アグネス先輩!よろしくお願いします!~コンパス新人隊員の華麗なる(?)日常~ 作:クスクス
Date(デート)プラン
というしょうもない連想で書いたお話です
かなりキャラ崩壊してるので注意です
ブルーコスモス壊滅から数ヵ月…最近はめっきり出撃も減り、ミレニアムも定期的に母港に戻れるようになった。
アグネス先輩が言うにはファウンデーション動乱の直前など、緊急出動の連続で休む暇もなかったという事だから、着実にコンパスの活動の成果が出ているという事だろう。
今度の休暇では何をアンナちゃんのお土産にしようかな…などと考えていると何かを思いつめたような表情のシン先輩が歩いてきた。
「リズ…!ちょうどよかった!ちょっと相談に乗ってくれよ!」
私を見てぱっと表情を明るくするシン先輩。
何でも前回の休暇の時、ルナマリアさんとのデートで失敗したので、今回は絶対に成功させたい!という事でキラ隊長に相談に行くところだったのだという。
愛されてますねえルナマリアさん…と微笑ましく思ったのもつかの間…シン先輩の話を聞くうちに私も真顔にならざるを得なかった。
「それで…お昼はデカ盛りラーメンの店にしたんだけどルナが怒っちゃって…リズ?なんか顔が怖いんだけど」
「ダメダメです!!特にあの店はデートでは絶対ダメです!」
何で!?あの店美味いのに!と本気でわかっていなそうなシン先輩。
そもそもラーメンはダイエットの天敵だし、食後にラーメンくさい女と思われたら嫌だしで嫌がる女性は多いんですよ?と説明する。
「ああ~ルナそれで怒ったのかあ~!リズ頼む!隊長との相談の時にもついてきてアドバイスしてくれ!」
私を前に拝むように手を合わせるシン先輩。
普段は頼れる先輩なのにこういう事に関してはてんでダメダメなんですよね…
捨てられた子犬のような顔で頼まれると断る事もできない。
そのまま私もついていく事になった。
キラ隊長の部屋に入ると隊長は端末でスケジュールを確認していたところだったらしい。
私達を振り返るといつものように穏やかに微笑み…こんなことを言ってきた。
「やあ、シン、リズ。…そうだ、今度の週末の夜は空いてる?また僕の家で食事会でもどうかな」
「良いんすか!隊長!ルナも連れていっていいですか!?」
大喜びするシン先輩。
「もちろん。…リズはどう?」
うっ…尊敬する隊長のお誘いだし、ラクスさんとお話できるのは楽しい…のですけど!
『お越しいただけてとっても嬉しいですわ!たくさん召し上がってくださいね♪』
ラクスさんの花咲くような笑顔を思い出す。
ラクスさんの手料理はとても美味しいし、愛情たっぷりで手が込んでいる。
だけど…量が…量が多い!
私達それぞれの好物を聞いて作ってくれているのでついつい食べ過ぎてしまうし、確実にキラ隊長の好物の揚げ物が出てくる。
うう…休暇中のダイエットメニューを考え直さなければ…
そんなことを考えつつ私も快諾する。
キラ隊長は嬉しそうに笑うとラクスさんに連絡のメールを入れる。
ちらっと見えたラクスさんの当日午前中のスケジュールに「ザフト・オーブ軍・大西洋連合軍・ユーラシア連邦軍合同ミーティング」とある事を考えると…当日までに相当ダイエットをがんばったほうがいいかもしれない。
というかストレス解消のためにラクスさんが料理を作りすぎるのを見越して私達を招待しましたね…キラ隊長…!
