やめて!殺さないでっ!   作:ハラシキア

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邪神決戦!お前に勝てるのは俺だけだ!

リズと結婚して数日。約束した日がやってきた。

 

「おい、邪神。てめぇを殺す」

 

「貴方は相変わらずですね。いいでしょう。結果は見えていますが、それが対価ならば仕方ありません」

 

俺は禍々しい剣を構えた。邪神は神気を放出すると、俺の剣に視線が向いた。

 

「その剣、貴方とアザゼルの死の呪詛が込められているのですね。その剣ならば、私を殺すことも可能でしょう」

 

「認めたな。やはり、この剣ならば漸くお前を傷つける事が叶う訳だな!」

 

「ですが、分かっているでしょう。貴方は私に勝てない。その剣を当てる事が出来ないならば勝敗は変わりません」

 

クククッ、そんなことは分かってる。俺がそう何十回も対策していないと思うなよ。

 

俺は新たに手に入れた力を使う。俺も神気を放出した。

 

「これが俺の答えだ、邪神」

 

「なるほど、充分に信仰されていた訳ですか」

 

「そうだ、お前に対抗するには一つしか無かった。俺自身が神になることだ」

 

「その自信は何処から出てくるのですか。それで終わりですか」

 

「後悔するなよ邪神っ!」

 

 

 

負けました。瞬殺でした。邪神には勝てなかったよ……。

 

 

「馬鹿ですね、貴方は。私が渡した権能が使えないのに、どうやって勝てると思ったんですか」

 

「お前に捕捉されるから鍛えられなかったんだよ!初めて魔神化したんだからな!」

 

「私も暇じゃないので貴方の動向を逐一確認していません。それに今後は必要なさそうですし」

 

そう言いながら邪神は剣を破壊した。

ああ……俺とアザゼルの二百回分の死が込められた剣が……。同じのもう作りたくねぇよ。しかも、ご丁寧に平行世界から回収出来ないように存在ごと消しやがった。あー、もう勝ち筋無くなったわ。やれんわ。クソゲーだわ。

 

「で、だ。結局何の用なの?」

 

邪神が俺を対価を払う為だけにここに呼び出す意味が無い。コイツの事だ。何かしらの事を一緒に頼むとかしてくる筈だ。

 

「察しが良いですね。何故、貴方は逃げたのですか。ただの堕天なら私は赦しましたよ」

 

「終わった事だろ。どれを無くしたいんだ?」

 

「……七災厄です。アレを完全に無くします」

 

なるほどな。三つ無くなるも同然だから、ついでに全部無くすって事か。

 

「無くすって言っても、全部無くした時は神秘が弱まるだろ。科学の力が発展するわけだから、弱体化は避けられないだろう。他の神は何て言ってるんだ?」

 

「了承済みです。この世界はテストケース。別の世界を構築中ですし、この世界の癌は早めに無くした方が良いでしょう」

 

「でも、俺が知ってんのも有名処だけだぞ。狂戦士病(ベルセルク)眠り姫(ロマンスプリンセス)だけ。つーか、他全部が別の神の領分じゃないの?」

 

「それらを解決出来ないからこちらに投げたのです。私達は七災厄として認定されていただけで、直接的な害は無かった」

 

まあ、そうね。こっちの三つは世界に与える影響は少なかった。リズは教会が恥だからで無理矢理押し通した災厄だったし、俺も隠しといた方が良いから認定されただけ。七災厄って名称もここ百年で出来ただけだからな。連絡会の権威を高める為に作った、という側面が強い事は否めない。

で、邪神が筆頭の神の裁き(アポカリプス)も他の神も認めていたし、協力してたから何も言えない訳ね。邪神に借りを作りまくってんのね、他の神々が。それでこの世界どうこうに関しても何も言う事が出来なくなった。そういう訳ね。

 

やっぱり、この邪神はミカエルの助言があったとしても政治力も含めて最大宗教の祖としては手腕が優れているわ。認めるのが嫌だが、その事実は受け止めないとな。

結局、俺の呪いも本当に緩和されたしな。七災厄を無くす前払いという事もあるだろうが、反故にしないのは神として評価出来る事柄だわ。他の神なんて「そんな約束を悪魔と結ぶ訳が無い」とか言って無かったことにする始末だ。一例に過ぎないが、その点だけは邪神の方が遥かにマシだわ。

 

……言いたく無いが、俺も邪神に反抗してるのは他の堕天使を巻き込んだ手前、引くに引けなくなった事もデカい。ブラック企業も真っ青の労働環境も千年以上も経てば、恨みも薄れるしな。それに蔑ろにされてた訳でも無かったし。認めたくないものだな。若さゆえの過ちというものを……。

 

「貴方が解決できるとは思っていません。リーゼロッテなら全てに対処出来るでしょう。分かっているでしょう」

 

「あー、はいはい。そういうことね」

 

俺は人柱か。俺ならば、何があっても対処することが可能だからって事ね。何度死んだりしても、全て情報にはなると。やっぱり人使い荒いわ、この邪神がっ!

