GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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17話 隠された真実を明かすとき

★極東支部 ラウンジ

side:咲良

 

 堕ちた者が現れたという問題から1時間後、極東支部にいる心葉を除く神機使い、並びにオペレーターそして支部長が集められた。誰に集められたというかというと本部の技術開発部の主任だった。今巨大なモニターの前にはその姿が見えないが通信でつながっている。

 

「元気にしているかい?極東支部の神機使い君」

 

 気楽そうな声がスピーカーから響く。画面からその表情を見ることはできないがきっとニコニコしているだろう。

 

「あまりに忙しくて市民に優しくない本部様がこんなところに何の用?」

 

 咲良が挑発的に声を発した。

 

「まあまあ、ちょっとしたことさ。君たちが知らない真実を教えに来ただけさ」

「あなたのことならわかっている。心葉のことでしょう」

「やはり君は同じ神機使い同士、わかるようだな」

 

 同じもの同士。心葉は覚えていないが自分と心葉は同じようなもの同士だ。

 

「同じもの同士って……咲良も救世主喰らい(メシアイーター)!?」

 

 詩音が声をかける。彼レベルの残酷な人生は歩んでいない。だが、残酷な人生は歩んできた。

 

「違う。私は人殺しの力なんてものは持っていない。同じものっていうのは」

「同じ強化神機使いということだろう」

「「強化神機使い!?」」

 

 強化神機使い。4年前に少しだけ話題になった。どうして話題になったかというと、神機使いになるまでに非人道的な行為がいくつも行われていたからだ。洗脳、薬、特殊訓練などなど。神機使いなら大体知っている。

 

「咲良と心葉が強化神機使いだと…!?」

 

 ギルバートだけでなくここにいる咲良とサカキを除く全員が驚愕していた。ここにいる皆は知っている。強化神機使いがどれだけ血塗られた道を歩んだか。

 

「洗脳、薬、特殊訓練。その結果で今の私がいる。おかげで今を生きている。それに私は心葉のことを知っているから聞かなくていい。でもほかの皆に伝えるべきことなのでしょう?」

「その通り。まずどこから始めようか?」

 

 二人以外は皆固唾をのんで聞いていた。

 

「まず心葉ができた経緯から」

「そうだな。心葉は12の頃から強化神機使いとしてフェンリルのある施設に預けられた。その時の主任はすでに死んだが、もう一人主任がいて私だった。死んだ彼が基本仕切っていたんだけどね。まあ、話をもどそう。そこからずっと洗脳、特殊訓練、精神操作そしてある実験などいろいろ行っていた。そんなことを繰り返して今の彼がいる」

「本来なら洗脳や精神操作は2年程度で済むはずだったが、そういうわけにはいかなかった。心葉が一人の神機使いになる前にある事件が起きた」

 

 モニターを通して思い返すように主任と咲良が会話をしていく。

 

「ああ。神機の適合試験で適合したものの、薬や洗脳、精神操作によるフラッシュバック、発狂により失敗作とみなされた。そしてもう一人の主任はある決断をした」

「最後の強化神機使いとなる心葉をああいった失敗作を始末する存在として再度洗脳から訓練に精神操作を行った。そして今の救世主喰らいになる」

 

 こうして救世主喰らいはできあがった。

 

「心葉はここではなく極東で神機使いになった。それは施設にいる間適合する神機が見つからなかった。それに近いものは見つかっていたが予定されていた洗脳を行った後、彼の変色因子が大きく変化した。それが原因でずっと適合する神機が見つからなかった。そしてようやくここで適合する神機が見つかった」

「そして彼の変色因子がなぜ変化しやすいかわかることはなかった」

「ああ。今も少しだけ解析している最中だが、正直やめたいところだ。ずっと平行線。で、次の話は?」

 

 こうやって思い返しながら話すだけで心が締め付けられるような感覚がする。それもそうだ。今話していることは自分にも関係あるが全部残酷な話ばかりだ。

 

「心葉の感応現象。あの子だけは唯一特殊な感応現象を起こせる。そのことについて少し教えて。私もレポートを見たけど一部かすれてわからなかった」

「感応現象…救世主喰らいになる前に予定されていた感応現象を起こす一人の実験体として予定されていた。結果成功した」

「その実績は?」

「彼の声に答えてその力を発揮させるようになった。私たちは「感応現象・呼応」と呼んでいる」

 

 そして話によればその感応現象はブラッド隊長、詩音の接触によって変化した。感応現象ではなく血の力として。

 

「呼応の力は「主の声に呼び答えその力を発揮する」というコンセプトの元発揮される力だ。呼応の声は自分から答えるのではなく勝手に答えるようになる。過去に神機兵が外部居住区に襲撃したことがあっただろう。その時にその呼応の力は発揮された。何もしていないはずなのにステータスが大幅に上昇しただろう」

「そうだね。あの力は当初原因不明でアラガミの仕業だと思っていたが、まさか心葉君の力だとはね…さすが本部の人間にはかなわない」

 

