GOD EATER ~堕ちた救世主~   作:elsnoir

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8話 出会い

★エントランス

side:心葉

 

「いやー、さすがだな心葉、びっくりしたぜ」

 

 任務から復帰したコウタが言った。その後ろには心葉、エリナ、エミールがいた。新第一部隊初の出撃であった。

 

「突然神機兵が現れたときはどうなったかと思ったぜ」

「これも心葉のおかげだな」

 

 いろいろ褒められているが、正直思い返したくない。何を思ったのか普段の自分からはありえないような発言もしたし、わけあってエミールを蹴っ飛ばしたし。

 

「あんとき、邪魔をするなら、僕の前から居なくなれぇー!!って言ってた心葉、かっこよかったぜ」

「い、言わないでくださいー…」

 

 どうしてそんなことを言ったのかはわからない。自分の中の化け物が声を上げたのかもしれない。

 

「槍の腕もなかなかだったしね……別に負けを認めたわけじゃないから!心葉なんてまだまだよ!」

 

(当然ですよ…僕の戦い方、形すらなってないですから。今の形だって堕ちた者と戦う時から派生したような感じだし…)

 

 階段を降り、カウンターへ向かった。カウンターではヒバリが笑顔で出迎えてくれた。

 

「任務お疲れ様です。新第一部隊初の任務、息ばっちりでしたね」

「そんなことない。結構バラバラだった。実際心葉が俺たちに合わせていた感じだったし」

 

 大げさにコウタが言うが、実際ただ皆をこまめに援護しただけで合わせていたつもりはなかったし、邪魔しているだけだと思った。

 

 

★支給エリア

 

 最近よく支給エリアに来るようになった。ここは外部居住区の市民への食糧といった生活必需品を支給する場所。どうして来るようになったかというと、ここの荷物を少し整理、配達するようになった。さらにどうしてそんなことをするようになったかというと、係員が配達する暇もなく、支給がおろそかになりかけている。という理由だ。そのため少し時間が空いているときにその配達を手伝っている。当然、支給品の数も数、場所も場所ということで係員には遠方への配達を重視するようにしている。

 

「今日は…教会?」

 

 カウンターにある荷物の行先を記した紙に場所が書いてある。本日は教会だった。

 

「心葉さん、かなりの荷物になりますが、よろしくお願いします」

 

 係員に頼まれた。近くにある荷台に高く積まれた段ボールを指さしながら。

 

「…あの、これを押しながら市街地を通って、教会に行くんですか…?」

「はい」

 

 いつ倒れてもおかしくないほど高く積まれている。

 

「…わかりました」

 

 

 荷台を押し、歩き出した。

 

 

★外部居住区 教会前

 

「はぁ…はぁ…やっと、着いた…」

 

 息を切らしながらやっとのことで到着した。道中荷物が崩れ、詰み直したりした。

 

「………やっぱり、古い」

 

 目の前にある教会は壁が所々崩れている。ステンドグラスも割れている。

 軽く息を吐き、ドアをノックした。次の瞬間、ドドドドドドと何かが迫ってくる音がした。そしてドアが勢いよく開いた。心葉はドアの前に立っていたため、ドアに飛ばされた。後頭部を打ち付け意識がもうろうとした。

 教会の中から子供たちと一人女性が現れた。

 

「あ、いつも…あああ!!!」

 

 その女性が声を上げた。当然だ。支給物資が来たと思えばドアの前で人が倒れているのだから。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「…みゅぅ……」

 

 心葉は気絶していた。

 

 

★教会

 

「……ふぇ?」

 

 目を覚ますと見知らぬ天井があった。自分が倒れたところは教会の目の前だ。どうやらここに運び込まれたようだ。

 

「…ん?」

 

 体を起こす。心葉は教会の長椅子に横になっていたようだ。おまけに毛布まで掛けられている。教会の奥にある祭壇らしきところには巨大な女神像が立っていた。

 

「…神…こんな世界にちゃんとした神様なんているのかな…」

「私はいると思います」

 

 突然背後から女性の声が聞こえた。振り向くと緑色の髪を長く伸ばした優しげな表情が特徴の女性。

 

「うわっ!?」

 

 びっくりして椅子から落ちてしまった。

 

「あっ!だ、大丈夫ですか!?」

「は、はい、僕は大丈夫です」

 

 女性は手を差し出した。華奢で簡単に折れてしまいそうな腕。だがその腕にはところどころに包帯が巻かれ、絆創膏が貼ってあった。心葉は差し出された手を握り、立ちあがった。

 

「先ほどはすみませんでした…」

「い、いえ、僕もドアの前に立っていたのが悪かったんですし…」

「そんなことありません。あの子たちにもよく言っておきます」

「あの、あの子たちって…?」

「ここ孤児院なんです。それで行き場を失った子供たちを私が保護しているんです」

 

 女性は心葉に背を向けた。彼女の視線の先には一つのドアがあった。

 

「今はお昼寝中ですけどね」

「そうですか…あっ、物資」

「物資ならすでにいただきました。神機使いのあなたが運んできてくれたんですよね?」

「ええ」

「ありがとうございます」

 

