GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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13話 波

★旧市街地

side咲良

 

『お二人とも準備はいいですか!?」』

 

 通信。今自分たちの視線の先には小型アラガミの群れが見える。ゲリラだ。突如として小型のアラガミが群れをなして極東支部へ向かってきているのだ。その数ざっと200。サカキ曰く「質より数」らしい。数こそは多いが、単体の戦闘力は普通の小型アラガミと比べ低いようだ。

 

「心葉、準備はいいかい?」

 

 隣にいる少年がうなずいた。

 

「これより作戦を開始する。行くよ心葉!」

 

 神機を構え走り出した。

 

「全力でサポートします!!」

 

心葉が神機を銃形態(スナイパー)に変形させ、弾丸を2発放った。放たれた弾丸は自分に接近していたザイゴートの目玉に直撃し、文字通り破裂した。降り注ぐ血の雨を走り抜け、接近してくるオウガテイルを淡い空色の神機で切りつけた。オウガテイルは斜めに真っ二つになった。

自分が使っている神機は、ブラッド隊長の詩音と同じくブラッドのギルバート、そして極東の整備士リッカによって作られたシロガネシリーズをベースに強化改良したものを使っている。改造したのは本部だが。本部はそのシリーズをプラチナシリーズと呼んでいた。色は白銀ではなく、薄い空色で鏡のように世界を写している。

 

「はあっ!」

 

声を上げ、さらにアラガミを切りつけた。近くに寄ってくるアラガミ全てに目を配り、どのアラガミが攻撃してくるか常に考えていた。そうこうしているうちに左右からオウガテイル2体が飛びかかってきた。咲良は飛びかかってきた左のオウガテイルを叩き切った。その横でオウガテイルは頭を漆黒の槍で貫かれていた。

 

「さすがね」

 

心葉が神機を槍に切り替え、攻撃していた。

 

「僕だって後ろばっかりにいるわけじゃないですから」

 

 突き刺した槍を引き抜き、さらに前進した。前進してくるアラガミを踏み台に心葉は跳躍した。群れのど真ん中に向かって。何か策がある。万が一最悪の事態になるかのせいもある。その時は全力で救いに行かなければならない。

 

「行きますっ!」

 

心葉の神機の楕円が開き、巨大な薙刀に変形した。心葉が使っている神機は、試験採用中の神機。普通の神機は剣形態、銃形態それぞれ一つずつしか存在しないが、心葉の神機はそれらが二つずつ存在する。槍の状態から変形する薙刀形態(エッジフォーム)、アサルトとスナイパーの銃身。装備が増えれば戦い方も増える。前衛後衛両用できる用設計されたらしい。

 

心葉が群れのど真ん中に着地すると同時に、神機で周りのアラガミをなぎ払った。アラガミは動きを止め、ゆっくりと体の半分から上をずらしながら倒れた。

 

「私も負けていられない」

 

神機を大きく振りかぶり、目の前にいる3体のアラガミを横薙ぎに叩き切った。

 

「このまま一気に!」

 

心葉が叫び、再びアラガミを切りつけた。

 

『作戦エリアに中型アラガミが侵入しました!お二入とも迎撃をお願いします!』

 

ただでさえ、乱戦中だというのにさらに乱戦することになる。できることならなるべく相手したくなかった。

 

「咲良さん!中型のアラガミは僕に任せて、小型のアラガミをお願いします!」

 

アラガミを切りつけながら心葉が叫んだ。

 

「ありがとう!頼むよ!!」

 

心葉がアラガミの群れから離れ、侵入してきた中型アラガミと交戦し始めた。

 

「さて…あとどれくらいかな…」

 

 単体が弱いため、あっさり片づけることができる。いろいろとやっている間に100は倒したようだ。あと半分といったところだ。神機を構え直し、気合を入れ直した。

 

 

side:心葉

 

 侵入したアラガミはシユウ1体だった。一人で相手するのには問題ない。

 

「アサルトでっ!」

 

 神機を銃形態に切り替え、さらにスナイパーからアサルトに切り替えた。アサルトの銃身の下には薙刀状態の刃が飛び出していた。

 

「ギャアッ!」

 

 鋼のような翼を広げ、飛びかかってきた。心葉は軽く跳躍し神機を突き刺した。漆黒の刃はやすやすと鋼の体を貫いた。

 

「大人しくっ…してて!!」

 

 突き刺したままバレットを連射した。当然零距離で弾丸がシユウの背中に命中している。

 

「ガァッ!?」

 

