タイミングが良い。俺が戻ったタイミングを見計らっていたんだろうな。
それにしても不思議だ。いや、危機感を抱いたのか。所詮、奴らは敗北者じゃけぇ……。
冗談は置いといて、俺が一番反応良かったこと、容姿と実力に負けている自覚でもあったのだろうか。
興味ないね。さて、殺すか。
一瞬でリズの場所に移動。リズが驚いている。さて、少しはいいトコ見せますか。
まだ戦闘は序盤。小手調べの段階か。
「おいっ!話が違ぇぞ!まだ戻って来ない筈だろ!」
「知らねぇ!クソ、予想外だ。やるしかねぇぞ!」
「関係ない。どの道、いずれは戦う事になってたんだ。今になってからって狼狽えんな」
「そうだな!やるぞ!」
四人か。雑魚だな。全員があの偽桐生以下か。訂正、読み違えた。それ以上も混ざってんのね。一般的な神クラスか。なるほど、独占したいのね。協調路線じゃなく、それぞれが虎視眈々と独り占めを狙ってる感じか。なるほどねー。
見た感じロクに制約も分かってないな。その点ではまだ偽桐生の方がマシか。マシな奴も分かってるフリをしてるだけだな。馬鹿だなー。逆立ちしてる俺にも勝てんぞ。
危なかったな。リズなら勝てるが、まともに人を殺したことが無いから隙が出来てた。急激に成長してるが、圧倒的な実戦不足。ポテンシャルと聖女の力で遅れは取らんが、万が一は有り得た。
「一応、聞いてやるよ。お前らは俺に勝てないぞ。それでもやるんだな?」
「調べはついてるぜぇ、ルシフェルさんよー。権能と魔法は強力だが、その売t」
最後まで言わせずに首を飛ばして殺した。魂を縛って地獄に連れて帰るか。永劫の苦しみを与えてやるよ。
リズが目を瞬かせてこちらを見ていた。
あっ、そういえば名乗って無かったわ。若干頬が赤らんでいる。邪神かゲテモノが何か言ってそうだな。そういう目的かね。まあいい。
逃げられん様に世界をずらす。ついでにリズに被害が出ないように空間を遮る。
リズは何か言いたそうだが後で聞くか。さあ、ゴミ掃除の時間だ。
「情報を抜こうと思ったが……ヤメだ。舐められたモンだわ。後でじっくりと聞いてやる」
「クソがっ!」
「大丈夫だ!まだ負け」
二人目。時止めで普通に首を斬った。
……アレ?俺の権能を知ってんだよな?対策の一つぐらいしとけよ。
溜息が零れながら範囲殲滅魔法を発動。今回はリズも居るし、見栄え重視の光の雨を降らす。光と言いながら放射能の塊。即座に発症するヤバすぎる魔法。
魔法に関しては制約がほぼ無いし、無限に近く使う事が可能だ。環境にも配慮して、人体にしか影響が出ない安全設計。苦しみが確定したら地獄に届ける安心サービスでリズの目にも優しい!ナイスな選択だな!
ほう、リーダー格と言えば良いんかな。一般神クラスの奴だけが残ったな。他は地獄行だな。
まだ余裕そうだな。表情は苦いな。流石に力量差を理解したか。もう遅いがな。
「諦めた方が良いと思うが」
「……想定よりも捨て駒の消費が早いか。ここは退かせて貰おうか」
何言ってんだコイツ。
「取引がしたい。先ほどの馬鹿と違って俺はその聖女に興味は無い」
「……話が出来んのね。それで何を提示してくれんだ?」
多分、コイツに突破手段は無いのか。見誤ったな。俺がここまで実力を隠すとはな。不気味すぎる。
勝てるが、そこまで実力を隠せれるのが凄いな。俺の封印に近い手段か?そういう力なんだろうが、敵に回したくないし、逃がしたくは無いなー。
「観測者と言えば伝わるだろう。ここに来たのは影響の観測の為だ」
「……なるほど。なら、話が早い。目的は達成した、ってことで良いのか」
「ああ、その通りだ。今回は神アルカディアの独断専行が過ぎた。観測により、ここが
面倒な。未来から観測者の介入ね。世界規模で問題が発生したのか。
今ここで聞けんか。敵では無いと分かっただけでも僥倖か。下手に情報はこれ以上は厳しそうだな。
結界を解除。そんなことをしなくても普通に戻れる癖にな。世界への干渉レベルを上げる訳にはいかんのね。そこら辺は神の領分だ。知ったこっちゃあねぇな。
「それで?見逃すのは確定事項だが、何か他にいう事は無いのか?」
「お前たちは未来で結婚する。もうそれは確定事項だ」
「マジか。……嬉しいがお前に言われてもなー」
珍妙な生物を見るような目で俺を見るな。……えっ、何?俺もしかして未来で何かやらかしたの?
