

ルシファーという冥界の創造主に勝つことは出来ない。それは絶対の理だった。確定している未来と言っても過言では無い。

そして、このギャンブルには致命的な欠点があった。

 

合図も無く動き出す両者。

それを認識した時点で結果とも呼べる結末に変わっていた。

 

見逃していない筈なのに、気が付けばゼルエルの首が飛んでいた。数秒も経たずに元へと戻り、獰猛な笑みを浮かべて戦闘意欲が衰えていない事を周囲に示したが、それはあまりにも理不尽過ぎた。だが、冥界の住人達にとっては当然の光景だった。

文字通り遊ばれていた。ルシファーがその気になれば、先ほどの光景を何時でも繰り返す事が可能なのだろう。

 

……このギャンブルはルシファーの匙加減で時間が決まってしまう。

ゼルエルが持ち堪えるというよりも、ルシファーがどれだけ手加減をするかで決まってしまう残酷なショーだった。

 

ゼルエルは手加減が緩くなってきたルシファーにその拳を振るう。見世物の為にスペックを制限されているとはいえ、その技量は本物だった。ルシファーに攻撃が届く。その瞬間にゼルエルはその身を地面に投げ出されていた。

 

合気道という武術がある。ルシファーはそれを知っていた。知識だけを知っていた。

ルシファーという身体はその技術を再現どころか昇華することが出来た。合気道だけではない。空手、相撲、柔道、ボクシング、テニヌ、ムエタイ、サンボ、システマ、手品、テコンドー、少林拳、太極拳、キックボクシング、飛天三剣流、剣道、シラット、射撃、忍術、フェンシング、弓術、レスリング。聞いたことのある技術は全て会得する器があった。

才覚だけで辿り着いた領域ではない。何万回と死を繰り返し、何億時間と試行錯誤し辿り着いた境地である。権能頼りと思われがちな戦闘が多いものの、その実力は確かな努力の下に積み上げられた紛れもないルシファーの実力だった。

 

あらゆる攻撃が届かない。徐々にルシファーの手加減が上手くなる。

最早、戦闘というよりは稽古に近くなっていた。あらゆる攻撃が届かず、殺される事も無く、悪い所だけを修正していく。

 

気力が限界に近くなったのだろうか。心が軋む音を無視して叫び声で気合を入れるゼルエル。

ルシファーは冷徹な眼差しでそれを眺めていた。無防備にその身体を晒し、ゼルエルの次の攻撃を待っていた。

 

これが最後の攻撃になるだろう。自ずと観客たちも固唾を呑み、その行方を見守っていた。

 

ゼルエルが叫び声と共に自らの全てを解き放った。全てを賭けた一撃だった。命の全てを次にぶつける彼が持ちうる最大の攻撃だった。

離れていた距離がゼルエルの踏み込みで即座に詰められる。

 

凄まじい踏み込みだった。たったの一歩で詰めた事実。制限されていてもこれだけの力を扱う事が出来る事実に、冥界の住人は身を乗り出す程の衝撃を受けていた。遅れて踏み込みの衝撃が観客席の前の結界を揺らす。

皆が言葉を失っている中に誰かが呟いた。

 

「違う、理想はそうじゃない」

 

瞬きすら許されない高速の戦闘の最中、その言葉だけがやけにハッキリと聞こえた。

そんな事を知らぬとばかりに、ゼルエルは自信を持った笑みを浮かべながら叫び声と共にその右腕を振りぬいた。

 

 

 

静寂が辺りを包んでいた。ゼルエルの渾身の命すらも賭けた一撃は、ルシファーの人差し指一本で止められていた。

 

「……なっ……」

 

嗚咽に似た声がゼルエルの口から洩れた。元々通用するとは思っては居なかった。だからと言ってもこの結果には信じられない気持ちが強かった。

 

「手本を見せてやろう」

 

ゆっくりと、受け止めた指が滑るようにゼルエルの頭に移動する。デコピンの構えだった。放たれた直前に見る者全てに死という概念が襲った。

その指は黒く染まっていた。信じられない事にとんでもない一撃であることが、誰でも理解することが出来た。

それは一つの結果だ。確定した未来がその場に居た全員が理解させられた。

 

放たれた。刹那、ゼルエルの姿が消えた。何一つ存在していなかった。疑問に思う観客に何かよく分からない甲高い音が聞こえた。暫くして状況を理解できた強者達だけ戦慄した。同時に絶望した。あまりにも差がありすぎて、戦う筈の無いルシファーの力に恐怖をしていた。

 

一流の術者が張った結界が跡形も無く消えていた。先程の音が恐らくはその痕跡とも呼べるものだったのだろう。

大多数の者たちにとっては、魔法でも使ったという認識だった。数少ない強者達はその真実に瞑目することしか出来なかった。

 

闘技場の端にゼルエルが身体を再構築しながら、ルシファーに歩み寄っていく。

子供の様な、まるでヒーローを見ているような羨望と憧憬の籠った視線をルシファーへ向けていた。

 

「アレはなんだ?俺にも出来るんだろ?」

 

大きく息を吐き出し、絵画になるような微笑を浮かべながらその口を開いた。

 

「お前は無駄が多い。踏み込みのエネルギーが勿体ない。そのロスを無くしただけだ」

 

「俺が本来出来た一撃とそのエネルギー分を俺にぶつけた訳か。聞きたいことが多すぎるな」

 

見るからに興奮していた。身体の疼いているだろうか。今にも動き出しそうな身体を必死に抑えつけているようだ。

そんな彼にウインクすると地獄の主はその姿を消した。

 

 

「遥か遠くか。面白れぇっ……!俺はまだまだ強くなる!」

 

ゼルエルの呟きは、騒めく闘技場へ飲み込まれていった。

 




戦闘描写大丈夫だろうか




Q.なんで偽桐生さんや他の戦闘で武術を使わないの?

A.スペック不足です。武術も制約の一部になってるので、一つ使おうとするだけでも駄目です。教会関係者に対しては制約で武術を使った防御も出来ません。大人しく殺されましょう




途中分かる人にだけ分かる小ネタ入れときました
誤字じゃないけど、気づいてくれっかなー
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