愛城恋太郎と彼女たち(原作16巻時点)の日常の一幕。

春風が駆け巡る学園の屋上で繰り広げられる、中二詩人と土呂瀞騎士華のささやかな会話劇。


※アニメ2期終了後に、ホントしれっと、ホントちょびっと、【おまけ♡】に追加……でい。





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100カノ・トーキングデストロイ!!「あえて語るなら、語彙力崩壊、もしくは無意味な言葉遊びとも言えるね」「無意味なことなんて、するだけ無意義。時間の無駄」

 お花の蜜大学付属高等学校。

 

 授業が終わり放課後になると、学園の屋上は、愛城恋太郎と20人を超える恋人たちの愛の社交場となる。

 

 今日も今日とて、個性豊かな彼女たちは、恋太郎を中心にそれぞれ逸楽の時を過ごしていた。

 

 

 

「恋太郎くん♡」

 

「恋太郎ちゃん♡」

 

「れ、恋太郎……♡」

 

 

 

 四方八方から聞こえる、甘く黄色い賑やかな声の数々。

 

 傍から見れば、異常とも捉えられかねない壮観な光景。

 

 二股三股どころの話ではない。

 

 1人の男子高校生が、現時点で20人以上もの彼女たちと1度に交際しているのだ。そんな話、普通ならあまりにも不純で非常識この上ないこと。

 

 しかし生憎、この世界の“常識”とやらは、既に主人公の手によって文字通り葬り去られているため、実のところ、とくに問題は無かったりする――のかもしれない。

 

 それにどんなに彼女が増えようとも、鋼の健全術師の如く、恋太郎の超人的辛抱強さと配慮の甲斐あって、彼や彼女たちとの間には、如何わしいことなど何1つ存在しない……――

 

 

 

「恋太郎ちゃ~ん! ママのおっぱいチュッチュちてぇ~ッ!!!♡」

 

「お母様! 抜け駆けはやめてくださいッ! 恋太郎くんには、今から私の新しい下着を見てもらうんですからッ! ……ほら、ご覧になってください恋太郎くん♡ オシャレなヌーブラですよ! なんなら触って確かめてくれてもいいんですから♡」

 

「いやそれ……ヌーブラっつうかノーブラだなッ!(ヌーブラ? ヌーブラ……ヌードル! あぁ~カップヌードル食べたくなってきた)」くるくるくるくる~

 

「揉むのです~」

 

「だ、駄目だって! そういうの……俺にはまだ早いから! 羽香里も羽々里さんも落ち着いて!」

 

「えーい鬱陶しいわねッ! いいから恋太郎から離れなさいよ、このエロリック兄弟(親子)! 賢者の石に錬成してやろーかッ!」

 

「「なに!? 賢者の――“乳”!?」」

 

 

 

 い、如何わしいことなど、なに……ひとつ……――

 

 

 

「バイオレンすわぁ~!!♡」

 

 パァン!

 

「キッツ……!!♡」

 

「お尻は物理で倒せるッ!!」

 

 シュパァン!!

 

「キッッツゥ……!!♡」

 

「失礼いたします、育様」

 

 ズッパァアアン!!!

 

「キッッツゥゥウ~ッ!!!♡」

 

「お姉さまの全力(フルスイング)ケツバット、いつ見ても惚れ惚れしますわ♡」

 

 

 

 なにひとつ……そんざい……――

 

 って……あれ……?

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 そもそも……“如何わしさ”とは一体……?

 

 まあ……それはともかく。

 

 いずれにせよ、すっかり日常的となった、愛と欲と本能と活気に満ち溢れた純愛の園がそこにはあった。

 

 そして、そんな桃色の熱気に包まれた空間の中。

 

 TSスナフキンと言っても過言ではない風貌の中等部二年生の女の子――中二詩人は、血よりも濃い絆で結ばれた仲間たちに混ざって、屋上の隅で膝を抱えて座っていた。

 

 

 

「確かにスナフキンとも言えるし、ミイとも言えるね」

 

「いや、ミイの要素なんてどこにもありませんわ」

 

「少なくとも見た目は紛うことなきスナフキンだろ、詩人は」

 

「ん~? ていえす?」

 

「おばあちゃんは知らなくていい世界なのだ」

 

「性転換を意味するTrans Sexual(トランスセクシャル)の略称。創作界隈においては、転生、ハーレム等と並んで魔法の言葉と言われている。これらのジャンルをタグ付けすれば、どんなに内容の薄い作品でも閲覧数を稼ぐことができる。効率的」