面白そうな目で俺を見てた後に姿が消えた。帰ったらしい。
振り返ると顔を朱くしていたリズが目に入る。俺と視線がぶつかると、慌てて視線を逸らした。
おいおいおい、こりゃあ惚れてますわ!!!勝ったわ!風呂入ってくる!!
俺は決め顔で笑いかける。
「すまん、もうちょっと早く来るべきだったな。怖い思いさせたか?」
首を可愛らしく横に振った。眼に怪しい色がある。何故か寒気がした。一瞬だけあのゲテモノの気配を感じた。
気のせい、だよな。気のせいだ!!!
気にしない事にする。見間違いだろ。ほら、もう戻ってる。
んー?なんか目が可笑しい。まるで、憧れの人に出会ったような感じか?
やはり、邪神が何かしたっぽい。その何かは分からんな。俺にとって悪い事では無さそうだな。
「一つお願いがある」
「……うん。出来る、ことなら……」
受け入れてくれてるのかよ。おい、さっきの未来からの来訪者からの発現の信憑性が増したぜ!
……マジで俺が運命の人みたいな感じだな。何かしたとは思ってたが、本当に何をしたんだろう……。
邪神とゲテモノの考えは分からん。本人たちが諦めが悪い事は理解しているが、じゃあ何故リズという存在を生み出したのかが分からん。
考えすぎか。うーん、考えない方が精神衛生上は良いな。
「良ければだけど、君の危機を一早く知りたいから、さ。どうにか君に相応しいものを創るけど、良いかな」
「ものに、よる。けど、嬉しい……」
デレてくれてる。かわいい。
気合入れて創るか。さて、デザインは白っぽい鈴で良いか。
天使状態へ移行。奇跡を上手く使って創った。
「これはどう?」
「一つ、お願い、ある。紐を紫に、して」
「別に良いけど」
んー、あー、俺の創った月の色か!なるほど、一瞬だけ視線がズレたのは見逃さない。
表情筋に力を入れて気取られないように頑張る。駄目か。雰囲気だけは誤魔化せん。
俺が気付いたことに焦ったのか可愛らしく俯く。顔の朱さは隠せてないようですねぇ!かわいい!
「じゃあまた来るよ!」
「あっ……」
手を伸ばされた。断腸の想いで無視した。
そのまま手を取りたい。その手を掴んで一緒に堕ちてゆきたい。駄目だ。まだ駄目だ。
そうしたい。けれど赦されはしない。いずれは結ばれる。それで良いだろ。
その未来が分かってるだけで充分だ。欲張ってはいけない。
何故だろうか。俺たちは惹かれあっている。何故障害があるんだろう。
キッカケはどうであれ、俺たちは一緒になりたいという気持ちに嘘は無い。
歩くたびに足が重くなる。帰りたくない。ずっと傍にいたい。
もう彼女を見る事は叶わない。振り返るが、もう姿は無かった。
黙って頭上の月を眺めた。紫銀の月が目に入った。
彼女へのプレゼントと言いながらも、俺も彼女を想って創った。
少しだけ心が安らぐ。届かないが手を伸ばした。
数日後、彼女が教会を抜けて来た。
ちょっと、何言ってるかワカンナイ。