★エントランス
side:???
今目の前に数多の激戦を生き抜いてきた神機使いたちが自分の前に立っている。皆少し驚いたような顔をしている。そんなに本部から送られてきた人が珍しいか?それとも自分に驚いているのか?
「…碓氷 咲良(うすい さくら)。新型よ。よろしく」
簡単に自己紹介を済ませた。
「彼女は本部から派遣された子だ。今この子は本部の命令で訳あってパートナーを探している。で、ここの皆の中から一人彼女のパートナーになってもらうということだ」
「…問題ないが…、パートナーってことは常に一緒にいなければならないってこと?」
第一部隊隊長、コウタが口を開いた。
「いや、パートナーとして行動するのは自由だ。だけど、任務は絶対にパートナー同士で行動することが義務付けられている」
「そんなことはどうでもいい。こいつがパートナーになって俺たちに利益はあるのか?」
カレルが面倒くさそうに言った。
「当然。彼女は優秀だよ。たった一か月でロシア支部のベテラン以上の成績を出したぐらいだ。彼女がパートナーになれば、戦力の大幅な上昇が期待できる。戦力が上昇すれば今よりももっと難しい任務に行くことができる。任務は難しければ難しいほど報酬が良いのは君たちも分かっているよね……まあ、それ以前に彼女がパートナーとして認めてくれればの話だけどね。咲良君、パッと見でパートナーにできそうな人はいるかい?」
「いない」
即答してあげた。突然本部から送られた人間にパートナーになってくれと言われて即答できる人はまずいない。誰しも不安がる。今だってそうだ。皆不安な表情をしている。表情がそう見えなくても目が語っている。結局ここにもいないのだろうか。
★神機保管庫
side:心葉
リッカに呼ばれ、心葉は神機保管庫に来た。そしていい報告が来た。
「……これが…僕の新しい神機…」
つい最近まで壊れていた神機がとうとう直った。今までの神機パーツをすべて外し、オラクル細胞以外を取り換えた。部品から持ち手となる柄、その他もろもろ…
「本部オリジナルだってさ。なんか試験運用ってことでいろいろなシステムを導入しているって」
「システム…ですか?」
「本部が言うには今までの神機の常識を超えた神機って言ってた」
常識を超えた神機。目の前にある今まで使っていた真っ白な神機とは違い、真っ黒だった。そして一つだけ除いて普通の神機だった。何がおかしいというと銃身が二つほど見えるのだ。アサルトのような銃身とスナイパーのような銃身。
「ちょっと訓練場行きましょう」
そう言って心葉が神機に触れた。次の瞬間、
「っ!?」
触れた指をすぐに引っ込めた。
「どうしたの…?」
「なんか…冷たい…温度とかそういった類じゃなくて…なんていうんだろう……」
表現の仕方がわからない。寒気がする、と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
「…この神機の素材、何使っているんですか…?」
「…本部曰く、死んでいった神機使いの形見や、墓、壊れた神機から作ったって…」
「…悪趣味ですね……とりあえず行きましょう」
★訓練場
「準備はいい?」
「いつでもいいですよ」
神機の仕組みはすべて教わった。だがリッカにも知らないシステムがあった。本部は隠し種としか伝えていない。
「…悪趣味な神機にどれほどの力があるのでしょうか…」
手に握られている神機はシンプルな形だ。先端は鋭い楕円形。中心には同じく楕円形の穴が開いている。そういうデザインだろう。そして銃身達は同じくシンプルな筒型。盾は丸型。バックラーだろう。そして見た目に反して以上に軽い。前に使っていた神機を鉄と例えれば、今使っている神機は紙だ。それぐらい軽い。
「…ちょっと握りにくい…?」
今まで使っていた神機とは違い、柄にいくつかボタンのようなものがついている。そのボタンを押して神機のシステムを動かす。
「まず、小型3体。はじめ!」
リッカの声が響き渡る。オウガテイルに似たようなダミーが3体同時に現れる。
「最初は普通にっ!」
地面を蹴り、一番近いダミーに肉薄した。槍を振るい突き刺した。漆黒の槍はダミーの頭に深く突き刺さった。まるで豆腐に箸を突き刺すかのように簡単に突き刺さった。神機の突き刺さったダミーを蹴り飛ばし、神機を銃形態に切り替えた。銃身は二つあるが、基本はスナイパーのようだ。そういったところは前のことを考え、考慮しているようだった。