ちょっと恨みがましい目で隊長を見ているとキラ隊長が私達に向きなおる。
「それで…何か相談事かな?僕でよければ何でも相談に乗るよ」
「隊長!俺!今度ルナとデートに行くんすけど!どこに連れて行けばいいですかね!?」
シン先輩の声にキラ隊長は一瞬目を丸くしたが、すぐに優しい顔になる。
「うーん…僕も自信があるわけじゃないんだけど…例えばね」
私用の端末を取り出すとデートコースを表示するキラ隊長。
バイクでツーリングした後、植物園によってお昼は湖畔でピクニック…確かにキラ隊長とラクスさんが両方楽しめる良いプランだ。だけど。
「流石隊長…!俺真似させてもらっていいすか!」
即座に食いつくシン先輩にキラ隊長は苦笑する。
「それは構わないけれど…でもこれは僕がラクスと相談して決めたプランだからね。これを見せたのはシンもお互いが楽しめるようにルナマリアと相談して決めたらどうかなって言いたかったんだ」
「でも俺…前からルナに頼りっぱなしで…俺!今度こそ俺のデートプランでルナに楽しんでもらいたいんすよ!」
そんなシン先輩にキラ隊長は優しい顔になる。
「シンは本当にルナマリアが好きなんだね…そうだ!アスランはこういうのに詳しそうだから聞いてみようか!」
「えっ!?アスランに!?」
シン先輩が露骨に嫌そうな顔になるがキラ隊長はすでにアスランさんに電話をかけていた。
キラ隊長が事情を説明し、端末をスピーカーモードにすると…
「シン!!!!この…馬鹿野郎!!安易にキラの真似をするんじゃない!どうしてルナマリアの事を考えてやらない!お前がしたかったのは本当にそんなデートか!!」
「アンタに言われなくたってー!!!」
いきなりフルスロットルで説教が始まってしまった。
「俺だってやれますよ!!ルナを満足させるデートプランを考えるぐらい!」
「そうだシン…大事なのはお前の気持ちだ。ルナマリアの事を一番想っているお前が考えるんだ」
なんかいい感じに話がまとまりそうになっているけれど…
「あの…アスランさん、シン先輩が自分で考えたデートだとお昼にラーメン屋にルナマリアさんを連れて行きましたよ…」
私も口を挟む。
「えっ!?リズ…」
裏切られたような顔でショックを受けるシン先輩。
「シン…それは…あんまりよくないね」
「隊長まで!?」
がっくりと肩を落とすシン先輩
「……シン…俺が悪かった。俺がカガリとそっちに行く時に使おうと思っていたデートプランを送る。大丈夫だシン。一歩づつルナマリアと一緒に歩んでいけばいい」
長い沈黙の後、一転してとても優しい声になるアスランさん。
「アンタ一体何なんだ!!」
「シン!そんな大声を出すな…カガリが起きる。さっきついつい可愛がりすぎてしまってな…データは送った。切るぞ」
そこで通話が切れる。
…キラ隊長から凄まじいプレッシャーを感じる。
普段は穏やかな瞳が漆黒に染まっている!
「シン、アスランのデートプランもちょっと見てみたら?デート頑張ってね…僕は妹の扱いについてちょっとアスランと話さないといけないから」
シン先輩と二人でそそくさと退出する。
後で聞いた話によると、2人の怒鳴りあいで起きたカガリさんが2人をお説教する事で決着がついたらしい。
姉は強し…というところだろうか。
シン先輩と一緒にアスランさんのデートプランを見る。
ふむふむ…朝は湖畔の公園で花畑を散歩してその側にある洒落たカフェで軽いものを。
昼食は市街地の歴史ある名店で取り、午後はデザイナーズショップやブティック巡り。
夕方は展望の良い洗練されたカフェでお茶を楽しみながら湖を眺める。
夕食はアートと食を融合させた世界的に有名なレストランに。
そして…夜は中心地の高級ホテル。
シン!雰囲気が足りなければバーに行け!と注釈までついていますね。
おお!とってもロマンティックで良いかもしれないですね!
そして…添付データのタイムスケジュールが…秒単位!?
あっ店の歴史から注文するメニューについてのうんちくまで全部書いてあるんですか…
「流石アスラン…これさえあれば!ルナもきっと…」
シン先輩がちょっと悪そうな顔に…!
「待ってください!これ全部覚えるのは無理ですよ!」
思わず叫んでしまう。
たった1日のデートプランなのにMSの操縦マニュアル並みの文量がありますよ!
