GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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3話

★荒れた市街地

side:榛名

 

 まさかの2日目で実際の戦場に出ることになった。一日目は少し訓練をやっただけで後は座学になっていた。それも自主的なもので。

 

「……不安か?」

 

 リンドウが声をかけてくる。

 

「はい、ちょっと緊張してますけど……」

「そうか…まあ、俺達がいる。気楽にいこうや」

 

 今回の同行者はリンドウ、詩音、シエルとトップ揃い。過保護すぎる気もする。

 

 

 さっそく索敵を開始。特に目的もいないので見つけた敵から倒すことに。

 

「止まれ」

 

 先頭を歩くリンドウが止めた。彼の視線の先には大型のアラガミ、ヴァジュラがいた。

 

「まっさか早々に大型に出会うとはな……なあ、射撃は得意か?」

「えっと……多分大丈夫です」

 

 的が大きいから当てられないことはないと思う。

 

「よし、シエルは榛名と一緒に背後から。俺と詩音は正面からだ」

「了解です」

 

 シエルが頷き、彼女の後をついていった。

 

「アラガミの死体を捕食中です。狙うなら今ですね」

「わかりました」

 

 バレットを選ぶ。もともと心葉が使っていたものだからどういうものだかはさっぱりわからない。

 

「…これかな」

 

 とりあえず名前で強そうな物を選んだ。「ノヴァ」と書いてある。

 リンドウ達が配備についたので狙い始める。

 

「狙いを定めて……」

 

 スコープを覗き、姿を捉える。出来る限り外さないように首元を狙う。ブレが収まったときにトリガーを弾いた。次の瞬間、スナイパーとは思えない発砲音が鳴り響いた。同時に強い反動も来た。

 

「ひゃあっ!?」

 

 爆音と共に熱風と黒煙を周囲に撒き散らした。

 

「げほっげほっ……榛名さん大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です……」

 

 シエルが声を上げた。自分は反動で尻もちをついていた。ちょっと痛い。

 

『ヴァジュラの討伐お疲れ様でした』

 

 オペレーターのヒバリから連絡があった。

 

 討伐?

 

「ヒバリさん、今討伐って言った?」

 

 リンドウが口を開いた。彼の声は震えていた。

 

『はい、反応は消滅しています』

 

 風が吹き、黒煙が晴れた。そこには

 

「…おいおい…嘘だろ……」

 

 絶句する3人。

 

「………ヒバリさん…その……討伐じゃなくて……文字通り消滅しました」

『……え?』

「…消滅というより……融解した…という方が正しそうです…」

 

 詩音の報告にシエルが補足した。

 

「な、何があったんですか……?」

 

 立ち上がりながら恐る恐る聞いてみる。

 

「その……目の前…」

 

 詩音が口を開いた。詩音の言われたとおり前を見た。そこには焼け焦げた地面とヴァジュラがいたと思われる場所に浅めの広いクレーターを作っていた。

 

「………あぅ…………あの………ひぐっ…」

 

 自分がとんでもないことをしたことに気づき、泣いてしまった。思った以上に自分は涙もろいのかもしれない。

 

 

★エントランス

side:アリサ

 

 榛名を含む詩音のチームが初戦の任務が終わって帰ってくるとのことで、エントランスで待つことにした。同じ場にはリッカ、エリナ、ギルバート、ナナ、ヒバリがいた。

 

「も、戻りましたー……」

 

 皆無事に帰ってきた。が

 

「……えぐっ……ぐすん…」

 

 榛名は涙をぼろぼろ流していた。シエルが背中をなでて慰めていた。

 

「な、何があったんですか!?」

 

 急いで駆け寄った。よく見れば目が真っ赤に腫れている。

 

「まさかリンドウさん…!」

 

 エリナが睨みつけた。同時に他の皆も睨みつけた。

 

「ちょっとまってくれって………彼女も誰も悪くねぇんだ…」

「先ほどの任務で何かあったのですか…?」

 

 ヒバリが尋ねる。その問に榛名が泣きながら一つのバレットを出した。

 

「……ひぐっ……この……バレット……です…」

「どれどれ」

 

 リッカが手に取る。そしてすぐに口を開いた。

 

「あー………そういやこれ持ってたね……そう考えると、あの子が暴走した時に皆よく生きていたと思う…」

「どういうこと?」

「シエル、そのバレット…そうとうヤバいやつなのか?」

 

 ナナが疑問に思い、ギルバートが問う。

 

「すみません、私もこのバレットについては……」

「これ、この神機専用のバレット」

 

 シエルはわからなかったが、リッカはわかった。それもそうだ。あの神機をメンテナンスしていたのは彼女だ。

 

「このバレットの正式名称は、空間制圧バレット・ノヴァ」

「空間制圧バレット……?」

「これ使ったってことは3人は見ただろうけど、文字通り空間を制圧するためのバレット。広範囲に及ぶ超火力で消し飛ばすことを目的に作った。らしい」

 

 普通に聞いただけでも恐ろしいバレットだ。

 

