やめて!殺さないでっ!   作:ハラシキア

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職場がコロナとインフルに襲われてました
感染することも気を付けないといけませんが、残された人の絶望は筆舌しがたいものがあります
皆様も体調には気を付けてください


難産でした
シリアス入ると手が全く動きませんね
文字が固いせいで、時間がかかりました……

若干説明回


本番は結局想定通りに行く方が少ない

また紐なしバンジー飛ばされんの?せめて一日一回にしてくれ。それならまだ耐えれる。

 

≪早くしなさい。後で機会を設けるので、それを対価となさい≫

 

言ったな!逆襲チャンス来た!?

……まあいい。もういいよ!わかったよ、やれば良いんだろ。はいはいやりますよ。

 

俺は懐から箱を取り出した。片膝をついて、リゼに箱の中身を差し出す様に見せた。

 

「リーゼロッテ。君の事を愛することを誓うよ。この先、何度逃げ出すかは分からないけど、最後には君の所には必ず帰ってくる。受け取ってほしい」

 

なんで皆に見られながらやらないといけないんですかね。目茶苦茶恥ずかしいし。こういった時だけ空気読んで、周りの群衆も黙ってるし。

周囲を見たいけど、この状況でそれも難しい。見れる方法はあるけど、それよりもリズの反応を待った方が良いな。少しは喜んでくれると良いんだが。

 

黙っているリズ。眼の色がまた光を取り戻したようだが、俺には何を考えているかが分からない。表情を窺い続けているが、口元すら全く動いていない。何かを堪えている様にも感じたが、それは俺の勘違いだろうか。長い沈黙が続き、不安に心が乱される。

もしかして、失敗だっただろうか。思考がネガティブな方向へ進んでしまう。勢いと、邪神から急かされたとはいえ、自分自身が選んだことで、そのことに後悔はしていない。逃げ続けた結果が今だと思っている。それが俺が積み重ねて、目を背けていた事実だ。甘んじて受け居る事しか出来ない。

 

リズが唐突に振り返った。釣られて俺も視線を奥にもっていく。

駄目、なのか。一度は受け入れて貰えたが、五十年も逃げ続けたんだ。未だに俺を愛してくれているなんて、それは都合が良すぎる。彼女の事を何も考えていない。曲がりなりにも愛しているならば、そこはちゃんと話し合いをすべきだった。たとえ何度殺されようとも、それを踏まえた上で彼女を愛していた。それならば、俺には違う選択が取れていた筈だった。逃げ続けるのは恥だ。

文字通り無限に生き返れる俺にとって、彼女に殺され続けた所で何になる。それが歪であることは間違いない。でも、それが彼女の愛の形ならば俺は受け入れるべきだろう。今後はなるべく控えてくれると嬉しいが、彼女は俺を殺す事を求めるなら仕方がない。本当に嫌ではあるが、受け入れざるを得ない。彼女がそれをしたいと言うならば、俺は甘んじて受け止めてみせよう。

 

視線の先には馬鹿共が居た。ミカエルはなんか泣いていた。泣き続けていた。ボロ泣きだった。

アザゼルは相変わらずかと思ったら、微笑ましそうにこちらを見ていた。年寄りが若いモンを見て、眩しそうに、懐かしそうにしてる目に似ていた。

邪神はただ微笑んでいた。遠目からだが、機嫌が良さそうだった。

 

三者の思っていたのとは違う反応に困惑する。なんかさっきみたいに茶化してくれよ!いたたまれない気持ちになります!

リズは唐突に祈りを捧げた。とんでもない聖気がリズから放出される。

明らかに異常すぎた。聖女時代の全盛期以上の出力だ。歴代最高の聖女のリズが更にその域を越えた。お前はバトル漫画の主人公か!

 

リズが振り返り、笑みを浮かべていた。見惚れる程の笑み。過去最高の良い笑みだった。

 

「ルシ、着けて」

 

長いわ。何時まで待たせんだよ。……まあ、俺も待たせすぎたな。これぐらいはいいか。

 

俺は箱から指輪を取り出して、リズの左手を掴んだ。

黙って薬指に着ける。俺とアザゼルが一週間かけて作った力作だ。この世に一つしか無い指輪だ。

表にはホワイトダイヤモンド、裏にブルーダイヤモンドがある。一応、リズに必要は無いが俺とアザゼルの権能等が若干込められている。魔道具としても優秀な逸品だ。素人に指輪作成なんて、マジで無茶だわ。権能が無かったら絶対に出来んかった。二度とやらんわ。

 

リズは微笑んでいる。聖気の放出を見るに感情が爆発したのか?聖気は基本的に信仰した時に、邪神から帰ってくる返礼品みたいなもんだ。ふるさと納税みたいなもんだな。人はどの神を信仰してもいいけど、返ってくる特典が色々と違うよ、って話やな。