 

「偏見ゔ―ッ!!!!」

 

「ん~? とらんす? せくさる?」

 

「閲覧数いいよね! (すう)も大好き! 数字1つ1つに有難みがあるっていうか、何物にも代えられない喜びを感じるっていうか!」

 

「オ―、リトルストーリー、インフィニティ―ドリーム秘めてマース! オール違ってオール良い! ブレイブハートさえインすれば、摩訶不思議アドベンチャーだろうとデジモンアドベンチャーだろうと、フリーダムオッケーデース!」

 

「つ、つまりは……情熱を込めて創作されたものでしたら、どんな作品でも自由であり……そして美しいということですわねッ! このわたくしのようにッ!!(ふふ~んですわ)」

 

 

 

 学園の屋上は、いつだって超が付くほど騒がしくて賑やかだ。

 

 しかしそんな状況の中でも、中二詩人は滅多なことでは動じない。

 

 まるで遠くを見ているかのような黄昏顔は、そう簡単に揺らぎはしない。

 

 時折、頬を撫でる暖かな春風が心地よくて、長めの前髪の隙間から覗く綺麗な瞳が、気持ちよさそうに優しく細められる。

 

 彼女の視界を右に左にと繰り返し横切り、はしゃいでいるのは、まるで8歳程度の幼女にも見える、2人の小柄な少女たち。

 

 それは、彼氏にどこか似ているペンギンのキャラクター――ペン太郎の人形で遊んでいる、薬膳楠莉と好本静の無邪気な姿だった。

 

 その様をさり気なく目で追いかけながら、詩人は軽く口角を上げる。

 

 

 

「幼子たちの戯れは、いつ見ても心が癒される――とも言えるね」

 

「その2人……どっちも貴様より年上だけどな」

 

 

 

 冷静な口ぶりでツッコみを入れてきたのは、さっきまで詩人の近くで剣道の素振りをしていた、ポニーテールの女子高生――土呂瀞騎士華。

 

 騎士華は額の汗を拭いながら詩人の傍まで歩み寄ると、休憩がてら彼女の隣で腰を下ろした。

 

 

 

「やあ騎士華。君も風を感じに来たのかい?」

 

「まあな。少し一休みだ」

 

「なら――お疲れ様、と言えるね。しかし相変わらず大したものだね……。毎日決して怠らず、騎士道精神とやらに真摯に向き合う、騎士華のその姿勢というものは。素直に感服するよ」

 

「そうか? じゃあ、たまには詩人も付き合ってみないか? 軽く竹刀を振るだけでも、いい気分転換になると思うぞ」

 

 

 

 騎士華が冗談交じりに告げると、詩人は軽く首を横に振りながら答える。

 

 

「嬉しいお誘いだけど遠慮しておくよ。吟遊詩人であるボクに竹刀は似合わないからね。ボクに似合うものなんて、森の小道で拾った木の枝か……せいぜい、たずね人ステッキぐらいなものだろう」

 

「的中率70%の秘密道具(アレ)!?」

 

「フッ。0か100かだけの極端な世界なんて退屈なだけさ。曖昧な確率こそが、豊かな人生を育んでいく。それこそが真なる世の理――とも言えるね」

 

「いや、一体なんの話をしている!?」

 

「数字の話? 数はね、全部好き♡」

 

 

 

 横から割り込んできた一二三数の愛嬌のある声を他所に、騎士華は言葉を続ける。

 

 

 

「そもそも、貴様の友人にドラえもんがいるとでも言いたいのか!? 貴様の場合、どちらかといえばムーミンだろ!」

 

「……おかしなことを言うね。この世にドラえもんもムーミンも実在しないよ?」

 

「知ってるよそんなことッ! マジレスするな!」

 

「ドラえもんもムーミンも実在しないけど、ボクにはそれ以上に大切な友人たちがいるんだ。知らないのかい?」

 

「な、なんだそれは……?」

 

「決まってるじゃないか。同じ彼氏を恋人に持つ君たちさ。恋太郎ファミリーが、今のボクにとっての最高の友人たちだからね」

 

「///////ッ♡」

 

 

 

 思いがけない詩人の言葉に、騎士華は頬を赤らめた。

 

 赤らめると同時に、キュンッ!! ――とした。

 

 

 

「そ、そんな言葉、恥ずかしげもなくハッキリと……。しかしまあ、気持ちはわからんでもない……というより、私も同意見だがな……♡」

 