「さっきのよく生きてたっていう発言、心葉が常時していたってことか……」

「そう……仮にに榛名君がそれを撃って、被弾または爆風に巻き込まれたとしても皆に被害は無いだろうけど…」

「もしそれがアイツが撃って被弾した場合、どうなる?」

 

 ギルバートが恐る恐る聞いた。

 

「もし心葉君が使っていれば、熱風だけでも多分大やけど……爆風で運が良くて骨折又は打撲や打ち身レベル。悪くて四肢がバラバラになるかも………直撃すれば神機ごと融解しているかもね…」

「ひっ…」

 

 ゾッとした。同時に小さく悲鳴を上げる榛名。

 

「…ひぐっ…あの…これ……」

 

 榛名がリッカに例のバレットを差し出した。

 

「……君が持ってたほうがいい…と言っても聞かないよね…」

 

 こくりと頷く榛名。

 

「わかった。預かっておく。いざっていう時になったらこれを渡すよ……あと、君は何も悪くないから、泣かないでね…?」

「…ですけどぉ……」

 

 相当気にしているようだ。

 

「……私達もこの神機についてあまり知らないことが多すぎるのは、よくないと思いました」

 

 思えばリッカ以外これについてあまり知らない。自分たちからサポートする以上、どういったものか知っておくべきだった。

 

「そうだね。この神機についてこの後説明会でも開こうか」

 

 リッカの元、ラウンジで例の神機の説明会が始まった。

 

 

★ラウンジ

side:榛名

 

 なんとか泣き止んで自分が使っている神機の説明会が始まった。心葉が使っていたものだが、リッカやサカキぐらいしかほとんど知らないというのも不思議だった。

 

「榛名君には最初から説明したほうがいいよね」

「お願いします」

「うん。まずこの神機は心葉君が使っていた神機だけど、これは2つめの神機。1つ目は戦闘時に破壊されて、これが本部から届いた。本部からは色々なシステムを取り組んだ試験も含めての配給とのこと。で、これの素材だけど、榛名君は神機が何から作られてるかは知ってる?」

「えっと、大元はオラクル細胞から。皆さんが使っているような神機は鉄などの素材にオラクル細胞やアラガミの素材を混ぜたものを加工しているんでしたっけ?」

「そうだね。で、榛名君が使っている神機は」

「…亡くなった神機使いの方のお墓や神機、一般人のお墓から作った…ですよね」

 

 とても悪趣味な神機だ。そんなものから作れば、当然霊が乗り移る。

 

「そうだね…それで榛名君はその神機に移った霊と話ができるんだっけ…?」

「ですね……皆さんからすれば嘘に聞こえると思いますけど…」

 

 定期的に霊と話している。成仏するまではせめて相手だけでもしてあげようと思う。そもそも成仏するかどうかは分からないが。

 

「さて、戻ってこの神機の特徴からかな。この神機、通常の神機と違うところが3つ」

「通常の神機ではできない特殊な可変機構…」

「その通り。槍のスピアフォームから薙刀状態のエッジフォームに変形。銃はスナイパーとアサルトで切り替えが可能。そしてもう一つ。これは榛名君以外はよく知ってるね…」

「OracleRageSystem……でしたね」

 

 シエルが言う。これについては聞いたことはなかった。

 

「特定の条件を満たせば所持者の潜在能力を引き出し、全力の力を発揮できるシステム……心葉君については心境の変化が発動条件みたいだったけど、榛名君についてはわからない…」

「それっていい機能なんですか?」

「榛名君が持っていれば…かな。ただ発動したあとは反動が激しいからちょっと怖いかな……」

 

 どこか引っかかる言い方をしていた。自分が持っていれば。と言っていた。

 

「…この神機、心葉君が持っていた時はとんでもなく恐ろしいシステムだったからね…」

「どういうことですか…?」

「心葉君が神機使いに特攻できる体質だったのは知っているよね。彼がそのシステムの条件を満たした時、神機使いを容易に殺せる力を持った状態で驚異的な戦闘力になる…」

「……その力、アラガミに戦うときには使えなかったんですか…?」

「彼が戦っていたのは基本堕ちた者だからね……話を戻すよ。潜在能力を引き出すって言ったけど、彼の潜在能力もまた強力になりすぎると危険だった」

 

 それぐらい心葉の潜在能力は危険だって言うことが改めてわかった。前に会った時はそんな雰囲気は一切なかった。

 

「彼も感応現象を起こせる力を持ってて、それが詩音君を通じて血の力っていうものに変わった。そして彼のものは「呼応」。自分を含む作戦エリアにバーストレベル3とステータス上昇を付与」

「もしかして、あのシステムでその力が…」

「そう……彼が本当に暴走した時に呼応の力も強まって、神機使いに悪影響を与えるレベルでのバーストとステータス上昇の付与された…」

 

 強い薬が逆に毒になるようなイメージだった。

 

「…とりあえず、彼の神機についてはだいたいこのぐらい」

「わかりました…」

 

 とても苦しい内容だった。ただ今は違うようだ。

 

「今はあの偏食因子が消滅しているから、そんな危険は無い」

「…なら…いいんですけど…」

 

 それでもこの神機はイレギュラーなものだということには変わりはない。

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