「大丈夫!徹夜で覚えるから!それに記憶力には自信あるんだ!」
自信満々に答えるシン先輩。
そういえばシン先輩は落ちこぼれからザフトの赤服を勝ち取った努力の人なんだった…
でもこれは…ルナマリアさんとのデートといえるのだろうか。
時間通りに工程をこなしていくだけの作戦計画書に近いのでは…
そもそもカガリさんもオーブの獅子の娘だし、大人しくこのプランに従わない気がする。
このプランの食事の場所だけがそのまま使われて、あとは彼女の気まぐれでアスランさんが振り回されている確信がある。
「シン先輩!さっきラーメン屋に行っちゃったのを馬鹿にしたのは謝りますから!これをそのまま使うのはやめましょう!」
「そんな事言われても…ルナを喜ばせたいんだ!」
私がさっき煽りすぎたのもまずかったか…!
「ルナマリアさんはシン先輩とデートがしたいんですよ。デートプランをなぞるだけのお人形とデートしたいわけじゃありません!シン先輩の想いも大事です」
そこでシン先輩がはっとした顔になる。
そこでとりあえず秒単位のスケジュールはいったん脇においてご飯とカフェの予約時間にだけは間に合うように融通を利かせられるようにして、アスランさんのうんちくも語りすぎないようにする事をシン先輩と合意する。
「あと…これだとシン先輩の行きたい場所が入ってないですよね。きっとルナマリアさんはシン先輩の楽しそうな顔も見たいと思うんです」
「じゃあ…本屋とかが良いかな。俺…オーブにいた時は本を読んでるのが好きだったんだよね。戦いばっかでずっと読めてなかったけど最近思い出したんだ」
懐かしそうな顔をするシン先輩。
…その表情がデート中に出せたらルナマリアさんに特効ですよ。
「じゃあブティック巡りの後は本屋に行きましょう!」
「ええっでもルナは本、好きかな…」
「シン先輩が好きな物をルナマリアさんも知りたいんですよ…でもあんまり長々居るのはNGです!短時間で切り上げてください。あとルナマリアさんにおすすめできそうな初心者向けの本も考えておいてください!」
そんな無茶な…と頭を抱えるシン先輩。
かわいそうなので飴もあげる事にする。
「ふっふっふ…シン先輩。その代わり明日のデートでルナマリアさんの機嫌が良くなるとっておきの情報をおしえちゃいますよ」
「マジ!?…リズ!俺がんばるよ!」
いきなりぱあっと明るくなるシン先輩。守りたいこの笑顔。
「私から聞いたって言っちゃだめですよ~!いいですか!まずルナマリアさんは明日美容室に行きます!明後日のデートでルナマリアさんと会ったらとりあえず髪型を褒めてください!」
真剣な顔でメモを取り始めるシン先輩。
こういう素直で可愛いところにルナマリアさんがやられたんだろうな~と微笑ましくなる。
「ルナの髪型を褒める…と。でもルナの髪型っていっつも同じじゃないか?」
「シャラップ!とにかく何でもいいから褒めるんです!ちょっと雰囲気変わったとか似合ってるとかでいいですから!」
私の剣幕にYES!マム!と敬礼するシン先輩。まったく…もう…
「…それから、ルナマリアさんはネイルサロンにも行きます。ネイルもさりげなく褒めてあげてくださいね」
「髪型と爪を褒める…!わかった!」
そこでちょっと嫌な予感がする。
このままだと出会った瞬間に髪を褒めた後、おもむろにルナマリアさんの手を取って爪を褒めはじめそうな気がする。というか絶対する。
「さりげなく!ですよ!食事の時とかにちょっと気づいたふりをして褒めるんです」
「なんで?…ルナが俺のために頑張ってくれたんだから真っ先に褒めたほうがいいんじゃ…」
「…もういいのでシン先輩は全部私の言う通りにしてください」
「リズ!さっきと言ってる事が違うって!」
俺の想いが大事だって言ったのはリズじゃないか!とシン先輩が抗議するが無視。
想いだけでも…デートテクニックだけでもだめなんです!
