★ラウンジ
side:榛名
配備されてから1週間近くはたった。そんな中で悪いニュースが入った。
「………」
「よし全員揃ったな」
モニターの前で一人の女性が言った。オペレーターではあるが雰囲気が違う。
「ツバキさん、何があったんですか」
詩音が言う。ツバキ。クレイドルの隊長のリンドウの姉らしい。教官もやってたけど今はオペレーターらしい。詳しい事情はまだ知らない。
「最近アラガミの反応が無く、偵察班が調査を行っていてあるものを見つけた」
モニターに地図が表示された。一部赤い丸がついている。
「大中小様々のアラガミで構成された群れだ」
「……!」
「そして悪いことに進行方向はこちらに向かっている。同時に上から撮影をしてみた。確認できたのは同じような群れが5つ」
「む、群れって言っても、そんなに大きいものでは無いんですよね……?」
恐る恐る聞いてみる。
「………1軍につき、数は200~500と予想されている」
「なっ……」
最低計算でも1000体のアラガミがこちらに向かっているということみたいだ。
「………つまりこいつらを全部倒せ…そういうことだろ」
「無茶な話ではあるが、そういうことだ」
ソーマが言う。ただレベルが違う。皆が乱戦を体験したとしてもこの数はしたことはないはずだ。
「……作戦エリアに入るであろうタイミングは今からちょうど一日だ。外部居住区に住んでいる人民には全員先に避難してもらっている」
「…防衛戦……私も…戦うんですね………」
自分の戦闘だと邪魔になる可能性は高い。
「それについてだが、榛名は待機だ。ここ最近のこともある。万が一に備えてだ」
「…わかりました」
その後作戦の説明がされたが、頭のなかに入れようとしてもうまく入ってこなかった。
side:コウタ
作戦はそこまで難しい内容ではなかったが噛み砕いて言えばアラガミを全部倒せ。市街地に一体でも通してしまえば最悪の結果になる。
「……中距離で援護か……」
かなりの乱戦になる。皆に弾丸が当たらないか不安である。
「コウタ、榛名、このあと搬送ゲートまで来てくれ」
ツバキが一言言い、ラウンジを去っていった。
★搬送ゲート
榛名を連れて行きながら搬送ゲートに向かった。いつも以上に人の出入りが多かった。
「いきなり呼んですまなかった」
「いえ、何か……」
「アレだ」
ツバキが見た先にはたくさんの子供がいた。
「あ、榛名おねーちゃーん!!」
「え、あ、あれ?」
「そうか、避難中だったか……」
子どもたちがこちらに向かってきた。榛名は元々孤児院にいたがその子どもたちが丁度避難しているようだった。
「榛名ちゃん、元気にしてた?」
「は、はい…とりあえずは」
今孤児院の管理をしているであろう女性が言った。
「今はこんな風にはしゃいでるけど、皆心配なのよ…」
「おねーちゃん、私達の協会だめになっちゃうの?」
「……っ!」
榛名が止まった。
「心配するな!俺達神機使いがしっかり守ってやるって!」
自分が声を上げると子どもたちが声を上げた。少しでも心配を取り除いて上げ無くてはならない。
「………私、ちょっとやることがありました…!」
榛名が突如動き出し、ゲートを去っていった。同時に子どもたちも挨拶をして去っていった。
「……ツバキさん…」
「せめて挨拶させたかったんだ。今一番危険なのはアイツだからな……」
★防衛ライン
side:詩音
翌日、榛名を除く極東の全神機使いが集まった。他の支部からの救援は到着が間に合わない。
「……射撃部隊どう?」
無線を通じて問う。
「こちらシエル……確認しました。物凄い数です…」
「こちらジーナ。いつもなら撃ちがいがある。なんて言うけど、そんなこと言えないぐらいの数……」
「……これが5つ来るんですよね……」
『はい。第5波が来るまでは一時間程の計算です』
「つまり、1波ごとに12分で倒さないときつくなるってことだよね……」
ナナの言葉に全員が黙った。
「………ごめん」
「ナナの言うとおりだ……短時間で片付け、次に備える……」
「倒さなくても、行動不能にしていけばいい。腕を切るなり、足を切るなりして時間を稼げばいい」
リンドウが言った。倒しきれないなら阻害していくしかない。
『…皆さん、第一波が作戦エリアに到達まであと1分です』
「…了解。皆…気を引き締めて…」
神機を握り直す。
「………皆…死ぬなよ。死にそうになったら逃げろ。いいな」
リンドウが言った。その声に全員が頷く。視界に無数のアラガミが見える。
『作戦エリア到達まであと5秒、4、3、2、1』
「行きます!!」
通信が0を告げると同時に声を上げて駆け出した。その突如視界が光に染まった。
「ッ!?」
その直後熱風が吹き荒れた。
「な、何!?」
『作戦エリアのアラガミ60%が消滅!皆さん、大丈夫ですか!?』
一瞬の出来事で何が起きたか理解ができない。半数以上のアラガミが一瞬にして消えた。それだけしかわからない。
「この爆発…まさかノヴァか!?」
リンドウが声を上げた。ノヴァ。そう聞いた時に納得がいった。
『作戦エリアに榛名を向かわせた。既に一部結果を出しているみたいだがな』
ツバキからの通信だった。それが聞こえた頃には上空にヘリコプターがいた。そこから一つ黒い影が飛び降りてきた。
「…榛名…」
目の前にいる榛名の姿は少し違っていた。心葉が着ていたコートと同じような真っ黒なコート、長い緑の髪は切られ、ショートヘアになっていた。
「…私だって戦います…!皆の居場所を…守ってみせます!!」
side:榛名
シェルターを出た時に自分はリッカの元に向かっていた。その時にノヴァのバレットも手に取っていた。同時に自分の所持しているバレットについて全部どういうものか教えてもらった。通常のものから特殊なものまで様々だった。
「…リッカさん、ノヴァの再使用まであとどのくらいですか?」
「現在冷却中、再使用まであと20分……ムリしないでね」
「ありがとうございます」
一言お礼をいい、地面を強く蹴り飛ばした。神機を強く握り、矛先を薙刀に変えた。
「俺たちも続くぞ!極力榛名を援護しろ!!」
ギルバートが声を上げ皆も駆け出した。
「絶対に…先に行かせません!!」
迫るアラガミに対し神機を横薙ぎに振るい両断する。距離が離れたアラガミについては銃形態に切り替えスナイパーで撃ち抜く。
「榛名ちゃん、無理しちゃダメだからね!!」
詩音が声を上げた。
「はい、大丈夫です!!」
いま自分の体は衝動だけで動いているのではない。自分の意志もはっきりしている。暴走するだけの神機使いではない。守る意志はしっかりある。