聖気が増えれば、聖者にも聖女にもなれるしな。ぶっちゃけ、ただの称号やけどな。俺からすれば、聖騎士以上なら問答無用で逃げる対象だし、それ以上は奇跡が使えるかどうかだ。奇跡を使えるレベルは即死攻撃使ってくる敵と変わらないので、本当に嫌です。

奇跡つっても、結局は邪神が出来る事を人の身で再現してるだけに過ぎない。それを邪神は信仰(税金)を使って色々するか、聖気を使って出来る事をするかの違い、の筈だった。

 

邪神といえども限度がある。大規模な改変は出来ない。七災厄の一つに文明のリセットもあるが、あれは他の神も納得していて協力している事なので、邪神一柱だけなら出来るとしてもやったら最悪世界が滅ぶから出来ない。俺も含め、他の神々もそれは守らないと不味い。世界が滅ばないように細心の注意を払っている。

だが何事にも例外はある。

 

リズはおかしい。はっきり言って信仰対象である邪神よりも強い。勿論、この世界だけの話だ。邪神の住処である天界なら全力を使えるので、そこではリズは負ける。……いや、そもそもこの世界でも邪神に勝てる事が意味が分からん。俺よりも強い。この世界においての最強が邪神からリゼに変わった。嘘だろ……。

 

元々俺より強かったとはいえ可笑しい。タイプ相性的なのがあったことは事実だし、俺が全力を出せなかった事もある。俺の持てる全てを使って勝てるか?邪神は強いが、まだ勝ち筋はある。だが、リズとは……。いや、そもそも戦う事を考えちゃあ駄目だな。敵になることは、まあ、あるか。

大人しく命乞いしよ。

 

「ルシ、ありがと」

 

「お、おう。これからよろしく、な?」

 

「うん。ずっと一緒だよ?」

 

「……そうだね」

 

とりあえず、逃げるか。俺はリゼと一緒に逃亡を開始した。と思ったら、誰も追ってこない。

うーん。新婚旅行と割り切るか?どっか適当に観光でもしながら、家に行くか。

 

二時間程が経ち、世界にまた一つ神託が落ちた。

 

【神アルカディアが世界に通達する。堕天使ルシフェルと聖女リーゼロッテの結婚を祝福する】

 

最大宗教の神が俺を認めるという宣言。分かっていた俺たちは被害は無いが、世界にとっては衝撃だろう。

多分、俺が七災厄とはバレてない筈。後は教会が割れるのは間違いない。リズの扱いについて悩むのは間違いない。

リズは七災厄だと俺がバラしたからなー。時間の問題だったし、元々教会は把握してたしな。

 

あっ、思い出したわ。

 

「ごめん。リズ、ちょっとだけ離れるわ」

 

「どうしたの?」

 

「いや、ちょっと所用。あー、アザゼルをまあ……」

 

「あぁ……。いいわ、なるべく早くしてよ」

 

「大丈夫。権能使うから」

 

「そう、待ってるわ」

 

リズに断りを入れて俺は世界の時を止めた。そうして、馬鹿と二人になったのだった。

 

「!?お、俺を殺すのか?」

 

「うん、死ね!」

 

とりあえず一発。心臓を止めて苦しめながら殺してあげた。

のたうち回って動かなくなった後、この空間から出れないように設定しておく。

 

何度殺したか分からない。五回は殺したな。無様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやめて!殺さないでっ!」

 

「随分と、都合の良い事を言うじゃないか。おい、アザゼル。命の貯蔵(ストック)は十分か」

 

アザゼルを永遠に殺し続けていた。

 

命乞いをしてきたが、俺には通用しない。俺も嫁に良くしていたから良く分かる。反省していない。痛いから辞めて欲しいだけだろう。なので、俺の気持ちとして出来るだけ苦しめて殺してあげた。

 

抵抗は無駄だ。邪神が俺の呪いを緩和した。限定的ではあるが、俺は全盛期と同じだけ力を振るえる。

 

「ゆ、ゆるして。なんでもする!俺は悪くねぇ!全部ミカエルの仕業なんだ!」

 

「知るか。奴は天界に帰ったからな。アイツはまた後日だ」

 

なるほど、逃げたのかミカエル。どうせアイツは小賢しい。多分「結ばれたのは私のお陰」とかいって有耶無耶にするんだろうな。コイツで全部ぶつけるから良いか。

 

「とりあえず、俺が飽きるまでは殺すね」

 

「い、いやだぁ!!!誰かー!」

 

「安心しろ。誰も来れない。暫く二人っきりだね!」

 

俺は殺し続ける。全てがコイツが悪い訳じゃあ無いが、コイツも残機無限に等しいしな。うん、ちっとも心が痛まねぇな!

 

 

 

 

この後、百回ぐらい殺した。

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