楽羅來ららという超能力者の話。(仮題)   作:那由多 ユラ

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はじめに。

 人類皆平等、という言葉について、考えたことはあるだろうか。或いは、人類皆兄弟でもいい。人類全てがイコールとまではいかずとも、ニアリーイコールで繋げられるのかどうか、考えたことはあるだろうか。

 僕はあなたに問いたい。あなたには、自分と平等、対等、同等だと思える人間はいるだろうか。家族でもいい、友人でもいい、敵対関係でもいい。優劣も上下も前後も無い、或いはあったとしても、偽りもお世辞も誇張もなく、平等だと、対等だと、同等だと思える人間が。

 あなたがどんな答えを思い浮かべたのか問うた以上、僕は責任をもって聞き届けるべきなのだろうが、残念なことに、僕はあなたの答えを、少なくとも今ここで、リアルタイムに聞くことは出来ない。何が何でも僕に答えを聞かせたい、伝えたいということなら、僕のツイッターアカウントを見つけるなりしてほしい。……リアルタイムというなら、ここはXというべきなのかな。

 僕が何を聞きたかったのか、或いは何を語りたかったのかといえば、どう見ても自分より格上の人間と関係を持ってしまったとき、その人間を自分と対等、平等なのだと思えるだろうか、という話だ。

 どうせこの後すぐ、詳しく語ることになるのだから、いっそ思い切ってネタバレをしてしまうが、僕にとって自分より格上の人間だと思えて仕方がない人間というのは、超能力者の女の子だ。どれだけ言葉を尽くしても具体性には至れない、現実にして実物でありながら抽象的な少女。名を楽羅來ららという。思い浮かべたものを何でも作れるという、質量保存の法則を真正面から突き破るような異能を持って生まれた人間を相手に、人類は皆平等なのだと言えるだろうか。それは、神を相手に進化論を説くような、不敬な行いなのではないだろうか。

 いや、これはあなたに言われずともわかっているとも。こんなのはレアケース中のレアケースで、超能力者を人類の枠組みに入れるべきかをちゃんと議論すべきなのだということは。

 わかっているが、しかし、今回はそういう話なのだ。そういう、神の如き力を持った彼女を人類に含めていいものなのかという、嫌な大人達の異議申し立てに対して、彼女も人間なのだと僕が主張する物語だ。

 

「そこは、僕たちがというべきではありませんか? その言い方では、あなたが実際にどう思っているのかはともかく、私が、超能力者であるこの私が、まるで自分が人間以下の存在であるという被害妄想を拗らせているようにも聞こえてしまいますよ」

 

 安心してほしい。本来、この場にいるべきでない君が居てしまえている時点で、具体的には僕の脳内で繰り広げられている痛い妄想という名のモノローグ、或いはプロローグに侵入している時点で、君は人類よりも遥か上位の存在だ。

 

「主張できていないではありませんか。私も人間であると、嘘でも言ってくださいよ」

 

 嘘は言っていない。人類を超越したところで、人間は人間を辞めることはできないのだから。

 人間を辞めたいのなら簡単だ。死んでしまえばいい。本来、人間は死ぬことで初めて、人権から解放されるのだから。




 あとがたり。
「この物語はフィクションです。あなた方の世界とは全く異なる別世界のお話なので、組織、団体、個人、法律、法則、理論、概念、能力、矛盾などなど、ありとあらゆる言葉、単語の意味合いや在り方に相違点どころでは済まない違いがあり得ます。脳の作りによってはこのギャップに頭痛や吐き気、その他嫌悪感などに苛まれる可能性が少なくありません。どうか現実と創作を、右脳と左脳のように切り分けてお楽しみください」
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