こちら
女神と士道のデートを追跡中。
すこしばかり暗黒天体を創造してもよろしいだろうか。
嫉妬心だけで回帰してしまいそうだ。
本家水銀はなんてこんな苦行を受け入れられたのだろうか。
いや、分かっている。
黄昏を何よりも優先した水銀だから。
ぬ、女神を剥いて自分好みの下着を着させるとはこやつ……。
「マジ引くわぁー」
まったくだ。
#
デートも終盤。
流れとしては女神が猫をいじめている集団を血祭りにあげて士道に見られる。
そして、士道の実妹に返り討ちにされる訳だが。
もちろん、それだけは許容しない。
「
超新星爆発を芥くらいに弱めた爆発魔法だ。
トドメを刺さんと振り上げられた剣を爆発させる。
「やっぱりいやがりますか、〈メルクリウス〉……!」
「……」
「カリオストロさん!」
まぁ向かわせるのは息子似の人形な訳だが。
「ぬい……ぐるみ……?」
「ち、今回は眷属だけでいやがりますか……」
「おい!あいつは……!」
女神を回収して人形を帰還させる。
「危ないところだったね女神」
「ありがとうございますわ」
「何、礼には及ばないよ」
人形を消して、女神を横抱きにする。
「では、帰投するとしよう」
「えぇ」
転移して女神の分身を本体の影に収納した。
#side ラタトスク
「特殊な霊波確認。特定しました!」
「〈メルクリウス〉……ね」
居るとは思ってたけど。
とラタトスク司令官、五河琴理は呟いて飴をくわえなおす。
「どうします司令。これでは手出し出来ません」
「そうかしらね。今回〈メルクリウス〉はASTの妨害があって初めて現れたわ。つまり……」
「〈メルクリウス〉は時崎狂三の封印を邪魔する気はない。ひとまずそう考えてもいいだろう」
「そうね。令音」
謎が多い精霊〈メルクリウス〉。
その行動原理はある一人の精霊の為に、というものだという報告があり、何回かの出現理由を吟味して行けばそれが事実だと誰でも思うだろう。
「しかし、参ったわね。〈メルクリウス〉の狙いがまったく分からないわ」
曰く、〈メルクリウス〉はかの精霊を愛している。
曰く、ソレ以外は塵。
本人が何回か発言しているそれを加味すると、どう見ても士道に寝取られようとしているようにしか見えない。
「分かりますよ!愛するものがポッと出の男に奪われる快--ブレバッ!?」
「ふん、ブレバだって。反動ダメージでも受ければ良いんだわ」
とはいえ、〈メルクリウス〉が特殊性癖を持って居ないとは限らない。
そうなると今度は〈メルクリウス〉攻略が難しい訳だが。
「……〈ナイトメア〉の好感度メーターは?」
「士道君に対してはそれなりに高い数値。〈メルクリウス〉に対しては比にならないくらい高い数値だ」
「……まぁ、士道と会うまでにかなり騎士様してくれてるみたいだし、当然の結果といえば当然か……」
士道にはこれを超えてもらわないとならないわけだ。
琴理は真っ赤になった円グラフと半分ほど赤く染まった円グラフを見比べてため息をついた。
「どんな最難関ヒロインよこれ……」
しかも自動的にNTR付きと来た。
士道の訓練に追加するしかないわ、と琴理は憂鬱になるのだった。