 突然の攻撃に驚いたシユウは立ち上がることなく地面削りながらを滑った。地を滑るシユウにOPが切れるまで無慈悲に撃ち続けた。OPが切れたと同時に神機を引き抜き、神機を薙刀形態に切り替えた。激昂したシユウは右腕を振り上げ、殴りかかってきた。振り下ろされた拳を紙一重で交わし、薙刀を高く振り上げた。振り上げられた刃はシユウの右腕を肩から切り離した。堅い装甲をきれいに切り裂いた。

 

「ギシャァッ!!」

「はあっ!!」

 

 さらに心葉は神機を横に薙ぎ、足を切り裂いた。悲鳴を上げたシユウに一瞬の時間を与えない。それが命取りになる可能性だってある。足を切り裂かれたシユウは仰向けに倒れこんだ。

 

「とどめっ!!」

 

 神機を槍形態に切り替え、柄を両手で持ちシユウのコアの部分を貫いた。シユウから飛び散った血が顔にかかる。生暖かい温度が気持ち悪い。シユウは体をびくりと震わせ、動かなくなった。

 

 

 シユウのコアを回収し、咲良のもとへ向かった。彼女は首を上に向け、満足そうにしていた。彼女の視線の先には大量に積まれたアラガミの死体の数々…ちりも積もれば何とやらというが、まさにこのことだろう。

 

 

★トレーラー内

 

「さすがね」

「いえ、そんなことないですよ」

 

 任務終了。かなりの大群だったが、あっさり片づけることができた。大体咲良が片づけたが。

 

「…やっぱり変わらないね」

「?」

「いや、なんでもない」

 

 咲良が呟いたことに疑問を覚えた。「変わらない」そう言った。彼女は自分のことを知っている。だけど自分は彼女のことを知らない。昔の記憶を探っても出てこない。忘れているのかもしれない。自分は11歳までの記憶がない。記憶がないときに彼女と出会っているのかもしれない。記憶がないのは医師によれば何らかの原因で脳に障害が出たらしい。今のところ記憶喪失だけで済んでいるが、この先どんな症状が出るかわからない。

 

「………僕は…あなたと過去に出会っている…のですか?」

 

 初めて出会って握手を交わしたとき、どこか懐かしいような感覚がした。どこかで出会ったことがある。どこかで話したことがある。そんな感じがする。

 

「…心葉、この世には知らなくていいことがたくさんある。昔のことは忘れたほうがいい。いや、思い出さないほうがいいって言ったほうがいいのかな…どちらにせよ、それが心葉の身のためになるから」

 

 窓の外を見ながら静かに答えた。彼女は知っている。自分のことを。彼女は何者だ?

 

「…着いた。さあ、帰ろう」

「…ぁっ、はい」

 

 

★サカキ博士の部屋

side:サカキ

 

「やはり……これは、心葉君が…しかし、なぜ……」

 

 サカキはパソコンから一つの結果を見つけた。過去にあった神機兵の外部居住区への襲撃。そのときに発生した偏食場パルス。その発信源が心葉だということがわかった。だが、問題が一つ発生している。

 

「…詩音君は日常程度でしか彼に干渉していないはず……そうなれば彼個人に異変が発生していることになる…零君が戦死した時からすでに変異していた……いや、もしくはそれ以前……神器使いになる前……それはありえないな……」

 

 1人唸っていた。パソコンから一つ通信が来た。本部から送られてきた碓氷 咲良だ。

 

「君か…何のようだい?」

『伝えるべきことがあります』

「そうか…どうぞ」

「失礼します」

 

 入ってきた彼女の表情は初めて出会った時と比べ真剣さが増していた。

 

「……何かとても重要そうな話かね?」

「…ええ。これについてです」

 

 そう言って咲良は2枚の紙を差し出してきた。1枚目には写真と文字の列。2枚目にはグラフや数字が表示されていた。写真は自分もよく知っているイレギュラーの一人…オラクル細胞が原因不明の突然変異を起こしたそのオラクル細胞が闘う理由となっている一人の少年…日暮 心葉の写真だった。

 

「……これは…」

「………この際だから言っておきます」

 

 彼女の口から衝撃的な言葉が無数に放たれた。彼女について、心葉について、そして2人の出会いが初めてでないことを。

 

「…なるほど…それならこの現象は発生してもおかしくない。むしろ遅かったのかもしれない」

「ええ。本来ならもっと早くああいった道を歩んでいた」

「こんなことが許されていいのか……!!」

 

 くしゃりと手に持っていた紙を握りつぶしていた。紙のタイトルには「対強化神機使い・神機使い 日暮 心葉」と書かれていた。




そろそろストーリーを中盤に向けさせるところです。

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