まあ私のもアグネス先輩の受け売りなんですけど…
その後も諸々注意をしていたが…
シン先輩がすごく嬉しそうな顔になっている事に気づく。
その事を聞いてみると
「いやだってリズがすごく一生懸命だからさ…俺とルナのために一生懸命になってくれてるんだな…って。ありがとうリズ」
そのまま優しい顔で私の頭を撫でるシン先輩。
どうしてこれがルナマリアさんの時にできないんですかね…!
危うくドキッとしちゃいましたよ!
「それに…ルナとのデート楽しみにしてるの俺だけじゃないんだなって…。ルナもこんなに楽しみにしてくれてたんだって。俺ばっかり舞い上がってたわけじゃないってわかって嬉しいんだ」
そう言って笑うシン先輩は凛々しくて…ちょっと大人びて見えた。
ファイトですよ!とシン先輩を送りだす。
そして…デート翌日の夜。
私とアグネス先輩はデートの首尾を聞くべくルナマリアさんと居酒屋に来ていた。
適当なおしゃべりにお酒も進み…
「リズ…あんたシンに入れ知恵したでしょ」
ジト目でビールのコップを抱えながら私を見るルナマリアさん。
「バレちゃいましたか…」
「そりゃあわかるわよ!…私が化粧してても気づかないシンが妙に気が利いてるなと思ったのよね。嬉しかったけど…」
そういうルナマリアさんも頬が緩んでいるあたり本気で怒ってはいないらしい。
「あんたの山猿がデリカシー0だから文明ってものを教えてやったのよね?リズ。
…それよりそろそろデートがどうなったのか教えなさいよ」
アグネス先輩が助け船とも煽りともつかない言葉を投げる。
「そうそう…これ、シンがプレゼントしてくれたの」
ルナマリアさんが愛おしそうに小さな本を取り出す。
月をモチーフにした優しい詩集だ。
「俺にとってルナはこう見えてるって…本なんてあまり読まないけれど…良いものね」
うっとりしながら本を抱えるルナマリアさん。
素直な性格のシン先輩だからこそ本心で言っているのが伝わるのだろう。
それから大事そうに本をしまったルナマリアさんの惚気トークが怒涛のごとく始まり、その甘さに私とアグネス先輩も口から砂糖を吐きそうになっていた。
「でもその後がね…」
と浮かない顔になるルナマリアさん。
良い感じでデートが進み、ホテルにも入って…そろそろロマンティクスを許してあげてもいいかなと思ったそうなのだが…キメ顔になったシン先輩が「ルナは俺のデスティニーなんだ!」と言ってきたらしい。
ちょっとセンスがあれだけどまあシンだし及第点か…と思ったのだが、ある事に気づいたのだという。
「シン…それもしかしてデスティニーガンダムから連想した?」
「ルナよくわかったな!」
そう満面の笑顔で答えるシン先輩をシンの馬鹿!と怒ってしまったそうだ。
ええ…でもそれはちょっとシン先輩がかわいそうなような…と思うが横のアグネス先輩は爆笑している。
「ル…ルナ!さすがに嘘でしょ!!く…くく、いや…違うわねデスティニーさん!」
しばらくルナマリアさんがアグネス先輩にからかわれ続け…じゃれあいがおさまると
「それでデスティニーさん?結局山猿とはヤッたわけ?」
にやにやしながら聞くアグネス先輩。
ルナマリアさんはそんなアグネス先輩を恨めしそうにしながら見ていたが…やがて頬を染めると…小声でつぶやくように言った。
「…ヤッたわよ」
「嘘でしょ!ルナ!まだ間に合うわ!!もっといい男が絶対いるから!」
さっきまでとは違い本気で詰め寄るアグネス先輩。
だってしょうがないじゃない!あんな捨てられた子犬みたいな目をされたら!とキレるルナマリアさん。
そんなぐだぐだとした…楽しい夜が過ぎていくのでした。
シンがファウンデーションの夜にしょぼくれているのはルナとのロマンティクスに失敗したからという話を聞いて書きたかったお話です。
休暇編で書きたかったのですがあんまり休暇編が長いのもなあと思って没にしたのですが…お蔵入りにするのも忍びなく…供養という事で後日談にさせていただきました。