GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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今回では出番は数行ほどですが、新キャラ

名前 白羽 詩音(しらは しおん)
性別 女
年齢 19歳
身長 162cm
髪色 薄い紫
髪型 ロング
瞳色 水色
服装 クレイドルの上着、黒いスカート
性格 お気楽
神機 新型
   ショート
   アサルト
   バックラー


3話 情報ときっかけ

★極東支部サカキ博士の部屋

side:アリサ

 

「夜遅くに集まってもらってすまない。君たちには一つ知っておかなければならないことがあってね…」

 

 奇抜な衣装に身を包んだ、メガネをかけた男性、サカキが口を開いた。

 

「あいつとサクヤを除いた元第一部隊、現第一部隊、クレイドル、防衛班、ブラッド……すごいメンバーだな…」

 

 リンドウがつぶやいた。小さな部屋にかなりの人数で入っているため、少し狭かったりする。

 

「サカキ博士。知っておきたいこと…とは?」

 

 銀髪のツインテールの様な髪をした女性、ブラッド副隊長シエル・アランソンが切り出した。

 

「うん。救世主喰らいのことだ」

「っ!」

 

 アリサは背筋に寒気を感じた。数時間前、その救世主喰らいの正体を目撃していた。

 

「救世主喰らい。いったい誰がそう名付けたかは私も知らない。この正体を知っているのはごくわずかだ。フェンリル本部、各支部の上層部。極東では、ツバキ君にリッカ君、オペレーターと私ぐらいしか知らないはずだ」

「どうしてリッカの名前が入ってるんだ?」

 

 リンドウが口を開いた。救世主喰らいのことをごくわずかの人間しか知らないはずなのに、整備の人間が知っているのだろうか。

 

「救世主喰らいの所属はここ、極東だからね」

「「!?」」

 

 ここにいたアリサと博士を除く全員が驚いた。

 

「少なくともこの場所にはいないよ。今頃部屋でお休みしていると思うよ」

「…御託はいらない……その救世主喰らいはいったい誰だ?」

 

 ドアの近く、褐色の肌の長身の男性、ソーマ・シックザールが不機嫌そうに言った。

 

「おお、そうだね、救世主喰らいとは少しは面識があるはずだ。リンドウ君たちは少し知らないかもしれないね……日暮心葉っていう子を知っているかい?」

「いや、知らない。その子がどうしたっていうんだ?」

「彼が救世主喰らいなんだよ」

 

 サカキの発言に、皆唖然とした。

 

「……ウソだろ?」

「…博士、今日は4月1日じゃないぜ?」

 

 カレル、シュンが同時に口を開いた。数か月前、心葉は皆のところで少し活動している。新人神機使いとして。

 

「事実だ。といっても信じられないか……」

「…なあ、その心葉っていうやつ、もしかして黒いコートを着た槍使いで、15、16歳くらいの少年だったりするのか?」

「その通りだよ、リンドウさん。もしかして目撃したんですか?」

 

 コウタが言った。

 

「ああ…ちょうど堕ちた者とやりあってる時だったな」

「その状況、詳しく教えてくれないか?私も彼が闘っているところは聞いたことも見たこともないんだ」

 

 サカキの問いにリンドウが頷いた。

 

「あれは、俺がある任務で単独で行動していた時だった。いざ帰ろうって時に、ばったり堕ちた者と出くわした。幸い俺は見つかってなかった。だが、どこからか飛んできた弾丸が、堕ちた者の右肩を吹き飛ばした。神機も含めてな」

「待て。肩を吹き飛ばした?どういうことだ?神機の弾丸ごときじゃ、人間の肩吹き飛ばすのは不可能なはずだ」

 

 ソーマが話をさえぎり、意見を述べた。神機の弾丸はアラガミに対抗すべくつくられたもの。決して人間に撃つものではない。例え命中しても衝撃が軽く来るぐらいで腕がもげる、吹き飛ぶなんてことはありえない。

 

「いや、確かに見たんだ。堕ちた者の肩が吹き飛んで、大量の血が噴出していたのを……」

「………確かリッカ君が、特殊な弾丸を心葉君に渡したと言っていたな……続けてくれ」

「ああ。そのあと2発目が飛んできた。今度は心臓の部分だ。大体直径1cmくらいの穴を開けて貫通していったな……そんで物陰から少年が現れた。堕ちた者の死体に近づきながら、木材を拾って十字状に縛って、死体のすぐそばに刺してたな。その時そいつは泣いていた……」

 

「「………」」

 

 救世主喰らいの噂は、殺した堕ちた者のそばに十字架の墓が立っている。その近くには黒い神機使いが近くにいるという噂だ。リンドウの話と合わせるとほとんど合っている。

 

「あの……」

 

 アリサが口を開いた。

 

「私も…心葉君の姿…見ました……数時間前、堕ちた者が死亡したあとのこと………同じように墓の前で泣いてました………」

「「………」」

 

 これで証明された。心葉が救世主喰らいだということが。

 

「それでっ、私たちはどうすればいいの?心葉君を支えてあげればいいの?ひたすらにスキンシップとってあんなことや、こんなことするまでもちこめばっ!?」

「…隊長、まじめにやってくれ」

 

 薄い紫色の髪をした女性、詩音がギルバートに拳骨をもらっていた。これでも、ブラッドの隊長なのだ。

 

「うー…3割くらい冗談だってばー」

「「3割なのかよ………」」

「だが、彼女の言うとおりだ。少しでも彼を支えるんだ。それが、彼の安全と私たちの安全につながるんだ」

「?どうして私たちの安全にも関わるの?」

「彼が暴走したらひとたまりもないからね。さっきも言った通り、人間の体を吹き飛ばすバレットなんか撃たれたら、致命傷は避けられない」

「………心葉が暴走する原因としては、精神圧…といったところか?」

 