 サカキが感心するかのように答えた。

 

「だが、その効果にはまだ続きがある。この効果は神機使いにだけ効果があると思っていが、どうやら思い違いだった。この力は状況によってはアラガミにも効果がある。ただその時の状況はどうだかわからない。アラガミに効果があると知った時は心葉に電気ショックをかけていたからな。悲鳴を上げるたびに数値が上昇し、電圧を上げるとその力はさらに力を強めていった」

「ひどい!!どうしてそんなことを…!!」

 

 詩音が声を上げていた。

 

「強化神機使いの生産はいわば実験とも等しかったんだ。こういった特殊な能力を持っている人はこういったことをして能力をできるだけ引き出し、その力を研究する。そしてこういった研究を行った場合は研究成果見出しかつ、神機使いとして戦うことができる。もしくは研究が中止された場合はそのけんきゅ対象の記憶を生活に支障がないところまで抹消する。心葉の場合は、神機が最後まで見つからず結果を残した後に記憶を抹消した。だから本人は記憶が一切ない」

 

 まるでモルモットのようだった。非人道的なことが当たり前のように行われていたのだ。それが未来の神機使いのため。そうであろうともやっていいことと、やってはいけないこともある。

 

「そのせいでフラッシュバックする可能性がある。その時は気を付けてほしい。次の話は?」

「さっきの神機使いとの戦闘で心葉に何をした?」

 

 ボロボロになった心葉が突然活発に動き出し、戦っていた神機使いを切り裂き、殴りつけ、蹴ったり。そして最後には殺した。

 

「ああ、OracleRageSystemか」

「おら…何?」

 

 ナナが首をかしげながら言った。

 

「オラクルレイジシステム。そう言ったわね」

「そうだ。簡単に言えば、一定条件を満たせばその神機使いのステータスを大幅…というより潜在能力を含めた出せる全力の力を引き出すシステムだ。極東の言葉を借りるなら火事場の馬鹿力ってやつ」

「そんなシステムを…いや、神機に搭載して何らかの条件を満たしたっていうことね。その条件は?」

「やはり君は呑み込みがいい。あの神機には神機使用者の感情を図る機械を埋め込んである。その機械は感応現象で反応している。心葉の場合は感応現象が特殊なためそのシステムが運用できる。その機械で感情をある数値として計測する。その数値が一定以上の数値を超えるとそのシステムが発動するようになっている。まあ、よっぽどのことでしか発動しないがな。例えば仲間を失うとかそう言った時の激昂、本当に守りたいものを守るときに生まれる力強い意志とかそう言った時だな。死に際に発動するといっても過言でもないか」

 

 ちょうどその時だったんだろう。もうすぐで殺されるという所で心葉が助けてくれた。助けたというには少し違う気もするが。

 

「だが、出せる力をすべて出す。ということはフィードバックもかなりのものになる。それだけは覚えていてほしい。万が一彼と敵対しそのシステムが発動した時はすぐに逃げること。神機使いが束になってもかなわないだろう。それが全員強化神機使いであってもだ」

「どうしてそう言い切れる?」

「救世主喰らいだからだ。彼がその力を使いながら暴走した暁には死しか待っていないだろう」

 

 神機使いや堕ちた者に対抗する力が異常に強い。その力のおかげもあり暴走した時は手が付けられない。一撃でももらえば致命傷は確実となる。

 

「まあ、そんなわけで伝えたいことは大体伝えた。できれば心葉の顔を見ておきたいんだが…」

「少し様子見てきます」

 

 リッカがラウンジを離れた。今心葉は医務室で寝ているはずだ。起きているのなら車いすでも何でもいいから彼を連れていって顔を合わせればいい。

 そして待ち続けて2分がたった。ラウンジの扉が勢いよく開けられた。開けたのはリッカだが様子がおかしかった。息を切らし、深刻な表情をしている。

 

「リッカ、どうしたの?」

「心葉が………心葉がいない!!」

「「!?」」

「病室にもいないし、神機保管庫に心葉の神機が存在しないの!!」

 

 

★???

side:心葉

 

 僕は極東を抜け出した。どうして抜け出したかわからない。目を覚ませば真っ白な天井が広がっていて、体は重かった。そんな体でも僕は歩き出していた。朦朧とした意識で神機保管庫に行って神機を取り出していた。そしていつの間にか荒野を歩いていた。ゆらゆらとただ目的もなく歩いていた。意志も持たず気力もない。アラガミが現れればあっという間に殺されるだろう。でも殺されるつもりなんてなかった。今は歩く。何も目的を持たず、薄れゆく意識を持ち、ひたすら歩き極東から離れて行った。




またまただいぶ遅くなりました。本当に申し訳ありません。現在になって物語の中盤の始まりになります。

中盤は大体心葉が大きく関係してきます。だいたいGEのリンドウ失踪パートみたいな形になると思います。

現在艦これの小説も更新しつつあるので交互にやっていくことになっていきます。また次の更新まで長引くと思います。
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