★極東支部
side:サカキ
ただでさえ彼の感応現象のせいで赤かったフィールドがさらに真っ赤に染まる。
「……………もう……終わりが近いか………」
「サカキ博士……」
感応現象が起こしている状態は作戦フィールドに神機使い全員にバーストレベル4+全ステータス大幅上昇。字面だけ見ればいい方に思えるが実際はそうではない。神機使いの体に大幅に負担をかけ、最悪の場合神機の偏食因子が暴走を始める。
「………もっと早く、助けていれば………こんなことには…………」
今更そのことを悔やんでも何も変わらない。変わるのは自分たちの状況が悪化していくだけのことだ。
★外部居住区
side:心葉
神機から聞こえる頭に響く声は聞こえなくなった。その代わり視界が真っ赤に染まって見える。これが血の色か、それとも別の色かはわからない。ただ今は破壊する衝動に、殺す衝動に駆られ、神機を振り続けた。迫りくる仲間だった人を。無慈悲に壊そうとしていた。
side:詩音
もう彼に声は届きそうになかった。いや届かないのだ。
「……くぅっ……本当に…殺すしか……!!」
強制的に開放されたバーストレベルのお陰で体力が削られていく。このままでは神機使いとしてではなく、人として生きることに問題が出てくる。
「詩音!もう殺すしか選択肢はない!!彼を救いたかったら、殺せ!!!」
咲良が叫ぶ。彼女は言っていた。生かすことが全て救うのではないと。
「……………くっそおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
神機を構えて突撃した。自分より前にシエル、リンドウ、咲良が出た。同時に心葉も迫ってきた。こちらが一歩踏み出して、二歩目を踏み出す頃には彼はもうすぐ目の前にいた。
「なっ!?」
「速すぎる!?」
シエルとリンドウが声を上げ驚いていた。気づいた頃には遅かった。
「………ッ!!」
小さく息を吐きながら神機を横薙ぎに振り回した。逃げる間も防ぐ間もなく、二人共直撃を避けられず、吹き飛んだ。
「がぁっ!?」
「うあっ!?」
勢い良く吹き飛ばされ、住宅の壁に叩きつけられた。
「シエル!リンドウ!!くそっ…!」
咲良が神機を再度構え、心葉に向けて振るった。甲高い金属音を鳴らし、刃と刃がぶつかり合う。咲良が1回振るうときには心葉は2回振るっていた。速度が圧倒的に違う。攻撃を仕掛けたのは咲良の方なのに、心葉の猛攻に耐えられず防戦一方になってしまった。同じ強化神機使いでもレベルが圧倒的に違う。
「ちっ!」
「遅い」
そうつぶやかれた頃には咲良の神機が打ち上げられていた。その直後また横薙ぎに振るわれた神機は咲良の腹を捉え、吹き飛ばした。
「……………」
戦えるのは自分一人だ。ここで自分が倒れれば支部の皆が、一般市民が、皆彼に殺されてしまうだろう。
「……守るんだ……私が……」
「…何ができるっていうんだ……貴方に」
ゆらゆらと近づく心葉。赤い瞳がこちらを見る。
「……そうだね……私一人じゃ何もできなかったと思う。でも皆がいてくれた…君が…いてくれた………」
息を大きく吐く。
「……君が堕ちた者を救ったように…今度は私が君を救う。そして皆を守る」
神機を握りしめる。自分の意志が伝わるように。
「リッカ、ブラッドレイジの起動を」
『………わかった』
神機が光を放つ。
『……神機の契約……無条件で履行…神機暴走率1000%!?』
「……行くよ」
『待って!こんな状態で起動したら、君は!!!』
自分の体がどうなるか。そんなことはわかってる。ただでさえ体に大きな負担がかかっている状態で神機の暴走。ただの自殺行為に等しい。だがこうでもしない限り、彼を止めることはできないだろう。
「……わかってる……死んだら、ごめんね。ブラッドレイジ、発動!!!」
神機が強く光、体の奥底から力が溢れ出した。同時にオラクル因子で構成された金色の翼が形成された。
「…待ってて心葉君……」
「…もう…喋らないで…」
「今度は…君が救われる番だから!!」
「喋るなあああああああああああああああああああ!!!!!!」
『OracleRageSystem Standby』
彼の叫びと機会音声と共に空気が震えた。
『作戦エリアにバーストレベル5の強制付与……!』
先に彼を殺すか、自分の体が蝕まれるか。
年単位での更新でした……この作品もあとすこしで本当に終わりです。