くるりと後ろを向いた。目の前に飛び上がったダミー。いくらダミーとはいえ直撃すればけがは待ったなしだ。
「撃ちます!」
引き金を引いた。甲高い音を鳴らし銃身から弾丸が放たれた。弾丸はダミーのど真ん中にあたった。その次の瞬間、ダミーが破裂した。爆発とかそういったものじゃない。文字通り破裂した。
「っ!!」
驚きを隠せなかった。もしこれがダミーではなく堕ちた者(フォールマン)だったらどうだ。肉片があたりに飛び散り、鮮血はあたりを赤く染めるだろう。そう考えるだけでぞっとした。だが、今は考えている暇はない。また背後からダミーが飛びかかってきた。
「くっ!」
ボタンを押し、神機のシステムを一つ起動させた。リッカは「エッジフォーム」と呼んでいた。ボタンを押した瞬間、槍の楕円が稼働し、巨大な刃先を持つ薙刀へと変化した。そして心葉は神機を×字にダミーを切り裂いた。切り裂かれたダミーは4分割し、ぶつかることなく、心葉の後ろへと飛んで行った。
「なっ……」
リッカも心葉も絶句していた。言葉が出なかった。
「………」
カランと神機を落としてしまった。その後膝の力が抜けた。
「心葉っ」
リッカが部屋に入ってきた。
「………っ」
手が震える。恐怖だ。この神機がどれだけの力を持っているか、嫌でもわかる。まだダミーだからいい。だが、これが堕ちた者ならどうだ。この神機の前では無残な姿になるだろう。そう思うだけで怖くなってくる。
「……僕は…こんな力なんて望んでない……………でも…闘わなければいけないんですよね…?」
★ラウンジ
あの後少しだけ一人になって落ち着いた後、ラウンジに向かった。そこでギルバート、ハルオミ、コウタの3人組と会話することにした。3人とも同じ方向を向いていた。窓側。心葉もも目を向けてみた。そこには見慣れない一人の女性がいた。肌が白っぽく、空色の長い髪が特徴的な女性。ここにいるということは神機使い、もしくは神機に携わる仕事をしている。もしくはフェンリルの従業員ということになる。だが、彼女の腕にはあの赤い腕輪があった。
「あの、皆さんしてどうしたんですか?」
「ああ…アイツのことだが…」
「本部からの派遣だ」
「本部…」
リッカが言うには見知らぬ神機と神機パーツが届いていたというが、どうやらその見知らぬ神機が彼女の神機みたいだ。彼女がこっちをみた。
「あっ、こっち見た」
見たというよりは睨んだといったほうが近そうなぐらい視線が怖かった。が、心葉はぼーっとしていた、もしくは見とれていた。そして彼女がこちらに向かって歩き出した。
「君、名前は?」
唐突に名前を聞かれた。
「ぇっ、あっ!す、すみません!心葉です!日暮 心葉です」
「心葉…そう君が…」
何かを思い出したかのようにつぶやいた。
(本部から来たということは、僕の情報も…)
「なんでもない……ふむふむ……ほう……大分女々しいな。いや、女装か?」
いろいろと考えていたら、自分の体がペタペタと触られていた。腕、足、胸などなど…
「ひゃぁっ!?なななな何するんですか!!」
「うん。決めた。心葉、私のパートナーになって」
(…………はい?)
話が全くつかめていないため、何を言っているかさっぱりわからない。唐突に名前を聞かれ、体をぺたぺたと触られ、挙句パートナーになってほしい。いったいどういうつもりなんだろうか。
「ああ…心葉、そこは説明する」
ハルオミが間に入り説明した。
「…そういうことですか……僕なんかでよければ」
「いうと思った。私は咲良。碓氷 咲良。よろしく心葉」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
握手を交わした。彼女の手に触れた瞬間、懐かしい感じがした。
(………なんだろう、この人、どこかで…)
一度であったことのあるような無いような。知っているようで知らないような。とても複雑な感じだった。
またも遅れました。本当にすみません。失踪するつもりはありません。ちゃんと作り上げるつもりでいます。
大体ストーリーは構成できているのですが、そこまでのつなぎがうまくできないので、よく積んでいます。
次回はなるべく早めにあげられるといいなと思っています…私の気分次第でまた新作を打ち始めるのではないかと不安に思っています。掛け持ちするなら2作にしておきます。