 女性が頭を下げた。神機使いに対して、ここまで礼儀正しい人はなかなか見ない。

 

「自己紹介がまだでしたね、私、暁榛名って言います。年は18です」

「僕は日暮心葉。見ての通り神機使いです。年は16です」

「よろしくお願いします」

 

 榛名がニコリと微笑んだ。

 

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

「よろしくお願いします。あの、一つ聞きたいんですけど…」

「なんですか?」

「性別は女性…でしょうか?」

 

 初めてだ。初対面で性別を聞かれたのは。

 

「ぼ、僕は男ですっ!」

「すみません!あまりにも可愛いから…てっきりボクっ娘なのかと…」

「かっ…かわいい………」

 

 心葉の顔が真っ赤し、うつむいてしまった。

 

 

side:榛名

 

「先ほどはすみませんでした」

「いえいえ、こちらこそ…それにお茶まで…」

 

 さすがにずっと立って話もするのも変なので、心葉を教会の椅子に座らせた。その際にハーブティーもふるまった。

 

「このハーブ、教会の裏で育てているんです」

「へぇ…あっ、あの」

 

 心葉が何か思いついたようだった。

 

「もしできればでいいんですけど…そのハーブを少し分けてくれませんか……」

 

 透き通った空色の瞳が自分を見つめる。

 

「はい、大丈夫ですよ。それに私から何かお礼もしたかったので、ハーブなんかでよければ…」

「とんでもないです!!せっかく作っているんですし…」

 

 今までいろんな神機使いを見てきたが、ここまで謙虚な神機使いは見たことがなかった。

 

「ふふっ、お気遣いありがとうございます」

 

 そう言って、彼の頭を撫でてあげた。

 

「こ、子ども扱いしないでください!」

 

 心葉は少し身長が小さいことを気にしているようでもあった。

 

「子ども扱いなんてしていませんよ」

「ふぇっ」

 

 いちいち反応が可愛い少年だった。このままずっとなでなでしてあげたいが、それは怒られる。

 

「あの、もしよければ、またここに来てくれますか?子供たちにも挨拶させたいので」

「僕なんかで、よければ」

「では、またいつかよろしくお願いします」

 

 ぺこりと頭を下げた。

 その後ハーブを心葉と一緒に採取し、それを袋に詰め渡した。

 

 

side:心葉

 

「今日はありがとうございました」

「こちらこそです。それに、ハーブこんなにもらっちゃって…」

 

 心葉が手に持っているハーブは小さな袋にぎゅうぎゅうに詰められている。それでもまだまだハーブは残っているらしい。

 

「気にしないでください。これはお礼ですから」

「お礼なんて、ただ物資を運んだだけです」

「それもありますけど、そうではないんです」

「?」

「私たち市民は、いつも心葉君たちゴッドイーターに救われて今を生きています。だからこうやってお話もできているんです。私にとってそれが一番感謝したいことです」

 

 榛名の言葉が胸に刺さった。自分は彼女たちに何もしてやれていない。自分は榛名たちが思っている希望のなれの果てを始末する処刑人だ。そう思うだけで苦しくなる。息がしにくくなる。

 

「…心葉君?」

 

 榛名が声をかけた。その声で我に返ることができた。

 

「…ぁあっ、ごめんなさい。大丈夫です」

「そう…ですか。なるべく無理しないでくださいね…」

「はい。では、また」

 

 榛名に挨拶をし、この場を立ち去った。

 

 

★エントランス

 

「あっ、心葉!」

 

 エントランスに戻ると、エリナが迎えてくれた。彼女の手に一枚の紙があった。

 

「これ見て!」

 

 エリナに渡された紙を見た。どうやらお知らせのようだ。タイトルは『新型?改良型?新種の神機兵出現!?』

 

「神機兵…」

 

 神機の制御機構を応用活用した人型機動兵器。簡単に言えば一般人の動かし制御できるロボットである。これが過去に悪用されたこともある。神機兵は巨躯のくせに動きが速い。その上一撃も重い。そんなやつの新型と言われたらまた厄介だ。

 

「小型の神機兵…?」

 

 今まで通常、暴走、白銀の神機兵と三種類いた。だが今回通常の神機兵の半分のサイズの神機兵が現れたという。これは神機兵・小刀型と言われるようになったようだ。動きが通常の神機兵よりさらに速いそうだ。だが、かなりもろいらしい。目撃者によるとアサルトのバレット5発で沈黙したようだ。

 

「これなら、僕も倒せるのかな」

「バカ言わないでよ。ここをよく見なさい」

 

 エリナがある部分を指さした。その部分にはアンダーラインが引かれていた。そこには「注意。この神機兵は20以上の群れを成して行動する。目撃した場合逃げることを推奨する」と書いてあった。

 

「うぇ……」

「まあ、いつか倒せるようになるわよ」

 

 エリナが肩をぽんぽんと叩いてくれた。

 

「…努力します」

 

 

■次回予告

 

 近いうちに外部居住区で祭りが開かれるんだって。でも私たち第一部隊は行けないからね。ほんとは私も行きたいけど、さすがにね…

 

次回「騒がしき平和に裁きを」




すみません。大分間が空きました…最近ツイキャスとかやりだして…
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