 ギルバートが言い出した。それに対しサカキは頷いた。

 

「心葉君もそろそろ精神的にかなり来てるはずだ。今のまま、堕ちた者を殺し続けていれば、近いうちに精神圧に負け、暴走および、堕ちた者またはアラガミ化する可能性だってある」

「そうなった場合は、弾丸に吹き飛ばされるか、俺たちがあいつを殺す羽目になるのか………」

「それだけは絶対に避けたい…みんなそうだろう?」

 

 全員頷いた。

 

「ありがとう。さっきも言ったが、皆できる限り彼を支えてあげてほしい。堕ちた者を彼の代わりに殺せとは言わない。彼の心の負担を極力減らすんだ。それが、彼の未来と私たちの未来につながる。これで私の言いたいことは終わり。それで、質問のある人はいるかい?」

「サカキ博士、一つ疑問があります」

 

 シエルが手を挙げ、答えた。

 

「なんだい?」

「なぜ、心葉君が救世主喰らいなのですか?神機使いなら他の支部にもたくさんいます。その中でなぜ心葉君だけが救世主喰らいでなければいけないんですか?」

 

 シエルの言うとおりだ。何か特別な理由がある。そうとしか思えない。

 

「ああ、申し訳ない。なぜ心葉君が救世主喰らいとして選ばれたのかそれを話さなければならないね。それは彼のオラクル細胞に理由があるんだ。いや、正確にはオラクル細胞にかなり似た特殊な抗体といったところか」

「どういうことですか?」

「彼のオラクル細胞が何らかの進化または変化を遂げたんだ」

 

 アラガミは捕食して進化する。アラガミはオラクル細胞の集合体でもある。それは心葉が何かを捕食した可能性があるということだ。

 

「彼のオラクル細胞を変えたトリガーはある任務に同行していた元第一部隊隊長、菊池零君の死亡だと思われる」

「…確か彼の初陣だったよね…」

 

 エリナが口を開いた。その時のメンバーは零、エリナ、エミール、心葉だった。討伐対象はコンゴウ1体で、すぐに討伐できた。帰ろうとしたときに、零が乱入してきた堕ちた者から心葉をかばい、戦死した。その堕ちた者は逃走したが、後に他の神機使いが殺した。

 

「問題はそのあとだったんだ。彼が体の調子がおかしいと言い出したから、検査したんだ。もうその時にはさっきの抗体ができていたんだ」

「その抗体にはまだ何か隠されているんですか?」

「ああ。この抗体が救世主喰らいでなければならない理由なんだ。この抗体はオラクル細胞でありながら、アラガミよりも堕ちた者や神機使いに強く反応する。その原因は研究を開始してから、いまだにつかめていない」

「ちょっと待ってください、サカキ博士。神機使いに強く反応する抗体を持ちながら、なぜ心葉君の体にいて、その抗体が体を壊さないんですか?」

 

 シエルの言うとおりだ。神機使いとはいえ、体内にオラクル細胞を持っている。彼の体の中にオラクル細胞に反応する抗体を持っているなら、その抗体が反応しないわけがない。抗体が反応すれば、オラクル細胞は破壊、消滅する。堕ちた者もしくはアラガミ化の原因としては、体内のオラクル細胞の極端な増加、減少、偏食因子の暴走が関わっている。

 

「普通ならそうだね。彼のオラクル細胞自体も変化、進化している。オラクル細胞でありながら、自分の抗体に反応しないようにね」

 

 進化は常にしている。それはアラガミに非ず、人に非ず、すべてにおいてだ。

 

「神機は使用者のオラクル細胞に反応して能力を発揮する。ブラッドアーツがいい例だね。心葉君の場合は、オラクル細胞でできたの抗体、それが神機に生かされ、堕ちた者に対して有効な力を得ているんだ。これで言いたいことは終わった。シエル君ほかはあるかい?」

「いえ、ありがとうございました。私からの質問は以上です」

「そうか」

 

 サカキは少し満足そうな表情をしていた。

 

「まあ、というわけだ。彼に暴走されたら彼の中にある抗体が我々に猛威を振るう。一撃でも喰らえば致命傷は免れない。その事故を防ぐためにお願いしたいんだ。忙しいかもしれないが、彼のことを頼む。今日はもう遅い、皆各自部屋に戻って休んでくれ」

 

 全員が頷き、それぞれ部屋を出て行った。

 

★廊下

 

「ねえ、コウタ」

「ん?」

「心葉君のことどうする?」

 

 彼のことを支えるとは言ったが、きっかけが見つからない。普通に声をかけても、何も変わらないと思った。

 

「んー…ああーっ!」

 

 コウタが思いついたようだ。

 

「明後日、ユノさんが帰ってくるじゃん。その時に心葉も誘ってパーティーでもやって何とかしようぜ!」

「そうですね……少しでもきっかけを作っていかないと…とりあえず明日皆にこの提案を持ち込んでみましょう。コウタにしてはなかなかいい案を出しますね」

「おう!って、酷いいいようだな…」

「褒めてるんですよ。じゃあ、また明日」

「ああ、お休み」

 

 アリサはコウタに軽く手を振り、自分の部屋に入っていった。

 

 

■次回予告

 

 これで事態が動くなら、動いてほしい。心葉に少しでも助けられるなら…そのためにこのパーティーを成功させるんだ!

 

次回「仲間 ~たとえ罪があっても~」

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