やめて!殺さないでっ!   作:ハラシキア

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神は俺以外には超絶激アマ

付き合いの永いある悪友が現れた。俺と同じく堕天使。俺と同じく日本人の元社畜で、俺の誘いに一緒についてきた馬鹿。

 

「おいおいルシファー。悪魔のお前が堕天使みたいな恰好しているじゃねーか」

 

腹がたったので翼を黙って消した。

 

「アザゼル、何の用だ?」

 

「冷たいなー。翼だけの解除でもお前にとっては意味があるだろ?聖者との邂逅に新たな神託。お前、本当に何したんだよ。何してくれてんだよ!」

 

キレられた。俺も悪いので黙っておく。

久々の旧友の再会。旧交を深めるのは良いが、それどころじゃない。絶対にただで終わる筈が無い。あの邪神が俺を赦すなんて有り得ないのだ。

 

俺はマジで運が良かった。文字通りのスケープゴートが駆けつけてくれた。正直リゼが来ることを期待しているが、多分あの邪神に妨害されてる。

流石にね?一応は元ナンバー2だからね。あの邪神の考えてる事ぐらいは余裕だ。不本意だけど、嫁と一緒ぐらいアイツの事を知っている。

 

さて、どうしようか。勢いで翼を消したが、正解だったな。未来見たら目の前のコイツが貫かれたわ。

 

「おい、お前未来見たろ。何が見えた?絶対にロクでも無いことだろ。もういい!俺は帰らせてもらう!」

 

確信犯だろコイツ。そして、穏やかな顔をしてアザゼルは飛来してきた朱色の槍に貫かれる。

断末魔をあげて煙を出しながら倒れ伏す悪友。速攻で戻してあげた。

 

「ヤバくね?」

 

「やっぱ、頭おかしいよ、あの邪神(おんな)……」

 

神具とは聖なる力が込められた悪魔特攻武器である。その筈だった。

堕天使は俺以外は聖なる力を無効化、弱体化が可能だ。最高位の堕天使であるアザゼルがこの有様だ。あの邪神はいつもそうですよね!俺の事をなんだと思ってるですか!

 

「おい、お前何したの?元上司がガチ切れじゃん」

 

え、話さないといけないの?コイツに?憂鬱だった。でも、追撃が無いのは邪神からの無言の圧か。くそったれー!!

 

話した。大爆笑された。コイツにだけは知られたくなかったよ……。

 

「お前もついに所帯持ちか。やったじゃん。おめ」

 

軽い。けどニヤニヤしてる。くそが!今後一生擦られるネタをあげちまった。

 

「ん?ちょっと待って」

 

ポケットからスマホを取り出した。文明の利器ってやっぱ便利よな。勿論、この世界だとスマホどころか産業革命すら起こりそうにない。例外はあるからそっちで似た様なものが出来る可能性はあるか。

うーん、リズで悩む必要無くなったし、今度顔出してみるか。

 

「?……これが神託?正気?」

 

アザゼルが首を傾げていた。俺は画面を見れないのでアザゼルの答えを待つしか無い。

アザゼルが真顔でこっちを見ていた。え、怖い。何時もふざけた友人が真顔になるとか、本当に心配になるからやめて欲しい。

 

「お前の嫁さんって、元聖女だよな……?」

 

「何を今更。ついでに七災厄やぞ」

 

「だよな。お前にも非はあったとは思う。けど、お前の嫁さんやべーぞ」

 

「えっ」

 

何をやったんだリズ!アザゼルにもお前の所業は知れ渡ってんだぞ。そのアザゼルがドン引きって何やったんだよ!

俺のスマホに通知が来た。アザゼルから神託の内容が飛んできた。先に時を止めといた。邪神は言っている。ここで推理する定めだと。

 

「うわっ」

 

「はよ、解読しろ。俺も何となくは分かるけど、お前の方が良く知ってんだろ」

 

急かすな。お前は結論を焦りすぎる。

三行目でリゼが奇跡とか使える理由が分かった。赦されてるのも分かった。俺以外にはゲロ甘だからなあの邪神。アザゼルを筆頭の堕天使がそこまで狙われてないだけで、そのことが良く分かる。あの邪神の中でアザゼル達はただの家出なんやろうなぁ。それにしても。

 

「偶然か?七の神託とか幾らなんでも都合が良すぎはしないのか?」

 

「夫婦揃って七災厄なんだから、そこは確定だろ。眼を背けんな」

 

さっさと推理しろ、とアザゼルは(ジト)目で俺に催促する。溜息をつきたくなる。他人事だから気楽だな、コイツ。自分が気になってるだけじゃねーか。

四五六の事だろうな。確かに今までの邪神なら有り得なかった。

 

「四で俺を赦す事を認めている。で、五だよな」

 

「そこだ。元上司がお前を赦すのも異常だが、認めると祝福が分からん。文字通りじゃないことぐらい判り切ってるからな」

 

「いや、これは文字通りだな。六で試練を与えてるから、それを乗り越えれば、俺の呪いとか解除してくれるって事じゃないの?」

 

「は?……お前がそういうのならそれが真実に限りなく近い訳か」

 

アザゼルは頭を掻きながら面倒臭そうな表情を浮かべる。

 

「お前もまだ邪神のパシリかよ」

 

「五月蠅い!お前も所帯持つんだから、俺の苦労も少しは理解出来るようになるさ。じゃあ試練の内容言うぞ」

 

いろんな女に手を出した所為で養育費等を稼ぎ続る哀れな父親がそこに居た。なんでお前は聖書から学ばないんだ。お前がその名を背負った以上はそうなる事ぐらい分かり切っていただろうが。

そういう風になりそうだから、あの邪神がそういう命名したのも事実だが、ある程度は回避出来ることも俺が証明してる。本当に女だったら誰でも良いんだろうな。少しは自重しろ。全員責任とってるのだけは褒めてやるが。

 

「『神アルカディアが堕天使ルシフェルに告げる。其方は契りを交わした。其方は愛し子を幸せにする責務を全うする事を誓わなければいけない。試練は一つ。我が愛し子への想いを全てに聴かせるのだ』っていうことだわ。意味、分かるよな?ルシファーくん?」

 

ニヤニヤと笑った。えっ。

 

 

つまり、俺は今からリズに対して愛の告白をして、それを全世界に伝えるの?しかも、これ仲人を邪神がして、見届け人はコイツなの?実質結婚式じゃん!

 

な、なにこの罰ゲーム。やっぱり世界は俺に優しくない。

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