GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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14~16話は第6話からつながっています。


15話 わかっていた未来

★荒野

side:バゼル

 

「とうとう…」

 

 何もないただの荒野に一人の神機使いが立っていた。重圧そうな刃を持つ巨大な大剣、同じように太い砲身が目立つ神機。盾も巨大だ。

 

「………これで仇を」

 

 ここに来た理由は一つ。ある人物の首を取りに来ただけだ。

 

 

★極東支部 神機保管庫

side:心葉

 

 心葉は一人神機保管庫の隅でうずくまっていた。過去に同じ場所で同じように悩みながら隅っこにいたと思う。

 

「…………………っ」

 

 さっきから自分についていた。自分について考えるたびに、膝を抱える腕に力を入れていく。少しの命を守ることと多くの人を殺すことしかできない自分が憎たらしい。もし殺せるのならすぐにでも殺したい。どんな手段も問わない。殺してほしかった。この罪は決して償えないが、自分の命を払うだけで少しでも罪が償えるなら、殺してほしかった。さっきから自分で死のうとした。包丁の刃を自分の喉にあて、引こうとした。引けなかった。天井に輪を作り、それで首をつろうとした。もう少しで死ねるという所で輪を自分で切った。結局死のうにも死ねなかった。

 

「…僕は何のために…生まれてきたんですか…?」

 

 どんなに聞いても答えは返ってこない。誰に聞いても答えは出ない。せめて帰ってくる答えは無だけだ。

 

 

★ラウンジ

side:咲良

 

「…心葉は?」

 

 ラウンジで紅茶をもらい、一服していた咲良は心葉がどこにいるか聞いた。いつからか姿が見当たらない。正確に言えば今日の朝から。朝食のときすら見ていない。

 

「いや、それが俺たちも見ていないんだ」

 

 近くにいた第一部隊隊長のコウタが答える。心葉は第一部隊所属。ゆえに体調が知っていると判断したが甘いようだった。

 

「こっちも見ていない。それに隊長もシエルも何もしていない」

 

 続いてブラッドのギルバートが言う。

 

「なら、どこに…」

 

 心葉は自分のパートナーだ。極力手の届く居る所にいると安心できる。彼が危険な以上、なるべく目を離さないようにしなければならない。紅茶を一気に飲み干し、ラウンジを出た。

 

 

★エントランス

 

 見つからない。ラウンジを出てから1時間探し回ったが見つからない。誰に聞いても知らないとのこと。電話をかけても出ない。

 

「いったいどこに……もう一度探し回ろう」

 

 心葉の部屋からすべて隅々まで探すことにした。刹那、

 

「「緊急事態発生です!外部居住区から約10キロ離れたところに堕ちた者(フォールマン)が現れたとのことです!ただちに対応をお願いします」」

 

 スピーカーからヒバリの声が発せられた。

 

「とのこと…?確定した事実ではないということ?」

 

 何か変だった。いつもは確定した情報を流すはずなのに、今回はあいまいだ。咲良はカウンターに向かい、ヒバリに声をかけた。

 

「堕ちた者の話の出所は?」

「それが、不明なんです。ただ、堕ちた者が現れたこととその出現ポイントがメールにあっただけで…」

「…メール?」

 

 おかしすぎる。出現情報の出所が不明。そして情報は正体不明のメール。

 

「………心葉は?」

「少し待ってください………………っ!今、心葉君が一番近いところにいます。目標から1キロ離れたところです!」

「くっ!」

 

 踵を返し、神機保管庫へ走った。

 

 

★荒野

side:心葉

 

 堕ちた者が現れたという情報を耳にし、そのポイントまでやってきた。だが、そこにいたのは一人の神機使いだった。金色のボサボサの髪がよく目立った。こちらに気付いた神機使いが声をかけてきた。

 

「こんなところに何の用だ?」

「………あなたには関係ないことです。それにここのポイントで堕ちた者の目撃情報があります。ただちに隠れるなり避難してください。極東まで送っていきますから」

「その必要はない」

 

 神機使いは言った。とげのあるような声で。

 

「俺はあんたに用がある。日暮 心葉………いや、」

「なぜ、僕の名前を…」

「救世主喰らいッ!」

「っ!?」

 

 血の気が引いた。彼は自分の存在を知っている。救世主喰らいの存在を知っている人はごくわずか。それも大体上層部の人間。

 

「俺は仇を取りに来た。そのための情報だ。堕ちた者の情報なんて全て嘘だ。救世主喰らいをここにおびき寄せるための罠だ」

 

 仕組まれていた。何も疑わなかった。正確に言うには疑う余地がなかった。

 

「ようやく会えた…………お前を殺す!!」

 

 いつか来ると思っていた。こんな日がいつか来ると思っていた。人殺しを続けて入ればいつかはこうやって自分を殺しに来る人が現れると思っていた。

 

「…そうですか………ならさっさと殺してください」

「!?」

 

 神機使いの顔が凍りついた。当然か。いままで仇を取る相手をようやく目の前に現れたというのに、殺してくれと言われる。

 

「…もう僕はいやなんです。人を殺し続けるのが。自分で死のうにも死ねませんでした。だからいっそのことあなたに殺してもらったほうが、楽だと思うんです。そうすれば、あなたとしては仇も取れます。そして僕も死ねます。それがお互いのためになります。だから…殺してください」

 

 もう嫌だった。これ以上人を殺すのも、殺して泣き続けるのも、嫌だった。

 

「………だったら、望み通り殺してやるっ!!」

 

 神機使いが心葉に肉薄し、巨大な刃を振り下ろした。

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