「何の気兼ねもなく、なりたい自分、ありのままの自分でいながら好きな人と一緒にいられるんだ。恋太郎ファミリーはボクにとっても――そして恐らく、みんなにとっても、これ以上ないぐらいの宝物だろうね」

 

「ああ、それはまあ……その通りだな」

 

「おかげで騎士華も、思う存分赤ん坊返りができるだろ?」

 

「おい! それは余計だッ!」

 

 

 

 しかしそれから程なくして、騎士華はとろとろにとろけた。

 

 とろけた騎士華は、そうして赤ちゃんになった。

 

 

 

「ばぶーッ♡」

 

「おや? 作者は過程をすっ飛ばしたようだね」

 

「キング・クリムゾンかよ!?(栗!?)」くるくるくるくる~

 

「スタンドは物理じゃ倒せないッ!」

 

「きっと詩人の温もりに当てられて、ベイビィ・フェイス(赤ちゃんモード)になったのだ」

 

『“もしやそなた”は「(作者)の代弁者か」?』

 

「確かに中二サンからはお日様のにおいがするどー。きっと、いつも太陽の下で過ごしているからだどー」

 

「それでしたら、毎日畑仕事をしている山女さんからだって、お日様のいいにおいがしますよ?」

 

「マジヤバ~い。詩人っちも山女っちもマジアロマ~」

 

「お日様のにおいって、外干しした後のお布団のにおい……みたいなものでしょうか……。子供は好きですよね、日光を浴びたポカポカのお布団……」

 

「ぐへへ~。そういう愛々ちゃんはどんな香りがするのかしら~」

 

 

 

 気配を悟られることなく、花園羽々里は華暮愛々の背後に回り込むことに成功していた。そして、下品な笑みと共に彼女の首筋に鼻先を近づける。

 

 くんかくんか♡

 

 

 

「ひゃぁあああ~!!!!」

 

 

 

 フッ。

 

 その瞬間、愛々はテレポート宜しく、クマのあみぐるみを残してミスディレクション(消失)した。

 

 

 

「ああああ……もう少しだったのにぃ!! 香りを感じ取るよりも先に逃げられてしまったわ……!! どこ行ったの愛々ちゃんッ!! 愛々ちゃんッッ!! 返事をして愛々ちゃぁあああああああん!!!!!」

 

「さすが羽々里様! 愛々様に対する、闇の巨人が如き情熱と執念!」

 

「マナカケンゴォ! 的なヤツですか? お姉さま」

 

「褒めてんの、それ」

 

「でも気づかれずに愛々っちの背後を取るなんて、羽々里っちマジヤバ~い」

 

「ええ……。残念なことに、私の母はマジマザー(マジヤバい母親)なのです」

 

「そういう娘のアンタはマジピンク(マジヤバい淫乱ピンク)だけどなッ!」

 

「ん? 何か言いましたか? マンドラ坊や唐音さん」

 

「アァ!? “誰”の“どこ”が坊やか言ってみなさいよッ!!!!」

 

 

 

 “喧嘩するほど仲がいい”を体現するかの如く、表面上は反目し合う花園羽香里と院田唐音。

 

 その様をいつもの光景――平常運転だと言わんばかりに、周囲の彼女たちが気に留めることはない。ただ1人、彼氏である恋太郎だけが、その様子を感慨深そうに見守っていた。

 

 そんな中、これもこれで平常運転の域なのだが――すっかり赤ん坊と化した騎士華は、親指をチュパチュパと咥えながら、詩人の膝の上に人懐っこく寝転がっていた。

 

 だがそうは言っても、高等部三年生の騎士華の体が、中等部二年生の小柄な詩人の膝にすっぽり収まるはずもなく、実際はほとんど膝枕も同然の状態なのだが。

 

 

 

「ママ、ぽかぽかちてちゅきっ♡ いっぱいぎゅってちてっ♡」

 

「やれやれ。年上の先輩にこんな形で好かれるというのは、なんとも妙な気分だね。強いて言うなら、ちょっとした優越感とも言えるし、少しばかりの背徳感とも言えるね」

 

 

 

 困ったものだと言わんばかりに肩を竦めながらも、詩人はまんざらでもない表情を浮かべていた。

 

 そうしているうちに、視界の片隅に1冊の分厚い本が転がっていることに気がついた。それは、好本静が普段から持ち歩いている愛読書――“王冠恋物語(サークレットラブストーリー)”の第一巻だった。