俺、リズの為に何度死ぬことになるんだろ……。最近、リズには殺されてないのに。リズの為に殺されるのは確定なのね。

いいぜ、かかってこい!俺はリズの為に何度だって死んでやる!!クソが!

 

俺は黙って踵を返し、リズの元へ帰ることにした。

面倒な頼まれごとだわ。はー、憂鬱だー。

 

「ルシフェル。貴方の幸福も私は祈ってますよ」

 

後ろから何か聞こえた。無視をした。

本当に今更だな。その祈りで俺は死んだんだが?黙って身体を再構築して去る。

祈るなら俺が居ないところでやってくれ。分かっててやってんだろうが!この邪神がっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

リズと結婚した次の日。目が覚めた俺の前に堕天使が現れた。

リズは呆れた目でこちらを見ていた。最近、眼のハイライトが戻ってる事が多いせいか、表情のバリエーションが増えた気がする。

 

 

「えっ、何?」

 

「御礼参りです。リゼさんには許可を貰ってます。さっ、行きましょうか」

 

堕天使が自分のトップを殺され続けた仕返しにやってきた。お前らだって、自分のとこのボスをしょっちゅう私刑してるだろっ!別にいいじゃん!元同僚じゃん!

 

「もちろん、俺は抵抗するぜ?拳で」

 

「一応、逃げられる事も想定しています。これ分かりますよね?ルシファーさん」

 

「そ、それは!」

 

ヤバい。とんでもない物を隠してやがったな!

聖女時代のリズを俺が口説いた映像集!アザゼルの野郎!隠し撮ってやがったのか!

 

「懐かしかったわ。あの頃は貴方から口説いて来てくれてたわね」

 

リズにはもう見せたのね。クソが!

 

「ロドリゲスさんに見せたら泣きながら笑顔で見てました」

 

「?……ああ、あの聖者か。それで、どうするつもりなんだ?」

 

「とりあえず、これはリズさんに渡します。で、勿論ダビングしてありますので、これを教会と天界にプレゼントしようかと」

 

「やめて!!!」

 

な、なんてことを……!聖者はいいよ!別にアイツはそこまで関係ねーし。天界はおもちゃにする気満々だろうな!そんなことよりも教会が不味い。俺まで積極的に狙われる。

全ての元凶が俺って事になる。絶対になる。そうなると不味い。

予想だが、聖者がトップの新教会とリズを見つけ次第殺す旧教会に別れる筈。だが、これが教会にバレたら俺が悪いって事になる。その場合はリズは置いといて俺を永遠に殺し続けるだろう。一回やられたから良く分かる。あの時に食わされた腐った飯の味は今でもトラウマだ。

 

俺は黙ってついていく。リズが可愛らしく手を振っていた。俺は絶対に帰ってくるからよ、だから待っててくれよな!

 

堕天使の処刑場に連れて来られた。アザゼルが仲間達とニヤニヤしながら待っていた。

 

「やめて!殺さないで!」

 

「おっ、久しぶりに聞いたなその台詞。まあ、俺も悪かった事は認めるが、俺が殺された回数はね?やっぱり返してあげないとな?ほら、俺も組織のトップだからな。わかるだろ?」

 

「良い余興でしたよ、ルシファー。回数だけですから安心してください」

 

命乞いが通用せず、百回殺された。まあいいよ。アザゼルに手を出したらこうなるって分かってたし。

よし、ついでだ。邪神と戦う前に武器でも作っておくか。

 

「何してんだお前」

 

「俺とお前の百回分の死んだ念をこの剣に籠めた。これで邪神にも攻撃が届く!」

 

「いや無理だろ。武器は強くても元上司に当たらんだろ。お前ぐらいだよ、まだ元上司と戦おうとしてんの」

 

「戦わなければ勝てない!」

 

「確かにお前と他の一部の神に勝ち筋があるのは認めるが、お前の場合は相性も最悪やん。つか、何十回も負けてるんだからいい加減学習しろよ」

 

「切り札はこれじゃねぇ」

 

「あー、はいはい。頑張ってね」

 

そして俺は順当に負けた。

どうやってあの邪神と戦えばいいんだ……。

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