「うそ……いくら形成だからってこれは……」
「あぁ、いい加減に脚を退けてくれるかね」
「そこだっ!」
また撮られたのでポーズを決める。
また周囲が消し飛んだ。
どうやら被写体を写真に封じ込める能力があるらしい。
「なるほど、興味深い能力ではあるが、それだけだ」
吐息で形成された聖遺物ごと吹き飛ばす。
腕を振るう気すら起きない。
「おまえたちは使い方を勘違いしている。もしもそれが我が
「う、わ、……っが」
鼻息で女の方が死にかけている。
「これが、位階の違い……」
位階どころかまず施されている術式がそもそも似ているだけの別物な訳だが。
胸板を唐突に叩かれた。
女神だ--あぁ、なんて可愛らしい。
癒しだね。
「あっあの!はやく出して下さいまし!後生ですから早く!迅速に!出来れば今すぐッ!」
慌てたような声だ。
そんな声も素敵だよ女神。
「今だしたら消し飛ぶが……それでもかね?」
「あぁ出して--消しッ!?」
マントの中で硬直した女神を出そうとマントをゆっくりと剥ぎとろうとすると、中から女神の嫋やかな手指が高速で私のマントを掴み、それ以上動かないように固定される。
「……五分。五分だけ我慢しますわ。五分で終わらせて下さいまし!あぁ!動かないで!」
五分で片付けよとの命を受けた。
しかも不動でとの縛りプレイだ。
獣殿や息子以外では余裕の行いだが。
「あのマントの下に女の子がいる!?」
この変質者め!と男が叫ぶが、その原因を作ったおまえにだけは女神も私も言われたくない。
「我が女神、時崎狂三である。さて。この即興劇もカーテンコールといこう。早く終わらせて早く遊びたいのでね」
腕を振るった。
それだけで空間震もかくやというほどの衝撃が前方を薙ぎ払う。
「仮にも。擬似とはいえど聖遺物の使徒ともあろう存在がこの程度かね」
「んな、わけ、ねぇだろ!」
濛々と立ち込める土煙を吹き飛ばして男が飛び出してきた。
一箇所だけ吹き飛んで居ない部分があるので、薙ぎ払いを被写体として撮影したのだろう。
女はもうだめだ。
脚で軽減させようとしたが、形成位階程度が何をしようと蟻と象がタイマンするようなものだ。
あっという間に脚が壊れ、女はボロ雑巾のように吹き飛んだ。
多分死んだと思う。
「ふむ。自慢気に出て来たところすまないが。
この日、〈メルクリウス〉が起こした災害として最大規模のものが記録に載った。
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「悪夢でしたわ、夢に出そうですわ……」
更地になった中心で頭を抱えて涙目で呻いているのは女神だ。
「どうしたのかね?」
「どうしたって……貴方のっ……何言わせようとしてますの!?」
長い方の銃で頭を殴られた。
もはやそれすらご褒美……!
羞恥で染まった表情などもはや絶頂すら覚える……!
さすが我が女神。一挙一動が私を左右する……!
「さて、次はどこに参ろうか、女神よ」
「そうですわね……北海道で蟹を食べたいですわ」
「仰せのままに、我が女神」