 

 

 

「おや、こんなところに本が。まさにご都合展開だね」

 

 

 

 薬膳楠莉との戯れを優先して、静が一時的に置いたものであろうそれを、詩人はゆっくりと手を伸ばして拾い上げた。

 

 

 

『「遠慮はいらぬ。存分に使うがよい」』

 

 

 

 ニッコリと微笑む静から借用の許可を得た詩人は、その本を騎士華に読み聞かせることにした。

 

 

 

「おとぎ話ってのは、子供を眠らせるためにある――とも言えるね」

 

「狭間の王様を名乗る蜘蛛仮面なのですか、あなたは」

 

 

 

 自身に向けられる、茂見紅葉のジト目を気にすることもなく、詩人は表紙を開き、最初の1ページを捲る。そして、始まりの1行目を読み上げる。

 

 

 

「第一の術……ザケ――」

 

『「主よ」“それは断じて”「魔界の書物」ではない』

 

「……おっと、そうだったね。だけど、この世界は誰かにとっては魔界も同然の地獄であり、そして誰の心の中にも、魔物が住み着いているものなのさ」

 

『「あたしゃ時々、あんたの言ってることがわかんなくなるよ」』

 

 

 

 その後、冗談もそこそこにして、詩人は真面目に朗読した。

 

 吟遊詩人を自称している割に、歌唱力やオカリナの演奏技術といったスキルは総じて残念レベルの詩人であったが、しかし、普段から饒舌多弁なだけあり、読誦のテクニックに関してだけは、周囲が目を見張るほどに秀でていた。

 

 滑らかな活舌。自然な言葉のアクセント。そして何より、耳心地の良い澄んだ声が語る物語。

 

 まるで鳥の囀りのように穏やかな声音は、聴いた者に心の安らぎを与える。

 

 

 

「まあ……実際にどんな声かは、アニメ化が再開するまでわかんねぇんだけどなッ!」

 

「てゆーかぁ~、そもそもあーしらの出番までアニメが続くのかも謎だし~。最悪、未登場で終わる可能性もなくはないしでマジ心配だし~。ね~、胡桃っちもマジ心配だよね~?」

 

「え? あたしや美々美先輩とかは、出るのもう約束されてんだけど? 多分もう、CVも決まってんじゃね?」

 

「マジヤバ~い!! 胡桃っちたちバチクソずる~い!!」

 

今だから(2期開始前)できるネタ――とも言えるね」

 

 

 

 詩人の朗読を、騎士華はうっとりとした表情で聴き入っていた。

 

 やがて、騎士華は潤んだ瞳で詩人の顔を見上げながら、新たな要求を申し出た。

 

 

 

「ママぁ~、ぱいぱい~」

 

 

 

 中二詩人は滅多なことでは動じない。

 

 しかしそれは、彼女が自らを吟遊詩人と意識している時に限る。

 

 本来の彼女は、ちょっとした予想外なことにもビックリしてしまうほどに、敏感で繊細な少女である。

 

 その証拠に、

 

 

 

「ん? え……ちょっと……!?」

 

 

 

 騎士華が抱きつくように詩人の胸に顔を埋めたその瞬間、

 

 

 

「やめッ!?……ひゃぁああああああああああああ!!!??」

 

 

 

 詩人はありのままに(レリゴー)絶叫した。

 




おまけ♡

騎士華「す……すまなかった、詩人。くッ……気が済むまで殺せッ……」

詩人「いや、騎士華は何も悪くないさ。命をもって償うべきは、安直なオチで締めた作者――と言えるね……!!!」

百八「詩人、ひょっとして怒ってる……?」

凛「いひッ……バイオレンスの予感♡ バイオレンすわ~♡」

エイラ「任せて詩人ちゃん! 作者は物理で倒せるッ!!」





シュパァン!!





そして――。

恋愛の神「腰が痛え……。目もつれえ……。ついでに顔面も痛え(立て看板がめり込んだから)……。年月ってのは残酷だよな……」

詩人「未来(アニメ2期)も過ぎれば過去となるのさ。アニメ化という賑やかな祭りもこれにて終幕――とも言えるし、祭りの後には寂しさが残るけれど、これもまた、1つの風情――とも言えるね」

27人目「てやんでい! 心躍る祭りが1度や2度で終わって堪るかってんだぁ! 忘れたころに帰ってくるのが祭りってもんだろ! ばーろちくしょ!!」

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